キハ185系 特急形気動車


予讃線 高松駅
2008年10月31日


 国鉄分割民営化の絡みで、厳しい経営が予想された四国向けの「最後のはなむけ」的な新型特急形気動車として、老朽化した急行形気動車を置き換え、優等列車の質的改善を図ることを目的として1986年11月のダイヤ改正で登場。

 1987年鉄道友の会ローレル賞を受賞している。


 性能向上よりも経済性の方が優先され、それまで活躍していたキハ181系とほぼ同等の性能を(ランニングコストも含めて)より低コストで引き出すことを目標として設計され、製造コスト削減のために液体変速機や運転制御装置などは廃車発生品が流用されたほか、スポット式の空調装置やセパレート式の冷房装置など既製のバス用部品までが使われた。

 客室は基本的にリクライニングシートで、普通車940mm、グリーン車1,160mmだが、キロハ186形の普通室は新幹線の廃車発生品のシートが転用され、テーブルも設置されてシートピッチは1,020mmと若干広くなっていた。

 出入口ドアは先輩のキハ181系と同じ2枚折戸だが、ドア幅は181系の72cmに対して85cmと若干拡大されているほか、各車両とも2ドアとされて、乗降性の改善が図られている。




 左画像は営業運転開始初日(1986年11月1日)の、キハ185形トップナンバーを1号車に連結した特急「しおかぜ」
 当時はまだ列車無線アンテナが搭載されていない。

 また、四国内では1986年11月の時点で、優等列車が走行する区間は全てCTC化されたため、キハ185系は当初からタブレットキャッチャーが装備されていない。


 登場当時はグリーンのラインカラーで38両が登場したが、瀬戸大橋開通に合わせるようにして現在のコーポレートカラーであるライトブルーに変更されたほか、その後の増備もあって最盛期は52両を数え、JR四国の特急の主力として活躍した。


 そうして華やかなデビューを飾ったキハ185系であるが、所詮は「手抜き設計車両」で、90年11月ダイヤ改正での2000系量産車の登場によって、わずか4年で主力の座を追われた。

 そりゃいくら見た目が新しくとも、性能的には20年前に登場していたキハ181系とほぼ同じだったのだから、それも無理無からぬことではある。

 さらに93年3月ダイヤ改正では8000系量産車の登場によって、登場からわずか6年あまりで予讃・土讃線の定期特急列車からも撤退し、余剰となった20両がJR九州に売却された。





剣山塗装

 96年3月改正での「剣山」の運転開始にあたって、一部の車両が「剣山」仕様に塗色が変更された(右写真)。

 この塗装は名目上「剣山」用であるが、高松運転所の配属のため、運用の都合上「うずしお」にも恒常的に使用されている。
 また、「臨時 いしづち」などにも運用さることがある(右写真)。



カワウソ君

 97年の夏に予土線に臨時特急「I Love しまんと」が運転された際、2両のキハ185が専用塗色に変更された。この塗色変更は一時的なモノの予定だったが、好評だったためその後しばらくの間そのままにされていた。

 97〜98年年末年始の「しおかぜ・いしづち」分離運転に際しても代走として駆り出され、高松〜多度津間を「いしづち」のマークを掲げて走行した。


 「I Love しまんと」はその後の利用が不調だったために2000年春から運転が休止され、この2両のカワウソ君も現在は元のJR四国カラーに戻されている。



あい

 さらに98年4月、明石海峡大橋の完成にあわせて徳島線に特急「あい」が新設された。この列車は、4月末から8月末までの期間限定付きで運転を開始したが、使用されるキハ185系は専用塗装が施され(右写真:98年5月2日撮影)、この時期の四国のキハ185系の塗色バリエーションは5種類だった。

 ただし、「あい」バージョンは99年3月改正での「あい」廃止後に元の塗装に戻されている。




 98年3月から1年間の間、徳島線急行「よしの川」にもこのキハ185系が充当されていた。



 現在、キハ185−20と、キハ185−26の2両が、トロッコ列車併結用として、このグリーンのカラーとなっている。

 これについて、市販の情報誌の一部には「元の国鉄色に戻された」などと嘘を書いているモノもあるが、この2両はいずれもJR化後に当初からライトブルーで登場した車輌であり、元の色に戻されたなどというのは誤解である。

 またオリジナルの国鉄色は、正面窓回りとライトケース周りの緑色の色合いが、側面帯のそれとは違って深いグリーンになっているほか、側面窓周りもブラックではなくダークブラウンが本来の色で、現在走行している緑帯車は2両とも真の国鉄色ではない。



現存する疑似国鉄色

正真正銘の国鉄色
キハ185−20

04年8月10日
伊予大洲駅
キハ185−26

03年10月5日
岡山駅
キハ185−1

86年11月1日
丸亀駅




 現在の定期列車運用は、高徳線特急「うずしお」2往復と、徳島線特急「剣山」、それに牟岐線特急「むろと」のみとなっており、定期列車としては3両を超える編成を組むことはなくなっている。

 両数的に余力があることから団体・臨時用としては比較的頻繁に使用されており、特に修学旅行臨などの集約臨時列車にもよく使われていて、専用のヘッドマークも用意されている。


運転台
キハ185−1014 の運転台
土讃線 阿波池田駅
(2000年1月31日)
キハ185客室
現在の客室内
牟岐線 牟岐駅
(2003年9月18日撮影)

登場時の客室内
キハ185−1010
(1987年4月撮影)


側面方向幕
オーソドックスな電光巻取り式
号車番号と座席種別は、
昔ながらの挿し札式

「代走いしづち」では、
列車名が表示されない
こともある

「臨時」表示だとこうなる

・・・実に素っ気ない

登場時の方向幕
「しおかぜ」の文字の前のエル特急マークが懐かしい



 一部の車輌については通勤形化改造が行われており、塗装も一部変更されているほか、これまでプラ板使用のヘッドマークが自動巻取り式の方向幕化されている。
 新番号区分はトイレ付き車が3000番台、トイレ無し車が3100番台となっている。
(→キハ185系3000番台)

 但し、トイレ付き3000番台は2006年6月に元の特急仕様に復帰したため、現存しない。


 また2両のキロハ186形が、50系アイランドエクスプレス無き後の、新しいイベント専用車に改造された。
(→キロ186形アイランドエクスプレス四国II)


 これら改造車を除いた純粋な特急用途のキハ185系は、2009年4月現在で22両が残存し、高徳線の「うずしお」、徳島線の「剣山」、牟岐線の「むろと」で活躍中。
 この中でキロハ186形については、売却や改造などのため、原型を保っている車両は残すところトップナンバーの1号車1両のみとなっている。



<キハ185系運用>
 (2010年3月13日改正)

 高徳・徳島・牟岐線のみの運用。
 2010年3月改正では、従来の牟岐線・牟岐〜海部間における特急末端区間の普通列車運用の一部が、1500形に置き換えられており、特急仕様車による普通列車運用は6本となっている。

<キハ185系による「うずしお」>
 5/8/27/32号

<185 × 2>による普通列車
 523D/534D/561D/574D/583D/590D

<185 × 1>
 増結用の単車運用。
高41
 12D(*1) → 68D
高42
 65D → 21D(*2) → 22D(*2) → 23D(*2)
(*1)土曜・休日は運休
(*2)金・土曜と休日は運休

<キロハ186 × 1>
「ゆうゆうアンパンマンカー」
 65D → 15D → 18D → 17D → 20D → 92D


キハ185系座席番号表


形式 キハ185形
0番台
キハ185形
1000番台
キロハ186形
製造元日本車輌/新潟鐵工所
製造初年1986年
製造両数26188
画像
予讃線 多度津駅

通常塗装
高徳線 徳島駅


剣山カラー
徳島線 阿波加茂駅

↑営業運転初日のキロハ186形
1986年11月1日
予讃本線 丸亀駅

↑こちらは「ゆうゆうアンパンマンカー」
キロハ186−2
土讃線 阿波池田駅
トイレ・洗面所付きの制御車トイレ・洗面所無しの制御車 中間車
半室グリーン車で、エンジンは1台のみ搭載
8両が登場
寸法21,300 mm
2,943 mm
3,845 mm
台車中心間距離14,400 mm
重量39.0 t38.4 t33.7 t
車体ステンレス
機関形式
出力
DMF13HS
250PS/1,900rpm × 2
DMF13HS
250PS/1,900rpm
変速機 TC2A 又は DF115A
(変速1段・直結1段手動変速)
最終減速比2.613
燃料タンク容量600 L × 2800 L × 1
ブレーキ方式 機関ブレーキ付
応速度重圧付き CLE
ブレーキ装置踏面両抱
台車形式 DT55
DT55/TR240
軸距
車輪直径
2,100 mm
860 mm
補助電源装置機関直結
空気圧縮機機関直結
冷房装置 AU26
28,000 〜 40,000 kcal
キハ185は機関直結、キロハ186は専用機関搭載
客室暖房装置温風式(車内放熱器)
許容最高速度110km/h
車体構造・客室 2扉リクライニング
(キロハの普通室は現在はリクライニングシートに交換済み)
ドア幅850 mm × 2
シートピッチ940 mm 普通席 1,020 mm
グリーン席 1,160 mm
床面高さ1,250 mm
出入口ステップ高さ965 mm
乗車定員6064 グリーン:24
普通:32

※さらに詳細はスペック一覧表参照

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