99年5月9日更新

MyTravel Vol.13




JR四国全線通行手形の旅
(中編)
行程図




 さて、今回は4月30日(金)の「中編」のレポートである。
 香川県内のそれも高松近郊をうろうろしていた「前編」から、今度は予讃線観音寺以西に乗車した。





99年4月30日(金)

 観音寺駅まで親に乗せて貰い、同駅からスタート。
 この日のトップランナー、観音寺発伊予西条行1123Mは松山運転所の7000系2両編成。

1123M&119M
1123M

右の121系は観音寺止まりの119M

(観音寺 <9:03>→伊予西条 <10:31>)
 7006 
(四マツ)
 7101 
(四マツ)




 あり? なんか見たことある車輌だなぁ〜 と思ったら、前日2番目に乗った158Mの車輌じゃないか(^^;

 とりあえず、2両目の7006形に乗車、定刻に観音寺駅2番ホームを発車し、左450Rを抜けるとフルノッチが入り、いきなり100km/hオーバーをマーク(^^;
 観音寺から伊予三島までの21.1kmを19分、平均時速66km/hで駆ける。各駅停車がそんなに飛ばしていいのかよ(^^;;

 伊予三島では17分間停車し、121系2連の上り各駅停車と特急「しおかぜ6号・いしづち6号」を待つ間に、3番線にはEF65PFの牽く下りコンテナ列車も到着した。
 伊予三島を出てからの快走もつかの間、3つ目の伊予土居でも10分間停車し、特急「しおかぜ3号」に道を譲って対向の121系2連の各駅停車を待つ。伊予土居の留置側線では保線車輌が昼寝中だった。

 観音寺から新居浜までは46.6km、所要時間は1時間13分だが、そのうちの27分は上記の待ち合わせ時間なので、これを差し引けば46分となり、表定速度約60km/hになるところである。

 終着・伊予西条到着時の乗客は20〜30人ほど。平日のこの時間帯としてはまぁまぁである(^^;



 伊予西条ではなんと50分のインターバル。実は1123M到着の16分前に松山行の各駅停車が伊予西条を発車しており、同駅での普通列車同士の接続ではこのように10数分の差で接続しないで数十分も待たされるケースがかなりあり、私のような直通客(絶対数としてはあまりいないだろうけど(^^; )にとっては不便である。

 この50分の間に、JRのパンフレットを何枚か取ったが、それを裸で持っていると傷むので封筒か何かにでも入れようと、駅から徒歩数分のところにあるショッピングセンターに赴いた。そこの100円ショップで封筒などを購入、帰ろうとしたら、衣料品売場のワゴンセールで紳士用ソックスが4足セット490円などという値札を付けて売られていたので、丁度ソックスの買い増しをしたいと思っていた私は思わず1セット買ってしまった(苦笑)



 駅に戻り、今度は伊予西条発松山行4537Mに乗車。松山運転所の7000系による単行ワンマン列車で、JR四国の場合はワンマン列車は4000番台の列車番号が割り振られている。

4537M
4537M

4520Mとして伊予西条駅1番ホームに到着
この後2番ホームに転線して4537Mとなる

(伊予西条 <11:21>→松山 <13:10>)
 7001 
(四マツ)


整理券(伊予西条)
伊予西条乗車時に取った整理券

 7000形のトップナンバーである。JR四国の7000系の車輌運用の面白いところは、モーターを搭載している7000形は当然として、モーターの無いトレーラー(7100形)が、1両単位で運用されているという点である。つまり、通常電車の運用というのは自力で走行できる動力車のみ、あるいは動力車+トレーラーが最低単位となって運用されるが、四国の7000系はトレーラー単独で運用が組まれているのである。
 なので、観音寺や伊予西条、松山などといった始終着駅の留置側線では、トレーラーである7100形がたった1両で昼寝をしている姿がよく見られ、その光景は「電車らしくない」のである(^^; 少なくとも本州の電車の常識から見れば、それは異様な光景なのである。


伊予西条駅留置側線で「昼寝」中の7100形


 話が脱線したが、4537Mの伊予西条発車時点での乗客はわずか10人ほど。土曜日とはいえやや気が抜けるほどの少なさである。
 が、7001形はそんなことを気にせずに、今治までの間の直線の多いこの区間を快調に飛ばす。この4537Mは伊予西条〜今治間(30.6km)の所要時間は36分で表定速度は約50km/hと「まぁまぁ」である。ちなみに最速の各駅停車はこの区間を34分で走破する。

 今治到着時の乗客は約30人程度で、ここで殆どの客が入れ替わった。

 今治から3つ目の大西から伊予北条にかけての約20kmの区間は、リアス式海岸に沿って300Rから400Rクラスの曲線が連続する区間。7000系は曲線通過速度が本則+15km/hとされているため、300Rの曲線なら70〜75km/h程度でクリアしていく。


 それにしても7000系電車に関して感心するのは、加速の良さもさることながら、ブレーキがとても良く利くことである。国鉄時代のディーゼルカーはもちろん、121系と比べても体感ではっきり判るほどブレーキの利きが良い。
 玉之江駅に停車するとき、目測で駅まであと400〜500mというところで100km/h程度の速度が出ていてしかもその地点から駅までは下り勾配になっていたのだが、4537Mはごく普通(に思える)ブレーキ加減でちゃんと所定の停止位置に停まったのである。


 この時間帯は対向する普通列車も多く、松山までの2時間弱の間に8本の上り各駅停車と離合した。

 伊予北条では100人ぐらいの乗車があり、単行の4537Mの車内はあっと言う間に満員になった。終着松山を目前にして伊予和気では上り特急待避のため4分停車。松山には定刻の13:10に2番ホームに到着、松山到着時点の乗客は目測でおよそ120〜130名で、全区間乗り通した客は私だけであった。



 松山では一旦改札を出て、内子までの乗車券と自由席特急券を購入した。スケジュールの都合上、内子まで特急に乗車しないとならないことになったためである。



 松山運転所の2000系気動車4両編成による、松山発宇和島行特急「宇和海11号」で、2両の自由席車は松山発車時点で満席となった。

宇和海11号
1061D 宇 和 海11号

(松山 <13:25>→内子 <13:48>)
4号車
<自由席>
21??
(四マツ)
3号車
<自由席>
2215
(四マツ)
2号車
<指定席>
22??
(四マツ)
1号車
<指定席>
2155
(四マツ)




 松山を1分遅れの13:26に発車、構内分岐を抜けるとフルノッチでぐんぐん加速していく。伊予市までの11.6kmの区間は直線が多くて比較的線形がよく、120km/hで飛ばす。この次に乗る予定の647Dが待避している伊予市駅を13:33に通過、エンジンブレーキと排気ブレーキで減速して左300Rを抜けて高架に入り、向井原を通過して建設中の松山自動車道をくぐる。

 伊予大平を過ぎると犬寄峠越えで、再びフルノッチが入る。サミットの犬寄隧道(全長6,012m)は大部分が18‰の上り勾配だが、「宇和海11号」はここをきっちり3分で通過、トンネル内の平均時速は120km/hで、18‰勾配をこの速度で登ったということである。

 内子の一つ手前の伊予立川で分岐制限&曲線(500R)制限で110km/hに減速した以外は速度が落ちず、内子には定刻の13:48に到着。伊予市〜内子間26kmを所要15分、平均時速は104km/hである。松山からでも内子までは37.6kmのところ所要22分で平均時速102.3km/h、、、、、各駅停車とは全く次元の異なる素晴らしい走りっぷりで、特急列車の貫禄を見せつけてくれた。



 内子では約20分のインターバル。14:09発の伊予市発宇和島行普通列車647Dに乗車。車輌は松山運転所のキハ58&キハ65の(元)急行形コンビ。

647D
647D

(内子 <14:09>→八幡浜 <15:04>)
キハ58 463
(四マツ)
キハ65 28
(四マツ)




 キハ65は通常のボックスシートのモケット交換車、キハ58はそれに加えて出入口デッキの仕切りを撤去し、車端部がロングシート化された「通勤形化」改造車だった。松山・高知に配属されているキハ58系は全てこのタイプで、徳島には通勤形化未改造の急行仕様キハ58系が少なくとも今年3月のダイヤ改正時点までは存在していたが、今はどうなっているのかは未確認。

キハ58
キハ58−463の客室

 さて、キハ58が転換クロスシート車だったらそっちに乗ろうと思っていたが、キハ65と同じただの固定クロスだったため、空気バネ台車装備で乗り心地の良いキハ65の方に乗車した。

 昨日・今日とこれまで快適な高性能車に乗っていたせいもあるが、走り出した647Dは「鈍くさい」ことこの上ない(^^;
 まぁ、電車と比べるのは酷としても、同じ気動車で比べても、1000形やキハ54形では発車時にエンジン回転が上がるのと同時に動き出し、電車並みの加速度でパワフルさと軽快さ(どちらかというと1000形は軽快さ、キハ54形はパワフルさを感じるが)を感じるのだが、このキハ65&58の647Dの場合、ドアが閉まって発車合図がすると、「ブワーッ」と大量の排ガスを吐き出しながらエンジン回転が上がってから数秒後にやっと動き出すのである。そしてその吐き出す排気ガスの量と盛大なエンジン音の割には遅いのである、、、要は車重に対するパワーが小さいのと、トルクコンバータの伝達ロス(トルコンスリップ)が大きいのである。
 それでもこの647Dは、高性能な500馬力ターボエンジンを搭載したキハ65のおかげで、それなりの走りをしてくれる。


 このキハ65が搭載するDML30HSE形エンジンのサウンドは非常に特徴的で、キハ58の直列8気筒エンジンが「カラカラカラカラ」というなんとも頼りなさそうな音を、キハ54の直列6気筒ターボエンジンが、、、う〜ん、適当な擬音語が思い浮かばないが、とにかくいかにも軽快そうなエンジン音を発するのに対して、この水平対向12気筒ターボエンジンは「ゴーーーーーーッ」という連続的な迫力のあるサウンドを響かせる。
 そして加速をはじめると、多気筒エンジン特有の重低音を発しながら、速度が上がってくると今度は「ヒュイーーーン」という金属的なターボサウンドを発する。この重低音ターボサウンドが国鉄最強のディーゼルカーの証であり、私の独断と偏見では国産ディーゼルカーのエンジンの中でも最もかっこいいサウンドを響かせる名機であると思う(^^;;
 かつて四国にいたキハ181系も同じエンジンを搭載しており、私がキハ181系が好きだったのも誕生年が同じということ以外に、このエンジンサウンドに惹かれたというのも理由の一つである。


 閑話休題(^^;

 647Dの内子発車時点での乗客数は約20名程度。ほぼそのままで伊予大洲に到着、ここで20分間停車する。上りの特急と各駅停車各1本と離合し、伊予長浜の旧線経由の普通列車の接続を受ける。14:41に到着した伊予長浜経由の4731D(松山運転所:キハ32単行ワンマン)からの乗り換え客は5名ほどで、意外といた、、というのが正直な感想(^^;


 伊予大洲を出発し、2つ目の伊予平野から千丈にかけては夜昼峠の33‰勾配を登る。647Dはフルノッチ投入で45km/h程度で登って行く。この速度域だと変速段、、、即ち直結状態でないトルコンスリップの多い低速段が使用される。車でいえばロックアップクラッチが作動していない動力伝達ロスの大きい状態であり、これが国鉄気動車が勾配に弱いとされていた最大の要因である。

 サミットの夜昼トンネル(2,870m)を抜けると今度は一転して33‰の下り勾配となる。エンジンブレーキや排気ブレーキを常時使用する1000形や2000系と異なり、通常ブレーキをかけながら下っていく。従ってキハ54やキハ58ではブレーキシューが車輪の踏面をこする摩擦音が盛大に聞こえるのだが、キハ65は新幹線のようなディスクブレーキを装備しているためにいたって静かである。
 ただ、キハ58&65両方に言えることだが、窓枠の経年劣化が激しく、窓がきっちり閉まらないモノが多くてすきま風がひどい(^^;

 八幡浜には約40人の乗客を乗せて3番ホームに定時到着。ここから今度は旧線経由のワンマン列車で松山へ戻る。
 ちなみに647Dは八幡浜でも20分間停車する(^^;



 1番ホームに停車中の宇和島発松山行4736Dワンマン列車に乗車。車輌は松山運転所のキハ32形単行である。

4736D
(松山 <17:04>←八幡浜 <15:11>)
 キハ32 12 
(四マツ)


整理券(八幡浜)
八幡浜乗車時に取った整理券

 八幡浜発車時点の乗客はおよそ30名ほど。平日のこの時間帯ならこんなモノか?
 ロングシートの最前席に陣取って、前方と動力車乗務員(運転士)の様子を観察することにする。

 伊予大洲を発車、意外なほどの加速の良さに、キハ32もまだ捨てたモノではないかな? と思ったのもつかの間、千丈を出て夜昼峠越えにさしかかるとキハ32はその限界を露呈した。フルノッチ投入(アクセル全開)しても、速度計の針が40km/hを指したまま微動だにしないのである。
 キハ65&58コンビよりも遅いわけで、これではせっかくの軽快気動車が泣くというモノ。もっともキハ32にも同情の余地はある。キハ32は全長16m弱の小型車体に1エンジン/1軸駆動とされて製造コストの低減が図られた。加速時は軽い車体が功を奏してそこそこの加速力を見せるが、勾配区間では車重が軽いことが逆に粘着力の不足につながり、しかも1軸駆動なので駆動力が不足してしまうのである。
 車に例えれば、キハ54がカローラ4WD、キハ32がさしずめFFミラといったところである(^^;

 そのため、秋や冬に時折「列車、スリップして勾配登れず」という見出しで新聞記事になってしまう列車は殆ど全てがキハ32を使用した列車であり、この夜昼峠の線路脇にも「スリップ注意」の標識がいくつか立っていた。


 伊予大洲では半数近くが入れ替わり、単行のキハ32の座席はほぼ埋まった。
 伊予大洲を出て若宮信号場を左に分岐、旧線を長浜方面に向かう。バラストは薄くなり、レールは細く、もちろん木製の枕木である。交換設備が撤去されて草蒸した構内が広がる五郎、最近作り直したのか、異様に真新しいホームのある春賀と交換設備のない駅が続く。向井原〜伊予大洲間(41km/途中11駅)で交換設備があるのは、伊予上灘、伊予長浜、伊予白滝の3駅だけで、6駅については交換設備が撤去されている。ちなみに4736Dはこれら3駅でいずれも対向列車と交換した。

 伊予白滝から伊予出石にかけては200Rの曲線が介在する小さな峠越えがあり、キハ32は50キロ程度でのんびり走る。かつては急行列車も停車していた伊予長浜では約1/3の乗客が入れ替わった。

 長浜を出ると伊予灘沿いの風光明媚な区間を走る。現在は立派な国道が出来たが、以前は海岸沿いの崖っぷちを走る区間であり、そこかしこに200R〜250Rの曲線が存在する上に路盤自体も弱いため、最高速度は60km/h程度に抑えられる。

 高野川を出ると33‰の上り勾配で峠を越える。4736Dはフルノッチ投入するが、速度は40km/km止まり。サミットを越えれば今度は33‰の下り勾配で、盛大にブレーキシューの摩擦音を上げながら下っていく。

 向井原で内子からの路線と合流すると、4736Dは開放されたように速度を上げ、伊予市に到着。伊予市からは松山都市圏で幾分乗車があり、鳥ノ木、伊予横田、北伊予と客を拾いつつ松山を目指す。

 最後の市坪〜松山間で八幡浜を出て以降最速の90km/hを出した。松山到着時点での乗客は約70名であった。



 松山では40分待って、17:46発の伊予西条行各駅停車に乗車した。松山運転所の7000系2両編成で、1M1Tのオーソドックスな編成である。

550M
(伊予西条 <19:25>←松山 <17:46>)
 7019 
(四マツ)
 7103 
(四マツ)


 平日の夕方ということもあって発車時刻が近づくにつれて車内は混雑し、松山発車時点では目測で250名程度の乗客がいた。
 八幡浜まで往復した国鉄ディーゼルカーに比べると7000系は圧倒的に速く、満員の乗客を乗せて毎秒2km/h以上で加速していく。最高速度も110km/hをリミットに、曲線でも本則+15km/で軽快に駆けていく。

 伊予北条までにはかなりの客が下車したが、それでも伊予北条発車時点でまだ100名以上の乗客が乗っていた。この時間帯は下りの普通列車も多く、今治までの1時間3分の間で4本の7000系各駅停車と離合したが、いずれも2〜4両編成で結構な乗客が乗っていた。菊間で離合した松山行559Mは、7000形3両+7100形1両、つまり動力車3両にトレーラー1両という強力編成であった。

 今治では半数以上の乗客が下車し、残りは40〜50名程度になった。定刻より1分遅れの18:51に今治を発車、ここから伊予西条までの間(30.6km)は、途中伊予三芳で下りワンマン列車との離合で約2分、伊予小松で特急「しおかぜ19号/いしづち23号」と離合のため4分程度停車したものの、総体的には比較的線形の良い区間であるため、夕日を浴びた石槌連邦を見ながら最高110km/hで飛ばす。

 伊予西条には定刻の19:27に到着、列車交換が無ければ30分程度で来れた計算で、各駅停車としてはかなり速い。

 全区間を通して乗車したのは、私以外では大きなバッグを持った一見旅行者風の女の子二人だけだった。



 伊予西条ではまたも約40分のインターバル。松山運転所の7000形単行による、伊予西条20:12発観音寺行ワンマン列車に乗車。

4148M
4148M

すぐ右側に停まっているのは松山行4569M

(観音寺 <21:32>←伊予西条 <20:12>)
 7023 
(四マツ)


整理券(伊予西条)



 4148M観音寺行は約20名の乗客を乗せて発車。その中には、先の550Mで松山から乗り通してきた女の子二人もいた。

 新居浜では特急「いしづち28号」に道を譲り、10名強の乗客を乗せた4148Mは夜の宇摩地方を淡々と走る。

 伊予三島、川之江でも乗客に目立った動きはなかったが、松山から乗ってきていた件の女の子二人組は川之江で下車した。ふふふふ、勝った(笑)

 終着駅を目前にした豊浜で下り特急「しおかぜ21号/いしづち25号」と交換のため5分停車、、、、のはずが、特急が5分ほど遅れたためこちらも5分遅れの21:32に豊浜を出発、結局10名弱の乗客を乗せて4分遅れで終着観音寺に到着した。



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