99年5月9日更新

MyTravel Vol.12




JR四国全線通行手形の旅
(前編)
行程図





四国全線通行手形

 JR四国が今年から発売をはじめた企画切符、「四国全線通行手形」を利用して、GWの間四国内各地を回ってみようと思い立った。
 この「四国全線通行手形」は、瀬戸大橋線宇多津〜児島間を除いたJR四国内の鉄道全線と、土佐くろしお鉄道の窪川〜若井間が5回乗り放題で¥5,500というトクトク切符である。
 1日1回づつ5日に分けて利用しても良いし、5人で一度に1日で利用してもよい。特急列車や、普通列車の指定席やグリーン車に乗車するときは乗車券を別途購入する必要がある。また、バス路線は利用できない。

 以下、この切符を使った鈍行(あぁ、懐かしい響きだ(^^;; )の旅のレポートである。

 なお、文中の車輌の編成表は、向かって左側が上り方(高松方面)で統一してある。

 また、タイトルについて一応断っておくが、「JR四国全線」を「通行手形」で「旅をした」わけではなく、「JR四国全線通行手形」という切符を使って「旅をした」という意味であって、JR四国全線に乗車したわけではないので悪しからず(^^;

 今回の旅の目的は、大量の振子式車輌の投入で特急列車のスピードアップとサービスアップが図られる一方、普通列車のサービス水準がどの程度であるのかを実地検証することである。


 なお、全て1本にまとめる予定で原稿を書き始めたら結構な分量になったので、1日につき1本という事で3本に分けた(^^;
 まずは、4月29日(木)の「前編」である。


 以上、前置き終わり(^^;






99年4月29日(木)

 前夜、午前2時まで友人とパソ通でチャットをしていたため、この日は8時半起床。10時頃にいきなり通行手形の旅を思い立って出かけることにした。親に土讃線の琴平駅まで車で送って貰い、窓口で「通行手形下さい」と」いうと、窓口氏はバインダーを取り出してマルス端末に入力、やおら出てきたのが、タイトルにある切符である。



 まずは琴平発多度津行普通列車1250Mに乗車、高松運転所所属の121系電車2両編成。

1250M
1250M

(多度津 <10:54>←琴平 <10:40>)
クモハ121 8
(四カマ)
クハ120 8
(四カマ)




 琴平出発時点で乗客は約20名、次の善通寺では30〜40人ぐらいが乗ってきて結構にぎわってきた。3つ目の停車駅がもう終点で、結局80人ぐらいは乗っていた。多度津では隣の1番ホームに高松行136M(121系4両編成)が3分の接続で連絡しており、殆どの乗客がそちらに乗り換えた。


 琴平から多度津までは土讃線では数少ない平坦区間である上にほとんど直線区間で、本来ならかなりのスピードが出せるはずなのだが、この区間の架線の吊架方式は、「直接吊架方式」と呼ばれるローカル線でよく使われる簡易な吊架方式であるため、電気運転の場合は最高速度が85km/hに制限される。
 従ってこの区間、電車列車の最高速度は国鉄時代のディーゼルカー(特急を除く)同じスピードであり、速いという感じはしないが、加速が良い分だけまだ救いようがあろうというモノ(^^;

 逆に言えば架線に左右されないディーゼルカーであればそれ以上の速度が出せるわけで、実際キハ54は90〜95km/h程度、2000系なら120km/hで走行している。


 さて、私は、、、というと、座りたかったのと乗り心地の悪い121系は遠慮したかったのとで1本やり過ごし、その15分後に発車する多度津発高松行158Mに乗車。車輌は松山運転所の7000系2両編成。

158M
(高松 <12:00>←多度津 <11:12>)
 7006 
(四マツ)
 7101 
(四マツ)


 やはり7000系は121系に比べて格段に乗り心地がよく、しかも静かである。途中の坂出では高松行特急「いしづち8号」(8000系3両編成)に道を譲る。
 多度津発車時点で20名ほどだった乗客も高松へ近づくに連れて増え、高松駅6番線到着時点では100名程度の乗客が乗っていた。
 7000系電車の最高速度は110km/hだが、121系の足並みを揃えるためにこの区間での最高速度は通常は100km/hに抑えられている。



 6・7番ホームにある立ち食いうどんの店((株)高松駅弁出店)で肉うどんを食べてこれが昼食(^^;。ちなみに高松駅構内には、他にも隣の8・9番ホームと駅コンコース内の改札口横、それに改札を出た駅ビル内にもうどん店があり、さすがはさぬきうどんの本場であることを実感させられる(^^;



 高松からは高徳線に乗り換えた。高松発徳島行の4343Dは通常は単行ワンマン列車であるが、土曜と休日は車掌乗務の2両編成となる。この日も同列車は徳島運転所の1000形気動車による2両編成であった。

4343D
(高松 <12:17>→三本松 <13:23>)
 10?? 
(四トク)
 10?? 
(四トク)

※車番見るの忘れた(^_^;

 高松を発車した1000形2連は、121系や7000系とも比肩しうるほどの加速力を見せる。国鉄時代のオンボロディーゼルカーとは明らかに次元の違う走りである。ただ、私が乗車した2両目の車輌はこの日はエンジンの調子がよくなさそうで、1速段で20〜25km/hまで加速したところでエンジンの振動がやや異常になる感じがした。

 ところで1000形気動車は1990年のデビューだが、93年以降に登場した後期型の車輌はそれまでの車両とは変速タイミングが異なり、そのため両車を併結して運転すると大きなショックが生じてしまう。そこで初期型の方に「速度同期装置」を搭載(取付準備工事は施されていた)して、後期形の方にタイミングを合わるようにしているようだ。初期車について同装置の取付工事が進んでおり、取り付け改造が行われた車輌は運転席の乗務員席の正面下部に「速度同期装置搭載車」と書かれたシールが貼られ、この日乗車した2両目もその車輌であった。


 ちなみにこの取付工事の対象となりうる初期車28両は全車両が徳島運転所の配属となっており、高徳線・徳島線・牟岐線で活躍している。


 なのだが、乗り心地はともかく、変速ショックの方はやや大きく感じた。これはやはりエンジンの調子が悪かったせいではないかと思っているのだが、、、、


 高徳線の高松・徳島近郊は駅間距離が短く、せっかくの最高速度110km/hの高性能ディーゼルカーもやや性能を持て余し気味であり、讃岐津田までは最高でも80km/hしか出さなかった。
 志度の次のオレンジタウンでは10分程度停車し、上り特急「うずしお12号」(2000系TSE3両編成)と離合&下り特急「うずしお11号」(N2000系4両編成)に道を譲る。
 三本松の2つ手前の鶴羽から三本松にかけては結構飛ばし、丹生(にぶ)〜三本松間では初めて100km/hを出した。



 三本松で4343Dを下車し、駅前を散策した、、、、、が、何もない(^_^;
 とりあえず書店で30分ほど暇つぶしたけど(^^;



 駅に戻り、KIOSKでおやつを仕入れた後(^^;、三本松発高松行の単行ワンマン列車4346D(徳島運転所1000形単行)に乗車して高松へ引き返した。

4346D
(高松 <15:18>←三本松 <14:17>)
 1008 
(四トク)


整理券(三本松)
三本松乗車時に取った整理券

 三本松駅3番ホームからの発車で、隣の留置側線には保線車両が止まっていたのでこれを撮影
 下り特急「うずしお13号」(2000系TSE3両編成)と入れ違いに、4346Dは定刻に三本松を発車、丹生からその次の鶴羽までは最高100km/h程度で飛ばす。エンジンは快調で、4343Dで感じたような振動異常は無かった。

 三本松発車時に5人程度だった乗客は、高松到着時は目測で60〜70人程度いた。志度では下り特急「うずしお15号」(N2000系3両編成)と離合。4343Dもそうだったが、志度での乗客の異動が多く、約半数近い乗客が入れ替わった。



 高松からは今度は多度津行の155M「南風リレー号」に乗車。高松〜多度津間(途中駅数:11)の途中停車駅は、端岡−坂出−宇多津−丸亀のみで、停車駅は快速並みだが時刻表上でも駅の案内でも「快速」の表示は無く、普通列車扱いとなっている(もっとも、「快速列車」も厳密な分類上は「普通列車」に含まれるのだが)。
 車輌は121系あり、6000系あり、7000系ありとバラエティがある。停車駅も、上記4駅以外に鬼無と鴨川に停車するタイプや各駅停車も1本ずつあっていろいろである。

 この時乗車した高松発多度津行南風リレー号155Mは高松運転所の121系2両編成であった。


155M「南風リレー」
155M
「南風リレー号」

(高松 <15:55>→多度津 <16:25>)
クモハ121 5
(四カマ)
クハ120 5
(四カマ)



 高松〜多度津間の所要時間は30分で表定速度は66km/h、南風リレー号の中では一番速いタイプである。こんな列車が30分毎ぐらいに走っていればもっと乗客も増えるのに、、、、
 実際、155Mは高松発車時点で目測で約60〜70人程度の乗客が乗っており、1本前に出た各駅停車より多いのではないかと思えたほどである。

 121系「南風リレー号」は高松を出ると許容一杯の100km/hで飛ばす。端岡〜坂出間12.2kmの所要時間は9分で、平均時速は約81km/hと121系としては上出来すぎるほどのスピードである。
 その為か、五月蝿い上に震動も大きい(^^; 八十場駅の前後では突き上げるようなショックがあって車体からビビリ音が出たほどで、121系ではこれぐらいが限界なのだろう。

 まぁ、40年近くも前に作られた通勤電車の台車を流用している手抜き電車なのだから無理もないか(^^;
 従って、乗り味自体も昔山手線などで走っていたカナリヤ色の103系電車とそっくりで、重厚さや快適さのカケラも感じられない安っぽい乗り味である。

 多度津からは観音寺行の下り普通電車に乗るつもりで、4番ホームに入ってきた121系4両編成の3両目に乗っていたのだが、1番ホームに入線した観音寺発高松行普通電車「南風リレー号」が6000系なのを見て、すぐさまそちらに乗り換えた(^^;;



 観音寺発高松行164M「南風リレー号」は高松運転所の6000系3両編成で、4月の上旬に実施された「団子三兄弟キャンペーン」のシールもまだ一部残っていた(^^;

164M「南風リレー」
164M
「南風リレー号」

左写真は高松到着後で、既に
リレー号のヘッドマークは外されている

(高松 <17:14>←多度津 <16:43>)
 6002 
(四カマ)
 6202 
(四カマ)
 6102 
(四カマ)




 16:39に2番ホームに到着した岡山行特急「南風14号」からは結構な数の乗客が乗り換えてきて、およそ半分の座席が埋まった。

 164Mは多度津を出ると快調に走り、乗客を拾っていく。同じ南風リレー号でも6000系は121系とは走りの次元がまるで違い(特に乗り心地が全然違う)、しかも座席も快速「マリンライナー」並みの転換クロスシートなので、非常に快適である。坂出から端岡まではやはり所要9分だが、八十場から鴨川にかけては結構スピードを落として通過しており、121系に比べて明らかに余裕がある。

 私が乗車したのは先頭の6002形でモーターや発電機などを搭載した動力車だったが、121系の付随車(モーターを積んでないトレーラー)よりも静かで快適だったというのは本当である。

 高松到着時点では100数十名の乗客が乗っていて、やはり各駅停車よりも「南風リレー号」の方が人気がありそうである。


 ちなみにこの「南風リレー号」は下り9本/上り10本が設定されており、そのうちの1往復が各駅停車、下り1本が鬼無・鴨川停車タイプで、高松〜多度津間を30〜34分で走る「速達タイプ」は4往復である。



 高松からは、17:19発の快速「マリンライナー48号」岡山行で坂出まで引き返す。JR西日本・岡山電車区の213系電車6両編成で、グリーン車と普通車座席指定席車はガラガラだったが、自由席車は座席の7割程度が埋まっていた。

3168M
快速「マリンライナー48号」
(高松 <17:19>→坂出 <17:34>)
グリーン
クロ212-1
(岡オカ)
(指定席)
サハ213-7
(岡オカ)
(指定席)
クモハ213-7
(岡オカ)
(自由席)
クハ212-1
(岡オカ)
(自由席)
サハ213-1
(岡オカ)
(自由席)
クモハ213-1
(岡オカ)
(自由席)


 高松から坂出まで21.6kmは所要15分で平均時速は86.4km/hと、関西や中京の新快速ほどではないにしても普通電車としては一級のスピードである。最高速度は110km/h(宇野線内は100km/h)、普通車の座席は転換クロスシートでグリーン車も連結、加えて日中はほぼ30分ごとの運転で利便性も高く、都市間快速サービス列車としては全国でも上位にランクできる列車である。

 先ほど121系で通過したときに強い突き上げのあった八十場の前後も何事もないかのように110km/hで通過、デビューしてからもう12年が経過した電車とは思えない、これぞ快速列車という走りを披露してくれる。

 坂出では3割程度の乗客が下車したが、それ以上の乗車客があり、座席はほとんど埋まってしまったようだった。



 坂出からは約30分のインターバルで18:01発の高松発多度津行普通電車163Mに乗車。高松運転所の121系2両編成で、ほぼ満員。坂出発車時点では目測でおよそ150名ぐらい乗っていただろうか?
 やはり6000系から213系に乗り継いだ後に乗車する121系は、比べるのが酷なほど五月蝿くてよく揺れる(^^;

163M
(坂出 <18:01>→多度津 <18:15>)
クモハ121 14
(四カマ)
クハ120 14
(四カマ)




 多度津駅で次の列車を待っている間、多度津発高松行170M「南風リレー号」が7000系の2両編成で入線、せっかく121系&6000系の「南風リレー号」に乗ったので7000系のこの列車も乗ってみたい衝動に駆られらが、この後の予定があったので断念した(^^;

170M「南風リレー号」
170M「南風リレー号」
右側は東京貨物ターミナル行上り高速コンテナ貨物列車


 多度津でまた約30分の待ち合わせ。
 この日のラストランナーは多度津発阿波池田行普通列車4281Dで、高知運転所のキハ54形単行によるワンマン列車である。

4281D
(多度津 <18:48>→讃岐財田 <19:23>)
 キハ54 3 
(四コチ)


 多度津駅18:28発の特急「南風13号」が4番ホームから発車した後に、同じ4番ホームに18:30頃に入線した。
 まずは18:37着の高松からの111系4両編成の167Mからの乗り換え客を受ける。続いて18:47分着の高松発伊予西条行169M(121系4両編成)からの乗り換え客もあり、約70名の乗客を乗せて169Mと多度津を同時発車して同駅構内を併走。

 国鉄気動車の面影を色濃く残す2段手動変速とはいえ、250PSエンジン×2台=500PSのパワーは37トンのボディには充分すぎるほどで、121系電車を向こうに回してほぼ互角の加速力を披露する。

 善通寺〜琴平間の直線区間では95km/hをマーク、この区間は電車に乗るよりもディーゼルの方が良いかもしれない(^^;

 琴平から塩入までの連続20‰勾配を平均時速60キロ強で「軽く」駆け上がる。国鉄時代の五月蝿いばかりで鈍くさい普通列車のスピードを知っている私にとってはまさに隔世の感がある(^^;

 ただ、やはりブレーキに関してはやや応答が鈍い上に弱く、この日乗車した車両の中で電気司令式でなかったのはこのキハ54(電磁直通ブレーキ)だけであり、このあたりは両方式の性能差を如実に物語っていた。


 讃岐財田には定刻の19:23に到着、親に迎えに来て貰って家に帰り着いたのは19時半であった。


 この日乗車した車両は実にバラエティ豊かであった。即ち、、、、

形式
213系
6000系
7000系
121系
1000形
キハ54形
制御方式
界磁添加励磁制御
VVVF
インバータ制御
VVVF
インバータ制御
直列抵抗制御
変速1段/直結2段
液体式自動変速
変速1段/直結1段
液体式手動変速
ブレーキ
方式
電気司令式
電気司令式
電気司令式
電気司令式
電気司令式
電磁直通式
最高速度
110km/h
110km/h
110km/h
100km/h
110km/h
95km/h
座席配置
転換クロス
転換クロス
セミクロス
千鳥配置
セミクロス
セミクロス
千鳥配置
ロングシート
ドア数








 この区間を走る車輌で、昭和62年以降に登場した車輌は一通り全て乗ったことになる。
 体感上の加速感は7000系が一番で、次いで6000系と1000形、そして213系と121系とキハ54が同じぐらいに感じた。

 213系は起動加速度はさほどでもないのだが、中速域〜高速域にかけての加速(車で言う「中間加速」とか「追い越し加速」)が良く、このあたりに各駅停車用電車と快速用電車との差が見られる。6000系はその両方の特性を兼ね備えており、比較的利用客が多く、列車種別も本数も多い高松都市圏で使用する分には6000系が最も適当ではないかと思える。


 他にもキハ58・65とか111系もいるのだが、そんな古い車両には乗る気がしないのでパス(^^;



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