2001年11月5日更新

MyTravel Vol.23




九州グリーン豪遊券の旅(その1)

九州グリーン豪遊券(クリックで拡大表示)
↑鹿児島の友人K氏に代理購入して貰った
「九州グリーン豪遊券」
(クリックで拡大表示)


 余談だが、JRの列車の座席予約システムは「MARS(マルス)」と呼ばれ、昭和30年代の優等列車増発に伴う座席予約業務の増大を見込んで、昭和35年の試験稼動開始を経て昭和39年に本格的な稼働を開始した、日本で最初といっても良い全国規模の大規模オンラインネットワークシステムである。
 みどりの窓口や旅行センターには「マルス端末」が設置され、その端末で発行される乗車券類には発行駅名の後に「MR」と表記される。

 最近はこのマルス端末に基本OSとしてWindowsを使用した端末(それも日立のデスクトップパソコン、フローラがほとんど)が増えており、その端末から発券される企画切符の類には従来の「MR」」表記が無い場合も多い。

 上記のグリーン豪遊券も「西鹿児島駅POS5」と表記されており、明らかに新型端末で発行された物であることがすぐに判るというわけである。

 しかし、グリーンを含む座席指定券については新型端末でも「MR」と表記されており、このあたりの使い分けが私にはいまいち謎である(^^;






2001年10月28日


 前夜は3時前まで部屋で飲み会だった(笑)のだが、なんとか8時過ぎに起きて朝食の後、宿泊先の霧島ロイヤルホテルを出発した。

 まずは、飛行機で東京まで帰るという友人Y氏と、彼を送るがてら熊本へ帰る友人M氏と別れ、次いで宮崎の実家へ行くという友人M嬢+連れの友人S嬢2名を宮崎まで車で送るため、大阪在住の友人U氏とともに、5名でK氏の車で宮崎へ向かった。


 この日の宮崎市内はお祭りがあったようで、市内は一部で交通規制が行われていた。
 M嬢お薦めの昼食を食し、M嬢とS嬢を降ろしてから、私もそろそろお別れしようということで、南宮崎駅へ向かい、同駅でK氏&U氏と別れた。


 当初予定では隼人駅から普通列車に乗車、西鹿児島から特急「つばめ」に乗車予定だったが、「九州グリーン豪遊券」はこの日から有効なので、だったら宮崎まで来たついでにここからもう出発しようというわけである。

 南宮崎駅南宮崎駅舎は意外ととこぢんまりしており、駅前に椰子の木が立っているのはいかにも南国の駅らしい。そういえば宮崎市内は道路にも椰子の木がたくさん立っており、このあたりの雰囲気は高知とよく似ていると思った。
 街の人口も約30万人で高知市とほぼ同じであり、違うのは路面電車が走っていないことぐらいか?(^^;

 改札を入り、駅のすぐ横にある車庫で寝ている車両などを撮影して暇つぶしした。

 2番ホームと3番ホームの間にある中線では、京都〜南宮崎間の寝台特急「彗星」がたった4両の短い編成で今夜の出番を待っていた


 ここから乗車したのは、宮崎発西鹿児島行特急「きりしま9号」
 宮崎から南宮崎までは普通列車であるあたり、ローカル色の強い特急列車である。


6009M 特急「きりしま9号」


西鹿児島(17:20)← 南宮崎(15:19)

1号車2号車3号車
クハ481
220
鹿カコ
モハ484
340
鹿カコ
クモハ485
106
鹿カコ
西鹿児島 ← 宮崎


 乗車したのは、2号車の自由席車。座席指定を取らなかったのは、グリーン車が無いということもあったが、日豊本線末端区間なので自由席でも余裕で座れるだろうと踏んでいたからであった。

 1号車のみ指定席であとは自由席車。3号車は中間車に運転台を取り付けた改造車両。
 車両は鹿児島運転所の485系3両編成で、色を塗り替えたり、座席を更新したりしているが、客室ドアは昔ながらの手動で、まぁ早い話がオンボロ車両である(^^;


 「鹿カコ」は車両の所属する車両基地名を表し、この場合は「JR九州 鹿児島支社 鹿児島総合車両所」の所属であることを表す。
 うしろのカタカナ2文字の略号(電略)はNTTで使用されている略号と同じ物がかなり多く、このあたりはJR/NTTとも元の三公社の一員であったことに起因しているようである。



 現在JR在来線の電化方式には、直流1,500V/交流20,000V(50Hz)/交流20,000V(60Hz)の3つがあるが、この485系はこれら全ての区間を走行することの出来る日本初の三電源方式の特急形電車として1968年に登場し、1975年までの間に総勢約1,500が製造されて、ほぼ日本中の電化区間で活躍した系列である。


 それはいいとして、この「きりしま」、、、狭いです(^^; 遅いです(^^; 揺れます(^^; もちろん車内販売なんてありません(^^; 車掌さんも1人しか乗っていません(^^;


 南宮崎から西鹿児島まで123.3kmを2時間1分、、、表定速度は辛うじて60km/hに乗っているに過ぎず、最高速度も85km/h程度止まりのようである(スピードメーターを見たわけではないのでレールのジョイント通過速度からの推定)。

 当然単線区間で、途中の通過駅のポイントも当然のように昔ながらの速度制限のかかるY字分岐で、一線スルー(通過列車は直線側を通過させる配線)などまだ未導入である。
 宮崎〜鹿児島間は高速バスも走っているが所要時間も運行本数も「きりしま」と大差なく、どうもこの区間の輸送需要そのものが小さい(=儲けが小さい)ために、設備投資が後回しになっているようである。

 ちなみにこの日は日曜日ということもあって、「きりしま9号」の自由席車の乗客は100人弱で乗車率は7割といったところで、よく乗っている印象を受けたが、指定席の乗客はほんの数人だった。


 都城で1/3程度が下車し、自由席車の乗車率は半分以下になった。
 それ以外は各駅とも乗客の動きは少なく、結局南宮崎発車時点で乗車していた客の半数以上が鹿児島まで乗り通していたようだった。

 乗客の動きが少ないと言うことは活気に欠けるということなのだが、逆に言えば落ち着いているとも言えるだろう。


 終着の一つ手前の鹿児島で、残っていた客の半分ぐらいが下車し、「きりしま9号」は20〜30人程度の乗客を残して最後の複線区間を飛ばし、終着西鹿児島に定刻に到着した。
 この車両はこのあと国分行きの「ホームライナー」として折り返すようで、側面の方向幕を変換してから車庫に引き上げていった


 ちょっと時間があったので、改札を出て西鹿児島駅西鹿児島駅の駅舎を撮影
 最近建て替えたらしく、かなり個性的な駅舎である。

 またこの間に、「トレインピック21」キャンペーンがらみで、残り10列車乗車のために11月中旬にまた九州へ来るときに使用する切符を買った。



26M 特急「つばめ26号」


西鹿児島(18:25)→ 博多(22:22)

1号車2号車3号車4号車5号車6号車
クモロ787
11
鹿カコ
モハ786
305
鹿カコ
サハ787
13
鹿カコ
サハシ787
11
鹿カコ
モハ787
22
鹿カコ
クモハ786
11
鹿カコ
西鹿児島 → 博多

※1号車に個室グリーン室有り
※4号車の座席指定席車はセミコンパートメント



 西鹿児島から乗車したのは、鹿児島本線経由で博多〜西鹿児島間を結ぶ、JR九州が誇る特急「つばめ」



 そもそも、「つばめ」という愛称は1930年(昭和5年)に東京〜神戸間を結ぶ「超特急」の愛称として登場した由緒ある愛称名である。
 なにしろ当時は一番速かった特急「富士」でも最高速度は85km/hで、東京〜大阪間を10時間40分かけて走っていたのだが、「つばめ」は最高速度95km/hで8時間20分と2時間20分もスピードアップしたのだから、当時の人が「超特急」と呼んだのも無理はない。

 その後戦争による一時運転中止を挟んで、新幹線開業後も新幹線接続特急として、新大阪〜博多間、岡山〜博多/熊本/西鹿児島間と舞台を西へ移しながら活躍を続けたが、1975年3月の新幹線博多開業時のダイヤ改正でついに行き場を失って廃止された。



 JR九州の特急「つばめ」は1993年7月のダイヤ改正で登場した。

 当時博多〜西鹿児島間を結ぶ特急だった「有明」を、ビュッフェ車やセミコンパートメントの普通車、それに個室グリーン車まで連結した豪華編成の787系電車に置き換えるにあたって、愛称名も「つばめ」に改称したモノである。

 現在JRの定期列車でビュッフェ車を連結しているのはこの「つばめ」だけで、これだけでも凄いのだが、「つばめレディ」と呼ばれる客室乗務員が添乗するなど、ハード/ソフト両面とも充実した内容で、JRを代表する人気列車となっている。

 スピード面では最新の振子式車両にはかなわないようだが、JR九州もアナウンスしているとおり、「つばめ」はスピードよりも快適性を追求した列車であり、私的にもこの程度(博多〜西鹿児島間4時間弱)のスピードで充分と思われるし、そのおかげかどうか、乗り心地も非常に良かった。


「つばめ」グリーン室
↑通常のグリーン室
床はもちろん絨毯敷き
「つばめ」グリーン個室
↑グリーン個室
「つばめ」トップキャビン
↑トップキャビンと呼ばれる半個室



↑1号車の客室図(JR時刻表 2001年11月号より)

「つばめ」ビュッフェ
↑4号車に連結されるビュッフェ
これは夜行の「ドリームつばめ」なので、営業休止中
「つばめ」セミコンパートメント
↑4号車博多方に設置される
セミコンパートメント
787系普通車
↑普通車の客室
客室中央部に、大型荷物置き場がある



 この日の「つばめ26号」も2両しかない自由席車は西鹿児島発車時点で既にほぼ満席で、指定席車も6割程度の乗車率であった。

 グリーン車は、、、というと、西鹿児島発車時点では乗客は私一人だったが、伊集院、川内、八代、熊本と乗客は増えて最終的に8人になった。

 787系のグリーン車は、JR四国の2000系気動車並みのかなり大振りの座席に、背もたれは若干固い印象があるものの2段折れリクライニング機構が装備され、シートヒーターやアームレスト内臓のオーディオも装備されていて快適性はかなり高く、加えて客室内も落ち着きのある彩色と採光でとてもGood。

 さらに1号車のグリーン車は専任の客室乗務員(もちろん女性)が添乗(乗務中は「レセプションサービス」コーナーに詰めている)し、イヤホンやドリンク、おしぼりのサービスはもちろん、毛布のサービスまであるという充実ぶり。

 少なくとも、これまで乗車したことのあるグリーン車の中では最高に快適で、実にリラックスした4時間を過ごすことが出来た。

 ちなみに、シートサービスのドリンクカップには可愛いツバメのイラストが描かれており「つばめ」カップ(笑)、持って帰りたい衝動に駆られたが、使い古しの紙コップを持って帰ってもしょうがないので、今回は思いとどまった(笑)



 ただ、個人的には前面展望が楽しめないのが唯一の難点か(^^;
 あとは、どうせなら客室部分はハイデッカーにしてくれた方がさらにポイントが高かったのだが、、、、いずれにせよ、1つ前に乗った「きりしま」とは雲泥の差である。



 熊本までは単線区間が多く、草道と高尾野で運転停車して、それぞれ「つばめ19号」「つばめ21号」を待避した。

 熊本〜博多間は姉妹列車である特急「有明」が毎時2本走っている関係もあって「つばめ」は停車駅が絞られており、乗客の動きも少なくなる。線路状態も良くなることから「つばめ26号」は満員の乗客を乗せて筑後平野を快走、22:22定刻に博多駅6番ホームに到着した。



5091M 特急「ドリームにちりん」


宮崎(6:45)← 博多(22:50)

1号車2号車3号車4号車5号車
クロハ782

本ミフ
モハ783
15
本ミフ
サハ783

本ミフ
モハ783
111
本ミフ
クモハ783
11
本ミフ
宮崎空港 ← 博多
(博多〜小倉間逆向き)




 博多からは、日豊本線経由の宮崎空港行き夜行特急「ドリームにちりん」で再び宮崎へ向かう。


 JRグループ初の新型特急電車として1988年3月のダイヤ改正で登場した、「ハイパーサルーン」と呼ばれる783系電車の5両編成で、南福岡電車区の所属。

 783系は95年から97年にかけて大幅なリニューアル工事が行われ、登場当初とはかなり内装が変わっているのだが、私はリニューアル前の同車には乗ったことがないので、内装関係の細かいことはよく知らん(^^;

 外観上では、床下冷房装置搭載のため登場当初は屋根上には冷房装置が無かったのだが、この冷房効果が良くなかったため、1993年から屋根上にも冷房装置を搭載する改造を行っているほか、リニューアル工事の際に塗装も全面的に変更され、さらにフォグランプが追加装備されたため、登場時とはかなりイメージが変わっている。


ハイパーサルーングリーン車ハイパーサルーン普通車


 ともかく、今回乗車した1号車のグリーン席は、床面が嵩上げされ、座席も「つばめ」並みの大振りのモノに交換されたもの。背もたれの二段折れ機構は無く、オーディオサービスも無いなど、「つばめ」とは差別化されているようである(上写真左側)。

 一方の普通車も「つばめ」用787系に準じた内装に変更され、座席も交換されている(上写真右側)。



 「ドリームにちりん」は、博多から小倉までは帰宅列車の性格が強く、特に自由席車は結構乗っていたが、指定席車は少なく、グリーン車に至っては客は私一人であった。

 小倉からは進行方向が変わると共に客層も入れ替わり、指定席にもそれなりの乗客が乗り込み、グリーン車も7人が乗り込んできた。

 西小倉から日豊本線に入り、別府までは比較的線形が良いので結構飛ばす、、、はずだが、小倉を発車すると、次は延岡到着前まで車内放送を行わない旨のアナウンスがあって、その効果かどうかはともかく、私は次の行橋に到着する前に既に寝てしまったのでよくわからん(^^;;


 目が覚めると列車は既に大分に到着していた。
 夜行とは言え、特急列車なので普通に走っていたら早く着きすぎるため、下りの「ドリームにちりん」は大分でなんと1時間13分停車する。

 この間に、駅に停車中の列車の写真を撮り、改札を出てすぐのところにあるコンビニで翌朝の朝食を仕入れた。


 大分を発車するとすぐにまた眠ってしまい、次に目が覚めたのは宮崎到着のアナウンスが流れているときであった。
 列車は宮崎止まりではなく、宮崎で3分停車の後さらに宮崎空港方面へ行ってしまうので、寝ぼけ眼で身支度し、宮崎駅のホームに降り立った。



 実は特急「つばめ」のグリーン車では、乗客の下車駅が近づくと客室乗務員が席までやってきて、もし客が寝ていたら起こしてくれるのである。
 また、ドリンクやおしぼりなどのシートサービスで発生したゴミも、その時に客室乗務員が回収してくれるのである。

 もちろん、通常の夜行列車でも、予め車掌に下車駅で起こしてくれるように頼んでおけば起こしに来てくれるのだが、「つばめ」のグリーン車ではそのサービスもデフォで入っているようである。


 閑話休題。



 宮崎で「ドリームにちりん」を見送った私は、次に乗る特急「きりしま1号」の到着を待った。


 既に日が変わっているので、この続きはVol.24へ。



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