113系 近郊形直流電車

113系 第1編成

予讃線 八十場〜坂出間
2008年9月24日
113系 第2編成

予讃線 八十場駅
2008年9月21日
113系 第3編成

予讃線 本山駅
2008年8月19日




 JR化後、電車運転の拡大に伴って導入した111系電車の老朽化が著しいため、JR四国では1995年に新型6000系電車を2編成製作したが、予算的な理由からその後の増備が進まないでいる。
 2000年度中にはに残る111系が全検(全面検査)の時期を迎えることから、その置き換えのためにJR東日本から購入し、改造の上使用しているのが113系である。


 1962年に東海道本線に登場した111系の出力増強版で、四国にやってきた3編成12両のうちの11両は、いずれも元国府津電車区の0番台車改良型(シールドビーム式前照灯&ユニットサッシ&冷房車/1965〜70年製)である。なお、残りの1両は元横須賀線用である。


 1999年秋に改造種車が四国入りし、2000年春にようやく第1編成が落成、4月1日から営業運転を開始した。

 外観は113系とは思えないほどの変貌ぶりで、当然ながら塗色も全面的に変更され、第1編成はライトブルーの地に窓回りグリーン、裾部がシルバーメタリックとなっている。
 正面貫通路上の方向膜が前照灯化され、腰部の前照灯とLED化された尾灯はケースに収められた。踏切事故対策のためか前面強化工事も施されているほか、雨樋部分が一体的なデザインとされて、大きくイメージを変えている。
 前面方向膜は正面貫通扉に設けられ、貫通扉の窓も大型化されている。

 また、強制換気装置の搭載によって屋上のベンチレータが廃止されている。

 客室内も全面的にリフレッシュ。座席は転換クロスシート(デッキ部&客室端部は固定クロス)とし、天井はラインフローを組み込んだ平天井風とし、室内灯にグローブが付くなど大幅にグレードアップし、113系とは思えない仕上がり。
 客室窓は下段窓が固定化された上段下降窓となっているが、各車とも妻面寄りの窓は1枚固定窓となっている。

 車番も変更され、新形式クハ113/クハ112形が登場し、車番も1番から振られるなど、JR四国の意気込みの程が感じられる。
 1999年10月の鉄道の日に多度津工場で行われた展示会でも、種車の番号プレートが即売されていたらしい。

 但し、台車はコイルバネ台車のままであるなど、足回りや駆動装置は手つかずのため、乗り心地に関しては細かい振動を吸収しきれていないなど、近年の車両に比べればはっきり言って悪い。
 ブレーキ装置もそのまま継続使用されたことから、最高速度も100km/h止まりとなっている。


 その後2000年10月に第2編成、2001年3月に第3編成が営業運転を開始し、3編成が出揃った。
 なお、第2/第3編成はこれとは異なる塗装が施されている。

 2001年4月には、高松運転所で111系との撮影会も行われて、完全に111系からバトンを引き継いだ。


 当初は6000系と同様に岡山運用を担当していたほか、4両編成の輸送力を生かして通勤通学時間帯を中心に活躍した。
 運用範囲は、瀬戸大橋線と土讃線、それに予讃線の伊予西条まで。

 しかし、やはり4両という編成は四国でのデータイム輸送では過剰な輸送力であり、晩年はデータイムは車庫で寝ていることが多くなった。

 1編成4両を半年近くもかけてのんびり改造しており、しかも改造費用も6000系の新製費用とほとんど差がなく、多度津工場職員の雇用確保が目的だったと噂されたほど。


 2017年度中に、一番新しいはずの第3編成が廃車となった。

 さらに2019年3月改正で全編成が定期運用を離脱し、同月末をもってスカイブルーの第1編成が廃車となった。
 残ったパープルの第2編成についても、同年3月末以降6月末時点において高松駅構内で留置されていたが、8月末をもって廃車となり、JR四国の113系は消滅した。



予讃線 鬼無駅
2000年6月

 営業運転開始間もない頃、快速「南風リレー」に充当される第1編成。
 113系の「南風リレー」への充当は2年弱で終了し、その後は現在の快速「サンポート」に移行した。

予讃線 宇多津駅
2005年6月25日

 宇多津駅をキハ58+65の快速「サンポート(右)」と同時発車。

土讃線 善通寺〜琴平間
2013年3月27日

 「瀬戸内国際芸術祭2013」協賛として、2013年3月から2016年3月まで第3編成にラッピングが施された。
 島内完結の限定運用に入り、点検時は通常の121系が代走した。

予讃線 八十場駅
2008年1月26日

予讃線 八十場駅
2008年9月22日


 前照灯は4灯を備えていたが、全て点灯して走行する場面を目にすることは少なく、当方手持ち画像の中でもこの2枚のみ。

予讃線 高松駅
2019年3月31日

 3月改正後から高松駅構内で留置中だった第2編成。
 同年6月末時点でもこのままの状態であったが、8月末をもって廃車処分となった模様。






 第2編成のクハ112−2の運転台
 座席背もたれの部分に車両番号の記述が残っているが、種車の車番と異なっている。


 出入口ドア上に設置されたLED案内表示。



 6000系と見まがうばかりの113系の客室内
 しかし乗り心地はかなり悪く、昔の近郊電車そのものである

 座席も6000系の物と似ているが、それと比べるとサイズは小振りでかけ心地も悪く、ドア間の座席も6000系より1列少ない5列となっている。



 モハ112形端部の固定クロス部。

 この部分については、実シートピッチがなんと1.8m以上もあり、実は四国内で最も広いクロスシートであった。


 モハ112形の下り方に設置されている業務用スペース。
第2編成の製造銘板

クハ12−2

クハ113−2

モハ113−2


 いずれも製造者銘板は種車のものをそのまま残し、発注者銘板を日本国有鉄道から四国旅客鉄道に交換している。

 だが、「鉄」の文字が正式社名である「金失」でなく、「金矢」標記となってしまっている。


 2017年から多度津工場と多度津駅の廃車留置線を行ったり来たりしていた第3編成は、同年度末を持って廃車となった。
 2018年の秋には既に座席やその他部品等諸々取り外されているのが確認されている。


※2018年11月20日撮影



<113系充当列車>(2016年3月26日改正当時)

※2019年3月改正時点で定期運用は無し


 編成が4両と長いため、近年の短編成化の影響もあって少々もてあまし気味であり、昼間は車庫で寝ていることが多い。
 特に2016年3月改正では、岡山運用が無くなるなど大幅に運用が縮小された模様。
 点検時は121系に車種変更となる。

〜予讃線〜
 112M(快)/139M/146M/147M(快)/160M(快)

〜土讃線〜
 1219M/1224M



←伊予西条・琴平方岡山・高松方→
第1編成(スカイブルー+グリーン)解体済み
クハ113−1
(クハ111-223)
モハ113−1
(モハ113-257)
モハ112−1
(モハ112-257)
クハ112−1
(クハ111-532)
第2編成(パープル+レッド)解体済み
クハ113−2
(クハ111-198)
モハ113−2
(モハ113-270)
モハ112−2
(モハ112-270)
クハ112−2
(クハ111-529)
第3編成(イエロー+オレンジ)解体済み
クハ113−3
(クハ111-222)
モハ113−3
(モハ113-272)
モハ112−3
(モハ112-272)
クハ112−3
(クハ111-526)

( )内改造種車車番


形式形式 クハ112形
1〜3
クハ113形
1〜3
モハ112形
1〜3
モハ113形
1〜3
山側
海側
高松向き先頭車下り向きの先頭車でトイレ設備を有するパンタグラフを搭載し、業務用スペースを備えた中間電動車中間電動車
 側面方向幕は先頭車の後位側にのみ設置され、中間車には無い。
 信号配管が車両中心線に対して山側に設置されているため、先頭車両スカート部のジャンパ栓は、車両正面に向かって左側に3本並んでいるのが上り形先頭のクハ112形、逆が下り方のクハ113形となる。

 車体の形式表記については、基本的に全車両が中央出入口の高松(岡山)側に記載されているが、青系統の第1編成上り向き先頭車となるクハ112−1だけは、中央出入口の下り側(琴平・伊予西条側)に記載されている。
屋根上
 屋根上は基本的に同じだが、無線アンテナと信号煙管の配置などが若干異なる。
 ベンチレータはリニューアル改造の際に撤去された。
 パンタグラフと避雷器が2対と、冷房装置が1基搭載された屋根上。
 パンタの下から伸びているのはパンタ上昇用ワイヤーのパイプ。
 ベンチレータが撤去され、冷房装置以外は何も無い、実にすっきりした屋根上。
寸法20,000 mm
2,950 mm
4,077 mm
台車中心間距離14,000 mm
パンタグラフ
折り畳み高さ
4,140 mm
重量31.6 t38.4 t38.6 t
車体普通鋼
電動機形式
出力
S-MT54D
120kw×4
歯数比4.82
ブレーキ方式 発電ブレーキ併用
電磁直通ブレーキ
ブレーキ装置車軸ディスク踏面片押
台車形式TR62DT21B
軸距
車輪直径
2,100 mm
860 mm
パンタグラフ形式PS16
補助電源 150kVA 静止型
S-SIV150F
空気圧縮機MH80A-C1000MH80A-C1000
冷房装置 AU75B
42,000 kcal
客室暖房装置
許容最高速度100km/h
車体構造・客室3扉転換クロスシート
ドア幅1,300 mm × 3
シートピッチ910 mm (車端部クロスシートは mm)
床面高さ1,225 mm
乗車定員131(座席:48)129(座席:44)134(座席:52)143(座席:56)



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