6000系 近郊形直流電車


快速「サンポート」
予讃線 八十場駅
2008年10月1日



 JR四国では民営化後、JR東海で余剰となっていた111系電車を譲り受けて各種改造の上使用していたが、経年劣化が進んだためにこれを新車に置き換えるべく1995年に製作したのが6000系である。

 車体デザインは211系や213系をベースとしており、個別制御式GTO−VVVFインバータ制御方式に電気指令式空気ブレーキ、それにボルスタレス台車と既存の技術で手堅くまとめられている。

 客室内は転換クロスシート(デッキ部は固定クロス)で、室内灯は特急車両並のグローブ付き、平天井にラインフローと京阪神の新快速電車と比べても遜色のない設備である他、四国での使用を考慮して中間車に業務用スペースを設けたり、運転台背後の車掌業務用通路スペースが確保されるなど、細かい設計上の配慮が見られる。


 四国の普通列車用車両の中では格段に静かで乗り心地も良くて座席のかけ心地もよく、車内吊り広告の全く無いすっきりした客室とも相まって、非常に快適である。
 ただしM車比率が低くて性能余裕がやや少なく、特に7100形を併結した朝夕の通勤列車(1M3T)では雨天などの悪天候時には遅延することもある。

 最高速度は110km/hで7000系との併結が可能となっており、上り形先頭の6000形の運転台側を除いて三相連結器を装備している。

 3両編成が基本で、現在は1995年に登場した2編成6両のみが高松運転所に在籍。




 6100形の当初の客室。
 京阪神新快速電車並のハイグレードな客室。邪魔な車内吊り広告も一切無い快適な室内。

 なお、現在は座席モケットがえんじ系の物に張り替えられている(下記)。


 6200形の当初の客室。
 下り方端部に業務用スペース、上り方にトイレ設備を有する。

 これも、現在は座席モケットがえんじ系の物に張り替えられている(下記)。


 中間車・6200形下り方の業務用スペース。
 車両の向きとしては、こちら側が「後位側」になる。

 すぐ横は車椅子用のスペースとなっているが、私的にはこのどちらか片方で良いから、普通の座席を設置して欲しいと思う。


 6200形の上り方、前位側に設けられているトイレ。

 設計年次の関係で、車椅子に対応しない通常タイプとなる。


 室内側のドア開閉ボタン。


 こらは室外側のボタン。
 「開く」操作のみ可能。


 2020年に座席モケットの更新が行われ、7200系と同様なえんじ系に変更された。


 なお、座席カバーは在来の物を継続使用している模様である。


 何気にレアな、6100形の貫通扉を使用している状態。



 運転台。

 マスコンが前後操作の横軸式、ブレーキが回転操作の縦軸式で、8000系と共通。


 運転台後部の様子。
 ワンマン設備は無い。


 正面の幕は、行先表示の場合はローマ字併記だが、回送や試運転の場合は日本語のみとなる。

 特に「試運転」の場合は、清々しいほどに(?)枠一杯一杯の表示になる。


 オリジナルの側面方向幕。

 シンプルな電光巻取り式だが、黒地に白文字なので見やすい。
 先頭車は後位側車端部に、中間車の場合は車体側面に向かって右端に設置されている。


 2022年12月に、第1編成の幕がLED化された。
 快速「サンポートの場合は行先と種別を交互に表示する。

 かなりの低速シャッター(概ね1/100秒未満)でないと切れてしまうタイプ。


 なお、第2編成も2023年3月にLED化された。


 2022年12月にLED化された、第1編成の側面幕。
 基本3パターンを切り替える多重表示。

 こちらも同様に低速シャッターでないと切れてしまう。


 側面のエンブレム。

 元々は、1996年3月16日改正で登場した特急「剣山」用の専用塗装が施されたキハ185系に貼付されたのが最初で、キハ185系のほか同時期に登場した6000系にも貼られたものであるが、この両系列以外には波及しなかった。


 ↓JR四国ニュース No.102 より
 

 その後の貼り替えは行われていない模様で、車両によって状態が異なるが、現在は既に剥がされていたり退色してほとんど白だけになってしまっていたりしている。



 6100形の運転台側(下り方)の連結器。

 7100形を連結して電源供給が出来るように、三相連結器を備える。


 6000形の運転台側(=上り方)の連結器。
 三相連結器が省略されている。





 JR四国の発行した、6000系登場時のパンフレット。


 裏面には、簡易図面と主要諸元表。

予讃線 多度津駅
1996年4月28日

 営業運転開始後、まだ数日ほど経過した頃の姿。

本四備讃線 上之町〜児島間
1997年10月25日

 岡山運用で本四備讃線を走行する6000系。

予讃線 讃岐塩屋〜多度津間
2004年12月30日

 終着・多度津到着前に早々と「回送」幕で走る6000系。

予讃線 八十場駅
2008年10月1日

 快速「サンポート」運用では健脚と快適性を披露してその性能を遺憾なく発揮した6000系。

予讃線 讃岐塩屋〜多度津間
2008年10月28日

 かつて定期運用で存在した7100形を増結した4両編成。
 現在も臨時増結措置で見られることが希にある。

予讃線 高松駅
2017年2月26日

 2016年3月改正で初めて登場した定期列車の伊予西条行。
 6000系が愛媛県内へ定期乗り入れする初のケースとなる。

予讃線 多度津駅
2019年2月11日

 留置中の高松行6000系と並ぶ岡山行6000系。

予讃線 多度津駅
2019年2月28日

 希少な6000系の並びというだけでなく「高松行」「岡山行」の並びでもあるが、2019年3月改正以降は見られなくなってしまった。

予讃線 鴨川〜八十場間
2019年6月20日

 およそ8年ぶりに定期運用で復活した、7100形を増結した4両編成。
 快速「サンポート」として高松〜伊予西条間を往復している。

予讃線 高松駅
2022年12月29日

 同月の検査出場で、LED幕化されたのが確認された第1編成による、快速「サンポート」。



小ネタ
「無かったことにされたロゴ」

予讃線 多度津駅
1996年4月28日

 6000系は登場時は運転席側窓下にロゴが描かれていたのだが・・・

予讃線 丸亀駅
2007年12月23日

 2003年頃には目張りシールが貼られて・・・

予讃線 高松駅
2012年2月18日

 今ではもう、ロゴなど無かったことにsれているww

 これは元々、検査時の再塗装の際に描き直し等の手間を省くためにマスキングを施した名残であるらしいのであるが、結局マスキングの手間すら省くために塗り潰してしまったものであるようだ。
 この目張りシールの時期は編成ごと・車両ごとに若干異なり、当方手持ち画像で確認できる範囲では、以下のようになっている。

<第1編成>
 2003年9月17日=6001形のみ目張りテープ
 2003年10月4日=6101形はまだロゴ残存
 2005年6月12日=6101形目張り済み確認
 2008年10月27日=前後ともまだ目張りテープ
 2009年3月3日=前後とも完全に塗り潰し

<第2編成>
 2003年3月29日=6002形の目張り確認(6102形はこの時点では不明)
 2004年12月30日=6102形の目張りテープ確認
 2008年10月31日=前後ともまだ目張りテープ
 2011年9月20日=前後とも完全に塗り潰しているのを確認
6001形

2003年9月27日
6101形

2003年10月4日
6101形

2005年6月12日
6101形

2008年10月27日
6001形

2009年3月3日

6002形

2003年3月29日
6002形

2008年10月31日
6102形

2008年10月31日



<運用等>

 当初は岡山運用を中心に使用されていたが、一時期はそれを113系に譲って香川県内限定(予讃線 観音寺以東と土讃線 琴平まで)運用となっていた時期もあった。
 朝の通勤時間帯には1239Mなどで7100形を併結した1M3Tの定期編成もあったが、これは2011年3月改正で一旦消滅した。

 2016年3月26日改正から、岡山運用が復活&伊予西条運用が登場して、登場から20年を経て初めて愛媛県内への定期乗り入れを開始した。

 2019年3月16日改正では、岡山〜四国間のローカル列車が消滅したことから岡山運用が無くなり、四国島内のみの運用となった。
 高松〜伊予西条間の1往復は、下り方に7100形を連結した4両編成となっており、8年ぶりに当該定期編成が復活した。


<6000系充当列車>(2021年3月13日改正)

 2編成保有の2仕業と予備車無しで運用されるため、点検時は7000系または7200+7000系に車種変更となる場合がある。

 快速「サンポート」は3本を担当。
 149Mと114Mは、7100形を増結した4両編成。

〜予讃線・土讃線〜
 1227M/149M(快)/1253M(快)/157M
 114M(快)/118M/1228M/1254M



形式名6000形6100形6200形
製造元日本車輌
製造両数222
形式写真車体
 主電動機とインバータ発電装置を搭載する上り向きの先頭車。
 走行関係機器はすべてこの車輌に集中して搭載されている。
 集電性能確保のため、パンタグラフを2基搭載しているのが外観上の大きな特徴である。
 下り向き先頭の付随制御車。
 また、7000系との併結が考慮され、下り方にサービス電源用の三相連結器を装備している。
 中間付随車で、上り方車端部にトイレ設備を有する。床下機器類を殆ど搭載しておらず、車重もかなり軽い。
 下り方車端部に業務用スペースと身障者対応設備が設けらている。
屋根上
 ダブルパンタと避雷器、無線アンテナ、信号煙管、それに冷房装置を搭載。  冷房装置の他には無線アンテナと信号煙管しかない。
 7100形の屋根上とよく似ているが、運転室の位置に対する冷房装置の向きが逆になっているのが相違点。
 モハ113形同様、冷房装置以外何も無いすっきりした屋根上。
 補強用リブが入っているのが、113系との相違点。
寸法20,100 mm20,000 mm
2,966 mm
3,640 mm
台車中心間距離13,800 mm
パンタグラフ
折り畳み高さ
3,894 mm
重量37.8 t28.0 t28.2 t
車体ステンレス
電動機形式
出力
S-MT62
160kw×4
歯数比7.07
ブレーキ方式 回生ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
ブレーキ装置踏面片押車軸ディスク
台車形式 S-DT62
S-TR62
軸距
車輪直径
2,100 mm
880 mm
パンタグラフ形式 S-PS62
補助電源 150kVA 静止型
SVM150-487B
空気圧縮機 誘導電動機式
SMH3093-TC2000
冷房装置 S-AU58
33,000 kcal/h
客室暖房装置12.6 kW11.7 kW
許容最高速度110km/h
加減速度 加速度 2.0 km/h/S
常用減速度 3.5 km/h/S
車体構造・客室3扉転換式クロスシート
ドア幅 1,300 mm × 2
950 mm × 1
1,300 mm × 3
シートピッチ910 mm
床面高さ1,150 mm
乗車定員131(座席:56)131(座席:56)136(座席:52)

※さらに詳細はスペック一覧表参照


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