性能試験


現車32両・1600トン列車を牽引して勾配登坂する、Tomix製EF66−20
100番台車とともに、今なおNSRの歴代機関車の中では最強


<牽引力試験> 〜2007年7月実施〜
<勾配登坂試験> 〜2003年5月実施〜(参考程度)





<牽引力試験>
〜2007年7月実施〜


 Tomix製EF66形の後継代替機候補として、2007年7月にTomix製EF510形を導入。
 これを機に、各機関車のNSR本線上での牽引定数を決めて、適切な車両運用が行えるようにするため、在来機も含めた全ての機関車について、どの程度の牽引力があるのか等を実測した。

 以下の数字のうち、重量については1グラム=1トン(t)で表記する。

今回の測定・試験項目
<線路条件>
NSR本線・内回り線区間(L=16.73m)
 (中央ターミナル場内)→(UP 22‰:R=280:L=0.44m)→(UP 25‰:L=0.7m)→(UP 8‰:L=0.84m)→(Level:R=280:L=0.58m)→(UP 17‰:L=2.08m)→(UP 35‰:R=280:L=0.44m)→(UP 10‰:L=0.36m)サミット(DOWN 30‰:L=0.2m)→(DOWN 45‰:R=280:L=1.07m)→(西都駅場内:L=2.12m)→(DOWN 10‰:R=280:L=1.44m)→(Level:L=3.08m)→(DOWN 20‰:R=280:L=0.72m)→(中央ターミナル場内:L=2.66m)
(1)起動電圧値測定 (測定区間)NSR本線上での平坦線区間。
(測定条件)単機時の起動電圧値を測定。前後進各5回測定した平均値。
(2)定速走行測定 (測定区間)NSR本線・内回り線
(測定条件)700t牽引時に実車換算100km/h(DF50およびDE10の場合は90km/h)走行時の電圧値。また、この場合の外回り線周回にかかる所要時間(5周周回の平均値)を測定。
※「実寸大換算100km/h=280mm×2本/3sec」
(3)本線登坂試験 (測定区間)NSR本線・内回り線
(運転条件)(2)の走行条件において、中央ターミナル〜サミット区間(距離5.44m/平均勾配16.5‰)を、実車換算平均80km/h(DF50およびDE10の場合は65km/h)以上の速度を保って登坂可能な牽引トン数。
※「実寸大換算平均80km/h=中央ターミナル〜サミット間所要36sec」
※「実寸大換算平均65km/h=中央ターミナル〜サミット間所要45sec」
(4)最大牽引力試験 (測定区間)NSR本線・内回り線・中央ターミナル〜サミット区間
(運転条件)登坂、および勾配途中(サミット手前)からの再起動が可能な最大牽引トン数。
※牽引トン数は100トン単位とする
<使用車両>コキ100系を使用。1両あたり積車換算5両(50t相当)となるようにコンテナを積載。
<電圧測定方法>使わなくなったDCフィーダを利用し、リード線側を測定器に接続。
<コントローラー>Tomix C1000−L(最大出力12V)


形式・番号メーカー導入年月 重量
(トン)
(1)
起動電圧
(2)定速走行測定 (3)
本線登坂
試験
(4)
最大牽引力
試験
電圧所要時間
EF66-20Tomix2004.91132.9 V5.4 V1min 31sec1,100 t(*1) 1,600 t
EF66-108Tomix2004.101152.7 V5.0 V1min 31sec1,100 t(*1) 1,600 t
EF66-117KATO2005.6912.2 V6.2 V(周回不可) 450 t1,000 t
EF200-6KATO2001.121182.8 V4.9 V(周回不可)500 t1,100 t
EF210-104Tomix2002.5932.7 V5.5 V1min 43sec700 t1,300 t
EF510-3Tomix2007.71171.7 V5.3 V1min 37sec800 t1,600 t
EF64-1014Tomix1987.41092.5 V5.4 V1min 38sec900 t1,500 t
DF50-32Tomix2001.6821.8 V3.9 V1min 55sec650 t900 t
DF50-60MicroAce2005.11691.8 V7.0 V(周回不可)550 t700 t
DE10-1040Tomix1982.10572.7 V4.6 V(周回不可)450 t700 t
(*1) 車両性能としては 1,700 t 以上



 (2)(3)の結果から、各機関車の通常使用に耐えうる「許容牽引定数」を決め、(4)の結果から、「これ以上は無理!」という「最大牽引定数」を決めた。
 結果は、以下の表の通り。

形式・番号メーカー 許容牽引定数
(換算数)
最大牽引定数
(換算数)
EF66-20Tomix110両160両
EF66-108Tomix110両160両
EF66-117KATO45両100両
EF200-6KATO50両110両
EF210-104Tomix70両130両
EF510-3Tomix80両160両
EF64-1014Tomix90両150両
DF50-32Tomix65両90両
DF50-60MicroAce55両70両
DE10-1040Tomix45両70両



 相変わらず、手持ちの機関車の中ではTomixのロクロクがもっとも牽引・登坂力に優れ、1,000トン列車を牽引してNSR本線を普通に周回可能なのはこの車両だけである。
 0番台/100番台とも性能はほぼ同じだが、0番台車の方が若干高めの電圧をかけてやる必要がありそう。
 なお、同車のリニューアルされた現行ロットについては、所有していないので性能については未知数。試してみても良いが、ちょっと恐い(苦笑)

 700トン牽引時の周回テストでは、1周平均1分31秒で周回しており、平均時速は実車換算で99km/h。そしてこの場合の中央ターミナル〜サミット間の平均時速は、実に97km/h、、、、つまり上り勾配でも全くと言っていいほど速度が落ちていないことを示している。

 最大牽引力テストでは、実は35両/1,700トン牽引でも難なく勾配途中での再起動に成功しているのだが、再起動後の登坂中に、35‰の左280Rを通過中に、機関車次位の貨車が転覆してしまっている。0/100番台車合わせて4回テストしていずれも再起動には成功しているが、そのうちの3回で貨車が転覆または脱線したため、NSR本線上における実用上の最大牽引定数を1,600トンとしている。従って、機関車自体の性能としては、1,700トン以上の性能があることが確認できている。


 前回(2003年)のテストで惨憺たる成績だったTomixのEF210形が、今回は大健闘しているのが謎といえば謎。
 前回はどこか調子悪かったのか?(^^; いや、、今回がまぐれとか?(w


 マイクロエースのDF50形は、800トン牽引登坂時に10V以上の電圧をかけると、カーブで前位側台車が浮き上がって脱線してしまった。700トン牽引ならなんとか脱線せずにクリア可能。
 しかし、他の機関車はフルパワー(電圧12V)をかけても脱線した物は皆無で、基本設計に問題があるのかも?


 導入から20年を超えたTomix製EF64形が、いまだにEF510形と互角の性能を持っていることに驚かされる。
 ただ、さすがに経年劣化のせいもあってか、発進・停止はお世辞にもスムーズとは言い難く、実際にこんな機関車を旅客列車に使ったら、苦情が殺到するかもしれない(w


 Tomixの電機に比べて、KATOのそれは少々情けない結果に終わっており、事実KATOの電機は現在は完全に休車状態となっている。

 一応KATOの電機を弁護しておくと、NSRでの使用条件が少々厳しすぎるとも言える。
 今回試験に使用したコキ100系は、空車状態だと1両あたり10トン程度であり、1個あたり2トン(ウエイト無しの状態)の12フィートコンテナを満載したコキ100系を15両繋いだところで、重量は300トン程度にしかならない。また、今回は使用しなかったが24系客車の重量は1両あたり30〜32トンで、12両編成でも400トンまで行かない程度の軽さである。
 したがって、KATOの電機も通常の常識的な範囲で使用する分においては、性能不足を感じることはまず無いはずである。


 最近の動力車はフライホイールが多く、確かに低速域から高速域まで実にスムーズな走りを見せてくれるのだが、非フライホイールである、現有のTomix製ロクロクもギクシャクするほどでもなく走り自体は安定しているし、牽引力に関してはフライホイール車軍団でTomixのロクロクに敵う車両は未だ存在せず、その点ではフライホイールって意外とたいしたことないなぁ、、というのが、正直な印象。

 その意味でも、TomixのEF510形の性能は、ちょっと嬉しい誤算だった(^^;

 ちなみに、EF510形は1,700トン牽引では勾配途中から再起動できなかった。


 また、(3)の結果に対する(4)の結果の数値が、非フライホイール車の場合はおよそ1.5倍だが、フライホイール車の場合は概ね2倍程度になっており、動力機構による差ではないかと考えられ、興味深い。


近年購入したフライホイール車の中では最高の性能を発揮した、
Tomix製EF510形
32両/1600トン牽引で勾配途中からの再起動に成功!




 なお、これ以降も新規に導入した機関車については、同様のテストを実施して牽引定数を決定することにしている。

 ただし最大牽引力試験は関しては、過去にこの試験が元で調子が悪くなった機関車も存在するほどかなり過酷な試験であるため、「許容牽引定数」の1.4〜1.5倍程度の重量で牽引試験を行い、その結果を基に推定値として最大牽引定数を設定する場合もある。



テスト結果に基づく牽引定数






<勾配登坂試験>
〜2003年5月実施〜


※こちらは、上記試験に比べてかなり大まかなので、参考程度に


 2003年5月当時在籍していた機関車9両のうち、車齢20年を超えているDE10形を除いた5形式について、勾配登坂試験を行った。
 EF200形のみ関水製で、それ以外はTomix製である。


 試験区間は線路改良前のNSアーバンライン内回り線で、中央ターミナルを通過後、まず長さ1m強の5%上り勾配区間(A区間)の後、約1.5mのレベル区間(B区間)を挟んで、約2.5mの5%上り勾配が連続(C区間)する区間で、レベル区間は280〜317Rの逆S字曲線、そして上り勾配の最後に280Rの曲線がある、かなりの難所である。

 レールはTomixの道床付きレール。コントローラーはTomixのC1000−Lを使用。


 この区間を、総重量約0.8kgの28両編成のコンテナ列車と、それにタンク車13両を増結した総重量約1.1kgの41両編成の貨物列車を牽引して登坂させる。

 コキ車28両のうち、12両はプラスチック車輪のコキ350000形、その他は金属車輪のコキ100系である。

 登坂開始時点での列車の速度は、実寸大換算で100km/hとした(ただしDF50形は同90km/h)。

 試験結果は以下の通り。


機関車形式 コキ28両
(現車28両/換算80両)
コキ28両+タキ13両
(現車41両/換算110両)
登坂初速均衡速度再起動登坂初速均衡速度再起動
EF64−1000
(車齢16年)
(重量:110g)
100 km/h40 km/h(*0)100 km/h(停止)(*5)不可(*4)
EF66−100
(車齢12年)
(重量:115g)
100 km/h90 km/h100 km/h45 km/h
EF200
(車齢2年)
(重量:120g)
100 km/h30 km/h(*0)100 km/h(停止)(*6)不可(*8)
EF210
(車齢1年)
(重量:90g)
100 km/h(停止)(*1)可(*2)100 km/h(停止)(*7)不可(*8)
DF50
(車齢2年)
(重量:80g)
90 km/h(停止)(*3)不可(*4)
EF200
EF210
重連
100 km/h60 km/h
EF210
EF64−1000
重連
100 km/h70 km/h
DF50
重連
90 km/h45 km/h90 km/h40 km/h

※速度はいずれも目測による実寸大換算値
※均衡速度は、登坂中もっとも速度の低下した時点での速度
※「再起動」は勾配途中で停止した場合のみ実施

(*0)登坂中は激しい空転発生
(*1)勾配区間終了約0.5m手前で停止
(*2)フルパワーで可
(*3)C区間開始地点で停止
(*4)フルパワーでも、10cm程度動いた後完全に停止
(*5)C区間終点付近で停止
(*6)C区間始点から0.3m地点で停止
(*7)C区間始点から0.2m地点で停止
(*8)フルパワーでも、微動だにせず


 もっともパワーがあるのはEF66−100で、EF210とEF64−1000の重連をも上回る均衡速度で軽々と登ってしまい、コキ28両牽引なら端から見ていても多少速度が落ちたかな? と感じる程度である。モーター自体の出力がある上に重量が重く、それが粘着力の点で有利に働いているというのが要因として考えられる。

 試験に使用したEF66−100は1991年購入で既に車齢12年を数える車両だが、コキ28両+タキ13両の41両編成列車だと、単機でこの勾配を登り切れるのはEF66−100だけで、今なお現役機関車の中では圧倒的な高性能を誇っている。

 意外とパワーがあるのがEF64−1000で、購入後16年が過ぎているとは思えないほどの好調ぶり。

 逆に牽引力の無いのがEF200で、EF64−1000にも完敗という情けなさ。
 テストした車両中でもっとも重量が重い(=粘着力が確保できる)にもかかわらずこのていたらくで、基本性能自体に問題があると思われる。



 2004年10月現在、NSRのスーパーライナーは現車14両/換算60〜70両が基本なので、上記テストでの28両編成ぐらいはちゃんと牽引できないと、本務機としては使えない。


 その観点からすればEF210はまるでダメダメで、南央美分所から本線へのアプローチ部の勾配さえ登れない有様で、これではスーパーライナー牽引機としては全然使い物にならない。

 DF50は意外と健闘しており、コキ28両重連牽引の場合は、EF200を上回ってEF64−1000とほぼ同等の登坂力を持つ。




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