<架空鉄道「JRT四国」のページ>


EC500系
制御付振子式特急形電車



 2005年10月1日、土讃線の看板特急「南風」が準急列車として登場してから丁度55周年を迎えるのに合わせ、従来の383系200番台車の置き換え用として、0番台車が登場。
 10月改正で383系8往復の内の5往復置き換え、翌年3月改正で残る3往復が置き換えられた。

 JRT四国の第3世代標準型特急車両として増備が続き、2012年11月に高徳線特急「うずしお」「やしま」用の300番台車が、さらに2014年3月に予讃線特急「しおかぜ」用の600番台車、そして2018年3月改正で島内汎用の1000番台車が登場。

 2021年3月13日改正では、「南風」に新型EDC510系電気式バイモード車が投入されたことから、0番台車が「南風」運用を撤退し、一部改造リニューアルの上で「ゆうなぎ」「いしづち」に転用された。


 2021年3月末現在、高松運転所に0番台車21両と1000番台車19両、高知運転所に0番台車37両、徳島運転所に300番台車が20両、松山運転所に0番台車12両と600番台車36両の、合わせて108両が配置されて活躍中。




土讃線特急「南風」用0番台車
 └>「ゆうなぎ」「いしづち」用 0番台車 
高徳線特急「うずしお」用300番台車
予讃線特急「しおかぜ」用600番台車
島内汎用特急用1000番台車



側面方向幕
グリーン車の場合は、「グリーン車」「指定席」を交互に表示
列車名表示の部分は、列車名と、当該列車の号数を不等時隔で交互表示
行先表示の部分は、行先と、停車駅の横スクロールを交互表示


客室案内表示の例






土讃線特急「南風」用
0番台車




客室寸法図(PDF)
(111KB)

↓当初の「南風」編成をほぼsのまま転用した4M3T「ゆうなぎ」の加速力曲線
速度種別は、「A88」



〜以下は登場当初の内容〜


 2005年10月に土讃線の「南風」用として登場。

 それまでの383系編成ではM車比率が低いため、土讃線の勾配区間で高速運転をするには性能不足であることから、予讃線特急「しおかぜ」用の18000系をベースに、M車比率を高めてさらに性能アップを図ると共に、予讃線に比べて輸送量が少ない上に季節波動の大きい、土讃線での使用に適した車両システムに変更した。
 土佐山田〜角茂谷間の約15km続く最大20‰上り勾配を、160km/hで登坂できるだけの性能を備えている。


<車体>

 車体に関しては、従来の基本であったステンレス+普通鋼またはアルミのハイブリッド構成から決別し、アルミ高張力鋼板中空押出によるダブルスキンモノコック構造を基本としながら、先頭の運転室周辺部は乗務員保護の観点から頑丈な鋼製車体としている。
 側面衝突対策として補強梁を併用することにより、衝撃を吸収・分散しやすく、なおかつ潰れにくい車体としている。

 塗色についても、濃いスカイブルーと淡いスカイブルーの派手なツートンカラーとし、境界部は遠く霞む水平線を表現するため、ボカシ塗装とした。空気抵抗低減のために床下を覆うボディマウントを採用してこれをマリンブルー塗装とし、車体の上から下へ行くに従って青が濃くなる配色として、南国・四国の眩しい青空と海を表現している。
 併せて、新デザインのロゴマークを全車両に採用し、さらに車両形式表示のフォントも、これまでにないデザインを取り入れて、新型車両を大きくアピールしている。

 なお、形式表記の文字色については、登場時は青であったが2014年の600番台車登場に合わせて、土讃線のラインカラーである赤に変更されている。

 既述のボディマウントの他、車体側面から屋根の上まで突き抜けるハーフカバーや、在来線車両としては初めてパンタグラフカバーなどを搭載し、空気抵抗の低減を図っている。

 側面方向幕は反射式液晶パネルを採用し、省エネのため車速が50km/h以上になると消灯する。

 出入口ドアは全て幅1mのプラグドアとし、気密性を高めるために二重マウントとなっている。基本的に制御車は1扉、中間車は2扉としたが、半室カフェテリア構造のMF503形は1扉のみとなる。

 連結面はある程度の気密性確保と騒音低減のため、在来線車両としては珍しく、簡易タイプながらも全周幌を備える。

 前照灯は高輝度白色HID4灯と、ハロゲン異形2灯の6灯を備え、後部標識灯はLEDとなる。


<システム等>

 制御方式は、1C−1M個別制御方式IGBT−VVVFインバータ制御で、独・ジーメンス製インバータを搭載し、メロディ音調を備えている。
 電動機は18000系と同じ、定格出力300kWhの三相交流誘導電動機S−MT700RS。勾配区間が多い点を考慮して、歯数比は4.25とした(18000系は4.0)。

 台車は基本的に18000系と同じで、操舵機構を組み込んだ制御付振子式ボルスタレス台車。
 振子装置はベアリングガイド式で、最大振子角も同様に6度となっている。

 ブレーキは、応荷重・応速度増圧付き電気指令式空気ブレーキで、M車に抑速回生ブレーキと発電ブレーキを、T車には抑速回生用として電磁誘導ブレーキを装備。なお、通常は抑速回生ブレーキを使用することとし、抑速回生失効時には自動的に発電ブレーキに切り替わる。
 基礎ブレーキ装置は全車車輪ディスクブレーキとなる。

 主幹制御器は、JRT四国標準仕様の横軸2ハンドル電気接点式で、自動進段式のマスコンは7ノッチまでを備える。


 連結器は、三相連結器と電気連結器を併用する自動解結付き密着連結器で、電動車は高圧引通し線回路連結器も備えるほか、自動幌解結装置も搭載する。


 基本システムとしては1M方式となる電動車は、全車両がパンタグラフを搭載する。

 制御車の運転台側を除いた全車両の連結面には、自動解結と連動した高圧引き通し線を備え、電気連結器を介して得られる編成情報を元に、複数の電動車が連続して連結される場合は、最大3両までの範囲で、いずれか1両(通常はもっとも下り方の1両)のパンタグラフのみを使用して集電するシステムとし、パンタグラフと架線の摩耗低減を図っている。
 この場合でも、手動設定によって車両ごと個別にパンタグラフの昇降操作が可能となっている。

 例えば、3両続けてM車が繋がっている場合は、もっとも下り方の1両のパンタグラフのみが使用され、4両続いている場合は両端の2両がパンタグラフが上がった状態となる。

 そのパンタグラフは18000系と同じもので、クロスリンク3本ワイヤー式振子制御装置を備えたシングルアーム式となる。

 冷房装置は、軽量化と省電力化を兼ねて、12000/18000系よりも小型のS−ECAU500SIV形を搭載。

 客室ドアならびに出入口ドアは、全てリニアモーターによる電気駆動方式を採用。
 これにより、圧縮空気の使用量を減らすことができることから、コンプレッサーならびに空気溜めを小型化して、低騒音化を図っている。

 SIV式の静止型インバータは、通常はM車比率が50%以上となるように編成されることから、最大供給容量が2.5両分までの小型・省スペースのモノを搭載している。


 警笛はJRT四国標準仕様の電子ホーンの他、新タイプのメロディホーンを搭載する。


<客室>

〜共通〜

 座席は全てリクライニングシートであるが、四国の車両としては初めて、「ゆりかご形」シートを普通席も含めて全面採用。

 客室窓ガラスは全て、防曇・熱線反射・UVカットを備えた複層式のグレーハーフスモークガラスで、可視光線透過率は50%とし、車外から車内が見えにくくてプライバシー性が高く、真夏でも快適な車内を提供される。

 1号車前位側にはソファ席を備える展望スペースを設置。
 座席床面が通常よりも10cm高められている。

 2号車前位側半分はカフェテリアとし、ショーケースや簡易調理施設を備えて車販基地として利用できるほか、カウンター席も備える。

 客室内は全て禁煙で、4号車となるM502形の下り方デッキ外側に、喫煙コーナーを設けている。
 煙が客室等へ流れるのを防ぐため、排煙装置を設けているのはもちろん、喫煙コーナーと出入台デッキの間には仕切ドアとエアカーテンを設置しているほか、喫煙室内部の気圧を外気よりも低くなるように気圧調節を行っている。

 喫煙コーナー向かい側には、M502形と同様に自販機とカウンター席を備えた休憩コーナーを設置。

 トイレ・洗面所はTF503形とM502形を除く全車に設置され、M501形とMC501形(形式名称一の位が「1」の車両)は車椅子対応の洋式トイレと男子小用トイレを有する。その他の車両は和式トイレ1箇所を備える。


〜グリーン車〜

 グリーン車は、シートピッチ1,300mmで1−1−1の3列配置となり、2段折れ電動リクライニング式のバックレストを採用。
 リクライニングに合わせてバックレスト下端部分がわずかに前進し、それに合わせて座面部分もわずかに前進すると共に、座面後端が下がり、逆に座面前端が上昇する。それにとどまらず、シートとのフィット感を向上させるため、ランバーサポートと可動式ヘッドレスト、それにレッグレストまで備えた、「フレキシブル・クレイド・シート」を採用。床面の20cm嵩上げと合わせて、国内鉄道車両としては最高級クラスの快適性が確保されている。

 アームレストには7形液晶TVのほか、ステレオヘッドホンとテーブル、それに読書灯のスイッチを内蔵する。読書灯はヘッドレスト右上に備えられ、座席の位置や向きに関係なく、常に一定の場所を照らすことが出来る。

 また、側窓下にサービスコンセントを設置し、ノートPCなどを接続して使用することが出来るようにしている。


〜普通車〜

 普通車は、シートピッチ1,040mmのゆりかご形リクライニングシートで、バックレストは二段折れタイプとなる。
 シート自体のサイズも、12000/18000系よりもさらに大型化され、軟質ウレタンによるセミバケットタイプフルファブリックシートとし、普通車のシートとしては国内最高クラスの快適性が確保される。


〜視覚表示〜

 客室出入口上の案内表示は、LEDとバックライト式液晶を併用した可変多重表示方式とした。

 また、全車両の客室内に液晶モニタTVを備え、前面展望の他、ビデオ・BS放送や広告などが表示される。


〜バリアフリー〜

 昨今のバリアフリーの潮流にも対応し、床の低い振子式車両では避けられない連結部分の通路の段差についても、スロープを長くして勾配を緩和。
 また連結部の通路の開口部は、上半分よりも下半分が若干幅広い「ボトル形」とし、車椅子の通過にも対応した(貫通型先頭車の通路部分を除く)。

 3号車と5号車には車椅子対応トイレを設置するとともに、車椅子固定設備を持つ席を設けている。


<その後>

 2005年8月末から順次納入を開始し、10月のダイヤ改正で基本編成(1〜5号車)3編成と、付属編成(6〜7号車)2編成の合わせて19両が営業運転を開始した。
 さらに同年末にかけて基本編成1編成と増結用車両が順次追加投入され、翌2006年度にさらに1編成(7両)が増備され、現時点で合わせて37両が高知運転所に配置されている。


 当初は形式表記の文字色が青であったが、600番台車の登場に合わせて土讃線のラインカラーである赤に変更されている。

 2012年には、停車駅の過走防止にブレーキ連動型の停車駅接近警報装置を新たに搭載している。


形式
形式名
TSC500TC500TF503MC505MC506M500M501M502
記号
SCF3C5C6
連結位置
1号車7号車2号車(増結車)5号車6号車3号車4号車
製造数
最大寸法22,000 mm21,300 mm
2,950 mm
3,520 mm
(屋根高さ:3,320 mm)
最大高さ 3,520 mm
(屋根高さ:3,320 mm)
(パンタカバーまで:3,800mm)
パンタグラフ折り畳み高さ 3,900 mm
重量37 t37 t36 t42 t42 t40 t40 t40 t
車体 アルミ高張力鋼板中空押出
ダブルスキンモノコック構造
窓ガラス 防曇・UVカット・熱線反射式 複層合わせガラス
運転室:防眩クリヤー(一部ブロンズ)/客室:グレースモーク
制御方式 個別制御式 IGBT−VVVFインバータ制御
(インバータ:ジーメンス製メロディ音調)
軸重可変併用各輪個別制御トラクションコントロール搭載
電動機形式
出力
S−MT700RS
300 kWh × 4
歯数比4.25
パンタグラフ形式 S−PSS8100GSX
シングルアーム式
クロスリンク3本ワイヤー式振子機構付き
ブレーキ方式 電磁誘導ブレーキ併用
応荷重・応速度増圧付
電気指令式空気ブレーキ
応荷重・応速度増圧付
抑速回生・発電ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
ブレーキ装置 車輪ディスク
(4センサー3チャンネル式各輪個別制御アンチロック付き)
台車形式・方式S−TR8100S−DT8100
ベアリングガイド式 ボルスタレス式制御付振子台車
操舵機構付き
セミアクティブサスペンション付き
車輪直径:840 mm
許容最高速度 130km/h
(設計最高速度:200km/h)
加速度
減速度
起動加速度 2.8km/h/sec (4M3T)
常用最大減速度 4.5km/h/sec
非常最大減速度 5.4km/h/sec
130km/h時加速余力 1.4km/h/s (4M3T)
勾配均衡速度 10‰:188km/h (4M3T)
20‰:164km/h (4M3T)
33‰:135km/h (4M3T)
曲線通過速度 300≧R:本則+25km/h
450>R≧300:本則+30km/h
600>≧R≧450:本則+35km/h
R≧600:本則+40km/h
最大振子角度6度
振子中心高さ線路面上 1,850 mm
床面高さ1,100 mm(グリーン室:1,300 mm/展望ロビー:1,400 mm)
電動発電機 S−SIV8100ECU
(M車に搭載)
出入口ドア数・幅1,000 mm × 11,000 mm × 2
冷房装置 S−ECAU500SIV
15,000 〜 18,000 kcal/h × 2
シートピッチ1,300 mm1,040 mm
乗車定員1948405651605556
その他
設備装置
客室 グリーン車
展望ロビー
普通車 普通車
カフェテリア
ミニラウンジ
普通車普通車普通車普通車 普通車
喫煙室
休憩コーナー
WC洋式 × 1洋式 × 1洋式 × 1 洋式 × 1
(車椅子対応)
男子小用 × 1
洋式 × 1
(車椅子対応)
男子小用 × 1
洗面所× 1× 1× 1× 2× 2
CC装置
(無線/有線電送対応)
(媒体転送対応)
CP
その他

AED有り
車椅子対応設備車椅子対応設備





〜2020年度転用リニューアル〜


 2021年3月13日改正で「南風」に新型EDC510系バイモード車が投入されて全列車がこれに置き換えられたのに伴い、0番台車は一部リニューアルの上で瀬戸大橋線の「ゆうなぎ」と予讃線の「いしづち」に転用された。

 組み替え内容は下の図の通り(クリックで拡大)で、旧「南風」編成5編成の内3編成をほぼそのまま瀬戸大橋線の「ゆうなぎ」に転用。
 残りは改造所要数を出来る限り抑えつつ、3両+3両に組み替えて予讃線の「いしづち」に転用した。
 

 いずれも車体・内装・外装関係の変更のみで、走行関係機器はほぼそのままである。


<改造内容:「ゆうなぎ」用>

・1号車TSC500形は前位側展望サロン室の窓を閉塞。
・2号車カフェテリア車は後位側の客室を全てファミリールームに改装。
・窓下のラインカラーを赤からブルーに変更。
・側面の「南風」のロゴは消去。

 編成内容は「南風」時代のままで、基本5両+付属2両の7両編成を基本とし、3編成21両を「ゆうなぎ」用として高松運転所に配置した。
 但し、本四備讃線区間で他の列車とグリーン車等の向きを合わせるために編成全体を方向転換しており、高松到着時点では先頭グリーン車が高松側を向くようになっている。


<改造内容:「いしづち」用>

・旧7号車で上り向き費貫通型先頭車のTC500形は、下り向きに方向転換の上で前位側半室をグリーン室としてTSC500形100番台車化し、基本編成下り方先頭車とした。
 設備は300番台車や1000番台車と全く同一で、シートピッチは1,240mmとして4列を配して定員12名とした。なお、普通席は5列を残して定員20名としている。
・旧3号車で車椅子対応設備を持つ中間車M501形は、運転台を増設して上り向きのMC506形100番台車化し、付属編成上り方先頭車とした。
 客室設備・車体構造とも在来のMC506形0番台車(旧5号車)と全く同一であるが、改造車として区別のため番号を分けた。
・増結用に2両のみ在籍の異端車であった上り向きのMC505形は電装解除の上で下り向きに方向転換してTC505形に変更。付属3両モノクラス編成の下り向き先頭車とした。

 結果、グリーン車付きの3両編成とモノクラス3両編成が各2編成の、合わせて12両が松山運転所配置で「いしづち」運用に投入された。
 なおグリーン車付き編成は2編成配置の2仕業体制と予備車無しで運用されることから、点検入場時などには18000系のグリーン車付き編成が代走する。


 これらの改造転用の結果、余剰となった旧1〜2号車各2両の4両は今回廃車となっている。


「ゆうなぎ」用編成
「いしづち」用編成




ページのTOPへ





高徳線特急「うずしお」用
300番台車




客室寸法図(PDF)
(119KB)


 高徳線全線電化完成に合わせて、特急「うずしお」「やしま」用として、2012年11月改正で登場。
 20両が製作され、徳島運転所に配置された。

 「南風」用0番台車をベースとしながら、停車駅が多くて乗客の入れ替わりが多いこと、また営業運転最高速度がそれほど高くないこと等を考慮して、主に以下のような設計変更を行い、新たに「300番台」の番号区分を付している。

 ・グリーン車を半室構造とし、小単位での輸送需要に対応。
 ・出入口ドアの数を全車両片側各2ヶ所として、乗降性の改善を図った。
 ・高速性能よりも加速性能を重視した設計とし、駅間が短くカーブの多い高徳線系統の路線に適合させた。
 ・DC500系300番台車との併結協調運転を可能とし、きめ細かく変動する輸送需要に対応できる設計となってる。

 このほか、土讃線・予讃線に比べて踏切が多く残る高徳線系統での運用を考慮して、特に非貫通型先頭車の前頭部クラシャブル構造の見直しを行っている。

 速度種別は「南風」編成よりもやや低く「特通電A75」で、18000系の「しおかぜ」編成と同一になっている。


<車体>

 基本構造は0番台車と共通。

 非貫通型先頭車は、半室グリーン構造としたが、高徳線におけるグリーン車の需要を考慮して、3列×4−1の座席配置として、定員を11名とした。
 また、営業運転最高速度が低いことと、客室スペースを確保するため、先頭部の「鼻先」についても0番台車よりもかなり短くなっており、それに伴い傾斜も大きく立っている。

 出入口扉は、既述の通り乗降性を確保するために各車両とも片側2ヶ所づつとしている。

 バックライト液晶式の側面方向幕については、0番台車では側窓位置の関係でDC500系と位置が異なっていたが、300番台車では同じ位置で統一されている。

 なお、乗車定員確保のため、中間車はトイレ・洗面所設備を省略した。

 形式表記の文字色は、高徳線のラインカラーである緑となっている。


<システム等>

 基本的なシステムは0番台車と同一ながら、MT比を常に1:1に固定するため、半M車を導入している。

 半室グリーン車の非貫通型先頭車(TSC500形300番台)は、静粛性確保のためT車としており、同形式が300番台車の中で唯一の付随車となっている。
 中間車M504形300番台車は、モーターを4個搭載する全M車となっており、基本的にTSC500形とペアを組むことを前提としている。

 このほかの2形式は、いずれもモーターを2個搭載した半M方式の貫通型先頭車となっており、編成増結の際はこのいずれかを適宜組み合わせることとしている。また、300番台車の最小編成単位は、この両形式を連結した2両編成からとなる。
 半M車はEC320系に続いて、形式名に「H」を使用することとし、それぞれHC505形300番台、HC506形300番台を名乗っている。

 営業運転最高速度が低いことを考慮して、歯数比を0番台の4.25から4.75に変更している。
 M車比率が0番台車よりも低い点と合わせて、速度種別を0番台車のA88からA75に変更している。

 パンタグラフは、上り向き貫通型先頭車であるHC506形にのみ搭載。

 振子指令装置は、下り向き先頭車である、TSC500形とHC505形に搭載している。

 このほか、停車駅の過走防止にブレーキ連動型の停車駅接近警報装置を搭載。


<客室>

 基本的に0番台車と共通となっているが、輸送単位が小さいことと平均乗車時間が短いことを考慮して、ミニラウンジなどのフリースペースは基本的に全て省略されている。

 グリーン車については輸送需要を考慮して半室構造とし、シートピッチを1,240mmとしてスポット式の読書灯も省略しているほか、リクライニング等が手動式となる通常タイプの設備としている。

 普通車については、設備自体は0番台車と同一となっている。

 なお、AEDはTSC500形の後位側デッキに搭載されている。



形式
形式名
TSC500
−300
M504
−300
HC506
−300
HC505
−300
記号
SC0343C63C53
連結位置
1号車2号車3号車等4号車等
製造数
10
最大寸法22,000 mm21,300 mm
2,950 mm
3,520 mm
(屋根高さ:3,320 mm)
最大高さ 3,520 mm
(屋根高さ:3,320 mm)
(パンタカバーまで:3,800mm)
パンタグラフ折り畳み高さ
3,900 mm
重量38.0 t39.5 t42.0 t41.5 t
車体 アルミ高張力鋼板中空押出
ダブルスキンモノコック構造
窓ガラス 防曇・UVカット・熱線反射式 複層合わせガラス
運転室:防眩クリヤー(一部ブロンズ)/客室:グレースモーク
制御方式 個別制御式 IGBT−VVVFインバータ制御
(インバータ:ジーメンス製メロディ音調)
軸重可変併用各輪個別制御トラクションコントロール搭載
電動機形式
出力
S−MT700RS
300 kWh × 4 300 kWh × 2
歯数比4.75
パンタグラフ形式 S-PSS8100GSX
シングルアーム式
クロスリンク
3本ワイヤー式
振子機構付き
ブレーキ方式 応荷重・応速度増圧付
電気指令式空気ブレーキ
応荷重・応速度増圧付
抑速回生・発電ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
電磁誘導ブレーキ併用電磁誘導ブレーキ併用
ブレーキ装置 車輪ディスク
(4センサー3チャンネル式各輪個別制御アンチロック付き)
台車形式・方式S−TR8100BS−DT8100BS−DT8100C
ベアリングガイド式 ボルスタレス式制御付振子台車
操舵機構付き
セミアクティブサスペンション付き
車輪直径:840 mm
許容最高速度 130km/h
(設計最高速度:175km/h)
加速度
減速度
起動加速度 3.0km/h/sec
常用最大減速度 4.5km/h/sec
非常最大減速度 5.4km/h/sec
130km/h時加速余力 1.1km/h/s
勾配均衡速度 10‰:175km/h
20‰:150km/h
33‰:120km/h
曲線通過速度 300≧R:本則+25km/h
450>R≧300:本則+30km/h
600>≧R≧450:本則+35km/h
R≧600:本則+40km/h
最大振子角度6度
振子中心高さ線路面上 1,850 mm
床面高さ1,100 mm(グリーン室:1,200 mm)
電動発電機 S−SIV8100ECU−S
(HC車に搭載)
出入口ドア数・幅2扉(1,000 mm)
冷房装置 S−ECAU500SIV
15,000 〜 18,000 kcal/h × 2
シートピッチ1,040 mm(グリーン席:1,240 mm)
乗車定員 グリーン席:11
普通席:24
644752
その他
設備装置
客室 グリーン車
普通車
普通車普通車普通車
WC 洋式 × 1
男子小用 × 1
洋式 × 1
(車椅子対応)
男子小用 × 1
洋式 × 1
洗面所× 1× 2× 1
CC装置
(無線/有線電送対応)
(媒体転送対応)

(無線/有線電送対応)
(媒体転送対応)
CP
その他AED有り
車椅子対応設備



ページのTOPへ





予讃線特急「しおかぜ」用
600番台車




客室寸法図(PDF)
(392KB)



 2014年の予讃線・小松松山バイパス完成に合わせて、予讃線特急「しおかぜ」用として600番台車を投入。
 土讃線特急「南風」用の0番台車をベースに、「しおかぜ」用よして以下に掲げる最適化を行っている。

 ・基本編成6両+付属編成3両の、9両編成を基本とする。
 ・基本編成・付属編成とも、MT比を1:1に固定。
 ・編成定格出力は、在来型のEC18000系とほぼ同等とする。
 ・長大トンネル通過対策として、自動消火装置などの防災装備等を搭載する。
 ・出入口プラグドアを、外釣りプラグ式から内プラグ式に変更する。

 このほか、非貫通型先頭車の前頭部クラッシャブル構造を300番台車と同等な物に強化している。

 EC500系の最速「しおかぜ3号」は、岡山〜松山間の表定速度が114.7km/hに達し、在来線最速となっている。


 2014年3月22日改正で、4編成36両が松山運転所に配置され、「しおかぜ」で限定運用中。


<車体>

 基本構造は「南風」用0番台車と同一としつつ、長大トンネル通過対策として、車体鋼板等の厚みを増やし、強度の確保と気圧対策の強化を図っている。
 また、空力性能改善のため、先頭部の形状を一部見直した結果、非貫通型先頭車の全長が0番台車よりも0.1m長くなっている。

 出入口ドア、ならびに車体妻面のドアは、気圧対策のため全て内プラグ式のプラグドアとした。
 基本的に先頭車が1ヶ所、中間車は2ヶ所としているが、トイレ・洗面所施設のない6号車の先頭車は2ヶ所、また2号車の半室カフェテリアは1ヶ所のみとしている。

 また、内プラグドアを採用していることから、戸袋スペースを確保するため、中間車上り方のドアを幅820mmとしている(これ以外は全て幅1m)。

 形式表記の文字色は、予讃線のラインカラーである青となっている。


<システム等>

 「南風」用0番台車と基本的に同一であるが、MT比を1:1に固定しながら、在来型EC18000系並みの性能とするため、電動機出力を270kWhとしており、編成定格出力は4,860kWh(EC18000系比で+60kWh)となっている。
 この関係で形式名がS−MT700RS−Bに変更となっている。

 歯数比については、EC18000系と同じ4.0としている。

 基本編成が3M3Tで2個パンタグラフ、付属編成が1.5M1.5Tで1個パンタグラフとなっている。
 なお、基本編成は1個パンタグラフでも通常運用が出来るように、3両のM車をまとめて連結したうえで、高圧引き通し線を配している。

 また、停車駅の過走防止にブレーキ連動型の停車駅接近警報装置を当初から搭載。


<客室>

 客室構造についても、基本的に「南風」用0番台車と同一であるが、室内の基本カラーを0番台車のブルーに対してスカイブルーに変更している。

 下り方先頭のサロン室は、ソファ席を廃して丸椅子席のみとし、高速走行時の気圧対策として側面窓を廃止している。

 3/5号車の車椅子対応トイレについては、DC500系0番台量産車と同様な形状に変更して、ドア開口幅を1.3mとしている。
 4号車下り方の喫煙室は当初から設けず、多目的室として使用している。

 室内灯についてはLED照明を全面的に採用して、メンテナンス性の向上と消費電力の低減を図っている。


形式
形式名
TSC500
−600
TC500
−600
TF503
−600
TC509
−600
HC505
−600
M501 M502
−600
M504
−600
−600−650
記号
SC06C06F36C96C56161652646
連結位置
1号車9号車2号車6号車7号車3号車5号車4号車8号車
製造数
最大寸法22,100 mm21,300 mm
2,950 mm
3,520 mm
(屋根高さ:3,320 mm)
最大高さ 3,520 mm
(屋根高さ:3,320 mm)
パンタグラフ折り畳み高さ 3,900 mm
(パンタカバーまで:3,800mm)
(M502はパンタグラフ無し)
重量37 t37 t36 t42 t42 t40 t40 t40 t
車体 アルミ高張力鋼板中空押出
ダブルスキンモノコック構造
窓ガラス 防曇・UVカット・熱線反射式 複層合わせガラス
運転室:防眩クリヤー(一部ブロンズ)/客室:グレースモーク
制御方式 個別制御式 IGBT−VVVFインバータ制御(メロディ音調)
軸重可変併用各輪個別制御トラクションコントロール搭載
電動機形式
出力
S-MT70RS-B
270 kWh × 2
S-MT70RS-B
270 kWh × 4
歯数比4.0
パンタグラフ形式 S-PSS8100GSX
シングルアーム式
クロスリンク3本ワイヤー式振子機構付き
ブレーキ方式 応荷重・応速度増圧付
電磁誘導ブレーキ併用(S-TR8100)/抑速回生・発電ブレーキ併用(S-DT8100)
電気指令式空気ブレーキ
ブレーキ装置 車輪ディスク
(4センサー3チャンネル式各輪個別制御アンチロック付き)
台車形式・方式S-TR8100 × 2 S-TR8100 × 1
S-DT8100 × 1
S-DT8100 × 2
ベアリングガイド式 ボルスタレス式制御付振子台車
操舵機構付き
セミアクティブサスペンション付き
車輪直径:840 mm
許容最高速度 130km/h
(設計最高速度:200km/h)
加速度
減速度
起動加速度 2.8km/h/sec (4.5M4.5T)
常用最大減速度 4.5km/h/sec
非常最大減速度 5.4km/h/sec
130km/h時加速余力 1.4km/h/s (4.5M4.5T)
勾配均衡速度 10‰:175km/h (4.5M4.5T)
20‰:155km/h (4.5M4.5T)
33‰:125km/h (4.5M4.5T)
曲線通過速度 300≧R:本則+25km/h
450>R≧300:本則+30km/h
600>≧R≧450:本則+35km/h
R≧600:本則+40km/h
最大振子角度6度
振子中心高さ線路面上 1,850 mm
床面高さ1,100 mm(グリーン室:1,300 mm/展望ロビー:1,400 mm)
電動発電機 S−SIV8100ECU
(M車に搭載)
出入口ドア1,000 mm × 11,000 mm × 21,000 mm × 1 1,000 mm × 1 (1位側)
820 mm × 1 (2位側)
冷房装置 S−ECAU500SIV
15,000 〜 18,000 kcal/h × 2
シートピッチ1,300 mm1,040 mm
乗車定員194840525255555664
その他
設備装置
客室 グリーン車
展望ロビー
普通車 普通車
カフェテリア
ミニラウンジ
普通車普通車普通車普通車 普通車
休憩コーナー
多目的室
普通車
WC洋式 × 1洋式 × 1洋式 × 2 洋式 × 1
(車椅子対応)
男子小用 × 1
洋式 × 1
(車椅子対応)
男子小用 × 1
洗面所× 1× 1× 2× 2× 2
CC装置
(無線/有線電送対応)
(媒体転送対応)
CP
その他

AED有り

車椅子対応設備車椅子対応設備


形式名一の位
0:基本タイプ/1:車椅子対応設備有り/2:フリースペース有り/3:カフェテリア有り/4:付帯設備無し
貫通型先頭車は +5



ページのTOPへ





島内汎用特急用
1000番台車



客室寸法図(PDF)
(128KB)




 2017年度時点のJRT四国の電車特急の内、「ゆうなぎ」「しまんと」の2系統のみが最後まで第1世代制御付振子式電車・8000系で残存していたが、同車の老朽化が進行していたため2018年3月改正で「しまんと」を新車に置き換える目的で製作。
 なお、「ゆうなぎ」については当面置き換えの計画はない。

 JRT四国の制御付き振子式特急形電車として第3世代にあたり、標準型として量産の続いているEC500系電車の新番台区分・1000番台車として、2012年11月改正で高徳特急「うずしお」用として投入した300番台車をベースに、以下に掲げる設計変更を行っている。

 ・出入口ドアを外吊りプラグドアから内プラグドアに変更。
 ・長大トンネル通過対策として、自動消火装置などの防災装備等を搭載。
 ・車椅子対応設備を強化。


<システム等>

 駆動系、ならびに振子制御システムなど、メカニズム面では300番台車を全く同一となっており、性能も同一である。


<客室>

 客室構造についても基本的には同一であるが、下り向き半室グリーン車の普通客室には車椅子対応設備を設けるとともに、トイレを新設計の多目的トイレに変更した。
 この関係で、形式がTSC501形に変更となったほか、AEDがM504形の前位側デッキに移設された。


形式
形式名
TSC501
−1000
M504
−1000
HC506
−1000
HC505
−1000
記号
SC10410C610C510
連結位置
1号車2号車3号車等4号車等
製造数
最大寸法22,000 mm21,300 mm
2,950 mm
3,520 mm
(屋根高さ:3,320 mm)
最大高さ 3,520 mm
(屋根高さ:3,320 mm)
(パンタカバーまで:3,800mm)
パンタグラフ折り畳み高さ
3,900 mm
重量38.0 t39.5 t42.0 t41.5 t
車体 アルミ高張力鋼板中空押出
ダブルスキンモノコック構造
窓ガラス 防曇・UVカット・熱線反射式 複層合わせガラス
運転室:防眩クリヤー(一部ブロンズ)/客室:グレースモーク
制御方式 個別制御式 IGBT−VVVFインバータ制御
(インバータ:ジーメンス製メロディ音調)
軸重可変併用各輪個別制御トラクションコントロール搭載
電動機形式
出力
S−MT700RS
300 kWh × 4 300 kWh × 2
歯数比4.75
パンタグラフ形式 S-PSS8100GSX
シングルアーム式
クロスリンク
3本ワイヤー式
振子機構付き
ブレーキ方式 応荷重・応速度増圧付
電気指令式空気ブレーキ
応荷重・応速度増圧付
抑速回生・発電ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
電磁誘導ブレーキ併用電磁誘導ブレーキ併用
ブレーキ装置 車輪ディスク
(4センサー3チャンネル式各輪個別制御アンチロック付き)
台車形式・方式S−TR8100BS−DT8100BS−DT8100C
ベアリングガイド式 ボルスタレス式制御付振子台車
操舵機構付き
セミアクティブサスペンション付き
車輪直径:840 mm
許容最高速度 130km/h
(設計最高速度:175km/h)
加速度
減速度
起動加速度 3.0km/h/sec
常用最大減速度 4.5km/h/sec
非常最大減速度 5.4km/h/sec
130km/h時加速余力 1.1km/h/s
勾配均衡速度 10‰:175km/h
20‰:150km/h
33‰:120km/h
曲線通過速度 300≧R:本則+25km/h
450>R≧300:本則+30km/h
600>≧R≧450:本則+35km/h
R≧600:本則+40km/h
最大振子角度6度
振子中心高さ線路面上 1,850 mm
床面高さ1,100 mm(グリーン室:1,200 mm)
電動発電機 S−SIV8100ECU−S
(HC車に搭載)
出入口ドア数・幅2扉
820 mm × 1
1,000 mm × 1
820 mm × 2 820 mm × 1
1,000 mm × 1
820 mm × 2
冷房装置 S−ECAU500SIV
15,000 〜 18,000 kcal/h × 2
シートピッチ1,040 mm(グリーン席:1,240 mm)
乗車定員 グリーン席:11
普通席:23
644752
その他
設備装置
客室 グリーン車
普通車
普通車普通車普通車
WC 洋式 × 1
(車椅子対応)
洋式 × 1
(車椅子対応)
男子小用 × 1
洋式 × 1
洗面所× 1× 2× 1
CC装置
(無線/有線電送対応)
(媒体転送対応)

(無線/有線電送対応)
(媒体転送対応)
CP
その他車椅子対応設備AED有り車椅子対応設備



ページのTOPへ


検索サイトから直接来られた方は、ここをクリックしてTopに移動できます