<架空鉄道「JRT四国」のページ>


EC320系 0番台
快速「マリンライナー」用 近郊形直流電車




客室寸法図(PDF:358KB)




 EC300系に代わる、瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」用車両。

 海上を通行する機会の多い「マリンライナー」用の車両は、特に床下機器類の腐食などの問題もあって他の路線の車両よりも取り替え周期が短く、1988年に初代の213系および311系1000番台車を投入した後、2000年にEC300系に置き換えている。
 今回も、前回と同じ12年サイクルでの更新として、2012年3月のダイヤ改正で、基本4両+付属3両の7両編成を8編成投入し、全列車を一斉に新型車に置き換えた。

 快適性重視の設計で好評を博したEC300系を基本的に踏襲しつつ、さらに快適性と走行性能、さらに環境性能の向上を図っている。



<車両構造>

 近年のJRT四国の車両はアルミ高張力鋼板を使用したものが主流であるが、他の地域に比べて「マリンライナー」は海上通行の機会が格段に多いことから、「マリンライナー」用のEC320系は展望グリーン車と座席指定席車を除いて、ステンレス鋼板を採用。
 展望グリーン車と座席指定席車については、アルミ高張力鋼板ダブルスキンによるモノコック構造とし、防錆塗装を厳重なものとしている。

 また、床下の主要機器を塩害から守るため、311系1000番台車以来約20年ぶりに床下ボディマウントカバーを装着しているほか、屋根上のパンタグラフ付近の付属機器についてもカバーで覆う等の対策を行っている。
 さらに、昨今の衝突安全性に対する意識の高まりも受けて、前頭部分にはクラッシャブル構造が採用されている。

 このほか、強制車体傾斜装置の取付準備工事済みとしていることから、車体裾部と上部がわずかに絞られた車体断面となっている。


 側面方向幕はフルカラーLEDとし、列車名表示用の小型タイプと、号車・行き先等表示用の大型タイプを各車両に設置。
 省エネのため50km/h以上では自動消灯するほか、異常時に備えて手動による消灯も可能となっている。


(追記事項)
 強制斜体傾斜装置については、一部の編成を使って乗り心地等の実証確認を行った上で、2016年3月26日改正から全編成で本格的な使用を開始した。


<客室構造>

〜全車共通事項〜

 出入口ドアは、新幹線車両と同じ内プラグ式のプラグドアを採用。
 車体外板が平滑化されて美観に優れ、また走行中の空気抵抗が減少して動力費の節減や走行騒音の低減に繋がるほか、ドアの気密性が向上することから、特にトンネル通過時の「耳ツン」の軽減が期待される。

 車体妻面の貫通扉については、開放防止と気密確保の観点から、内プラグ式プラグドアによる、タッチオープン式自動ドアとしている。
 なお、内プラグ方式による巻き込み事故防止のため、ドアと戸袋部分をカバーで覆う等の対策を施している。

 客室窓ガラスは全車共通で、グレースモークの入った熱線反射式の防曇複層固定ガラスとなっている。
 遮光装置は、1号車の2階開放グリーン室のみカーテンとし、その他は全てフリーストップ式のロールアップブラインドとなっている。

 室内灯はカバー付きのLED照明を採用。1号車のみ電球色タイプとし、その他は昼白色タイプとなる。調光機能は無い。

 基本的な床面高さは、線路面から1,100mmとして、電車専用ホームとの段差をゼロとしている。

 シートモケットについては、全車両とも青系統で統一している。


〜1号車〜

 展望性を重視した1号車は、ダブルデッカー式となる。

 2階部分は、シートピッチ1.3mのリクライニングシートが1−1−1配列で並ぶ開放グリーン室となり、運転台側は床面が傾斜したシアター形状として、最前列以外の席からも前面展望が楽しめる構造となっている。
 リクライニングシートは、EC500系やDC500で採用された、「フレキシブル・クレイドシート」とし、国内普通列車用車両としては最高クラスの快適性が確保されている。

 車椅子での利用にも対応し、出入口デッキから客室への階段には、国内鉄道車両として初めて、車椅子昇降機が設置されている。
 デッキと客室の仕切りドアは、タッチオープン式の自動ドアとし、車椅子対応の幅を確保するため両開き式となっている。

 1階部分には、普通列車としては極めて珍しい、グリーン個室を設置。一人用3室と二人用2室を備える。

 2階開放室後端と各個室、また開放室の各座席のアームレストに液晶TVを設置し、前面展望やTV・ビデオ放送等を流すことが出来る。このため1号車屋根上にはBSアンテナを搭載している。
 トイレは車椅子対応のワイドタイプとなり、このほかに男子小便所を設置。また洗面所も備えている。



 乗客に静かで快適な車内環境を提供するため、全てのグリーン席と個室に、磁気式乗車券の読み取り装置と、ICカードリーダを設置。
 読み取り装置は、グリーン席の場合は肘掛けに内蔵され、個室の場合は出入口横の壁面に設置されている。

 当該グリーン席、または個室を利用できる磁気乗車券(グリーン指定席券等)を、磁気乗車券読み取り装置に差し込むことにより、グリーン室の場合は座席頭上の表示灯が、個室の場合は室外側の在室表示灯が点灯し、これを元に車掌の車内改札を省略するサービスを提供。。

 またICカード乗車券「I−CA」で、みどりの窓口またはみどりの券売機で、「マリンライナー」のグリーン券、または普通車個室指定券を購入した場合は、I−CAに指定席情報を書き込むこととし、乗車後に肘掛けまたは個室内に設置されているICカードリーダにI−CAをタッチすると、同様に表示灯が点灯し、車掌の車内改札を省略することができる。

 さらにI−CAで個室を利用する場合は、室外側のICカードリーダにカードをかざすだけで、簡単にドアの解錠と施錠が可能となっている。


〜2号車〜

 2号車は、普通車の座席指定席車。

 シートピッチ1mの通常のリクライニングシートとなり、車椅子対応部分のみ一人がけで、それ以外は通常の二人がけシートとなる。
 デッキと客室の仕切りドアはタッチオープン式自動ドアで、車椅子対応席のある岡山側は1号車と同様な両開き式となる。

 また、高松側車端部分に、家族での利用に便利な、四人用普通個室を2室設置している。

 客室前後端と各個室には液晶TVを設置し、前面展望やTV・ビデオ放送等を流すことが出来る。
 トイレ・洗面所設備については、1号車と同一となっている。


 このほか、高松側出入口デッキには、ICカード専用の座席指定券販売機を設置しており、当該列車に空席のある場合に限り、車内で座席指定券を購入することが出来るようになっている。
 さらに、岡山側出入口デッキ付近には、大型荷物置き場と、AED装置を設けている。


 個室は、グリーン個室と同様に磁気式乗車券の読み取り装置とICカードリーダを設置して、車内改札の省略と扉の施錠等を可能としている。


〜その他の車両〜

 その他の車両は、シートピッチ940mmのオール転換クロスシートとなる。
 シートバックには、EC300系で好評だった二段折れ機構を承継採用。

 出入口デッキの仕切りは、EC300系よりも高く(1,000mm→1,200mm)し、立客用の手すりとクッションを設けている。
 このほか、各出入口扉の上部室内側に、LED案内表示装置を設置。



<走行機器・走行性能>

 制御方式は、IGBT−VVVFインバータ制御方式。空転等を検知して出力を自動制御するトラクションコントロールも搭載。

 台車は、JRT四国の新型標準台車である、S−DT320/S−TR320をベースに、ラジアル機構を組み込んだS−DT320R/S−TR320R。
 また、EC300系では1号車のみの採用だったセミアクティブサスペンションを全車に搭載し、強制車体傾斜装置の準備工事済みとなっており、制御プログラムの変更のみで車体傾斜の使用が可能となっている。

 ブレーキ方式は、付随車両が存在することから電気停止ブレーキシステムの搭載を見送り、通常の応荷重応速度増圧付き電気指令式空気ブレーキとしている。
 電動車は抑速回生発電ブレーキを、付随車は電磁誘導ブレーキを併用して、制輪子の摩耗を抑えている。

 基礎ブレーキ装置は、全ての車両について車輪ディスクブレーキ方式となる。
 このほか、各輪個別制御アンチロックブレーキと、踏面清掃装置を備える。


 従来のEC300系電車と同等以上の性能を確保しつつ、編成全体でのトラクション性能改善のため、MT比を従来の2.5M4.5T(基本1.5M2.5T+付属1M2T)から、4M3T(基本2M2T+付属2M1T)とした。

 これに合わせてモーター出力を若干抑え、EC500系などに搭載されている、三相交流式のS−MT700RSをベースに、端子電圧を下げて出力を落とした、S−MT70RS−Cを搭載。
 1時間定格出力220kW、30分定格出力260kWとして使用し、MC320形とMC321形にそれぞれ4基搭載。
 7両編成(4M3T)状態で、編成定格出力(1時間定格)を3,520kWとした。編成状態での、パワーウエイトレシオは、14.5kW/tとなる。

 EC300系よりも出力が向上したことから、 JRT四国の他の近郊形電車の性能向上に合わせて起動加速度を上げるため、歯数比は5.2として、高速性能はほぼそのままで、加速性能の向上を図っている。


 これらの装備により、許容最高速度130km/h、設計最高速度160km/h、常用起動加速度3.0km/h/s、10‰勾配均衡速度160km/hの性能を有する。



<その他の機器類>

 前照灯は高輝度HIDによる4灯式、後部標識灯はLEDによる横長タイプとして正面窓下部に設置。

 運転台機器類の配置はEC300系を踏襲。
 主幹制御器は、マスコン・ブレーキとも前後方向に操作する、横軸2ハンドル式。ノッチは、マスコンが疑似6ノッチ刻みの無断式、ブレーキは抑速段を持つ8段+非常位置。
 モニタ装置も搭載し、列車や車両の状態の参照・設定等が可能となっている。

 保安装置として、EB装置、TE装置のほか、前方画像のHDDへの記録も可能なドライブレコーダーを搭載する。

 このほか、停車駅の過走防止にATS−SPS連動型の停車駅接近警報装置を搭載している。


 連結器は運転台側部分は三相・電気連結器併用の密着連結器。
 各編成の妻面については、JRT四国では初めて、半永久連結器を採用した。

 冷房装置は、1号車のみ集中式とし、その他はセミセパレートタイプとして、いずれも屋上に搭載。
 暖房装置は、全て座席下取付の電気暖房としている。

 ホーンはJRT四国標準仕様の電子ホーンの他、メロディホーンを搭載。



形式 MC320
−0
−100
M321
−0
−100
TC321
−100
T321
−0
TSC321
−0
C10(0番台)
C11(100番台)
10(0番台)
11(100番台)
C11(100番台)10SC10
製造数 (0番台)8
(100番台)8
(0番台)8
(100番台)8
(100番台)888
最大寸法21,300 mm
2,960 mm
3,720 mm4,050 mm
パンタグラフ
折畳み高さ
3,880 mm
重量38.5 t38.0 t32.0 t27.5 t38.5 t
車体 ステンレス鋼板
(先頭部:普通鋼
アルミ高張力鋼板中空押出
ダブルスキンモノコック構造
制御方式 個別制御式
IGBT-VVVFインバータ制御
トラクションコントロール搭載
電動機形式
出力
S−MT700RS−C
220 kWh × 4 (1時間定格)
260 kW × 4 (30分定格)
歯数比5.2
パンタグラフ形式 S-PSS320
シングルアーム式
ブレーキ方式応荷重・応速度増圧付 電気指令式空気ブレーキ
抑速回生・発電ブレーキ併用電磁誘導ブレーキ併用
基礎ブレーキ装置 車輪ディスク
(4センサー3チャンネル式各輪個別制御アンチロック付き)
台車形式・方式S−DT320RS−TR320R
ボルスタレス式ラジアル台車
軸箱支持装置:円錐積層ゴム式
セミアクティブサスペンション付き
(強制車体傾斜取付可能)
許容最高速度 130km/h
(設計最高速度:145km/h)
加速度 起動加速度 3.0km/h/sec(4M3T)
最大 3.3km/h/s
減速度 常用最大減速度 4.5km/h/sec
非常最大減速度 5.2km/h/sec
勾配均衡速度
(4M3T時)
10‰:160km/h
20‰:135km/h
33‰:105km/h
曲線通過速度 300>R:本則+5km/h
500>≧R≧300:本則+10km/h
R≧500:本則+15km/h
電動発電機 ECSC450Z
(450kVAh)
出入口ドア内プラグ式プラグドア
3扉(片引戸1+両開戸2)2扉(片引戸)1扉(片引戸)
W:1,000 mm(片引戸)
W:1,300 mm(両開戸)
W:1,000 mm
床面高さ1,100 mm
1F:250mm
2F:2,100mm
冷房装置 S-ECAU320S
12,000kcal × 2
S-ECAU320R
20,000kcal × 1
シートピッチ940 mm 1,000 mm
(開放室)
1,300 mm
(開放室)
乗車定員 122
(座席56+立席66)
138
(座席64+立席74)
108
(座席48+立席60)
51
(開放室43+個室8)
30
(開放室23+個室7)
その他
設備装置
客室ダブルデッカー
WC有(洋式・車椅子対応)×1
(洋式・車椅子対応)×1
(男子小便所)×1
洗面所有 ×1有 ×1
その他


個室有り 1F個室
2F解放室
2F一部シアター



検索サイトから直接来られた方は、ここをクリックしてTopに移動できます