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EC300系 近郊形直流電車




↓ EC300系2.5M4.5T快速「マリンライナー」の加速力曲線



 次代の瀬戸大橋線快速「マリンライナー」用車両として、JRT6000系をベースに2000年4月1日のダイヤ改正で、先行編成1編成が登場した。

 パノラマグリーン車を含む基本4両編成と、全普通車の付属3両編成からなる。
 車体はステンレス製で全長は21.3mが基本となるが、パノラマグリーン車のみアルミ高張力鋼を採用し、全長も22mとやや長い。車体幅は2,960mm、車体高さは3,540mmとし、パンタグラフ折り畳み高さも3,890mmに抑えられている。床面高さは1,100mmが基本となる。
 パノラマグリーン車は非貫通型の低運転台、それ以外の先頭車はボタン一つで増解結作業が完了する自動幌解結装置を備えた高運転台の貫通式となる。なお、貫通扉はプラグドアとなる。連結面には転落防止のゴム幌も装備される。


 走行関係機器はJRT6000系とほぼ同じで、個別制御方式のIGBT−VVVFインバータ制御を採用しているが、連続高負荷運転を考慮して、主電動機は18000系と同じ出力300kw/hのS−MT700RS形を電動車1両に4基搭載。歯数比は4.5。
 台車はJRT6000系と同じS−DT6000/S−TR6000で、800系の台車をベースにアクティブサスペンションを省略したモノで、ヨーダンパのほか、近郊形電車としては初めてアンチローリングダンパを備えている。

 ブレーキは、応加重応速度増圧付 抑速回生/電磁誘導ブレーキ併用 電気指令式空気ブレーキで、アンチスキッド付き。基礎ブレーキ装置は全車車輪ディスク。許容最高速度は130km/h、設計最高速度は160km/hとなる。
 パンタグラフはJRT6000系と同じシングルアーム式のS―PSS8000GSXだが、海上部を走行する機会が多いことから、塩害対策の強化の他、取付部の絶縁強化などの改良が行われている。


 1号車となるパノラマグリーン車TSC301形は客室部を30cmの高床式とし、マルチヘッドホンステレオが内蔵されたリクライニングシートが、シートピッチ1,300mmで10列、1−2配列で並ぶ。
 シートモケットはマリンブルーで、防汚・防水・帯電防止処理が施される。客室窓は防曇用中間膜を挟んだUVカット付き熱線反射式複層ガラスとなる。カーテンはプリーツタイプ。
 照明は半間接式で、シャンデリアも備える。
客室にはモニタTVも備えられ、ビデオ放送や前面展望の映像なども流される。客室端部にはセルフサービスのおしぼりの収納庫も備える。デッキ部はトイレ・洗面所の他電話室もある。
 出入口扉は乗降性を考慮した幅1mの片引戸で、他車と差別化のために小窓とした上で扉全体を青く塗装した。
 また、編成中で唯一、セミアクティブサスペンションを備えて乗り心地の向上を図っている。

 2号車となるT301形は近郊形普通車としては珍しい2扉リクライニングシートで、シートピッチは1m。シート自体は12000系&18000系のモノと同じで、背面テーブルの付いたオールファブリックのセミバケットタイプとなる。出入口扉は幅1mの片引戸で2扉を有し、ライトブルーに塗装されている。
 客室窓は防曇用中間膜を挟んだ熱線反射式複層ガラスで、全て固定窓となる。カーテンはプリーツタイプ。トイレ・洗面所設備も有する。


 その他の普通車はシートピッチ940mmのオール転換クロスシートで、出入口扉は幅1.3mの両開き引戸とし、乗降性改善のために4・5・7号車の先頭車は3扉としたが、従来の311系編成と同等の座席数を確保するため、3・6号車の中間車は2扉とした。

 5号車のTC301形には、車椅子対応トイレと、車椅子対応固定設備が設けられている。

 客室窓は戸袋部を除いて、防曇用中間膜を挟んだ熱線反射式複層ガラスで、全て固定窓のみとなる。戸袋部は中間膜の無い単層ガラスだが、熱線反射は備えている。

 全車両にLED案内表示器が設置され、妻面扉はタッチオープン自動式、1・2号車の客室扉は光熱センサー併用の光電管式自動ドア。
 普通車の室内灯はグローブ付きの直接照明で、荷棚は半透明アクリル板付き。車内吊り広告の設備は無い。

 冷房装置は18000系と同じで、新冷媒を採用した強制換気付き電子制御半集中式S−ECAU2000SIVを各車2基搭載し、吹き出し口はラインフロー式。TSC301形のみ床置きとし、その他は屋上搭載としている。


 運転台構造はJRT311系とほぼ同じで貫通形先頭車は高運転台式、TSC301形はパノラマタイプの低運転台式とされ、車掌業務のためのスペースが確保されている。主幹制御器はJRT6000系と同じで、マスコン/ブレーキハンドルともJRT四国標準仕様の横軸電気接点式の2レバー式としているが、高速走行の機会が多いため、マスコンは6ノッチ式となる。
 また、311系1000番台車と同様に、瀬戸大橋線での快速運転対応装備としてオートドライブ(自動定速度走行装置)を搭載している。


 警笛はJRT四国標準仕様の電子ホーンとミュージックホーンの両方を装備。

 側面方向幕はバックライト式TFT液晶パネル、前面表示幕は虚像式となり、車体構造関係はJRT6000系と同一である。

 前照灯はハロゲン異形4灯式、尾灯はLEDで運転台窓上部に2灯備える。ワイパーは車速検知時間調整オート間欠ワイパー。

 発電用インバータは、最大4両給電が可能なECSC32Zを、3号車M300形と7号車MC300形に搭載。

 連結器は電気連結器を併用した自動解結付き密着連結器となる。

 2000年4月ダイヤ改正で、先行1編成が10日サイクルで快速「マリンライナー」に先行運用開始。



(第1次車)

 2001年4月改正で第1次形として4編成が増備され、若干の改良が加えられた。

 客室窓を普通車についてもUVカット付きとするほか、転換シート車については座席のシートバックに二段折れ機構を追加し、かけ心地の向上を図った。
 また、客室内のLED案内表示が反射式TFT液晶パネルに変更され、先行車についても改造が行われた。



(第2次車)

 さらに第2次形として、2002年4月改正で2編成、同年6月に1編成がそれぞれ増備されて、合わせて8編成となった。

 第2次形では、4号車が動力車のMC301形に変更されたが、後位側台車のみに電動機を2機搭載した「半動力車」とされた。
 これは、「マリンライナー」7両編成のMT比が2M5TとT車比率がかなり高く、雨天時などに空転が発生してトラクションコントロールが作動し、列車が多少遅延するトラブルが発生したため、その対策として行われた。
 これに合わせて、従来型の5編成についても、4号車を半M車化する改造工事を行っている。

 この他第2次形からは、事故防止の観点から、1/2号車以外の車両についても、出入口ドア全体がライトブルーに塗装された。

 なお、出入口ドアのライトブルー塗装化は、2002度中に在来編成についても施行が完了した。



(中間車・3扉化改造)

 2007年11月より、快速「マリンライナー」の自由中間車(3・6号車)の混雑緩和のため、これを従来の2扉から3扉に改造する工事を実施。
 改造は車体更新により実施されるが、種車の座席や冷房装置等の車体以外の部分は全て再利用される。対象車両は、T300形とM300形各8両の、合わせて16両。
 なお、改造に伴う型式番号等の変更はない。

 この改造のため、運用に余裕がありEC300系と仕様がほぼ同一である6000系の中間車を、一部編成に組み込んで運転された。
 本改造工事は2008年12月に完了した。



(トイレ更新)

 2008年度後半に、TSC301形とT301形のトイレが、従来の和式から洋式に更新されている。



(リニューアル改造)

 高松運転所に全8編成56両が配置され、快速「マリンライナー」に充当されていたが、2012年3月17日のダイヤ改正をもって同運用から撤退。
 グリーン車と指定席車は全車廃車とされ、その他の一般車両40両も、改番や車体の一部更新、また制御機器類の更新などの改造を受けて、瀬戸大橋線の快速「備讃ライナー」や、予讃・土讃線快速「シルバーラビット」運用に転用された。

 2012年3月から改造開始し、9月までに全車の改造を完了する予定である。


 (詳細)→ EC300系更新改造車(EC300N系)



下表は「マリンライナー」運用時の仕様
形式TSC301T301M300MC301TC301T300MC300
SCC2
1号車2号車3号車4号車5号車6号車7号車
最大寸法22,000 mm21,300 mm
2,960 mm
3,850 mm
(屋根高さ:3,540 mm)
(パンタッグラフ折畳み高さ:3,890 mm)
重量37.0 t30.0 t38.5 t39.0 t32.5 t28.5 t40.0 t
車体アルミ高張力鋼板 ステンレス鋼板
先頭部:GFRP
制御方式 個別制御式 IGBT−VVVFインバータ制御
(インバータ:日立製 or 東芝製)
トラクションコントロール搭載
電動機形式
出力
S−MT700RSS−MT700RS
300 kWh × 4300 kWh × 2300 kWh × 4
歯数比4.5
4.5
パンタグラフ形式 S−PSS8000GSX
シングルアーム式
(MC300/M300形に各1基搭載)
ブレーキ方式 応荷重・応速度増圧付 電気指令式空気ブレーキ
電動車:抑速回生発電ブレーキ併用
付随車:電磁誘導ブレーキ併用
ブレーキ装置 車輪ディスク
(4センサー3チャンネル式各輪個別制御アンチロック付き)
台車形式・方式S−DT6000/S−TR6000
ボルスタレス式
軸箱支持装置:円錐積層ゴム式
セミアクティブ
サスペンション
付き
許容最高速度 130km/h
(設計最高速度:160km/h)
加速度
減速度
起動加速度 2.8km/h/sec(2.5M4.5T)
常用最大減速度 4.2km/h/sec
非常最大減速度 5.0km/h/sec
勾配均衡速度
(2.5M4.5T時)
10‰:155km/h
20‰:130km/h
33‰:100km/h
曲線通過速度 300>R:本則+5km/h
500>≧R≧300:本則+10km/h
R≧500:本則+15km/h
電動発電機 ECSC32Z
(M300/MC300形に搭載)
出入口ドア1扉2扉 2扉
(3扉:改造後)
3扉 2扉
(3扉:改造後)
3扉
W:1,000 mmW:1,300 mm
床面高さ 1,100 mm
(TSC301形の客室部分は 1,400 mm )
冷房装置 S−ECAU2000SIV
30,000 〜 36,000 kcal/h × 2
強制換気付き
シートピッチ1,300 mm1,000 mm940 mm
乗車定員3060 120
(立席48)
102
(立席46)
94
(立席46)
120
(立席48)
102
(立席46)
(3扉改造後)
114
(立席50)
(3扉改造後)
114
(立席50)
その他
設備装置
客室 グリーン車
リクライ
ニングシート
普通車
リクライ
ニングシート
普通車
2段折れシートバック 転換クロスシート
WC洋式洋式 洋式
(車椅子対応)
洗面所



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