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DC310系 近郊形気動車
オールマイティな性能を発揮する次世代標準型気動車

(高品質PDF版:303KB)

(客室等寸法図:433KB)



 JRT四国お得意の、EC&DC姉妹車シリーズの第三弾として、EC310系よりやや遅れて2007年7月改正で15両が登場した。


 予讃線に残るキハ54/185形の置き換え用として開発。
 同車は近年リニューアル改造を受けて、性能/設備とも大幅に改善されたが、折戸式の2扉であるためラッシュ時に弱い上、JRT四国内で最後まで残った出入台ステップ付きの車両である(イベント用車両を除く)ことから、現在のバリアフリーの潮流に沿わない車輌であり、2006年から2008年にかけて、全ての車輌が車齢20年に達するため、今回置き換え対象とした。


 2007年度中に総勢33両が登場し、同年度中に予讃線・長浜線の気動車普通列車は、全てDC310系となった。
 2008年度は予土線にも投入され、DC310形27両/DC311形13両の合わせて40両が松山運転所に配置され、愛媛県内の気動車普通列車は全てDC310系で統一された。

 2009年3月改正では、長浜線の快速「ひじかわ」に展望サロン車両を連結することとし、DC318形として2009年1月に1両が落成した。

 20010年3月改正では、長浜線快速「ひじかわ」の展望サロン車両増発のため、新たにハイブリッドタイプのDC319形が2010年2月に1両が落成した。


<車体>

 車体関係は基本的に、一足先に登場したEC310系と同一車体となっている。

 車体はアルミ高張力鋼板によるダブルスキン式モノコック構造を基本とし、運転台周辺部分を乗務員保護の観点から高張力普通鋼板としたハイブリッド構造となる。

 カラーリングについてもEC310系と同一だが、窓下のラインの色を近郊形気動車であることを示す赤にに変えている。

 両運転台式のDC310形については、床下に汚物タンクを設置するスペースが確保できないことから床置きとしており、代わりにEC310形の場合は床置きとしているトイレ用水タンクを屋根上に搭載しているのが、外観上の大きな相違点である。

 客室窓は一部を除いて全て固定式の複層ガラスとし、UVカットと熱線反射を備え、グレースモークガラスとする。
 EC310系と同様に緊急脱出装置を備え、レバー操作によって窓ガラスが車体外側に外れる構造としている。
 ブラインドは、フリーストップ式のロールアップタイプ。

 展望サロン車両となるDC318/319形は、海側の窓の天地方向が拡大され、広い眺望を確保している。

 出入口扉は、乗務員室背後が幅1mの片引戸、それ以外が幅1.3mの両開き引戸として3扉を設置し、半自動開閉ボタンを備える。
 ただし、DC318/319形は片引戸2扉としている。

 正面貫通扉はプラグドアで、自動幌解結装置を搭載する。


 灯火類は、HIDビーム4灯式の前照灯と、LEDによる後部標識灯を備える。


<システム等>

 駆動系は基本的に、徳島線快速「SunLiver」用として使用中のDC300系と同一となる。

 エンジンはDC300系と同じ、R−SH4DG−DETTI型(排気量9.4L)を搭載。
 将来的には土讃線等の勾配区間を中心に、1000形をDC310系に置き換えてスピードアップを図ることとしていることから、このエンジンを2台搭載し、最高出力860PS/1時間連続定格出力640PSとした。
 変速機もDC300系と同じで、R−ECTC5S−312L形、電子制御フルレンジフルタイムロックアップ付き5段自動変速(変速モード付き5段直結式)となるが、変速比については若干変更している。

 出力に余裕があることと、床下スペースに余裕が無いことから、冷房電源は駆動機関直結としている。

 ブレーキは、機関・排気ブレーキ併用応荷重・応速度増圧付き電気指令式空気ブレーキで、基礎ブレーキ装置は全車車輪ディスクとなる。
 連結器は電気連結器併用の密着連結器。


 これらの装備により、起動加速度2.8km/h/s、最高速度130km/h、20‰勾配均衡速度113km/h、速度種別A42という性能を確保しており、33‰勾配を90km/hで登坂可能な性能を有する。


 主幹制御器はEC300系やJRT6000系、DC300系などと同じで、JRT四国標準仕様の横軸2ハンドル式とし、マスコンは疑似6ノッチ刻みの自動進段式。
 正面貫通扉や乗降ドア、冷房装置などの主要部品は、EC300系と共通。


 また地球環境対策の観点から、折り返し時や点検時などの待機中には、2基搭載するエンジンの内の任意の1基を停止しておく事が出来るようになっており、その状態ではモニタ装置に警告が表示される。再始動を忘れた場合は、前後進の切替スイッチを「前」位置にすると自動で停止中のエンジンが始動する。
 もちろん、故障時等は手動による個別切り離しも可能で、1エンジンのみの状態でも走行することは可能となっている。


<ハイブリッド車>

 2010年2月に登場したDC319形は、DC310系として初のハイブリッド車両となっている。
 基本仕様は、土讃線・高知地区で運用中の1900形気動車と同一となっている。

 エンジンを1台のみとして片側の台車のみを駆動し、もう一方の「空き」の台車にアシスト用のモータとその制御系を追加している。
 経済性をも重視した設計としており、停車時はエンジンを停止して、発車時はモーターのみで起動して一定速度以上でエンジンがアシストし、登坂などの負荷時は状況に応じてエンジンとモーターが相互にアシストする方式とする。

 搭載するモーターはEC310系と同じ物で、部品の共通化によるコストの低減を図っている。

 なお、エンジンについてはモーターとの出力バランスをとるため、従来型と同形式ながら定格出力が350馬力にアップしている。


DC319形
運転状態
駆動系の状態
停車中
 エンジンを停止し、室内灯などのサービス電源は専用バッテリから供給。
 長時間停車となる場合など、充電が必要な場合は、適宜エンジンを始動して充電を行う。
発車時
 モーターで第2台車を駆動して加速。
 40km/h以上になると、必要に応じてエンジンで第1台車を駆動してアシストする。
惰行時
 エンジンはアイドル状態となり、必要に応じて発電して、バッテリに充電する。
登坂・加速時
 エンジンで第1台車を駆動し、必要に応じてモーターで第2台車を駆動してアシストする。
降坂抑速時
 エンジンを停止し、モーターで抑速を行う。
 抑速時に発電された電力は、必要に応じてバッテリに充電、または発電ブレーキとして放熱される。
減速・停止時
 基本的にモーターを回生・発電ブレーキとして使用して減速し、必要に応じてエンジンの機関・排気ブレーキ機能を併用する。
 10km/h以下になると摩擦ブレーキを使用して停止する(非常制動の場合は最初から摩擦ブレーキを併用)。


 
 2012年3月17日改正では、土讃線の1900形気動車置き換え用のDC315形が登場。

 暫定的に約半数を置き換えて当面は共通運用とし、2012年秋のダイヤ改正で全車を置き換える予定となっている。



<客室>

 DC318/319形を除いて、基本的にJRT6000系と共通の、3扉オール転換クロスシートで、シートピッチは940mm。背もたれは2段折れタイプとなる。
 床面高さはEC300系と同一の1,100mmとし、電車専用ホームとの段差をゼロにしている。

 出入台デッキ部分の仕切(衝立)は冬季の防寒のため透明アクリル板が設置されているほか、モケット張りのクッションを設けている。
 室内灯はグローブ付きの昼白色蛍光灯となる。冷房吹き出し口はラインフロー式。

 暖房はシート下取付の電気暖房としている。

 このほかワンマン設備を有し、そのための運賃表示器等も備える。

 トイレは車椅子対応の洋式トイレが全車両に設置されている。
 トイレの隣は車いす設置スペースが設けられており、この関係でDC310形のトイレ横の座席は一人がけとなっている。


 DC318/319形は、基本となる床面高さは同じだが、客室通路部分を100mmかさ上げ、山側の座席部分をさらに100mmかさ上げしている。
 シートについても、シートピッチ1,100mmの回転式リクライニングシートを備え、全てのシートを海側に向けた状態で固定できる。

 出入台はデッキ付きとなり、光電管式空気駆動の自動ドアを備える。
 また、上り方出入台デッキには自動販売機を設置している。


<その他>

 2007年7月までに営業運転に就いた15両については、当初は単行運転時は踏切・信号関係の保安上、110km/hでリミッターが作動するようになっていたが、新型車上装置への更新により、同年9月より順次リミッターは撤去され、同月以降に落成したグループは当初からリミッターを装備していない。


 また2011年度から、EC310系やEC320系と同じJRT四国の新型標準台車である、DT320系台車への更新改造を開始。
 要部検査時、または全般検査時にS−DT320D形、およびS−DT320DR形(ハイブリッド車のモーター駆動台車のみ)に換装することとなっている。

 なお、2011年度末から製造開始となったDC315形については、当初からDT320系台車を装備している。


<今後の予定>

 2012年度を予定している高徳線全線電化完成までに、土讃線にハイブリッド仕様のDC315形(両運転台車)を20両投入して、同線の気動車普通列車を全てこれに置き換えた。
 なお、捻出された1900形は徳島へ配転となった。


 2021年3月改正に合わせて12両を増備して徳島運転所に配置。
 その他の運用変更並びに異動により、徳島地区は全てDC315形に統一され、1900形気動車は全車運用を離脱する計画となっている。


ハイブリッド式


DC310
(両運転台)
DC311
(片運転台)
DC318
(両運転台)
DC319
(両運転台)
DC315
(両運転台)
C8C9C5
製造初年2007/52007/52009/12010/22012/2
両数28131110



21,300 mm
2,960 mm
最大高 3,800 mm最大高 3,680 mm最大高 3,800 mm
(屋根高さ:3,450 mm)
重量40.5 t39.5 t40.8 t42.0 t42.0 t
車体 アルミ高張力鋼板中空押出
ダブルスキンモノコック構造
制御方式液体式






機関形式 R−SH4DG−DETTI
(排気量9.4L)
内径×行程145 × 140 mm
排気量9,243 cc
出力 定格:320PS/2,000rpm × 2
最大:430PS/2,600rpm × 2
定格350PS×1
最大460PS×1
変速機形式 R−ECTC5S−312L
電子制御
フルレンジフルタイムロックアップ付
5段自動変速
(3要素1段2相式)




最終減速比3.300
1速2.400
2速1.800
3速1.350
4速0.975
5速0.700


電動機形式S−MT310
出力130kWh×2
制御方式 個別制御式
IGBT-VVVF
インバータ制御
歯数比6.5
ブレーキ方式 応荷重・応速度増圧付
電気指令式空気ブレーキ
機関・排気ブレーキ常時併用
抑速回生
ブレーキ付き
(バッテリ満充電時
は発電ブレーキ)
基礎ブレーキ装置 油圧キャリパ式 車輪ディスク
(4センサー3チャンネル式各輪個別制御アンチロック付き)
台車形式・方式 S-DT6000

S-DT320D へ順次換装中
S-DT6000
(エンジン駆動)
S-DT6000ER
(モーター駆動)
S-DT320D
(エンジン駆動)
S-DT320DR
(モーター駆動)
ボルスタレス式
軸箱支持装置:円錐積層ゴム式
車輪直径:840 mm
連結器 密着連結器
電気連結器併用
許容最高速度130km/h
加速度
減速度
起動加速度 2.8km/h/sec
常用最大減速度 4.2km/h/sec
非常最大減速度 5.0km/h/sec
勾配均衡速度 10‰:142km/h
20‰:113km/h
33‰: 90km/h
曲線通過速度 300>R:本則+5km/h
500>≧R≧300:本則+10km/h
R≧500:本則+15km/h
出入口ドア数・幅3扉2扉3扉
1,000mm片引戸 × 2
1,300mm両開 × 1
1,000mm片引戸 × 1
1,300mm両開 × 2
1,000mm片引戸 × 2 1,000mm片引戸 × 2
1,300mm両開 × 1
冷房装置 S−ECAU2000SIV
電子制御半集中式/強制換気付/新冷媒採用
12,000 〜 30,000 kcal/h × 2
床面高さ1,100 mm1,100〜1,300 mm1,100 mm
シート・配置 転換式クロスシート
2段折れシートバック
回転式
リクライニングシート
転換式クロスシート
2段折れシートバック
シートピッチ940 mm1,100 mm940 mm
窓ガラス UVカット・熱線反射式 複層合わせガラス
運転室:防眩クリヤー(一部ブロンズ)/客室:グレースモーク
乗車定員 103
(立席:60)
121
(立席:73)
36
(立席:0)
103
(立席:60)
WC 洋式
(車椅子対応)
その他

客室自動ドアあり
(光電管式空気駆動)
洗面所あり






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