高徳線 阿波大宮駅 | |
2017年12月13日 |
うずしお32号 予讃線 高松駅 2017年11月29日 |
<概況>
高松から徳島県の県庁所在地徳島を結ぶ特急列車で、一部岡山まで乗り入れる列車もある。 高松〜徳島間に2700系下り10本/上り9本と、2600系4往復、それにキハ185系が1往復、岡山〜徳島間に2700系2往復の、合わせて下り17本/上り16本という運転本数は、気動車特急としては日本の鉄道史上で最多である。 2700系/2600系/キハ185系いずれも高松運転所所属の車輌であり、同一愛称で3車種の車両が運用されているのは、JR在来線特急としては2020年7月改正以降で最多となっている。 岡山直通の2往復は、宇多津〜岡山間は「南風」との併結となり、この列車は高松と宇多津で2回進行方向が変わる特急列車として珍しい。 キハ185系は「ゆうゆうアンパンマンカー」を連結した際にはさらに専用のデザインとなるため、全部で3種類のヘッドマークが存在する。
キハ185系気動車座席番号表
(1/8号) 2600系気動車座席番号票 2600系気動車の室内 (1/8/11/14/17/20/23/26号) 2700系気動車座席番号表 2700系気動車の室内 (上記以外) |
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<HISTORY> 1988年4月10日のダイヤ改正でそれまでの急行「阿波」を格上げする形でキハ185系により岡山〜徳島間1往復、高松〜徳島間10往復の合わせて11往復が登場。 同年7月には1往復が季節列車として岡山まで延長運転された。 当初よりエル特急指定であった。 列車番号は、51D〜 が付与された(但し岡山行列車は+5000番)。 1989年3月11日改正で、岡山〜高松間の季節列車が定期列車化され、岡山〜徳島間2往復/高松〜徳島間10往復となる。 GWの増結により、単独運転で堂々(?)5両編成の「うずしお」
うずしお4号 山陽本線 岡山駅 1989年5月2日 キロハ側にキハの運転台を向けて連結した大変珍しい編成であった うずしお7号 山陽本線 岡山駅 1989年5月2日 1990年11月21日改正では再度急行「阿波」を格上げ・吸収して、岡山〜牟岐間1往復/岡山〜徳島間1往復/高松〜牟岐(海部)間2往復/高松〜徳島間9往復の合計13往復となった。 ヘッドマークデザインについても変更が行われ、緑の地に渦潮をイメージしたデザインのモノになった。 なお、「岡山うずしお」については基本3両編成モノクラスとされたが、牟岐線直通列車については3号車は徳島回転とされ、牟岐線区間は2両編成モノクラス全車自由席車であった。 1991年3月16日改正では、運行体系に変化はないが、列車番号が10番繰り下がって61D〜 となった。 1992年3月26日に阿佐海岸鉄道の海部〜甲浦間が開業し、3往復が普通列車として甲浦まで乗り入れるようになった。 1996年3月16日改正では、6往復にグリーン車(キロハ186)が連結された。 「岡山うずしお」は全てグリーン車を連結した編成とり、全体の本数は13往復のまま、下記のような体制となった。
※ ( )内はグリーン車連結 轟音を立てて吉野川橋梁を渡るキハ185系
うずしお7号 高徳線 吉成〜佐古間 1997年9月22日 キロハを組み込んだ3両編成で運転される、甲浦〜岡山間直通の「うずしお」 うずしお14号 高徳線 阿波大宮〜板野間 1997年9月22日 田井ノ浜駅を通過する「うずしお」ももう昔話 「うずしお」歴代で最長運転区間の列車だった、甲浦発岡山行の14号 うずしお14号 牟岐線 田井ノ浜〜由岐間 1997年12月15日 1997年11月29日改正で、「エル特急」の呼称をやめている。 1998年3月14日改正で久しぶりにテコ入れが行われ、1往復増発されて14往復体制とされると共に、遅ればせながら岡山〜徳島間2往復/高松〜徳島間1往復の3往復にN2000系が投入された。 残り11往復はキハ185系で、「剣山」との共通運用となる関係上、高松〜牟岐(甲浦)間下り2本/上り1本、高松〜徳島間下り9本/上り10本となる。 また、N2000系についてはヘッドマークデザインが変更され、赤地に渦潮をデザインしたモノが新たに採用された。 デビューからまだ間もない、N2000系「うずしお」
岡山直通は所定4両編成であった うずしお16号 予讃線 讃岐府中〜鴨川間 1998年5月1日 うずしお16号 予讃線 鬼無〜端岡間 1998年9月16日 1998年10月3日改正ではさらに1往復が増発されて15往復体制となり、そのうちの8往復にN2000系が充当され、残り7往復をキハ185系が担当。 N2000系が岡山〜徳島間2往復/高松〜徳島間6往復、キハ185系が高松〜牟岐(甲浦)間下り2本/上り1本、高松〜徳島間下り5本/上り6本となる。 このときに、キハ185系についてはグリーン車の連結が廃止されて、N2000系も含めて再び全列車がモノクラス編成となった。 1999年3月13日改正では1往復を除いた全列車が量産車を含めた2000系化され、スピードアップが図られたが、牟岐直通が廃止されて全列車が徳島折り返しとなった。2往復の岡山直通はもちろんN2000系である。 なお、2000系は土讃線運用を外れたTSEが戦列に加わっている。 2000系TSEの前面のステッカーは、前年末の土讃線の災害復旧記念ステッカーで、
当時TSEは土讃線で運用に就いていたために貼付されたものだが、 この年の3月改正で「うずしお」運用に転用された後も、別意匠のものに貼り替えた上で 2000年一杯までは貼付されたままだった。 うずしお14号(左)/うずしお13号(右) 高徳線 造田駅 1999年3月14日 N2000がこのカラーリングで「うずしお」運用に入っていたのは 98年3月改正から99年末までの間であった うずしお19号 予讃線 鬼無駅 1999年8月10日 塗色変更前の2424形を組み込んだ3両編成 うずしお8号 高徳線 木太町〜屋島間 1999年8月28日 N2000の間に量産車2200形を連結した編成 うすじお9号 予讃線 高松駅 2000年2月2日 GWの増結で5両編成に増結された「うずしお」 この当時は単独運転で宇多津短絡線を経由していたため、この区間では貫通幌が上り方に付いていた うずしお8号 宇野線 備前西市駅 2000年5月6日 2000年10月1日(時刻修正)から、通勤時間帯にかかる上り「2号(N2000系)」が5両編成化され、その関係で1往復がN2000系から2000系TSEに車種変更された。なお、運転時刻に変更はない。 2001年3月3日改正では、岡山直通列車の時間帯が振り替えられ、併せて宇多津〜岡山間は「南風」との併結となった。これによって、岡山直通の「うずしお」は、全国でも珍しい途中2度方向転換する特急列車となった。 また、従来の「いしづち2号」と「いしづち92号」の運転時間帯振り替えにより、「いしづち92号」を「うずしお3号」のスジに結合する形で直通運転が行われ、伊予西条〜徳島間という特異な列車が1本のみ誕生している。 これに合わせて「うずしお3号」は5両編成化され、TSEが充当された。 なお、当時既に2101形は正面の貫通扉を閉鎖していた模様で、その関係でTSEは2001形と2101形の運用が分けられ、2101形が編成中間に入ることがないように運用が組まれた。 さらにこの改正では、車両運用の都合によって1往復が2000系からキハ185系に車種変更された。 2002年10月6日から特急「剣山」の一部に、キロハ186形「ゆうゆうアンパンマンカー」が週末および多客期に連結されるようになったのに伴い、その送り込みおよび帰区回送を兼ねてキハ185系運転の列車に同車が連結されるようになった。 「南風」と連結して7両編成で発車を待つ
うずしお10号 予讃線 宇多津駅 2003年3月30日 多度津駅で「南風」と並ぶ、TSEを組み込んだ5両編成の伊予西条発徳島行の3号 うずしお3号(右:左は「南風2号」) 予讃線 多度津駅 2003年9月17日 翌日の同じ列車(この日は実際に多度津から徳島まで通しで乗車) 2101形は既に貫通路を閉鎖していたため、2001+2201+(2100形量産車)+(N2450)+2101 という編成となっている うずしお3号 予讃線 高松駅 2003年9月18日 2003年10月1日改正では、伊予西条〜徳島間直通の3号が高松で系統分離され、伊予西条直通は無くなった。 また、TSEが「うずしお」運用から離脱したほか、キハ185系列車が再び2往復のみとなった。 2005年3月1日改正では、早朝の上り始発1本と、深夜最終の下り1本が増発された。 これで、高松〜徳島間に2000系12往復/キハ185系2往復、岡山〜徳島間にN2000系2往復の、合わせて16往復となった。 量産車による3両編成
うずしお14号 高徳線 木太町〜屋島間 2005年7月29日 量産車でN2500を挟んだ3両編成 うずしお13号 高徳線 木太町〜屋島間 2006年1月28日 量産車とN2000系の混結2連 うずしお12号 高徳線 讃岐津田〜鶴羽間 2007年5月26日 2008年3月15日改正では、運行体系等に変化はないが、列車番号がそれまでの2桁(岡山直通列車は4桁)から、3001D〜 の4桁に変更となった(岡山行列車は+2000番)。 山間の駅で行き交うN2000系
うずしお14号(左)/9号(右) 高徳線 阿波大宮駅 2008年5月12日 お盆と阿波踊り対応で5連に増結された「うずしお」 うずしお17号 高徳線 オレンジタウン駅 2008年8月14日 白昼堂々2424形を先頭にした5両編成 うずしお18号 高徳線 徳島駅 2008年8月15日 うずしお8号 予讃線 高松駅 2008年10月31日 朝の「通勤特急」がそのままの”長大”編成で折り返す うずしお3号 予讃線 高松駅 2008年10月31日 2009年3月14日改正からは、N2000系充当列車の1号車に喫煙ルームが設置された。 2011年3月12日改正では、下り3号の編成を分割する形で、高松〜徳島間に下り列車が1本増発された。 車輌面では、従来量産車で運用していた列車について、従来「南風」運用に入っていたN2000系と入れ替えを行い、結果、キハ185系で運転される2往復を除いた全ての列車がN2000系での運転となった。 これにより、高松〜徳島間にN2000系下り13本/上り12本と、キハ185系2往復、岡山〜徳島間にN2000系2往復の、合わせて下り17本/上り16本となり、気動車特急としての最多記録をさらに塗り替えた。 また、喫煙ルームについては廃止された。 2012年3月17日改正では、従来高松〜徳島間で途中志度・三本松のみに停車していた「殿様列車」が、新たに栗林・板野に停車することになったことから、事実上「殿様列車」が消滅した。 2016年3月26日改正では、「うずしお」には全く変更はないが、同じ四国の「宇和海」が増発により下り17本/上り16本と「うずしお」と同じ本数になったことから、従来は「うずしお」単独で気動車特急として日本一の運転本数であったが、今改正からは「宇和海」と同数首位となった。 阿波踊りシーズンの増結により6両で運転されたキハ185系
なお最後尾(手前側)の車両は前面塗り分けが他車と異なる「異端」車のキハ185−1014 (運転所への回送列車) うずしお32号 予讃線 高松駅 2017年8月15日 普段の32号は2両のミニ編成 うずしお32号 予讃線 高松駅 2017年11月29日 2017年12月2日からは、2600系気動車が営業列車として投入され、9/14/15/20/21/26号の3往復に充当開始された。 2018年3月17日改正では、早朝の下り始発が2600系気動車で増発され、代わりにN2000系の下り最終が廃止された。 このほか、上り1本がN2000系から2600系に置き換えられ、さらに昼の上りと夜の下りのキハ185系1往復がそれぞれ2600系/N2000系化された。 これにより、使用車種毎の本数はN2000系11.5往復、2600系4往復、キハ185系1往復となった。 細かい点では、利用が好調なのかN2000系の3両編成列車が増えている。 2019年3月16日改正では、特に変更は無い。 2019年8月6日から同年9月27日まで、本来2600系の運用となる4往復に、運転日を限定して新型2700系気動車が充当されている。 うずしお20号 高徳線 神前〜讃岐津田間 2019年8月8日 2458+2424の2連 うずしお22号 高徳線 志度〜オレンジタウン間 2019年8月8日 うずしお23号 高徳線 志度〜オレンジタウン間 2019年8月8日 2019年9月28日からは、2700系による2600系の代走的運用は無くなり、代わりに朝の「通勤うずしお」をはじめとする下り8本と上り7本に、2700系が定期運用で導入された。 これにより使用車種と運転本数等は、岡山〜徳島間2往復と高松〜徳島間2往復がN2000系、高松〜徳島間下り8本/上り7本が2700系、高松〜徳島間4往復が2600系、高松〜徳島間1往復がキハ185系という陣容となる。 実に4車種もの気動車が定期運用に充当される特急列車は、日本の鉄道史上でも初で最多となる。 多数の車種が運用される「うずしお」
異種系列同士の離合シーン うずしお12号(左:2700系)/11号(右:2600系) 高徳線 阿波大宮駅 2019年11月20日 うずしお14号(左:2600系)/13号(右:2000系) 高徳線 阿波大宮駅 2019年11月20日 うずしお15号(左:2700系)/16号(右:2000系) 高徳線 讃岐相生駅 2019年11月20日 2020年3月14日改正では、特に変更は無い。 2020年7月18日より、2700系の追加増備に伴ってN2000系4往復が全て2700系に置き換えられ、これにより1998年3月改正から「うずしお」で活躍を続けていた2000系が定期運用から撤退した。 結果、使用車種と運転本数等は、2700系が岡山〜徳島間2往復と高松〜徳島間下り10本/上り9本、2600系が高松〜徳島間4往復、キハ185系が高松〜徳島間1往復という体制となった。 2021年3月13日改正では特に変更はないが、予讃線の「宇和海」が下り1本が廃止されて16往復の運転となったことから、「運転本数の多い気動車特急」の単独1位となった。 2022年3月12日改正では、運転時刻や運転系統に変更はないが、一部所定編成両数の見直しが行われた。 2022年のお盆シーズンは、2700系を「南風」「うずしお」に総動員する形で増結運転が行われ、「南風」との併結8両編成が復活した
また、土佐くろしお鉄道保有の2780+2730も「うずしお」運用に入り、大変貴重なシーンとなった
2023年3月18日改正では、特に変更はない。 2024年3月16日改正では、一部列車で運用の立て替えが行われ、キハ185系および2600系の充当列車が変更となったが、基本的な運行ダイヤや使用車種とその運用本数には変更はない。 |
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<前史>
「うずしお」という愛称名は、1961年から72年まで、大阪(新大阪)〜宇野間を走っていた特急電車として使用されていたことがある。 1961年10月改正で、大阪〜宇野間の四国連絡特急として1往復が登場した。 64年10月改正では、東海道新幹線接続の為に始発駅が新大阪に変更された。 68年10月改正での愛称名統合の折り、同じ区間を走っていた特急「ゆうなぎ」1往復を吸収すると共に1往復が増発されて3往復体制となった。 72年3月の新幹線岡山開業時のダイヤ改正で、その使命を終えて廃止された。 |
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<私見>
本数的には16.5往復とほぼ申し分ないが、停車駅が多すぎることからスピード面で不満が残る。 ダイヤ改正ごとに停車駅が増え、所要時間も延びている。かつては、高松〜徳島間を1時間未満で到達する列車が最大で7本存在したが、現在では「岡山うずしお」1往復のみとなってしまっている。 これは別に高徳線に限ったことではないが、四国の特急の場合は急行列車時代のサービスを引き継いでおり、定期券で特急列車に乗車できるほか普通列車の本数が少なくてしかも各駅停車ばかりなので、特急列車が快速列車的な役割も持っているために停車駅が増える傾向がある。 個人的な案としては、全列車停車は志度・三本松のみとし、栗林・屋島は通勤時間帯以外は選択停車、讃岐津田・讃岐白鳥は通勤時間帯以外全列車通過、そして引田・板野・池谷・勝瑞も少なくとも2駅通過の選択停車として、高松〜徳島間は通勤時間帯以外は途中5駅停車で1時間未満の所要時間を目指すべきである。 さらに、一部の列車を牟岐までとは言わないので、せめて阿南まで延長して利便性を向上させたいところである。 「むろと」のような鈍足特急を牟岐まで持って行くぐらいなら、たとえ振子を止めてでも2700系で運転する方がずっとマシである。 かつて、高松〜徳島間の旅客輸送は「うずしお」の独壇場であったが、高速道の延伸と4車線化によって高速バスや自家用車に相当数が移ってしまっており、そろそろ次の手を打つべきではないかと思う。 ただ、現状では車種による所要時間の大きな差が無く、敢えて高徳線で2700系を運用する意味に少々疑問を感じざるを得ず、2600系で十分対応可能ではないかとも思える。 |