8000系
制御付振子式特急形直流電車

(第1次リニューアル車 S編成)

予讃線 高松駅
2004年10月30日
(第1次リニューアル車編成)

予讃線 讃岐塩屋〜多度津間
2004年12月30日

(第2次リニューアル車編成(NN8000系))

予讃線 高松駅
2023年12月26日




 2000系気動車の成功によって制御付振子車両の有効性が証明されたため、JR四国では電化工事の進む予讃線用の振子式特急電車を開発。


 1992年に3両編成の先行試作車が登場。
 同年9月19日から、臨時特急「しおかぜ」「いしづち」で試運転を兼ねた季節列車として営業運転を開始した。

 なお、8月15〜16日に臨時列車として運行されているが、JR四国公式としては9月19日から正式に営業運転デビューという見解となっている模様である。

 「JR四国ニュース No.59 (1992年9月1日発行)」より(PDFファイル)



 1993年3月改正で「瀬戸内海の疾風(はやて)」と銘打って量産車が登場。試作車との外観上の違いはわずかだが、主電動機がパワーアップされたほか電動車のユニット方式等に変更があった。

 試作車はレールブレーキ(ブレーキシューをレールに押しつけて制動力とするブレーキで非常用)を試験的に装備し、予讃線でその性能試験などを実施していたが、量産車では採用は見送られ、試作車のも量産化改造時に撤去された。
 その他、車体の傾斜に関わりなくパンタグラフを常時一定の位置に固定して常に安定した集電性能が得られるようにするため、パンタグラフ制御装置が日本で初めて採用された。


「振り子車両とは?」「8000系電車の新技術」参照


 このほか8000系では当初、曲線通過速度の本則+40km/hを前提に最大振子角7度を目標に設計されたため、2000系よりも車体上下(特に裾)の絞りがさらにきつくなっている。
 結局開発期間等との兼ね合いから7度傾斜は断念されたが、試作車・量産車共に7度傾斜に対応した車体断面を持っている。

 同改正で試作車と合わせて44両が予讃線特急「しおかぜ」「いしづち」に投入され、従来型の181系や185系から置き換えられた「いしづち」全列車や「しおかぜ」の一部は岡山・高松〜松山間で平均約20分の時間短縮を達成した。


 1997年3月のダイヤ改正に合わせて更に4両が増備された。
 この4両は、増結用のS編成(3両編成)1本と、基本L編成の中で1編成のみ存在した4両編成の5両化のための1両で、これにより基本編成(5両編成)L1〜L6編成が6本、付属編成(3両編成)S1〜S6編成がこれも6本で、合わせて48両が松山運転所に配属されて、その後約20年間この体制が維持された。



 2004年秋から、(第1次)リニューアル改造が始まった。

 カラーリングが変わったほか、座席指定席車はシートや化粧版も変更されて、内外装イメージが大きく変わっている。
 2006年11月25日現在、最後までオリジナルの姿で残っていたS1編成がリニューアルを終えて営業運転に就いているのが確認されており、これで全車両のリニューアル改造が完了した。


 2018年にS1編成が廃車になったとの情報があり、同年6月25日には同編成が多度津工場内で留置されているのを確認した(撮影は翌日)。
 どうやら、書類上は2018年3月末をもって廃車となった模様である


3枚とも2018年6月26日撮影



 
 2023年度から第2次リニューアル工事が始まり、同年12月末からまずはS4編成が営業運転に就いた。
 2024年度にはL編成も登場し、以後2027年度までの間にかけて、全編成のリニューアルが完了する計画となっている。




型録(外観)最終更新:2023年12月28日
型録(室内)最終更新:2023年12月28日
座席番号表最終更新:2023年12月28日
諸元表最終更新:1997年 1月31日
走行路線最終更新:1997年 1月31日




しおかぜ54号
予讃線 讃岐塩屋〜多度津間
1993年1月2日

 クロハを組み込んだ先行試作車3両編成で運転される「しおかぜ」。

左:しおかぜ3号+いしづち7号
右:いしづち10号
予讃線 大西駅
1993年3月

 登場時は運転助手席側にも大型ワイパーを備えていたが、1年ほどで撤去された。

いしづち9号
予讃線 菊間駅
1993年3月

 97年11月改正まではL編成単独の高松〜松山間通し運用があった。

いしづち10号
予讃線 伊予小松〜玉之江間
1993年5月

 L2編成は登場時から97年11月までは4両編成となっていた。


しおかぜ10号+いしづち10号
予讃線 海岸寺〜詫間間
1999年8月13日

 98年3月改正で全編成が方向転換されてL編成が上り方を向くようになった。

しおかぜ12号+いしづち8号(左側)
予讃線 伊予桜井駅
2003年8月10日

 松山まで乗り入れるサンライズ瀬戸(右)と交換。
 

しおかぜ20号+いしづち20号

予讃線 讃岐塩屋〜多度津間
2005年8月1日

 2004年からはじまったリニューアルの移行期間中は混色編成も見られた。

いしづち17号+しおかぜ13号

予讃線 玉之江〜壬生川間
2008年3月4日

 混色編成で玉之江のカーブを行く。

しおかぜ15号+いしづち15号

予讃線 海岸寺〜詫間間
2014年3月16日

 2014年3月改正で再び全編成が方向転換し、結局登場時の向きに戻った。

しおかぜ17号+いしづち17号

予讃線 宇多津駅
2016年3月30日

 2016年3月改正から登場したアンパンマン編成。
 L3編成とS3編成が充当されている。

S6編成が充当されており、
2018年2月末までの予定となっている

上:予讃線 讃岐塩屋〜多度津間
下:予讃線 香西〜鬼無間
2017年4月19日

 台湾鉄道との友好鉄道協定締結1周年を記念して、2017年3月から登場した台湾鉄道800型カラーのラッピング車両。

予讃線 高松駅
2017年11月29日

 そのロゴマーク。
 先頭車の「ほっぺ」の部分に貼付されていた。

いしづち22号+しおかぜ22号

予讃線 川之江駅
2019年1月17日

 川之江でEF65形牽引の貨物列車を追い越すアンパンマン8000系。

多度津工場
2019年2月28日

 検査のため工場入場中のL1編成。8001形は切り離されて別の場所で作業中
 8000系は2000系気動車と異なり編成単位で検査を受ける。




試運転列車

 1両単位で運用される2000系気動車と異なり、8000系の場合は編成単位で運用されることから、車両点検も1編成ごとに行われる(そのために編成数も所要数に予備を1編成プラスされている)。
 そのため、検査出場の試運転も編成単位となり、基本的に2000系などのような尻切れトンボにはならないので、趣味的観点で見れば面白味には欠けるが、ピッカピカの新車のような綺麗な姿で疾走していく様は美しい。
S4編成

予讃線 海岸寺〜詫間間
2018年12月22日
S4編成

予讃線 多度津駅
2018年12月22日

 LEDは「回送」表示であった。
L1編成

予讃線 海岸寺〜詫間間
2019年3月7日

 先行試作車唯一の生き残りである8001形を連結したL1編成。
L1編成

予讃線 多度津駅
2019年3月7日

 表示は「試運転」。
L5編成

予讃線 海岸寺〜詫間間
2020年2月6日
L5編成

予讃線 多度津駅
2020年2月6日

 「試運転」の英語表記は、鉄道会社によっては「Trial」と表記するところもあるが、個人的に点検後の動作確認も兼ねているのだからこのように「Test Run」で適当ではないかと思える。
L5編成

予讃線 多度津駅
2020年2月6日

 ピッカピカに整備された台車が気持ちいい。
L6編成

予讃線 本山〜観音寺間
2020年3月19日





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