型 録

 8000系電車の外観写真です。画像をクリックすると、より大きな画像が表示されます。





形式写真&外装(第2次リニューアル車)
形式写真&外装(リニューアル車)
形式写真(量産車)
形式写真(先行試作車)
足回り
屋 根
その他外装


 8000系では先行試作車の設計段階で、最大振子角度7度として曲線通過速度を最高で本則+40km/hとすることが計画され、車体断面もそれを考慮したものとなっているほか、屋根高さも車両重心も2000系よりもさらに低く下げられている。
 結局、7度傾斜と本則+40km/hは営業運転では実現しなかったが、それに対応した基本設計は量産車にもそのまま踏襲された。

 2000系と8000系と比較すると、8000系の方が車体上半部の傾斜(内傾)と車体裾部の絞り込みが強くなっているのが判る。


 このほか、パンタグライフ折り畳み高さに関しては一足先に登場した7000系と同じ設計思想が取り入れられ、3,890mmという高さを実現している。

 これは予讃線の愛媛県内区間電化の際、本来架線高さは5mとする旨定めされている手普通鉄道構造規則において、状況により架線の高さはパンタグラフ折り畳み時の高さに250mmをプラスした高さまで下げることが出来るという例外規定が設けられており、予讃線電化の際にはこれを適用し、JR四国では種々の工夫を凝らして最低架線高さ4,250mmを確保した。

 7000系設計の際には、将来土讃線や高徳線を電化した際にさらに架線高さを下げることが出来るように、そこからさらに110mmの余裕を見込んで、3,890mmというパンタグラフ折り畳み高さを実現しており、8000系にもそれが踏襲されたものである。





第2次リニューアル車

 量産車登場から30年、第1次リニューアル車の登場から19年が経過した2023年度から、第2次リニューアルが始まった。

 今回も内外装の大幅な変更が行われ、8600系とイメージを揃えたカラーリングに、編成としての一体感と連続性を持たせたスマートなデザインとなっている。


 なお、前頭部分の一見黒に見える部分は、実際は深いグリーンのようでもある


 2023年12月現在、主に「いしづち」に充当されるS編成1本のみが運用中である。

<S4編成> 2023年12月 リニューアル完了
 8204形+8306形+8504形


 2027年度までに全編成のリニューアルを完了する計画となっている。

(準備中)8000形 (1号車)

 下り方先頭の8000形。
 下り方半室が指定席グリーン室、上り方半分が普通車指定席車。

(準備中)8100形(8102〜) (2号車)

 「しおかぜ」編成2号車。
 普通車指定席の8100形。

(準備中)8150形 (3号車)

 「しおかぜ」編成3号車。
 普通車指定席車となる8150形。

(準備中)8300形 (4号車)

 「しおかぜ」編成4号車の8300形。

(準備中)8400形 (5号車)

 8400形のリニューアル車。
 「しおかぜ」編成5号車の自由席車。

8204形
8200形(8202〜) (6号車)

 8200形の再リニューアル車。
 「いしづち」用S編成6号車の自由席車。

 外観イメージが大きく変わっただけでなく、床下機器にも変更が加えられ、インバータ制御装置が新しい物に更新されている。
8306形
8300形 (7号車)

 S編成7号車・8300形の再リニューアル車。

 多目的室が撤去されて乗車定員が4人増え、落成当初の68名に戻った。
8504形
8500形 (8号車)

 8500形の再リニューアル車。
 通常は「いしづち」8号車の指定席車となる。

8500形側面ロゴ

 先頭部分には、8600系にも使用されている、「SETOUCHI STREAM EXPERESS」をあしらったロゴマークが付いている。
転落防止幌

 第2次リニューアルに際しては、連結部分に転落防止幌が新たに装備された。



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リニューアル車

 2004年秋から始まったリニューアル改造ではカラーリングが大きく変更され、大幅にイメージが変わっている。
 従来のオーソドックスなカラーリングから脱却して、(四国の車両としては)かなり派手になっている。

 出入口付近のカラーリングは、グリーン車が赤、普通車指定席車が青、普通車自由席車がオレンジ基調となっており、結果、8号車の8000形は2色塗りとなっている。

 ちなみに、この3色はそれぞれ、椿・蜜柑・瀬戸内にちなんだカラーとなっている。
 (当時のJR四国公式のパンフレットより


 2006年11月25日現在、最後まで残っていたS1編成のリニューアル完了を確認。これで全車両のリニューアル改造が完了した。


<L1編成> 2006年3月 リニューアル完了
 8001形+8107形+8157形+8301形+8401形
<L2編成> 2006年10月(?) リニューアル完了
 8002形+8102形+8152形+8310形+8402形
<L3編成> 2005年3月 リニューアル完了 → 2016年3月26日〜 アンパンマン仕様化
 8003形+8103形+8153形+8303形+8403形
<L4編成> 2004年10月 リニューアル完了
 8004形+8104形+8154形+8307形+8404形
<L5編成> 2005年10月 リニューアル完了
 8005形+8105形+8155形+8309形+8405形
<L6編成> 2006年?(春?)月 リニューアル完了
 8006形+8106形+8156形+8305形+8406形

<S1編成> 2006年11月 リニューアル完了 (2018年3月廃車?)
 8201形+8101形+8501形
<S2編成> 2006年8月(?) リニューアル完了
 8202形+8302形+8502形
<S3編成> 2005年10月 リニューアル完了 → 2016年3月26日〜 アンパンマン仕様化
 8203形+8304形+8503形
<S4編成> 2006年4月 リニューアル完了
 8204形+8306形+8504形
<S5編成> 2005年4月 リニューアル完了
 8205形+8308形+8505形
<S6編成> 2004年10月 リニューアル完了
 8206形+8311形+8506形


 2014年3月15日改正では、全編成の方向転換が実施され、8000形グリーン車が下り向きの先頭となるように変更された。
 8000系は1998年3月改正の時に全編成の方向転換を実施しており、今回の方向転換により、結局元の向きに戻ったことになる。

 2016年3月26日改正からは、L3編成とS3編成がアンパンマン仕様に変更され、専用仕業に就いている。


 アンパンマン車両の外装についてはこちらを参照。

8000形 (1号車)

 下り方先頭の8000形。
 下り方半室が指定席グリーン室、上り方半分が普通車指定席車。

 グリーン車のイメージカラーは赤で、8500形とはまた違ったイメージになっている。


 なお、8506形ではリニューアルに際して運転助手席側のワイパーが復活していたが、8000形についてはワイパーの復活した車両は存在しない。

8100形(8102〜) (2号車)

 「しおかぜ」編成2号車。
 普通車指定席の8100形。

 シートのカラーがグリーン車と同じブルー基調となっており、オレンジ基調の8150形と内装イメージがかなり異なっている。

 外観上は、ドアと窓の配置や屋根上機器配置が8300形と同じだが、カラーリングが異なっている。

8150形 (3号車)

 「しおかぜ」編成3号車、普通車指定席車となる8150形。

 内装は基本的に8号車の8500形と同一で、オレンジ基調の新タイプのリクライニングシートを装備する。

8300形 (4号車)

 「しおかぜ」編成4号車の8300形。

 多目的室(旧喫煙室)の有無以外は、「いしづち」編成7号車の8300形と同一仕様である。
 基本的に自由席車となるが、多客時に「しおかぜ」が8両運転となるときは、指定席車となるのでご注意。

8400形 (5号車)

 8400形のリニューアル車。

 「しおかぜ」編成5号車の自由席車。

 4号車同様、外観の塗り分けが変わっただけで内装は従来通りである。


 リニューアル当初、この車両は編成中で唯一の「喫煙車両」であり、また編成中で唯一、車椅子対応設備のある車両でもあるのだが、2004年12月号の時刻表で全国のJR特急については、車椅子対応車を喫煙自由席車にしているのは、四国以外では皆無であった。
 なお2008年3月改正で、四国内の特急は全車禁煙車となり、この問題については解消している。


8201形 (6号車)

 S1編成6号車の8201形。

 先行試作車のうちの1両で、他の8200形が1M方式となるのに対して、こちらは常に8101形とユニットを組んで運用される。
 客室設備等は、他の8200形と同一。

8200形(8202〜) (6号車)

 8200形のリニューアル車。

 「いしづち」用S編成6号車の自由席車。
 基本的に外装の変更のみとなっており、室内は従来のままである。

 S1編成6号車の8201形とは、モーターや台車、床下機器類の配置、それに出入口ドア窓の大きさなど、細部にかなりの違いがある。

8300形 (7号車)

 多目的室(旧喫煙室)を備える、8300形のリニューアル車。
 「しおかぜ」編成用5号車の8300形とは、多目的室の有無以外は相違点は無い。

 外装は大きく変わったが、室内は下り方の座席4席分を撤去して多目的室が設けられた以外は、変更は加えられていない。

 なお、多目的室隣の座席(15番A/B席)が、高松向きに固定されて、回転できなくなっている。


8101形 (7号車)

 S1編成7号車の8101形。

 先行試作車のうちの1両で、他の8100形とは仕様が異なり、常に8201形とペアを組む。
 客室設備は、他のS編成7号車の8300形と同一である。

8501形


8506形


8502形
(パンタ撤去車)
8500形 (8号車)

 8500形のリニューアル車。
 「いしづち」8号車の指定席車となる。

 カラーリングと客室内装が全面刷新された。
 運転助手席側のワイパーについては、S6編成の8506形は復活しているが、それ以外の車両については撤去されたままとなっている。

 左の画像は、下側が唯一助手席側ワイパーを装備する8506形。
 上がトップナンバーの8501形で、8506形以外の8500形はこの姿となっている。

 それ以外のメカニズム面では特に変更は無い。


 なお8500形については、2010年以降はコンプレッサー動作用の電源を8200形から供給を受けるように改造され、その関係で屋上のパンタグラフが撤去されている。

8500形側面ロゴ

 「しおかぜ」のヘッドマークを模したと思われるイメージに、N2000系のロゴにも使われているのと同じ書体(に見える(^^; )の「SHIKOKU」の文字が入っている。



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量 産 車
(旧塗装)

 1993年3月改正で登場。予讃線特急「しおかぜ」「いしづち」に充当された。

 基本編成(L編成)は当初5両が5編成と4両が1編成の2種類あったが、1997年11月29日ダイヤ改正で全て5両に統一された。
 付属編成(S編成)は3両となり、当初は5編成のみで、1997年11月29日改正を機に6編成に増強されている。

 先行試作車で試用されたレールブレーキは当初から装備していない他、振子装置がコロ式に変更されている。また、主電動機は200kw/hにパワーアップされている。

 細かい点では、車体側面扉の窓ガラス面積が試作車より若干大きくなっているほか、非貫通型先頭車の窓ガラス面積は逆に試作車より小さくなっているのが外観上の相違点である。


 基本的に、基本編成(L編成)が「しおかぜ」、付属編成(S編成)が「いしづち」に充当されて宇多津〜松山間で併結運転を行っている。


 なお、登場当初は基本編成(L編成)が下り方に、付属編成(S編成)が上り方に連結されていたが、多度津駅での「しおかぜ」「いしづち」の分割・併合の際に、岡山特急である「しおかぜ」の停車時分が延びるという問題を生じていたため、1998年3月14日のダイヤ改正からは全編成について方向転換を行い、現在は基本編成(L編成)の方が岡山・高松方を向くように改められた。
 リニューアル改造後の2014年3月15日のダイヤ改正で、再び方向転換が行われて、結局元の向きに戻っている。


 2006年11月25日時点で、全車両のリニューアル完了が確認されており、このオリジナル色は既に消滅した。


<S1編成>
 8201形+8101形+8501形
<S2編成>
 8202形+8302形+8502形
<S3編成>
 8203形+8304形+8503形
<S4編成>
 8204形+8306形+8504形
<S5編成>
 8205形+8308形+8505形
<S6編成> 1997年11月〜 営業運転開始
 8206形+8311形+8506形

<L1編成>
 8001形+8107形+8157形+8301形+8401形
<L2編成> 8310形は1997年11月〜 営業開始
 8002形+8102形+8152形+8310形+8402形
<L3編成>
 8003形+8103形+8153形+8303形+8403形
<L4編成>
 8004形+8104形+8154形+8307形+8404形
<L5編成>
 8005形+8105形+8155形+8309形+8405形
<L6編成>
 8006形+8106形+8156形+8305形+8406形

8000形

 基本編成(L2〜L6編成)非貫通型先頭車。

 客室構造は2000系の2000形とほぼ同一で、前寄り半分がグリーン室となる。ただ、2000形よりノーズが長いため、後ろ寄りのデッキ部分のスペースが若干狭くなっている。

 振子制御装置の他、発電用の静止型インバータ装置を搭載しているため、付随車でありながら屋上にパンタグラフを搭載している。

8100形

 8150形とユニットを組む中間電動車。基本編成(L編成)に組み込まれる。
 方向転換前の2号車、方向転換後の7号車となる。

 便・洗面所設備を持たず、車端のドア間は全て客室となる。2000系で言えば2200形や2500形に相当する車輌である。
 但し、パンタグラフは搭載していない。

8150形

 8100形とユニットを組む中間電動車で、基本編成(L編成)に組み込まれる。
 方向転換前の3号車、方向転換後の6号車となる。

 パンタグラフを搭載するほか、便・洗面所設備も有する。

8300形

 基本編成(L編成)5号車(=方向転換後/方向転換前は4号車)と付属編成(S2〜S6編成)中央に組み込まれる中間付随車。

 8100形を電装解除したような車輌で客室構造も同じである。客室以外の設備を持たないため、8100形と並んで8000系中定員がもっとも多く、車重も一番軽い。

8400形

 基本編成(L編成)貫通型付随制御車。

 2000系で言えば2400形に相当する車輌で、車椅子対応設備を有する。
 床下には編成に供給するための静止型インバータ装置や、コンプレッサーを搭載する。

8200形

 付属編成(S2〜S6編成)貫通型1M式電動制御車。

 振子制御装置などは搭載していない。2000系で言えば2100形や2400形に相当するが、車端部分のスペースが見直され、2100形よりも定員が4名多い。

8500形

 付属編成(S編成)非貫通型付随制御車。

 客室構造は基本的に8200形と同じだが、きついスラントノーズのために客室面積が若干狭く、定員が8名少なくなっている。

 8000形同様、振子司令装置やコンプレッサー、それに静止型インバータ発電機を搭載し、屋上にはパンタグラフを有する。


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先行試作車

 92年の夏に登場、臨時特急として営業運転を開始した。
 ベアリングガイド式の振子装置やパンタグラフ制御装置、レールブレーキなどの新技術を試験的に搭載、営業運転の合間にそれらの試験も行っていた。

 予讃線で行われた試運転では160km/hを記録し、8001形の運転台窓下にはそれを示すロゴが描かれていた。この時にレールブレーキの試験も行われ、150km/hからでも600m以内で停止できることが確認されている。
 なお、レールブレーキは量産化改造時に撤去された。


 2006年11月25日時点で、全車両のリニューアル完了が確認されており、先行試作車についてもオリジナル色は既に消滅した。


 1993年3月改正での量産車登場に合わせて量産化改造のうえ、8001形は基本編成に、8101形/8201形は付属編成にそれぞれ分割された。
 このとき、8101形/8201形は方向転換されており、8000系の中でもこの2両だけは、合計3回方向転換されていることになる。

(準備中)8001形<JPEG 28KB>

 基本編成(L1編成)1号車となる上り方先頭車。前寄り半分がグリーン室となる。
 振子制御装置の他、発電用静止型インバータやコンプレッサーも搭載し、パンタグラフも搭載している。

 先頭部の連結器カバーは、量産車ではボルト止めによる上下分割式だが、試作車では運転室からのスイッチ操作による両開き式であった。
 また、フロントガラス面積が量産車より若干大きく、そのためにワイパー取付部分が量産車とは異なりガラス部になっている。

8101形<JPEG 32KB>

 8201形とユニットを組む中間電動車。
 量産車ではユニットを組む相手が8150形に変更されているが、機能的な面での差異はない。但し、主電動機は量産車の200kwに対して150kwと多少出力が低い。

 また、通常8100形は基本編成(L編成)7号車に組み込まれるが、この8101形だけは8201形とユニットを組む関係で付属編成(S1編成)2号車に連結されている。

8201形<JPEG 35KB>

 8101形をユニットを組む電動制御車。

 外観上は量産型とほとんど差異は無いが、量産型が1M方式(他の電動車とユニットを組まず単独で自力で走れること)なのに対して、こちらは常に8100形とユニットを組む点が異なる。



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足 回 り

 2000系と同様に、試作車と量産車では異なる台車を履いている。
 試作車は振子装置がベアリングガイド式となり、登場当初はレールブレーキが搭載されていたが、現在は撤去されている。

 量産車は振子装置が2000系で実績を積んでいるコロ式に変更され、外観が若干変わった。
 また、レールブレーキは当初から搭載していない。

 パンタグラフ制御装置用のワイヤが取り付けられているタイプの他、同装置が撤去されたもの、取付用の台座のみが付いている物がバリエーションとして存在する。
 また乗務員乗降用のステップが、車体傾斜による台車との干渉を避けるために台車枠に取り付けられているのが特徴で、取付位置によって2種類が存在。
 結局、装備する台車は全部でなんと14種類のバリエーションがあり、その違いを確かめるのも面白い。


 基礎ブレーキ装置は両者とも同じで、駆動台車は新幹線と同じ車輪ディスクブレーキ(車輪に取り付けたディスクをブレーキシューで押さえる)、従台車は車軸ディスクブレーキ(車軸に取り付けたディスクをブレーキシューで挟む)を採用し発電ブレーキも併用している。
 走行区間の殆どが単線区間で電力回生効果がさほど期待できないため、発電ブレーキで発電された電気は熱に変換され、床下に搭載されたラジエターから空気中に放熱されている。

8101形
(基本形)


8201形
(後位側)


8201形
(前位側)
S−DT59

 試作車の電動車(8101形/8201形)の履く台車。
 当初取り付けられていたレールブレーキは現在は撤去されている。

 振子装置がベアリングガイド式となるため、量産車の履くS−DT60とは外観が若干異なる。
 台車枠に付いているのは、振子装置の防塵用エアタンク。

 中間車8101形の物を基本形として、8201形の前位側は乗務員用の乗降ステップが前端部分に、また後位側はパンタグライフ制御装置用のワイヤが連結されており、同じ形式でも3種類が存在する。


 先行試作車の内の電動車2両は2018年度をもって廃車となってしまったため、この台車は現在営業用車両には採用されていない。
(前位側)


(後位側)
S−TR59

 試作車の8001形が”かつて履いていた”振子台車。
 同じくベアリングガイド式だが、DT系と比べると外観上の差異は小さい。
 S−DT59同様、当初搭載されていたレールブレーキは撤去済み。

 前位側は乗降ステップが付くが、乗務員室ドアの位置が異なることから、取付位置や形状が異なる。
 後位側はパンタグラフ制御用ワイヤが付く。


 なお、8001形は2020年度に量産車と同じタイプのコロ式の台車に換装されており、この台車も既に現存しない。
 換装された台車が、廃車になった8501形の流用なのか、新たに製作された物なのかは不明(後日確認)。

(基本形)


(ワイヤ取付タイプ)


8202形〜 前位側
(乗降ステップ付き)


台車枠の交換された8205形
(ワイヤ取付台座がある)
S−DT60

 量産車の電動車が履く、コロ式の振子台車。
 基礎ブレーキ装置は新幹線電車と同じ車輪ディスクで、N2000系の履くS−DT61形の基本となった台車である。

 何もない基本形をベースに、8150形の前位側と8200形(8202〜)の後位側がワイヤ取付タイプを装備。
 8200形(8202〜)の前位側がステップ付きを装備するが、8201形のS−DT59とはステップの取付位置が異なっている。


 但し、8000系は2010年代後半あたりから台車枠の新製交換を行っており、例えばパンタグライフ制御用ワイヤの取付台座のある台車枠がS編成8200形の前位側に装備されているケースも見受けられる(左画像の8205形の前位側台車等)。
(基本形)


8002形〜 後位側
(ワイヤ取付タイプ)


8500形後位側
(ワイヤ撤去タイプ)
車体側にワイヤを通すパイプ状の物が残っている


8400形後位側
(ワイヤ台座付き)


8400形前位側
(乗降ステップ付き1)


8002形〜前位側
8500形前位側
(乗降ステップ付き2)
S−TR60

 量産車の付随車が履くS−TR60。車軸ディスク採用のため、外観は実にシンプル。
 外観バリエーションはこの形式が最も多く、6種類が存在する。

 ワイヤ取付タイプは8000形(8002〜)の後位側に装備される。8500形の後位側も当初は付いていたが、パンタグラフ撤去に伴って取り外されてその跡が残っている。
 また、8400形後位側はワイヤ取付台座のみが付いたタイプが装備される。

 乗降ステップ付きは取付位置の異なる2種類が存在し、貫通型の8400形は台車枠の端部に、非貫通型の8000形(8002〜)と8500形の前位側は台車の中央寄りに取り付けられている。


 先行試作車8001形も、現在はこのタイプの台車に換装されている。


 8000系は2度目のリニューアル改造が計画されていることがJR四国の事業計画により明らかになっているが、それを見越してか、既に数年前から一部の車両の台車が新しい物に更新されている。
 外観はほぼ従来通りなので見た目で判別することは難しいが、台車枠に取り付けられた銘板を見ると、2020年製造などの新しい台車が散見される。

 左画像はL1編成5号車・8401形の後位側の台車で、「2020年4月製造」と銘板に明記されている。


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屋  根

 8000系は冷房装置を床下に搭載しているため、屋根上には基本的にベンチレータ(換気扇)と集電装置一式(パンタグラフ+避雷器)しか存在しない。
 ベンチレータは等間隔に3基搭載というのが基本パターン。

 リニューアルに際しては、屋根上は手を付けられていないようである。


↑量産車
リニューアル車↓
8000形(1号車)

 ベンチレータ3基と集電装置一式に加えて、列車無線アンテナと信号煙管を搭載。
 基本的に8500形と同じだが、列車無線アンテナのすぐ後ろに、公衆電話用とおぼしき小型アンテナが搭載されているのが相違点。

 またベンチレータの数が2基と、他形式に比べて1基少ないのが大きな特徴である。


 左画像下側のリニューアル車はL5編成の8005形だが、この車両は2005年7月18日に「しおかぜ24号」として運転中に、予讃線・菊間付近で倒木に接触した車両で、ヘッドライトケース右側が凹んでいるのが見て取れる。
 撮影したのは事故から2ヶ月後の9月21日だが、どうやら通常運転に支障がないため、次回の全般検査の時まで板金はお預けになっている模様である。

8100形(2号車)

 8300形と同様、ベンチレータ3基のみ搭載というシンプルな屋根上。

8150形(3号車)

 8150形はベンチレータ3基+集電装置一式を搭載。

8300形(4号車)

 ベンチレータ3基のみというシンプルな構成。


↑量産車
リニューアル車↓
8400形(5号車)

 ベンチレータ3基と、無線アンテナ&信号煙管の搭載された8400形の屋根上。

 後位側はパンタグラフが設置できそうなスペースが設けられており、パンタグラフ支持用ワイヤーロープ用とおぼしきパイプまで設置されている。


8200形(6号車)

 搭載機器は8500形と同一。

8201形(S1編成6号車)

 8200形の中で、先行試作車の8201形だけはベンチレータの数が1個少ない。

8300形(7号車)

 付随車の8300形はベンチレータ3基のみというシンプルな構成。

8101形(S1編成7号車)

 S1編成7号車は動力付きの8101形となるが、他の8100形と比べてベンチレータの数が1個少ない。

8500形(8号車)

 ベンチレータ3基と集電装置一式に加えて、列車無線アンテナと信号煙管を搭載。



撤去されたパンタグラフ


上から見たところ


曲線通過中


8500形のパンタ基台は
固定されている
集電装置一式

 画像は8150形のパンタグラフ等集電装置一式。

 ワイヤーロープにより位置制御を行うため、レールに乗った基台の上に、オーソドックスな菱形パンタグラフ(S−PS59(先行車)/S−PS60(量産車))が搭載されている。
 曲線通過中は台車と結ばれたワイヤーにより、左画像のように屋根上に設置されたガイドレール上をパンタ基台が移動する。

 また8000系の場合、通常は車両中心線上に設置される避雷器が、車両中心からパンタグラフに向かって右側にオフセットして設置されているのが特色である。



 なお、2010年から8500形については、床下搭載のコンプレッサー動作用の電源を8200形から供給を受けるように改造され、高圧引き通し線の増設と、屋上パンタグラフの撤去が行われた。
 基台部分やヒューズボックス、避雷器やその他配線などはそのまま残され、パンタグラフ本体と制御用のワイヤーが撤去されている。

 8500形のパンタ基台は、左画像のように曲線区間でも動かないように固定されている。


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その他外装
8001形フロント8001形フロント

 試作車8001形のフロント。
 ワイパーの撤去跡がよく判る。

8000形フロント(8002〜)8000形フロント(8002〜)

 8000形量産車のフロント。

 フロントウィンドウの大きさが8001形より小さく、それに伴ってワイパーの取付部が8001形と異なる。
 細かい点では、フロントカバー(画面右下端部)が、8001形は中央分割式なのに対して、量産車はボルト止めの一体式になっている。


 8000形/8500形とも、登場時は運転助手席側にも大型のワイパーが装備されていたが、登場からわずか1年あまり、1994年の夏までには全車撤去されてしまった。
 当初はとりあえずワイパー本体のみを撤去した感じで、取付部分がまだ残っていた。

 ↓ 「とりあえず本体だけ外しました」感の漂う、取付部が残るS1編成8501形のフロント部(1994年8月)
 

 その後、1996年頃までには8001形を除く全車について取付部分の撤去&穴埋めが行われており、コレは恐らく全般検査などの機会に行われたものと想像。

 ワイパーの撤去跡は8001形よりも判りにくいが、近づいてよく見ると穴を塞いだ跡が判別できるワイパー跡

 この痕跡は、リニューアル改造時に綺麗に無くなってしまった車両と、リニューアル後もしばらくは痕跡が残っていた車両があったが、8504形を除いて遅くとも2010年頃までにはその痕跡も全て無くなっている。
 (8504形は2016年7月時点まで、取付支点が残ったままなのが確認されている
リニューアル車フロント(8506形))

 リニューアル車である8506形のフロント。

 撤去されたワイパーが復活しているが、サイズがちょっと小振りなのがご愛敬?
 ただし助手席側ワイパーが復活していたのは、この8506形のみである。

 ワイパーが取り付けられた時期は不明だが、遅くとも1999年3月には既に付いていることからその前と思われ、リニューアル改造を受けるよりも前となっている。

 これも、2017年4月の台湾鉄道とのコラボによる塗色変更時に撤去されており、2017年4月末現在は助手席側はワイパーの支点のみが残っている

リニューアル車フロント(8505形))

 同じリニューアル車である8505形のフロント。

 こちらは、助手席側のワイパーは撤去されたまま。

リニューアル車フロント(8004形))

 リニューアル車である8004形のフロント。

 こちらは何故かワイパーは復活せず、撤去されたままになっている。
 むしろ逆に、以前は比較的容易に判別できた撤去後の穴が、かなり判りにくくなっている。

 リニューアル2編成目先頭の8003形も同様。

電気連結器電気連結器

 密着連結器下にある電気連結器は、通常は白やグレーのカバーで覆われており、連結時に自動でカバーが開いて電気系統の連結が行われる仕組みになっている。

 左写真は、たまたまそのカバーが開いたままで走行していた8400形を発見して撮影したモノである。

 電気連結器は、ユタカ製作所製IC450形。

前頭カバー(試作車)前頭カバー(試作車)

 試作車の前頭部のカバー。
 中には非常用の連結器が納められており、中央で分割して左右に開く構造となっている。


 この二分割タイプのカバーを装備しているのは、L1編成先頭1号車の8001形のみであったが、同車は2022年11月17日の全般検査明けの出場試運転において、下記の量産車と同じ一体型のカバーに変更されているのが確認されている。
 既に廃車となっている、S1編成8501形の部品を整備転用した可能性が高い。

↓8001形イメチェン・ビフォーアフター
 
前頭カバー(量産車)前頭カバー(量産車)

 こちらは量産車。
 ボルト止めによる一体式に改められている。
↓8204形は小糸製

↓8205形は東芝製

↓8203形は混合
ヘッドライト

 2000系のヘッドライトが小糸製なのは、既に別項で記載しているが、8000系のシールドビーム式ヘッドライトは、小糸製の他に東芝製もあることが発覚(笑)

 左画像では無茶苦茶判りにくいが、8204形は小糸製、8205形は東芝製であるのが判る。
 両者の差異はというと、外観上はガラス面の仕上げ方が異なるというのが大きな違いで、表面のフラットな小糸製に対して、東芝製はウェーブ状に波打っている。

 8205形の他、8403形も東芝製を装備しているのが確認できている。


 ・・・がしかし、これは厳密に使い分けられているわけではなさそうで、8203形では東芝製と小糸製が混用されているのを確認(2005年6月26日)。
 恐らく点検や故障の際の交換時に、そのとき予備としてあるものを使い回しているものと思われる。

ドア窓の大きさが・・・ドア窓の大きさが・・・

 画像向かって手前が、試作車8001形。
 同じく奥が量産車の8107形。

 試作車と量産車ではドア窓の大きさが微妙に異なる。
LED側面案内表示装置(L)

 車体側面のLED式案内表示装置のLargeサイズ。
 トイレの無い8100形と8300形を除いた全車両に2カ所装備され、列車名と行先を交互に表示する。

 2000系のモノと同一仕様。

 表示窓のサイズは230×420mmで、下側に16×64個のLEDが並び、上は16×32と半分のサイズ。

 要は右上1/4のスペースは使ってないわけで、やや無駄のある配置といえよう、、、、、まぁ、共通部品を使っているだけなので、これは別に8000系だけの問題ではないのだが・・・・

LED側面案内表示装置(S)

 こっちは小さい方。
 全車両に4カ所装備されて、ドアが開いているときは必ずドアの下に位置する。
 号車表示と、指定席/自由席の別、さらに禁煙車の場合はその表示も行う。

 表示窓のサイズは230×310mmで、並んでいるLEDの数は、下側が16×48個、上は16×32個。

 こちらは2000系に装備されているものとは仕様が異なり、号車表示が2桁表示まで対応している。



製造銘板

 日立製作所、および日本車輌で1992年から97年にかけて製作された。

 製造年については、日立は元号標記、日本車輌は西暦表示という違いがあるのが面白い。


 また発注者銘板の方は、全車両について「四国旅客鉄道」の「鉄」の文字が、正式社名である「金失」ではなく、四国いがいんJR各社の正式社名である「金矢」標記となってしまっている。
 恐らく同時期製造された他の車両と同様に、製造メーカー側が四国もJR他車と同じと勘違いしてしまったものと想像される。



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