キハ55系 準急形気動車


キハ55形:土讃本線 琴平駅
(1985年3月)
四国配置車の特徴である「バンパー」を装備


 1950年代、一般型の気動車が全国的に勢力を広げつつあった頃、中距離準急用の気動車として1956年に登場したのがキハ55形(当時キハ44800形)である。
 当時の国鉄気動車標準機関であるDMH17B(160ps)機関を2機搭載、客室窓は上段Hゴム固定/下段上昇式のいわゆる「バス窓」で室内灯は白熱灯であった。

 翌1957年に製作された第一次量産車10両は、室内灯が蛍光灯に改められ、ホーンが正面床下から前照灯の横に移動した。
 1957年から58年にかけて、第二次量産車(31両)が登場すると共に、エンジンを1台のみ搭載した平坦線区向けのキハ26形(22両)、そしてその半室グリーン車キロハ25形(5両)が登場。
 台車に改良が加えられ、乗り心地の改善が図られた。

 1958年後半からは第三次量産車が登場。
 客室窓が一段上昇式に改められたほか、エンジンは180psにパワーアップした。
 キハ55形とキハ26形は100番台に番号区分されて各々170/172両が、キロハ25形は10両、そして新たに登場した全室グリーン車キロ26形は61両が製造された。

 1961年には急行形気動車の標準型であるキハ58系が登場し、キハ55系の製造は総勢486両で打ち切られた。

 なお、初期の車両も後年エンジンや台車が後期形の車輌と同じものに換装されている。


<四国のキハ55系>

 四国に於いては1958年の準急「やしま」(高松桟橋〜松山間)としての営業運転開始を皮切りに、1959年に準急「阿波」、1960年準急「いよ」「土佐」と拡大し、1961年4月のダイヤ改正では、準急「南風」を除いた四国内全優等列車(急行・準急 合わせて35本)がキハ55系化された。
 しかしキハ55系の絶対数不足から、グリーン車についてはキハ10系のキロハ18形を使用している列車もあったほか、キハ25形なども準急運用に入ることがあった。

 年度別の新製投入数では1960年度が最も多く、キハ55形17両、キハ26形10両、キロ25形3両、キロハ25形5両の、合わせて35両となっている。
 なお、1960年度はキハ20系も80両が四国に新製投入されており、合わせて115両の大量の気動車が新車として四国に投入され、後に気動車王国と呼ばれる礎を築いた。


 四国のキハ55系の特色のひとつに、前面のミニバンパーがある。
 これは、1960年代のモータリゼーションの発達期に、特に香川県内において踏切事故が多発したことから、その対策として当時の四国支社長のアイデアで取り付けられたものであり、当時四国在籍のキハ55系のほぼ全車に取り付けられた。
 後年四国から他地区に転属した車両も、ミニバンパーはそのままになっていた車両が多いが、逆に他地区からの転入車両には、最後まで取り付けられなかったケースも散見される。

 ちなみに、実際の効果のほどは、、、微妙だったとか・・・


 その後はキハ58系の登場により徐々に急行・準急運用から離脱、1970年代になって四国内全優等列車の冷房化達成に伴って急行列車運用から完全に離脱した。
 ただし、1980年頃までは、繁忙期に急行列車の増結車として連結されることが希にあった。

 1985年5月26日に高松〜徳島間に運転されたキハ55系のさよなら列車「さよならキハ55 キャンパス号」として運転されたのを最後に全廃された。


 ・・・はずなのだが、当方所蔵のメモ書きによると、1985年11月23日の土讃本線普通245Dに、キハ55−266がキハ47−118とともに運用に入っており(実際に自分も乗車した模様)、おそらくは検査切れになるまでの間は予備車として稼働していたものと思われる。



予讃本線 高松駅
1981年1月

 急行「うわじま」の増結車として運用中の、キハ26−101

 四国配置車の大きな特徴であるバンパーを装備している。

土讃本線 黒川〜讃岐財田間
1981年3月1日

 キハ47形の代走をするキハ55形。
 この土讃本線241Dは、当時キユニが四カマ所属車、旅客車は所定では四コチ所属のキハ47形が充当され、47の点検代走時に55が連結されることがあった。

予讃本線 多度津駅
1982年11月

 (左)普通列車に連結されて運用中のキハ55−266。

土讃本線 黒川〜讃岐財田間
1984年2月

 右上と同じ土讃本線241Dだが、キハ47&55が四コチから四カマに転属し、最後尾には四マツのキハ20を連結するように変わったが、47の代走で55が入るパターンは変わらなかった。

土讃本線 讃岐財田駅
1985年3月

 ローカル列車の先頭に立って最後の活躍をするキハ55。

 一般のキハ55形とキハ26形は、車体だけを見るとほぼ判別は不可能だが、床下機器配置が異なることから床下を見れば区別ができる。

予讃本線 高松駅
1985年5月26日

 「さよならキハ55キャンパス号」
 写真はキハ55−2で、初期の車両であるため、前照灯脇のホーンが無く、運転台の屋根上にラッパを装備していた。


形式
キハ26形
キハ55形
寸法

20,800 mm (車体全長)
21,300 mm (連結面間全長)

2,928 mm
(車体幅 2,803 mm)

3,925 mm
(初期車は 3,890 mm)
(屋根高さ 3,680 mm)
台車中心間距離14,400 mm
重量
31.3〜31.9 t
35.4〜36.0 t
車体
普通鋼
機関形式
出力
DMH17C
180PS/1,500rpm × 1
DMH17C
180PS/1,500rpm × 2
変速機
TC2A 又は DF115A
(変速1段・直結1段手動変速)
最終減速比
2.976
ブレーキ方式
DA1
ブレーキ装置
踏面片押
台車形式
DT22A/TR51A
DT22A
許容最高速度
95km/h
車体構造・客室
2扉クロスシート
乗車定員
84
84


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