2003年7月27日

香川県内最後の非2車線国道(注)を行く



(注)島嶼部を除く


 俗に「酷道マニア」と呼ばれる人たちがいる。いや、「マニア」というのは一般に良くないイメージもあるので「酷道フリーク」と呼ぼう。
 狭くて曲がりくねってその上1車線程度の幅しかない、国道らしくない国道のことを「酷道」と呼び、それらの探索を趣味とする人たちのことである。同様に「県道」に対しては「険道」という呼び方をする。

 この「酷道」「険道」の探索は、場合によっては危険を伴うため、万が一に備えて複数人数&複数台で行くのが原則である。



 私はそこまで突っ込んだ探索は通常はやらないので、そういう類の人たちではない(と、自分では思っている(^^; )のだが、狭くて曲がりくねった道を走るのはかなり結構好きである(^^;

 例えば、A地点からB地点へ行くのに、真っ直ぐで綺麗な道と、曲がりくねった山道があったとする。
 この場合、通常は真っ直ぐな綺麗な道を走るが、時間の制約が無くてコンディション(天気とか体調とか燃料の残量とか)が良い場合は、私は好んで曲がりくねった道の方を選ぶことが多い。

 と言う程度なので、これまでその手の探索というのはやったことがなかった。




 さて、意外と知られていないが、香川県内は国道の未舗装区間ゼロで、道路舗装率は大阪府と全国第1位を競っているほど、全国的にも道路網の整備が行き届いている。

 その中で、香川県南部の山沿いを東西に貫く国道377号線は、島嶼部を除いた香川県内では唯一、私がまだ県内全区間踏破未達成の国道であり、同時に島嶼部を除いた県内で唯一、1車線区間の残っていると思われる国道であったため、今回その確認に行くことにした。

 ちなみに、香川県内島嶼部の国道というと、小豆島の南東部を半周する436号線のみである。
 これについては、また次の機会に確認に行きたい。





 一般国道377号線は、徳島県鳴門市を起点として、香川県南部を讃岐山脈に沿うように走り、香川県豊浜町を終点とする、延長約130kmの国道である。

 実は私はこの国道377号線を通常の通勤ルートの一部に組み込んで、ほぼ毎日のように走っている。


 一部に他の国道や県道との重複区間があって、単純に地図だけを見ると一部途切れているように見える区間もあるが、これは国道/県道にかかわらずよくあることであり、特にこの377号線のような「3桁国道」にとっては宿命のようなものと言えよう。

 起点は鳴門市となっているが、起点からして既に他の国道との共用区間となっており、377号線単独になるのは、香川県東かがわ市に入ってからである。
 今回は私の実家の位置との関係上、同国道を西から(終点側から)辿ったので、以下それに沿って記す。


 なお、以下の地図は全て画面上側が北向きとなる。



↓「Navin’You」の走行ログ




 香川県西端の豊浜町から、金比羅さんで有名な琴平までは単独区間であり、その一部は私の通勤ルートでもある。

 琴平町の南端をかすめて仲南町に入ったところで国道32号線と合流し、ここからしばらく共用区間となる。
 綾歌町の羽床(はゆか)で国道32号と別れて高松空港のすぐ南を通る。

 今回私は、高松空港の西約4kmの地点である綾上町山田上から、国道377号線に入った。




 そこから約2kmの地点、県道39号線との交差線のすぐ東側に、ほんの20〜30m程度であるが、1車線、、、っていうか、非2車線区間があった。

 これがR377非2車線区間「その1」


※左のマップ中の該当箇所クリックで、画像表示


 画像を見て貰えば判るが、本当にほんの数十mの区間で、なぜここだけ非2車線で残っているのか謎である。

 なお、この非2車線区間のすぐ先にはちゃんと国道標識が立っている




 ここから4kmほど走ったところで、国道377号線は国道193号線と合流し、共用区間に入って香川・徳島の県境を目指す。


 この国道193号線は、香川県高松市から徳島県の海南町まで、南北に真っ直ぐ抜ける国道で、徳島県内の区間は半分以上が1車線幅の狭隘区間の連続する「酷道」として有名であるが、香川県内の193号線は完全2車線以上で、高松空港から高松港までの区間は直線区間の多い立派な4〜6車線国道となる。
 徳島県内区間の最狭隘区間の道幅は、香川県内区間の歩道と同じぐらいの幅しか無く、その落差に驚くほど。


 さて、約15kmにわたる共用区間の後、県境を越えて徳島県脇町に入る・・・・のだが、脇町に入ったことを示す標識の5m先の信号の無い交差点で、377号線は南へ向かう193号線と別れて西へ向かう

 その交差点を曲がったすぐのところに、香川県三木町に入ったことを示す標識も立っており、早い話まさにこの交差点部分を県境が通っているのである、、、っていうか、まさに県境のところに交差点があるのだ。





 そこから3kmほど走った、さぬき市多和で、香川県道3号線と合流する形で右に折れる(県道3号線の側から言うと、国道377号線と合流する形で左折する)。

 曲がって100mほど行った、さぬき市立多和小学校の校門のところから、2番目の非2車線区間が始まる
 しかしその非2車線区間は200mほどで終わり、歩道の無い2車線区間となる。

 これを非2車線区間「その2」と呼ぶことにする。



 しかしそれもつかの間。
 2車線区間は300mほどで終わって、カーブを曲がったすぐのところでまた非2車線区間となる

 非2車線区間「その3」である。



 だがこれも長続きせず、この非2車線区間も300mほどで終わってしまう。


 いずれも普通車同士が余裕で離合できるので、1車線区間と言うより1.5車線、、、いや、センターラインのない2車線区間と言っても良い程度の道幅で、「酷道」と言うにはほど遠い。







 そこからさらに1kmほど行ったところで、県道3号線は右に折れて県境を越えて徳島県に向かう

 道や標識を見ると、どっちの方が曲がってどっちの方が真っ直ぐ行っているのかよく判らんのだが、とにかく国道377号線は東北東に向きを変える。

 ちなみに県道3号線側の標識には「1km先大型車通行不能」とある。

 まぁ、県境を越える県道は一般的に「険道」だと相場が決まってるからね(笑)

 なお、私は香川県道1/2/4/5/6/8号線(県境を越える香川県道は9号線までと34号線の計10本が存在する)の県境区間をいずれも踏破済みである(^^;



 さてそれはおいといて、県道3号を分けてから2kmほど行ったところに、四国88ヶ所霊場88番札所の大窪寺がある

 その大窪寺のところから、377号線は2車線幅の非2車線区間(え? なんか矛盾してる?(^^; )になるが、これも100mほどで終わってしまう

 R377非2車線区間「その4」と名付けよう。


 突き当たりには木が立っており、国道はそれを避けるように右に回り込み、その先から再び2車線となる。

 この区間は最近整備されたらしくて綺麗な道だが、お寺の方に向かう道とは別に、真っ直ぐ寺の南を通る道が建設中で、恐らく完成後はこちらが国道377号線になるのだろう。

 この区間にかかる「ごくらく橋」は平成14年3月竣工という銘板がビニールカバーが付いたままで欄干に取り付けられており、なるほど、確かに異様に新しいわけである。



 この道のすぐ脇には細い1車線の旧国道が通っており、今ならまだ乗り入れ可能である


 だがこの綺麗な登坂車線を備えた2車線区間(登坂車線があるから3車線?)も300mほどで終わってしまい、工事中の道を目前に見ながら、377号線は細い1車線区間へと入っていく

 ここが非2車線区間「その5」

 曲がってすぐのところが、今回通過した377号線区間の中で最狭区間であり、道幅は2mちょいである。もちろん、写っているのは幅1.7mのMy愛車。
 幅2.5mの大型バスは、、、、まぁ、通れないこともないだろうが、やめておいた方が良いだろうねぇ(^^;

 この最狭区間はわずか50mほど。ここを通過した先には待避所を備えた90度カーブがある。
 その先が再び1車線区間だが、この最狭区間ほど狭くはなく、距離も300mぐらいで、法面もコンクリートの吹きつけになっていて崩壊の危険性は少ない

 とは言いつつ、さすがに軸距8m超の大型車は通行不能という標識が立つ



 ・・・・しかし、そんな大型車だとここまで来れないような気がするのだが・・・(^^;



 そこから200mほど2車線となるが、その先はまた非2車線区間

 途中地蔵堂のあたりの約200mが、旧道をショートカットする形で2車線化されているが、その区間を含んでも非2車線区間は600〜700m程度しかない。
 ここも法面はコンクリート吹きつけとなっている

 ここをR377非2車線区間「その6」と呼ぶことにする。



 約1.5kmほど2車線区間が続き、その先の五名小学校分校のあたりで、いきなり真新しいトンネルが現れる。上の地図で言うと、道無き場所をワープしている部分がこのトンネル区間である。
 名を五名トンネルと言い、2001年9月竣工で、延長468mとの銘板を確認

 なお、このトンネルの手前(西側)約100mのところに、非2車線の旧377号線を分ける信号の無い三叉路がある。

 トンネルを出てすぐのところが、信号の無い県道2号線との交差点で、ここから377号線は県道と合流して北に向きを変える




 そこから約3.7km先で県道2号と分岐、377号線は右に折れて五名ダムへ向かう

 1kmほど進んで五名ダム湖脇に出るあたりから、再び非2車線区間となる
 しかしここも、例によって途中に2車線区間を挟んでおり、ちょうどダムのあるあたりと、その先カーブ区間の2ヶ所が部分的に2車線となる(この画像の奥の方に道幅が狭くなることを示す標識が立っているが、画像右手の四角形の標識も同じ標識である(^^; )。

 1.2kmほどで非2車線区間は終わるが、途中の部分2車線区間を除くと、非2車線区間は実質1kmも無く、普通車同士なら容易に走りながらの離合が可能。

 ここを、R377非2車線区間「その7」としよう。






 その先はもう完全な2車線区間で、東かがわ市西山で国道318号線と合流

 香川県内の国道377号線単独区間はここで終了(起点基準で言えば「ここから開始」だが)で、この先は重複区間となる。



 その先、国道318号線を県境方面(南)へ向かい、県境まで往復したが、一部歩道を備えた綺麗な2車線道路であった。



 結局、香川県内の国道377号線非2車線区間は、7区間全部合わせても2kmにも満たず、これらの区間が2車線化されると、島嶼部を除いた香川県内からは、国道非2車線区間が消滅することとなる。

 はっきり言って他の四国3県や本州の「酷道」と比べれば、随分と走りやすいまともな道であるとさえ言える。






お ま け


 さて、国道377号の探索、、、と言うより、非2車線区間確認は完了したが、この時まだ昼過ぎだったため、東讃地区を南北に走る県道を探索してみることにした。

 中・西讃地区の同様な県道は既に全て踏破済みで、「険道」と言えるような道は既にほぼ絶滅しているのを確認済み(少なくとも未舗装区間はゼロである)なのだが、東讃地区はつい2年ほど前までは「市」が存在しなかったことからも判るように、中・西讃地区に比べて人口が少なく、交通量も少ないことから、それに伴う「険道」の残存が予想されたためその確認に行った。



 このページの一番上の走行ログを見て貰えば判るが、東讃地区を南北に走る県道をあみだくじを辿るように1本ずつ踏破した。

 全区間を踏破しなかったのは、時間の制約もあるが、折り返した地点より北側は市街地または郊外となるほか、既に踏破済みの区間もあることから、走っても無駄であるためである。



 先の西山交差点から国道377号線に入り、しばらく今通った道を引き返す。

 五名ダムの横を通り、R377非2車線区間「その7」地点を過ぎて県道2号線を別れるT字路を、県道側へ曲がる。


 旧白鳥町と旧大川町の間にある日下峠を越えるが、特に狭い区間は無い。
 旧大川町鮎帰で、県道10号線と交差。

 県道10号線は、高松市を起点として東讃地区の各町を結ぶ県道で、旧大川町三本松付近で国道11号線と合流する。
 この間、国道11号と距離がほぼ同じであることから、そのバイパス的な役割を果たし、ほとんどの区間が4車線化されている非常に立派な県道である。

 四国内で、このように比較的長距離(10km以上)に渡って4車線化されている県道区間というのは、同じ香川県のさぬき浜街道以外では、少なくとも私はその存在を知らない。



 旧長尾町役場付近の交差点を左折して県道3号線に入る。

 その前、旧寒川(さんがわ)町で一旦南下して途中で引き返しているが、これはミスコース(^^;

 県道3号は前山ダムの横を通って南下。
 一部狭い区間もあるが、せいぜい1.5車線ぐらいである。


 R377非2車線区間「その2」区間の始まる手前のT字路で国道377号線と合流。
 700mほどR377を走って、すぐに右折して県道148号線に分け入っていく。



 ここにはまだ「険道」が残っていた(^^;


 まさに左に地図にある通りの道で、「Navin’You」は無精して一部ショートカットしているが(^^;、実際はほぼ地図にあるとおりの道を走っていった。


 写真を撮っていないのだが、それはこの区間があまりにも楽しい凄い区間で、撮るのを忘れてしまったためである。

 神山運動公園の手前で、今度は県道263号線へ分け入っていく。



 しばらく走ると道は1〜1.5車線ほどになり、その先に林道との分岐点があったが、そこでコースミスして林道方面へ入っていった。


 少し走ってから気が付いたが、私の腕を持ってしてもUターンできる場所が全く無かった(Uターンする気になれる場所が全然無かった(^^; )ため、そのまま突撃(笑)


 ご覧のように道無き道を突進している感じだが、この間、当然の如く1.5車線などという立派な区間は皆無(あればそこでUターンしている(^^; )で、0.8車線ほどの狭い区間も随所にあり、車の両側に雑草が当たる区間すらあった。

 それでも未舗装区間が皆無だったのは、さすが香川県?(^^;


 そのあまりの面白さ恐さに、写真を撮るのも忘れてしまった。

 特に県道を外れてから高松グランドCCの東に出るあたりまでが凄く、「Navin’You」の困惑ぶりがその凄さを物語っている(笑)



 ま、車なんてタイヤが通れるだけの幅がある道なら通れるのさ(^^;<良いのかそれで?





 三木町役場のすぐ南あたりで無事に県道13号線に入ったのもつかの間、すぐに左折して今度は県道42号線に分け入っていく。

 高松グランドCCの西側を通って南下する。
 足田打と呼ばれる地区あたりから道は狭くなる。

 「険道」と呼ぶことの可能な区間が続くが、随所に待避可能場所もあり、交通量が少ないこともあって恐怖感はほとんど感じない(私が鈍感なだけ?(^^; )。


 さぁ、もうあと少しで国道193号線に出るぞ、、、、と思っていたその矢先・・・・
























・・・は、はい?









通行止めじゃん(^^;





 幸いこの通行止め区間のすぐ前が2車線区間だったので、丁度良いので撮影を兼ねてしばし休憩。

 すぐ横には炭作り教室のような施設もある。
 ここが2車線になっているのは、このための駐車スペースという意味合いもあるのかもしれない。



 気を取り直してUターン。

 1kmほど走ったところで町道が分岐しており、なるほど確かにこの先通行止めの看板と、迂回路を示す標識も立っている。

 しかし、出来ればもう少し目立つように設置してくれないかなぁ(^^;





 迂回路の町道を通って国道193号線に出ると、そこから3kmほど走ったところが塩江温泉。

 そこを右折して県道30号線に入り、まぁこれなら険道と言えなくもないかな、、、という区間を走る。
 ちょうど高松市を眼下に一望でき、非常に見晴らしが良い




 それからしばらく行くと、突然道は2車線区間となり、連続するカーブ区間に多数のスリップ痕が、、、、、、


 あぁ、走り屋連中の練習区間なのね(^^;


 日曜日とは言え、昼間にもかかわらず何台かいわゆる「峠仕様」の車が止まっていた。

 うちのファミリーカーは「ハイウェイクルージング仕様」なので、軽く流すように峠を下る。


 この2車線区間は2kmも行かないうちにすぐに終わり、また1車線区間となる。
 なるほど、前後が1車線区間で交通量も少ないからこそ、昼間でも走れるのね。




 県道13号線に戻り、次は県道43号線へ。


 しばらく2車線の真っ直ぐで綺麗な道が続く。

 直線区間が終わり、左へカーブすると、急に1車線区間になるとともに、いきなり目の前に鳥居が現れた


 藤尾八幡神社の鳥居らしく、しばらく走ると神社へ向かう道が分岐していた。



 その後1kmほど狭い区間が続いたが、別にどうと言うことのないただの山道である。




 高松空港の北側で国道193号線を横切り、その先は県道13号線から国道32号線、そして国道377号線を経由して実家に戻った。


 この日の総走行距離は約250km、所要時間は6時間少々であった。






※文中地図出典「Navin’You専用 ゼンリン全国詳細版DVD」
※走行ログは「Navin’You5」による。




<後日談>


 この国道377号線の徳島側の起点が不明だったため、道路交通省所管の「道の相談室」に同国道の完全2車線化の時期と併せて質問のメールを送ったところ、翌々日に返答メールがあった。

 それによると、国道377号線の起点は「鳴門市撫養町木津字孫右エ門山1174番13地先(本四道路の交差箇所)」で、そこから国道11号線と重複(つまり、やはり最初から他国道との重複区間)し、旧白鳥町役場西の交差点から国道318号線と重複し、件の西山交差点に達して、そこから単独区間となるそうだ。

 ちなみに返答メールには、他の道路と区間が重複することを「重用」と表記しており、これが正式な呼び方のようだ。


 また、完全2車線化の完成時期は不明で、まだ数年かかるだろうとのことである。

 参考までに、返答元部署は香川県庁道路保全課であった。


※300番台の3桁国道は、県道から昇格した道が多いという事情もあり、実際には各都道府県が管理しているのだ



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