高松琴平電気鉄道

1000+1100 土器川橋梁
土器川橋梁を渡る、新鋭1100型と老雄1010型の併結4連
(2000年4月16日)
琴平線 羽間〜榎井(えない)間


※以下の文中の情報は、2000年6月当時のものです。


 「コトデン」の名で親しまれている高松琴平電気鉄道は、香川県の高松を起点に3つの路線を持ち、営業キロ数/利用客数ともにJRを除けば四国では最大、中・四国地方でも広島電気軌道に次ぐ比較的大きな地方私鉄である。

 高松築港から琴電琴平まで伸びる琴平線が本線格で、営業キロ数は32.1キロ。高松築港から2つ目の瓦町からは、志度へ伸びる志度線と長尾方面へ向かう長尾線が分岐する。
 以前は志度線の電車が高松築港まで乗り入れていたが、瓦町駅の改築の関係で現在では志度線に代わって長尾線の電車が築港まで乗り入れている。
 高松築港から3つ目の栗林公園までは複線区間で、一宮までは日中15分間隔、その先は30分間隔となる(一部ラッシュアワーは15分運転区間が延長される)。

 車両工場は仏生山(ぶっしょうざん)にあり、改造や検査などもここで行っている。ただ、現在志度線の線路が琴平線・長尾線と分断されているため、志度線車両の検査のために大町に検車区が設けられている。
 なお、仏生山には車両基地も併設されている。



 コトデンの特色はなんと言っても、様々な大手私鉄から払い下げられた種々雑多の電車が走っていることで、「電車博物館」と称される。
 琴平線の場合、以前は元阪神の車両が多かったが、近年は元京急1000系の1080型や、元京王5000系の1100型が勢力を拡大している。

 この他長尾線や志度線も大手からの払い下げ車がほとんどで、近年は長尾線では元名古屋市営地下鉄の600/700型が勢力を拡大しつつある。


 昭和30年代から30年以上もの間、高松築港〜琴電琴平間65分運転を堅持していた(要するに進歩が無かった(^^; )が、1992年2月1日のダイヤ改正で何十年ぶりというスピードアップを実施し、同区間の営業運転最高速度が75km/hに向上し、59〜60分運転となっている。

 ただスピードアップの代償として、ただでさえ良くなかった乗り心地がさらに悪くなっているように思える。
 特に1010/1013/1020/1050型等の旧型車は、空気バネ台車に交換された車両がほとんどだが、空気バネの割には乗り心地は悪く、酷いときは安眠が妨げられるほど上下に揺すられ、脱線するのではないかと心配になる時もある。

 1070型はこれに比べれば多少マシで、とりあえず及第点である。
 1080型や最新の1100型は合格で、私も普段はこのどちらかの車両に乗るようにしている。


※2003年2月22日補足
 琴電では、2003年3月に元京急700型改造による1200型車両6両を導入し、代わりに下記車両のうち、1050型と1010型(と、ここには載せていないが810型)の6両を廃車にすることとなった。


琴平線の車両
1100型
琴平線
仏生山〜一宮間
(2000.4/16)
1100型

 元京王5000系。
 コトデンの最新型車両。車体は元京王5000系だが、台車は京急1000型の廃車発生品を使用しているという変わり種。1100型と1080型の台車をよく見れば判るが、どちらも同じモノである。
 従って乗り心地の良さも1080型並み、、、のはずだが、個人的には1100型の方が若干乗り心地が良いように感じる。
 もちろん冷房付き3扉車で、当初からコトデン新塗色をまとって登場、琴平線の主力として現在も勢力を広げている。2000年4月現在少なくとも4編成在籍することを確認している。

 種車である京王5000系は、今でも京王線で現役であるほか、同じ四国の伊予鉄道や、このコーナーでも紹介している富士急行にも払い下げられている。

↓1100型の台車

京急1000型の台車を流用しているので、1080型と同じ台車となる

1080型
琴平線
仏生山車庫
(2000.4/16)
1080型

 元京急1000系。
 これまで、大手から払い下げられた車両は足回りを旧性能化して種車よりも性能が落とされる事が多かったが、1080型では種車の足回りがそのまま流用されて、特に乗り心地が飛躍的に改善された。
 また同車は琴平線初の3扉車でもあるほか、コトデンの車両としては初めて行先方向幕が電光巻き取り式となった。

 2両ユニットで、2000年3月末現在琴平線の最多勢力として、1081〜1092の6編成12両が在籍、ラッシュ時にはオール1080型の4連もよく見られる。

 種車である京急1000系は、現在も京急久里浜線の特急用車両の主力として活躍している。

↓1080型の台車

種車の京急1000型のモノをそのまま使用している

1070型
琴平線
仏生山〜一宮間
(2000.4/16)
1070型

 元京急600系。
 コトデンの車両としては初の冷房車として登場。

 種車は特徴的な非貫通型2枚窓の湘南フェイスで、前照灯も1灯式だったが、転用時に貫通型2灯式に改造され、種車の面影は側面窓配置と冷房装置ぐらいで、がらりとイメージが変わった。

 1071〜1076の3編成が在籍。

↓1070型の台車

1080/1100型の台車とは微妙に異なる

琴平線
仏生山留置線
(2000.5/28)
1061型
↑ 1061型
1062型 ↓
1060形
琴平線
仏生山車庫
(2000.4/16)
1060型

 元阪神ジェットカー。
 種車は1053型と同じだが、現役琴平線用車両としては1063型と共に数少ない単行用両運転台車である。

 大型車体で収容力も大きく、使い勝手に優れる両開き扉を採用していることから、主にラッシュ時の増結に使用され、通常の平日ダイヤでは、高松築港18:00発の琴平行きと、その折り返し琴電琴平発19:12の列車に使用されている。
 また、希にではあるが本来は他の2両ユニット車が使用されるべきラッシュ時の増結編成に、1060型(または1063型)が2両連結で使用されることもある。

 なお、足回りは京急230型の流用で、台車の更新改造は未施行。
 通常は1062型のみが運用に就き、1061型は仏生山の留置側線で寝ていることが多い。

1063型
琴平線
仏生山留置線
(2000.5/28)
1063型

 元三岐鉄道モハ130型。

 最近では今年の4月に1061型とコンビでラッシュ時の増結編成として充当されたのを目撃したが、それ以降はほとんど出番が無いようで、通常は1061型と共に仏生山の留置側線で寝ている。

 台車の更新改造は未施行。

↓1063型の台車

1060型の台車もこれと同じである

1053型
琴平線
琴電琴平駅
(2000.5/3)
1053型

 元阪神5200型ジェットカー。

 下記1050型のバリエーションとも言うべき車両だが、種車が異なることから窓配置に違いがあるほか、台車も異なるモノを履いているなど、結構違いがある。

↓1053型の台車


1051形
琴平線
仏生山駅駅
(2000.5/26)
1050型

 元阪神5001型ジェットカー。
 種車の違いにより、側面窓の狭いタイプと広いタイプの2種類が存在するが、狭窓車は形式名1053型を名乗っている。
 左写真は1977年に登場した広窓車1051+1052である。

 1053/1060型等と共に、コトデンでは数少ない両開き扉車であるが、種車では3扉だったモノが2扉化されているのが外観上の大きな変更点である。
 当初、足回りは旧性能化されていたが、現在は空気バネ式の台車に交換されて、高性能化が図られている。
 1051+1052の1編成のみ。

↓1050型の台車

1020型の台車と同じモノのようである

1020型
琴平線
琴電琴平駅
(2000.4/30)
1020型

 元名鉄3700系。
 1968年から導入が始まり、最盛期は8編成16両が琴平線の主力として活躍していた。当初は一部の車両が転換クロスシートであったが、その後全てロングシート化されている。

 現在は2編成のみが残存し、台車は空気バネ化によって新性能化されているが、通常はラッシュ時の増結予備として使われている。

 1020型の中には、琴電で唯一の高運転台式車となる1031+1032型も存在するが、この2両は現在仏生山の検車庫に張り付いたままで、もしかしたら廃車になるのかも、、、、

 仏生山の検車庫で見つけた1032型


↓1020型の現在の台車


1013型
琴平線
琴電琴平駅
(2000.5/21)
1013型

 元三岐鉄道モハ121/122型。スタイルは1020型と非常によく似ている。

 残存数1編成のみで、時折ラッシュ時の増結に使われる。1010型や1020型と同様に台車の交換によって高性能化(=延命措置)が図られている。

↓1013の現在の台車

1020型と同じモノ

1000形
琴平線
仏生山〜一宮間
(2000.4/16)
1010型

 コトデンオリジナルの車両で、琴平線用車両としては最古参。
 上段がHゴムで固定された通称「バス窓」が特徴。

 登場当初は前面2枚窓にクロスシートだったらしいが、現在はご覧のように通勤形化されている。その代わりと言っては何だが台車の交換によって高性能化が図られている。

 5月中旬あたりからは、仏生山の車庫で留置されたままとなっている。

↓1010型の台車

個人的偏見では、現役琴電車両の台車の中では一番見た目は格好いいと思う(笑)