JRT四国では、2014年3月22日に予讃線系統を中心に大幅なダイヤ改正を予定しています。 待望の予讃線バイパスルートの開業と、それに合わせた新型車両の投入など、特に予讃線の特急列車を中心に運転系統や列車ダイヤを大幅に変更します。 <予讃線バイパスルート開業!!>
〜 松山〜新大阪間 最速2時間26分! 〜 〜 松山〜岡山間 最速1時間34分! 〜 〜 高松〜松山間 最速1時間37分!(*) 〜 (*)「しまんと」「しおかぜ」を乗り継ぐ場合は、最速1時間30分となります 2005年より工事を進めていた、伊予小松〜松山間の予讃線バイパスルートがついに開業します! この区間は本来、「全国新幹線鉄道整備法」に基づき基本計画線として位置づけられた、四国新幹線のルートの一部に含まれており、今治を経由することによる、愛媛県の県都・松山へのアクセスタイムのロスを減少することを目的としています。 四国新幹線については、いまだ整備計画線への格上げの目処も立っていない状況ではありますが、四国にも本格的な高速道路時代が到来したこと、また将来導入が計画されているフリーゲージトレインの効果を最大限生かすべく、さらには将来新幹線が開通した歳には当該区間を新幹線へ転用することも考慮して、「スーパー特急」方式にて建設を行いました。 伊予小松〜松山間の営業キロは38.6kmで、途中に丹原・石手川・東長戸の3駅を設置しています。 <沿線概要> 伊予小松駅で、北に向きを変える予讃線の現在線と分岐し、そのまま直進して新中山川橋梁を経て丹原に至ります。 新中山川橋梁を渡った地点に、松山方面行きの列車を対象とした赤外線センサーを使用した熱感知器を設置し、万が一列車の一部に火災などによる異常な高熱部位が発見された場合は、丹原駅に当該列車を止めて消火活動等が行えるように配慮しています。 丹原駅は列車抑止や消火・救助活動等を考慮して、本線から分岐する副本線にホームを配置した新幹線中間駅スタイルの配線とし、本線と副本線の間にも防護柵を設けた構造となっています。 貨物列車の抑止も考慮して、約450mの有効長を備えています。 丹原の先で、総延長27,321mの三方ヶ森トンネルに突入します。 同トンネルは開通時点で、青函トンネルに次いで国内第2位、山岳トンネルとしては国内最長の長さとなります。 貨物列車も走行するため、列車すれ違い時の風圧対策として、トンネル区間については複線間隔を4.5m(通常は在来線3.8m、新幹線4.3m)としています。なお、トンネル区間以外についても複線間隔を4.3mとして、将来の新幹線への転用が可能な設計となっています。 トンネル入口から石手川駅までは、7パーミル(千分の7)の上り勾配となっています。 この途中に、避難設備と消防救護設備を備える丹原西シェルターのほか、福見川避難斜坑に繋がる緊急用脱出口を設けています。 トンネルの途中にある石手川駅は丹原駅と同じ配線で、有効長は約500mとなっています。 避難設備や消防救護設備などを備え、ホームには可動式の防護柵を設けています。またトンネルを高速で通過する列車の風圧からお客様を守るため、ホームへの出入口には遠隔制御も可能な自動ドアを設け、停車する列車があるとき以外はホームを閉鎖します。 なお、三方ヶ森トンネルは当駅を頂点とした山型の勾配区間となっており、万が一トンネル内で火災等が発生した場合には、構造上トンネル内の煤煙が集まりやすくなっていることから、当駅構内には強制排気設備を設けて非常時に備えています。 また、万が一列車が動力を失った状態で石手川駅で停車することが出来なかった場合でも、そのまま惰性でトンネルから脱出することが可能なように配慮しています。 石手川駅を出ると、線路は12パーミルの下り勾配となります。 半径2,500mのカーブを描きながらトンネルを出て、南に向きを変えたところに、東長戸駅を設けています。 石手川駅とトンネル出口とのほぼ中間地点に、上伊台避難斜坑に繋がる緊急用脱出口を設けています。 また、新中山川橋梁付近からこのあたりまで、カーブの全く無い一直線の区間となっています。 その長さは28,076mに達し、国内では室蘭本線(JR北海道)の白老駅〜沼ノ端駅間の28,736mに次ぐ長さとなります。なお、伊予小松駅と新中山川橋梁の間にあるカーブは、半径44,000mと非常に大きいため、これを直線とみなした場合は、石鎚山駅付近から約36km直線区間が続きます。 東長戸駅も丹原駅とほぼ同じ構造となっていますが、松山市の市街地に位置することから、折り返し列車を考慮して渡り線を設けています。 東長戸駅の約1km南(松山駅側)に、伊予西条方面行きの列車を対象とした熱感知器を設置しています。 それからさらに少し南の地点で、単線の貨物線が分岐し、従来同様に松山駅手前(西衣山駅付近)で予讃線から分岐していた貨物線に接続して、市坪の松山貨物ターミナル駅へと続いており、松山駅のホームを貨物列車が通過しないように配慮しています。 なおトンネル通過時間が長いため、防災上の観点からディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した車両は、宇和島方面へ直通する特急「しおかぜ」用に新たに製作した、当トンネル通過対策を施した新型ハイブリッド気動車以外は原則として通過禁止(通過する場合はエンジン停止)となります。 今回のバイパス工事に合わせて、在来の予讃線・伊予西条〜伊予小松間も立体化などの線路改良を行いました。 伊予西条駅西側の加茂川橋梁を渡った地点から伊予小松駅までは、トンネル掘削によって排出した残土を利用して、ラディッシュ工法によるコンクリート擁壁を持つ盛り土区間としています。 途中の石鎚山・伊予氷見・伊予小松の各駅も、副本線を持つ新幹線中間駅タイプの配線となっており、通常よりも高速で通過できる分岐器を採用しています。 この改良区間を含めた新線区間の軌道は、保守性に優れ、従来のスラブ軌道よりも騒音・振動を低減できる、「D型弾性枕木直結軌道」を全面的に採用。さらに丹原・石手川・東長戸の各駅にはさらに高速での通過が可能な、新幹線と同等のノーズ可動分岐器を設置しています。 保安設備には、ATC並みの安全性を備えながら在来型ATSとの互換性(上位互換)が確保されたATS−SPS型を採用、これに加えて早期地震警報システム(EQAS)を導入し、地震発生時にも迅速に列車の速度を落として被害の軽減を図ることが出来るようにしています。 <営業上の扱い> 新線区間は、第三セクターの「四国高速開発鉄道」が所有し、その全ての営業権をJRT四国が有する、上下分離方式にて運営を行います。 従って、新線区間は予讃線のバイパス路線の扱いとなることから、営業上は「JRT四国 予讃線」としてご案内し、バイパス経由を「本線」、今治経由を「支線」の扱いとします。 以下、本文中に於いても同様の表記とします。 発車案内や列車の方向幕などの表示は、特急列車については特に何も表記のないものは本線経由、支線経由のものについては「今治経由」とご案内します。 普通列車は、伊予小松〜松山間を含む区間を通しで運転する列車については、本線経由は「本線経由」、支線経由は「今治経由」とご案内し、途中の今治および伊予北条始終着となる列車については表記無しとします。 運賃・料金計算についは、伊予小松〜松山間を含む区間を通しでご利用になる場合、実際の乗車経路に関わらず営業キロの短い本線のキロ程で計算する、「経路特定区間」の適用区間となります。 たとえば岡山〜松山間で見た場合、本線経由の営業キロ程は179.7kmとなり、従来よりも34.2km短くなります。 結果、運賃が3,710円から3,080円に、指定席特急料金も2,820円から2,510円に値下がりとなります。 <予讃線特急列車> 予讃線の特急「しおかぜ」「いしづち」「宇和海」については、下記の通り運転系統とダイヤを全面的に見直しを行います。 「しおかぜ」「いしづち」とも本線経由を基本とし、一部の編成を支線経由で運転することとし、伊予西条駅で編成の分割・併合を行います。 ただし、「いしづち」のうち気動車で運転する列車(5往復)については、使用する車輌が三方ヶ森トンネル通過に対応していないことから、全編成支線経由での運転となります。 なお、夜行寝台特急「伊予」は本線経由での運転となります。 本線経由の特急「しおかぜ」「いしづち」については、全列車が伊予西条〜松山間160km/h運転となり、同区間の所要時間は現行より30分以上短縮の21分運転となります。 これにより、伊予西条〜松山間(45.9km)の平均速度は131.1km/hに達し、隣接停車駅間の平均速度としては、新幹線を除いた国内最速となります。 ![]() なお、特急列車の「号数」については、本線経由の列車を基本として、支線経由の列車は100番をプラスした号数が付与され、経由路線に関わりなく通番で付与されます。 (例)
予讃線特急列車の予定運転時刻(抜粋:PDF 80KB) ※現時点での計画であり、変更となる可能性があります <予讃線普通列車> 新居浜・伊予西条〜松山間の普通列車について一部見直しを行います。 本線経由の普通列車を、朝夕を中心に1日あたり下り9本/上り10本運転します。 いずれも松山駅で折り返しとなり、同駅で伊予市方面行きの普通列車に接続します。 最高速度120km/hとなり、伊予西条〜松山間は各駅停車でも42分の到達となり、新居浜・伊予西条〜松山間が完全に通勤・通学可能圏内となります。 支線経由の普通列車については、一部運転区間を整理のうえ一部区間を快速運転とするなど、特急列車の減便に伴う利便性の低下を補う体系に変更します。 <予讃線貨物列車> 貨物列車については現在4往復が運転されていますが、速達性の向上をアピールするため、東京〜松山間に最高速度100km/h以上の「高速貨物列車A(=「スーパーライナー」)」を増発します。 この区間は当初から貨物列車の走行を考慮しており、勾配を緩く抑えてトンネル区間の複線間隔を広く取っていることから、貨物列車についても基本的に本線経由とし、また高速な旅客列車に対応するため、高性能なEH161形電気機関車を主に運用します。 <予讃線線路改良> 〜複線化完成〜 このほか、予讃線の内子〜伊予大洲〜伊予平野間が複線化されます。 これにより、予讃線は八幡浜〜宇和島間を除いた全区間が複線以上となり、複線化率は約90%となります。 〜踏切ゼロ化完成〜 新居浜〜伊予西条間と、内子〜伊予大洲間の踏切ゼロ化事業が完成します。 これにより、今回開業するバイパスルートを経由する場合、新居浜〜松山〜内子〜伊予大洲間の約105kmの区間が、連続踏切ゼロ区間となり、安全性の向上と列車の定時運行確保に大きく貢献します。 予讃線では引き続き、伊予三島〜新居浜間の踏切ゼロ化を進めており、これが完成すれば川之江〜新居浜間(約32km)も踏切ゼロ区間となります。 <特急「しおかぜ」に新型車両登場!>
今回の新線開業に合わせて、「しおかぜ」にはEC500系電車およびDC500系気動車の改良型を投入し、全ての列車を新型車両に置き換えます。 「しおかぜ用のEC500系/DC500系は、土讃線の「南風」用車両をベースに、連続高速運転を行う区間が長くなることや、土讃線に比べて旅客輸送量が多いことなどを考慮して、主に以下のような設計変更を行い、新たに「600番台」の番号区分を付しています。 ・先頭車のデザインを見直し、さらに空気抵抗の低減を図っています。 ・出入口ドア(プラグドア)を500系新幹線などと同じ内プラグ式に変更し、気圧変動に対して強い構造とするとともに、車内の気密性の向上を図っています。 ・高速走行時の安定性を高めるため、振子指令プログラムやセミアクティブサスペンションの制御プログラムを、一部変更しています。 ・ハイブリッド気動車については、三方ヶ森トンネル通過対策として、床下に感熱センサーや自動消火装置を新たに搭載したほか、通常はエンジンを主・モーターを従として運転するところ、一時的に主従を入れ替える制御プログラムを搭載して、トンネル通過中における排気ガスの排出量を抑制しています。
従来「しおかぜ」に使用していた18000系電車および12000系気動車については、リニューアル改造を行った上で「いしづち」「宇和海」に転用します。
さらに、従来「しおかぜ」「いしづち」で使用していた、18000系電車と8000系電車の一部を、これもリニューアル改造を行って、高松〜大阪・京都間の特急「ゆうなぎ」に転用します。 これまで「ゆうなぎ」に使用していた383系電車は四国から撤退することとなり、この結果、イベント用DF50形とオハ50系客車を除いて、四国からは「キハ」「クハ」などの「国鉄形式」の車両が全て姿を消します。
新線開業と新型車導入に合わせて、主な駅で記念入場券、および記念特急券を、2014年3月22日から発売します(無くなり次第販売終了)。
また、新線開業を記念して、予讃線 新居浜〜松山間(支線を含む)の普通列車と、特急列車の自由席車に乗車できる、1日乗り放題のフリー切符「予讃線・新線開業記念1日フリーパス」を発売します。 発売当日限りの有効で、お値段は 2,500 円(おとな・こども同額)です。 2014年3月22日から4月25日まで、新居浜、伊予西条、壬生川、今治、伊予北条、松山の各駅で発売します。 <寝台特急「伊予」「土佐」に新型車両投入!>
今回のダイヤ改正に合わせて、経年20年が経過する寝台特急「伊予」「土佐」で運用中のEC700系電車を、新型EC710系電車に置き換えます。 EC710系電車は基本的な客室構造について全面的に見直しを行い、高松〜東京間特急「瀬戸」で運用中のEC800系に準じた構造としました。 他方、特にカーブの多い土讃線区間での到達時分を確保するために振子式を継続採用することから、EC800系よりも背が低く上下が絞られた車体断面となり、限られたスペースを最大限に活用するレイアウトとなっています。
座席車2両と寝台車4両の6両編成を基本として、多度津〜東京間は併結12両編成となります。 <ダイヤ改正に伴う一部特急列車の編成変更について>
ダイヤ改正に伴う車両の入れ替えによる特急列車の編成変更について、一部の列車で編成変更がダイヤ改正に間に合わなかったり、車両改造のために改正前後で一部車種変更となる列車が発生します。 〜特急「しおかぜ」〜 7号、8号、27号、28号の4本については、3月1日から通常の18000系電車に代えて12000系気動車での運転となります。 2号車のトイレ・洗面所設備が無くなる以外は、客室設備そのものは同一仕様となっています。 11号、12号、23号、24号の4本については、3月10日から21日までの間、1号車の半分がグリーン車となります。 1〜4番席がグリーン車指定席、5〜10番席が普通車指定席となります。 〜特急「いしづち」〜 現在「いしづち」に使用している8000系電車は、京都・大阪〜高松間の特急「ゆうなぎ」にリニューアルのうえ転用するため、その改造工事を行う関係で3月1日から21日までの間、一部の列車が2000系気動車で運転される日があります。 これも、客室設備そのものはほぼ同一仕様となっています。 6号、9号、20号、23号、30号、33号の6本については、ダイヤ改正の3月22日から4月5日までの間、グリーン車の連結がありません。 普通車のみの4両編成で運転します。 このほか、特急「しおかぜ」からの12000系気動車および18000系電車のリニュアール改造の終了が、2014年4月末までの予定となっていることから、特急「いしづち」「宇和海」の一部の列車は、リニュアール改造の完了していない車両で運転される場合があります。 逆に、特急「しおかぜ」の一部の列車については、ダイヤ改正前の3月10日から、リニューアル改造が完了した車両が充当される場合があります。 |