<架空鉄道「JRT四国」のページ>


EDC510系
制御付振子式特急形
電気式バイモード車


 2008年に登場したDC500系気動車は、既存の液体式をベースとしたハイブリッド式気動車であり、大変高性能ではあるが重量が重く、特にバッテリを搭載するために客室床面を嵩上げしたりするなどパッケージングに問題があり、さらにシステム面等にも無理無駄が多くメンテナンス面でも不利が多かった。
 そのため、特に駆動システムを根本から見直すことによって、性能をほぼ確保したままでより高効率で経済的、かつ保守面でも有利な後継車種として企画・開発を行った。



土讃線特急「南風」用 0番台車





土讃線特急「南風」用
0番台車



側面方向幕
基本的にEC/DC500系と共通仕様
グリーン車の場合は、「グリーン車」「指定席」を交互に表示
列車名表示の部分は、列車名と、当該列車の号数を不等時隔で交互表示
行先表示の部分は、行先と、停車駅の横スクロールを交互表示



寸法入り前後側面図(PDF)

客室寸法図(PDF)


 2021年3月13日ダイヤ改正で、土讃線特急「南風」で運用開始。
 高知運転所に54両を投入し、当系列のみで「南風」のEC500系およびDC500系の0番台車を全て置き換えた。


<車体>

 車体構造と基本デザインはDC500系を踏襲。
 アルミ高張力鋼板中空押出によるダブルスキンモノコック構造を基本としながら、先頭の運転室周辺部は乗務員保護の観点から頑丈な鋼製としたハイブリッド構造としている。
 側面衝突対策として補強梁を併用することにより、衝撃を吸収・分散しやすく、なおかつ潰れにくい車体としている。
 床下のハーフカバーも、DC500系と同様となっている。

 塗色についても同様にブルーとスカイブルーの2色を基本としつつ、境界部分は塗装の作業性などの観点からボカシ塗装を廃止し、土讃線のラインカラーである赤い細帯を配している。
 窓周りは濃紺塗装とし、先頭車両前位側は国鉄特急色を彷彿とさせるスラント形状とした。

 側面方向幕はDC500系を踏襲した反射式液晶パネルを採用し、省エネのため車速が30km/h以上になると消灯する。

 出入口ドアは基本的に幅800mmの片引戸で、気密対策のために内プラグ方式としている。
 カフェテリア車のみ1扉で、それ以外は全て乗降性改善のために2扉とした。
 このほか、車椅子対応設備を持った車両については、当該設備のある側のみ、ドア幅を1mに広げている。

 連結面はある程度の気密性確保と騒音低減のため、簡易タイプの全周幌を備える。

 前照灯は高輝度LEDで4灯を備え、後部標識灯は運転台天井設置のLEDとなる。

 列車愛称表示装置については、サイズはEC/DC500系と同様に縦横比1:3の液晶パネルとしつつ、見栄え等の観点から正面中央に設置した。



<システム等>

〜駆動系〜

 駆動システムについては全面的に刷新され、電気式のシステムをベースに電化区間では架線集電により走行する、ディーゼル・エレクトリックEDC方式(バイモード方式)を採用した。
 これは、非電化区間は車両に搭載したエンジンで発電した電気を使用し、電化区間では屋根上に搭載したパンタグラフで集電走行するものである。

 従来の液体式気動車の場合、振子式車両では1台エンジン搭載の場合は推進軸の回転力(反トルク)が振子機能に多少とも影響を与えることが知られている(ただしJR総研での試験により実用上の不具合はないレベルであることが実証されている)ことから、エンジンを2台搭載してその反トルク同士で相殺させる方式が確立されているが、本系列では水平対向エンジン搭載の電気式を採用することにより推進軸そのものが存在しないうえにエンジンの回転軸(クランクシャフト)が車体中央に位置する(しかも電化区間ではエンジン自体を使用しない)ことから、大出力水平対向エンジンの1台搭載に踏み切った。


 発電用に搭載したエンジンは、DC310系気動車の直列4気筒を水平対向8気筒化したものでDC110系DC115形気動車にも搭載されているものを出力アップした、シコク自動車製R−SH8DG−DETTI−G形。
 水平対向8気筒・32バルブDOHC・空冷インタークーラー付きツインターボとし、特に高回転域の特性を改良することで、1時間連続定格出力800馬力、最高出力950馬力としている。

 これに定格出力1,050kVAhの発電機を組み合わせ、DEEPU(Diesel Electric Ecological Power Unit)として一体構成とすることで、コンパクト化と高効率化を図っている。

 各車両には駆動用のS−MT510D形電動機を4基搭載して1時間連続定格出力180kWで使用し、1C4M式VVVFインバータ方式により制御する。
 歯数比は4.0。


 電化区間走行時に使用するパンタグラフは、非貫通型先頭車を除いた各車にS−PSS510形シングルアームパンタグラフを各1基搭載。
 パンタグラフの傾斜制御には、従来の凹型曲線ガイドを用いたクロスリンク3本ワイヤー式から、2本ワイヤー凸型曲線ガイド式としてシステムの簡素化と軽量化を図った。

 貫通型運転台部分以外の連結面間に高圧引き通し線を接続し、下り方先頭1号車のEDSC501形は2号車のEDF503形から、上り方先頭7号車のEDC500形は6号車のED500形から電気を供給できるようにするなど、5両基本編成では通常2基、2両付属編成では通常1基のパンタグラフを使用し、トラブル等が発生した場合は柔軟に使用するパンタグラフを変更することが出来る構造としている。


〜その他のシステム系統〜

 台車はベアリングガイド式の振子機構を組み込んだボルスタレス台車で、軸箱支持装置もJRT四国伝統の円錐積層ゴム式であるが、駆動方式が変わることから新たに新設計されたS−DT510形となる。
 軸箱支持に柔軟性を持たせたラジアル機構を装備し、最大振子角はEC/DC500系同様に6度となっている。
 これらの装備により、EC/DC500系と同様に曲線通過速度は最大で本則+40km/hを確保している。

 主幹制御器はEC/DC500系と同一の、JRT四国標準仕様の横軸2ハンドル電気接点式で、自動進段式のマスコンは7ノッチまでを備える。

 ブレーキは、抑速用に発電ブレーキを併用する電気停止ブレーキシステムを採用し、補助ならびに非常用として応荷重・応速度増圧付き電気指令式空気ブレーキを併用する。
 架線集電時には状況に応じて電力回生も行えるシステムとしている。
 基礎ブレーキ装置は全車車輪ディスクブレーキとなる。

 連結器は、三相連結器と電気連結器を併用する自動解結付き密着連結器で、自動幌解結装置も搭載する。
 このほか既述の通り、運転台のない連結面間は駆動用電源供給のため高圧引き通し線を通している。


 サービス電源用にS−SIV510ECU−Cを各車に搭載。そのうえで三相連結器を併用し、故障時等の冗長性を持たせている。

 冷房装置はEC/DC500系を踏襲し、軽量化と省電力化を兼ねた小型のS−ECAU500SIV−2形を各車に2台搭載。

 客室ドアならびに出入口ドアは、全てリニアモーターによる電気駆動方式を採用。
 これらにより、EC/DC500系と同様に圧縮空気の使用量を減らすことができることから、コンプレッサーならびに空気溜めを小型化して、低騒音・省スペース化を図っている。

 警笛はJRT四国標準仕様の電子ホーンの他、新タイプのメロディホーンを搭載する。



<客室>

〜共通〜

 座席はEC/DC500系を踏襲したリクライニングシートであるが、ゆりかご形シートをさらに改良してかけ心地の改善を図った「ゆりかご形シートII」採用。

 客室窓ガラスは全て、防曇・熱線吸収・UVカットを備えた複層式のグレーハーフスモークガラスで、車外から車内が見えにくくてプライバシー性が高く真夏でも快適な車内が提供される。
 客室内は全て禁煙とし、EC/DC500系で当初設置していた喫煙室も廃している。

 日除けはEC/DC500系と同様に、振子作用による揺れの影響を無くすために上下にレールを設置した横引きカーテンとした。

 2号車・EDF513形の前位側半分はカフェテリアとし、ショーケースや簡易調理施設を備えて車販基地として利用できるほか、カウンター席も備える。
 また、この車両にはAED(自動体外式除細動器)も搭載して非常時に備えている。

 4号車・ED512形には多目的室と、その向かいにはミニカウンターを備えた休憩コーナーを設置している。

 トイレは奇数号車となるEDSC511形・ED511形・EDC516形・EDC500形に、洋式がそれぞれ1箇所づつ設置される。


〜グリーン車〜

 1号車グリーン車は、シートピッチ1,300mmで1−1−1の3列配置となり、ゆりかご形2段折れ電動リクライニングシートを採用。
 リクライニングに合わせてバックレスト下端部分がわずかに前進し、それに合わせて座面部分もわずかに前進すると共に、座面後端が下がり、逆に座面前端が上昇する。それにとどまらず、シートとのフィット感を向上させるため、ランバーサポートと可動式ヘッドレスト、それにレッグレストまで備えた、「フレキシブル・クレイド・シートII」を採用。
 座席部分は床面が10cm嵩上げされており、良好な眺望が得られる。

 アームレストには7形液晶TVのほか、ステレオヘッドホンとテーブルを内蔵し、オーディオスイッチと読書灯のスイッチ、それにサービスコンセントを設置している。


〜普通車〜

 普通車は、バックレストに二段折れ機構を組み込んだシートピッチ1,040mmのゆりかご形シートII。
 軟質ウレタンによるセミバケットタイプフルファブリックシートとしている。

 また、アームレストにはサービスコンセントを内蔵している。


〜視覚表示〜

 客室出入口上の案内表示は、LEDとバックライト式液晶を併用した可変多重表示方式とした。

 全車両の客室の前後端には、前面展望やビデオ放送などを映す液晶モニタを設置している。


〜バリアフリー〜

 昨今のバリアフリーの潮流にも対応し、床の低い振子式車両では避けられない連結部分の通路の段差についても、貫通路のレール面上からの高さを従来よりも50mm低くして勾配を緩和している。

 車椅子対応の多目的トイレも、従来のEC/DC500系の基本5両編成中2箇所から3箇所に増やし、1号車・EDSC511形と3号車・ED511形、それに5号車・EDC516形に設置。
 車椅子固定設備を持つ席についても、設置スペースを拡大している。
 なお多目的トイレは、EC/DC500系1000番台車で一部採用された、出入口ドア部分が円弧状に通路側に出た構造で、その関係で向かいの洗面所は洗面台が枕木方向に向いたオープン構造となっている。



<運用>

 基本5両編成×8編成と、基本的に高知回転となる付属2両編成×7編成で運用。
 いずれも所定の仕業数に予備を1編成加えた本数を揃えている。

 原則として岡山〜高知間は電車モードで運転し、乗務員交代のある高知でモードチェンジを行い、以西は気動車モードで走行することとしているが、須崎発着列車については全区間電車モードで運転を行う。
 従って、岡山〜中村・宿毛間直通の列車については、高知では付属編成の増解結とモードチェンジを同時に行うこととなる。その際の詳細な手順は以下の通り。

<下り列車><上り列車>
@基本編成+付属編成が電車モードで到着@基本編成が気動車モードで到着
A付属編成の解放を行う
 (自動幌解結装置により約1分で解放完了)
 (並行して、先頭運転台では乗務員の交代を行う)
A電車モードとなっている付属編成の連結作業を行う
 (このとき、基本編成は気動車モードのままとなっている)
B付属編成の解放を確認後、先頭運転台でモード切替スイッチを操作する B連結と同時に自動幌解結装置により幌も連結される
 電気連結器が連結された時点で、基本編成側の気動車モードから電車モードへの自動切替が行われる
(以下の操作が自動で行われる)
(1) 発電用エンジン始動
(2) 発電量が充足されたことを確認後、回路を切り替え
(3) パンタグラフ降下
(4) 運転台のモード表示が切り替わり確認音が鳴動する
(以下の操作が自動で行われる)
(1) パンタグラフ上昇
(2) 所定の電流電圧が得られたのを確認後、回路を切り替え
(3) 発電用エンジン停止
(4) 運転台のモード表示が切り替わり確認音が鳴動する
C発車まで待機C発車まで待機


 下り列車の場合は付属編成の解放確認後に手動でモード切替を行うが、上り列車の場合は電車モードの付属編成を連結することで、基本編成も自動的に電車モードに切り替わる。
 これは省力化と誤操作防止の観点から、先頭主運転台のスイッチ状態を最優先して編成全体のモードを切替・統一する仕様としていることによる。

 また、回路切替時はインバータ制御と予備電源により室内灯などが消灯しないようになっている。

 なお、高知で付属編成の増解結を行わない列車については、交代した乗務員が運転台の切替スイッチを操作してモード切替を行うこととしている。



形式
形式名
EDSC511EDC510EDF513ED511ED512EDC516ED510
記号
SC1F3C6
連結位置
1号車7号車2号車3号車4号車5号車6号車
製造数
最大寸法全長22,130 mm21,300 mm (連結面間)
車体長21,880 mm20,800 mm20,940 mm20,800 mm
2,950 mm
車体高さ:3,420 mm
屋根高さ:3,350 mm
クーラー上面高さ:3,520 mm
排気管最大高さ:3,560 mm
パンタカバー高さ:3,820mm
パンタグラフ折り畳み高さ:3,890 mm
重量41.0 t40.5t40.0 t39.5 t39.5 t40.0 t39.0 t
車体 アルミ高張力鋼板中空押出
ダブルスキンモノコック構造
窓ガラス 防曇・UVカット・熱線反射式 複層合わせガラス
運転室:防眩クリヤー(一部ブロンズ)/客室:グレースモーク
エンジン形式 R−SH8DG−DETTI−G
水冷水平対向8気筒 電子制御燃料噴射32バルブDOHC(直噴式)
空冷インタークーラー付きツインターボ
内径×行程145 × 140 mm
排気量18,485 cc
定格出力800 PS/1,800 rpm(589 kW)
最高出力950 PS/2,500 rpm(699 kW)
台数
発電機形式 R−SDMG105
強制通風式三相誘導発電機
出力1,050 kVA/2,000 rpm
制御方式 IGBT−VVVFインバータ制御 (1C4M式)
軸重可変併用各輪個別制御トラクションコントロール搭載
電動機形式
出力
S−MT510D
180 kWh × 4
歯数比4.0
パンタグラフ形式 S−PSS510
シングルアーム式
2本ワイヤー凸型曲線ガイド式制御装置付
ブレーキ方式 応荷重・応速度増圧付
抑速回生・発電ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
電気停止ブレーキシステム
ブレーキ装置 車輪ディスク
(4センサー3チャンネル式各輪個別制御アンチロック付き)
台車形式・方式S−DT510
ボルスタレス式 ベアリングガイド式制御付振子台車
操舵機構付き
セミアクティブサスペンション付き
車輪直径:840 mm
軸箱支持装置:円錐積層ゴム式
許容最高速度 130km/h
(設計最高速度:200km/h)
加速度
減速度
起動加速度 2.6km/h/sec
常用最大減速度 4.5km/h/sec
非常最大減速度 5.0km/h/sec
130km/h時加速余力 1.5km/h/s
勾配均衡速度ECモード時 10‰:195km/h
20‰:170km/h
33‰:138km/h
DCモード時 10‰:190km/h
20‰:167km/h
33‰:135km/h
曲線通過速度 300≧R:本則+25km/h
450>R≧300:本則+30km/h
600>≧R≧450:本則+35km/h
R≧600:本則+40km/h
最大振子角度6度
振子中心高さ線路面上 1,800 mm
床面高さ 1,100 mm
(グリーン室および連結面:1,200 mm)
電動発電機 S−SIV510ECU−C
(各車に搭載)
出入口ドア数・幅 800 mm × 1
1,000 mm × 1
800 mm × 2800 mm × 1 800 mm × 1
1,000 mm × 1
800 mm × 2 800 mm × 1
1,000 mm × 1
800 mm × 2
冷房装置 S−ECAU510SIV
15,000 〜 18,000 kcal/h × 2
乗車定員21484054564660
その他
設備装置
客室グリーン車普通車 普通車
カフェテリア
ミニラウンジ
普通車
普通車
普通車
多目的室
ミニサロン
普通車普通車
シートピッチ1,300 mm1,040 mm
WC多目的洋式 × 1洋式 × 1多目的洋式 × 1洋式 × 1多目的洋式 × 1洋式 × 1
洗面所× 1× 1
CC装置
(無線/有線電送対応)
(媒体転送対応)
(方向転換自動識別)
CP
その他車椅子対応設備
AED有り車椅子対応設備
車椅子対応設備

EDSC511EDC510EDF513ED511ED512EDC516ED510

形式名一の位
0:基本タイプ/1:車椅子対応設備有り/2:喫煙室有り/3:カフェテリア有り/4:客室以外の設備無し
貫通型先頭車は、上記+5



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