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EC700系 制御付振子式特急形寝台直流電車


(海側サイド)



 700系は、世界初の振子式寝台特急電車。91年11月、先行試作車5両が臨時特急「讃岐」で東京〜高松間に登場した。
 先行試作車は下り向貫通付随制御車720形、上り向貫通付随制御車710形、下り向貫通電動制御車741形、上り向き貫通電動制御車731形、中間付随車700形、各1両づつの計5両。付随車は全て寝台車、電動車は全て座席車となる。

〜車体・機器類〜

 ボディはステンレス、前面とボディマウントはGFRPで、個別制御式GTO−VVVFインバータ制御を採用。

 側面方向幕はLED。前照灯はハロゲン異形4灯式、尾灯はLED。主電動機は定格出力300kw/hのS−MT700で、付随車の比率が高いため、低速域の出力特性が重視されている。歯数比は5.2。
 1M1T〜3Tを基本として許容最高速度130km/h、設計最高速度160km/hの性能を有する。

 マスコンは横軸6段電子制御自動進段式。ブレーキは383系3次車のものをベースに、応速度増圧を追加した、抑速回生・電磁誘導ブレーキ併用 応荷重・応速度増圧付電気指令式空気ブレーキで、基礎ブレーキ装置は車輪ディスク。ブレーキハンドルは383系と同一だが、ブレーキの効きに応じてハンドルの重さが変化する応増圧付きとし、効き具合が直感的に判るようにした。
 警笛はJRT四国標準仕様の電子ホーン。

 パンタグラフは、下枠交差式S−PS23GX。連結器は自動解結付き電気連結器併用密着連結器で、三相連結器を併用する。
 台車は383系3次車のバージョンアップ版S−DT383B/S−TR383B。振子装置はコロ式。

 床面地上高は383系と同じく1,100mm、空調はIC制御式フルオートエアコンとし、付随車(寝台車)は冷暖房ダクトを統合して通路天井部(荷物棚床板)にエアダクトを収納、客室天井高は24系比−100mmで車体高さは同−235mmとした。


 付随車(寝台車)のエアコンは8000系と同じ床下搭載(S−VAC35BX)として低重心化、屋根車端部には強制換気装置を搭載。開放室のシートピッチ(?)は24系比+160mm、そのため1両あたりの定員は24系より2名少ない。
 開放B寝台のシートバックは可動式とし、窓ガラスは熱線反射式、通路部は暖房ダクトがなくなってすっきりした。電動車については、形式名は同じだが屋上搭載としている。


 電動車(座席車)はグローブ付き室内灯にクローズドタイプの荷棚を備え、車端デッキ部には、大型荷物置き場を備えている。客室ドア上にはLED案内表示器が付く。

〜客室〜

 客室の基本構造は、在来の寝台客車をベースとしている。

 寝台車・座席車とも妻面扉はタッチオープン自動式、客室ドアは光熱センサー併用光電管式自動、洗面所は半個室仕様で蛇口はセンサー式、個室車のドアはテンキー式のオートロック、等々最新の設備を満載した。カーテンは上下にレールのあるタイプで手動。
 発電用インバータ(最大6両給電)・CP・振子制御装置は下り向きの制御車に搭載。

 上り方・下り方の区別があるのは、1扉車であることから、向きによって扉の位置が異なるため。


〜量産車登場〜

 翌92年3月改正で量産車が登場し、「讃岐」「土佐」でデビュー。

 パンタグラフは、量産車からは世界で初めてベアリングガイド式による制御付き気圧式振子機構を組み込んだシングルアーム式のS−PSS700GSXに変更され、振子台車と連動し、線路面に対して車体の傾斜と同角度で車体と反対方向に傾斜する。
 なお、試作車についても同様の改造が行われた。

 台車についてもコロ式からベアリングガイド式に変更された。そのため形式がS−DT384/S−TR384に変更となった


 量産車からは個室B寝台車のほか、4列座席の自由席車が登場。

 「土佐」の上り方先頭車714形は展望ロビールーム付きのカルテットで、非貫通形。他の先頭車は全て貫通形となる。
 4列座席車はシートピッチが1,100mmと指定席車より若干小さい。


 1995年3月改正までに52両が、さらに1998年までに8両が追加製造され、総勢60両が製作された。


〜運用〜

 1998年秋のダイヤ改正で、「讃岐」が285系化され、代わりに「伊予」が700系化され、東京〜多度津間は「土佐」と併結運転。
 これに合わせて個室車の増強が図られ、3両が車体更新によって解放B寝台車からソロへ改造されたほか、「伊予」「土佐」用シングルDX(中間車)5両が増備された。このうち、シングルDX車5両は、従来車と一部塗色が異なるほか、車体も他の寝台車に比べて低く抑えられている。


 99年3月改正ではさらに東京〜徳島間特急「阿波」に充当され、700形からの更新改造でシングルDX/ソロの合造車が登場した。
 しかし同列車は2006年4月改正で廃止された。


 1999年をもって、「伊予」「土佐に充当する松山・高知運転所在籍の寝台車については全て個室化された。
 また、4列席車として登場した732形も全車3列化された。

 現在の定期運用は、東京〜松山間の「伊予」と、東京〜高知間の「土佐」で、高松運転所配属車は定期運用を持たない波動予備となっている。


 2006年春から、繁忙期に高松運転所所属の波動輸送用車両をJRT西日本に貸与して、東京〜下関間に臨時寝台特急「山陽」が設定された。


 2009年夏から、同じく繁忙期に東京〜出雲市間(伯備線経由)に特急「出雲」が設定され、同じく高松運転所所属の車両が充当され、東京〜岡山間は「山陽」との併結となった。


 2010年をもって、高松運転所在籍の波動輸送用30両全車が、JRT西日本西日本に売却された。
 これにより、四国には「伊予」「土佐」用の30両のみが残存することになった。


 
 2014年3月22日改正では、「伊予」「土佐」に新型EC710系電車が投入されたのに伴い、松山および高知運転所配置車についても置き換えが完了し、EC700系は四国からは消滅した。
 なお、旧松山・高知配置車は全車がJRT西日本に売却され、引き続き「山陽」「出雲」として運用されている。
 その玉突きとなる形で、従来「山陽」「出雲」に使用されていた車両については、初期の車両や更新改造が行われていない車両を中心に一部廃車が発生している。



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