<架空鉄道「JRT四国」のページ>


EC310系 近郊形直流電車

全電動車方式採用
本格的電気停止ブレーキ搭載の新世代近郊電車

MC310/311/312形



MC315形



(客室等寸法図:372KB)



 2008年度の高知空港連絡鉄道の開業をにらみ、高知地区の普通列車体系と利便性の改善を図るため、既存のJRT311系を置き換える目的で製作された。
 JRT四国の新しい標準型近郊電車という位置づけとなっている。



 JRT311系(近郊タイプ)は、車両全長が20.5m(中間車は20m)と、四国の標準サイズである21.3mよりも短いほか、ドアの位置も四国の近郊形車両の標準位置と異なることから、特に複数車種が運用される区間においては普通列車のホーム停止位置にばらつきが生じ、混乱の元となっている。
 また、出入口ドアが車端部分に偏っていないことから、特に松山・高知地区におけるワンマン運転時の、乗務員の移動量が多くなるといった問題点もあった。

 そこで、これらJRT311系を置き換える目的で、2000年頃から途中幾多の中断を経ながら開発を進めていた形式である。



 2007年3月のダイヤ改正で、高知地区に18両が登場。
 同年7月改正では6両を追加投入し、高知運転所に配置されていたJRT311系を全て置き換えた。2007年度中に総勢39両が登場して、高知地区の全ての普通電車がEC310系となった。

 2008年度からは高松地区に投入を開始。2009年度中には快速「マリンライナー」「シルバーラビット」「備讃ライナー」を除いた予讃線・土讃線高松地区の普通電車を、全て置き換えた。


 
 2007年から2010年までに139両が製作されて予讃線と土讃線のローカル電車ほぼ全てが同車に統一された後、2021年度から徳島地区の7000系置き換えのためにマイナーチェンジ車の再増備が決定した。



<車体>

 車体はアルミ高張力鋼板によるダブルスキン式モノコック構造を基本とし、運転台周辺部分を乗務員保護の観点から高張力普通鋼板としたハイブリッド構造となる。
 塗色については従来の四国の普通列車用車両と異なるイメージの全塗装式となる。側窓下には近郊形電車を示す青い細帯のラインが入る。

 2005年10月に登場したEC500系と同様に、サイド部は雨樋部分を一体化して立ち上げて、すっきりとまとめている。

 客室窓は戸袋部分を除いて全て固定式の複層ガラスとなり、UVカットと熱線反射を備えた、グレースモークガラスとし、冷暖房効果のアップとプライバシー性の向上を狙っている。
 国内の車両としては珍しい緊急脱出装置を備え、レバー操作によって一部の窓ガラスが車体外側に外れる構造としている。
 ブラインドは、フリーストップ式のロールアップタイプ。

 出入口扉は、乗務員室背後が幅1mの片引戸、それ以外が幅1.3mの両開き引戸。全て個別操作と半自動扱いが可能となっており、半自動扱い時の開閉操作の省力化のため、操作ボタンを設けている。
 正面貫通扉はプラグドアで、自動幌解結装置を搭載する。

 灯火類は、HIDビーム4灯式の前照灯と、LEDによる後部標識灯を備える。


 当初は、両運転台式のMC310形と、片運転台式のMC311形の2形式が登場。
 2008年7月1日ダイヤ改正に合わせて、片運転台の新形式MC312形が追加された。


<システム等>

 在来線車輌としては珍しいオールM方式を採用し、全車両が電動車となる。

 制御方式は1C−1M式IGBT−VVVFインバータ制御とし、小型軽量な出力180kWhのモーターを、通常1時間定格130kWhで運用し、各車両に4基搭載。
 歯数比は6.0とし、限流値の自動切り替えにより、全速度域において加減速性能の向上を図っている。
 起動加速度は常用2.8km/h/s、最大で3.5km/h/s、最高速度は130km/hとなる。


 台車はヨーダンパ付きのボルスタレス台車で、2009年度までに登場した112両のうちの106両については、6000系/EC300系と同一のS−ST6000形。

 2009年度に高松地区用として投入された28両のうちの6両については、JRT四国の次世代標準型近郊電車用として新開発したS−DT320形を装備して、長期テストを行った。
 2010年度以降新製された車両については、当初からS−DT320形を装備し、これ以外の車両についても、全般検査時にS−DT320に交換していく予定となっている。


 ブレーキ方式は、列車が完全に停止するまで全て電気モーターによってブレーキをかける、発電ブレーキ併用抑速回生付きの電気停止ブレーキ方式を採用。
 あわせて補助ならびに非常用として、応荷重・応速度増圧付き電気指令式空気ブレーキも備え、基礎ブレーキ装置は全車車輪ディスクとなる。

 パンタグラフは6000系/EC300系と同じで、シングルアーム式のS―PSS8000GSXで、MC312形を除いた全車両に搭載される。
 架線と集電シューの摩耗を抑えるため、電気連結器を介して編成情報を取得することにより、3両ごとに1基のパンタグラフが上がるように自動制御される。そのため、架線電圧を隣接車輌に供給するための高圧線連結器を併用する。なお、故障時等に備えて個別昇降制御も可能である。

 連結器は電気連結器併用の密着連結器で、自動幌解結装置を搭載して連結・開放作業の省力化を図っている。
 貫通幌は客車方式で、全ての車両端に装備される。


 主幹制御器はEC300系やJRT6000系、DC300系などと同じで、JRT四国標準仕様の横軸2ハンドル式とし、マスコンは疑似6ノッチ刻みの自動進段式。
 その他、正面貫通扉や乗降ドア、冷房装置などの主要部品はEC300系/6000系/DC300系と共通。

 但し、インバータ式の発電機については基本的に他車への供給を考える必要が無く、全て自車自給方式となることから、小型軽量のECSC12Zを搭載する。


 MC311形+MC310形という編成はもちろん、片運転台のMC311形を背中合わせにした2両編成での運用も可能で、車両の向きや貫通幌の有無、仕様の違い等による運用の制限が一切無く、MC311形の妻面が編成端に来ない限りは、自由な編成を組むことが可能となっている。


 また、311系や6000系、7000系との併結運転も可能。


<客室>

 基本的にJRT6000系と共通の、3扉オール転換クロスシートで、シートピッチは940mm。
 床面高さはEC300系やJRT6000系と同一の1,100mmで、電車専用ホームとの段差をゼロにしている。

 出入台デッキ部分の仕切(衝立)は冬季の防寒のため透明アクリル板が設置されているほか、モケット張りのクッションを設けている。

 ワンマン設備を有し、室内灯はグローブ付き。

 トイレは車椅子対応の洋式トイレがMC312形を除いた全車両に設置される。
 トイレの隣は車いす設置スペースが設けられており、この関係でMC310形のトイレ横の座席は一人がけとなっている。


<その他>

 2007年7月までに営業運転に就いた24両については、当初は単行運転時は踏切・信号関係の保安上、110km/hでリミッターが作動するようになっていたが、従来よりも送受信面積を約1.5倍に拡大した新型車上装置の効果が認められたため、同年9月より順次リミッターは撤去され、同月以降に落成したグループは当初からリミッターを装備していない。

 2008年7月改正から投入されたMC312形はトイレ設備が無いため、パンタグラフを搭載せずに隣接車両から電源の供給を受けるシステムとし、トイレ無しのMC312形だけで運転することが出来ないように配慮している。

 2009年度は合わせて28両を高松地区に投入し、快速「マリンライナー」「シルバーラビット」「備讃ライナー」を除いた同地区の予讃線・土讃線の普通列車を全てEC310系で統一された。

 2010年度はさらに7000系置き換えのために松山地区へ27両が12月から2月にかけて投入され、これにより2011年3月改正からは、予讃線の普通列車は上記の快速列車を除いて、全てEC310系による運転となった。
 現在の配置は、高松運転所69両、松山運転所27両、高知運転所43両の、合わせて139両となっている。



<その後> 

 長年新製が途絶えていたが、徳島地区の7000系電車の老朽置き換えを目的として、一部マイナーチェンジを行って10年ぶりに2021年度に増備車が登場することとなった。
 区別のために型式名称も一の位が+5されて新たにMC315形とし、外観デザインを中心に一部変更を行っている。


 基本仕様は両運転台ワンマン対応のMC310形と同一で、前面の曲率を変更してやや立ち気味とし、正面の窓面積も小さくして運転台側に乗務員用の小窓を新設した。
 スカートのデザインも変更されている。

 前照灯と後部標識灯はいずれもLED化され、腰部の前照灯は形状も変更されている。

 機器類では台車とパンタグラフをEC320系と同一の物とし、それぞれS−DT320R、S−PSS320を名乗る。
 その他の機器類は在来MC310形と極力揃えつつ、一部で近代化と省力化を図っている。

 室内もほぼ同じであるが、後位側トイレ向かいの転換クロスシートについては、一人がけの席を1列から2列に増やして車椅子用のスペースを拡大した。
 この関係で、乗車定員が1名減少している。


 2021年の秋から投入を開始し、2023年までには徳島地区の7000系を全て置き換える計画である。



形式 MC310
(両運転台)
MC311
(片運転台)
MC312
(片運転台)

MC315
(両運転台)
C2C5
両数62453257 (計画)
製造年次2007/4 〜 2011/12021/9 〜
最大寸法21,300 mm
2,960 mm
3,680 mm
(屋根高さ:3,450 mm)
(パンタグラフ折畳み高さ:3,890 mm) (パンタ折畳み高さ
:3,890 mm)
重量38.0 t36.5 t36.0 t38.0 t
車体 アルミ高張力鋼板中空押出
ダブルスキンモノコック構造
制御方式個別制御式 IGBT−VVVFインバータ制御
電動機形式
出力
S−MT310
130 kWh × 4
歯数比6.0
パンタグラフ形式 S-PSS8000GSX
シングルアーム式
S-PSS320
シングルアーム式
ブレーキ方式 抑速回生発電ブレーキ付き 電気停止ブレーキ
応荷重・応速度増圧付 電気指令式空気ブレーキ併用
基礎ブレーキ装置 車輪ディスク
(4センサー3チャンネル式各輪個別制御アンチロック付き)
台車形式・方式 S−DT6000
(EC310形の 〜40、EC311形の 〜34、MC312形の 〜32 まで)
S−DT320R
S−DT320
(上記以外の車両)
(上記の車両も、順次 S-DT320 に交換)
ボルスタレス式
軸箱支持装置:円錐積層ゴム式
車輪直径:840 mm
連結器 密着連結器
電気連結器併用
高圧線連結器付
許容最高速度130km/h
加速度
減速度
起動加速度 3.5km/h/sec (最大)
起動加速度 2.8km/h/sec (常用)
常用最大減速度 4.3km/h/sec
非常最大減速度 5.0km/h/sec
勾配均衡速度 10‰:137km/h
20‰:114km/h
33‰: 92km/h
曲線通過速度 300>R:本則+5km/h
500>≧R≧300:本則+10km/h
R≧500:本則+15km/h
電動発電機ECSC12Z
出入口ドア3扉
1,000mm片引戸 × 2
1,300mm両開 × 1
1,000mm片引戸 × 1
1,300mm両開 × 2
1,000mm片引戸 × 2
1,300mm両開 × 1
冷房装置 S−ECAU2000SIV
12,000 〜 30,000 kcal/h × 2
電子制御半集中式/強制換気付/新冷媒採用
床面高さ1,100 mm
シートピッチ940 mm
窓ガラス UVカット・熱線反射式 複層合わせガラス
運転室:防眩クリヤー(一部ブロンズ)/客室:グレースモーク
乗車定員103(立席:60)121(立席:73)131(立席:79)102(立席:60)
WC 洋式
(車椅子対応)
洋式
(車椅子対応)



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