過去帳の特急列車


 JR化以降、新たに設定された優等列車は基本的に全て特急列車となっている。
 これまでのJR四国の歴史の中で、設定されたものの既に廃止された特急列車は、臨時列車を除いて4系統となっている。

 なお、下記の愛称・運転区間・運転本数・使用車種等は廃止時点のものである。


あ  い
I LOVE しまんと
ウィークエンドエクスプレス高知
ホームエクスプレス阿南



あ  い
徳島線 徳島〜阿波池田間
2往復
キハ185系
(1998年〜1999年)





あ  い1号
徳島線 阿波加茂〜辻間
1999年3月6日





一般車両で運転される日もあった
この日の池田方先頭は、左右の塗り分けの角度が異なる"異端"色のキハ185−1014

あ  い1号
徳島線 阿波加茂〜辻間
1999年2月23日



あ  い4号
徳島線 阿波加茂〜辻間
1999年3月6日


 1998年の明石海峡大橋開通に合わせ、同橋経由で運転される高速バスとの連携によって、観光客を徳島県西部まで誘導することを目的に設定された。

 98年のGWに臨時特急として登場。同年7月11日〜8月31日まで毎日運転とされ、同年10月1日のダイヤ改正で定期列車化された。

 車両は、阿波狸合戦に由来する金長たぬきがデザインされた、専用塗装(側面のステンレス部は単なるシール)のキハ185系が充てられ、2往復が運転されていたが、1999年3月のダイヤ改正で早くも「剣山」に吸収される形で姿を消した。



I LOVE しまんと
土讃線・予土線 高知〜宇和島間
1往復
キハ185系
(1997年〜1999年)





予土線 西ヶ方〜江川崎間
1998年9月14日
(2枚とも)





 予土線初の特急列車として、1997年の夏休みシーズンに臨時列車として登場。
 カワウソをデザインした専用塗装の施された高松運転所所属のキハ185系2両編成が充当され、列車そのものよりも車両デザインが人気で運転されていた。

 当初の運転区間は松山〜高知間であったが、1997年秋からは早くも松山〜宇和島間は打ち切りとなり、以降は高知〜宇和島間の運転となった。

 1日1往復であったり、1日に片道1本のみであったりするなど、運転時刻は幾多の変遷があったが定期化されることなく、またJR四国発行のポケット時刻表に掲載されることすらなかった。


 2000年の春の行楽シーズンからはついに運転が取りやめられ、専用塗装のキハ185系も元の一般色に戻された。



ウィークエンドエクスプレス高知
土讃線
高知→土佐山田間:上り1本
土佐山田→須崎間:下り1本
週末のみ運転
2000系
(2007年〜2009年)


「ホームエクスプレス高知(当時)」上り列車

土讃線 高知駅
2007年9月20日





<概況>


 高松の「ミッドナイトEXP高松」、松山の「ミッドナイトEXP松山」に続いて登場した、高知地区の午前様帰宅特急列車である。

 設定区間と運用の都合上、高知→土佐山田間の上り1本と、土佐山田→須崎間の下り1本の2本が設定されていた。
 現在は金・土曜日運転の臨時列車扱いとなっており、ヘッドマークと側面LED表記も「臨時」となっていた。

 車輌は「南風」「しまんと」間合い運用の、高松運転所の2000系モノクラス編成が使用されており、N2000系も頻繁に使用されている(日によっては全車N2000系)。

 当初は「ホームエクスプレス高知」を名乗っていたが、2008年3月改正から「ウィークエンドアクスプレス高知」に名称変更された。


<HISTORY>


 2007年5月7日から、休日を除いた毎日運転の臨時列車として運転を開始。
 当面は、同年9月29日までの運転とされた。
 車輌は「南風」「しまんと」間合い運用の、高松運転所の2000系気動車による、モノクラス3両編成。

 送り込みを兼ねた上りの土佐山田〜高知間と、下りの土佐山田〜須崎間に、それぞれ1本が設定された。
 上り列車は、走行距離わずか15.3kmという超短距離特急列車だった。

 <停車駅>土佐山田−ごめん−高知−旭−朝倉−伊野−佐川−多ノ郷−須崎


 2007年8月27日に、10月1日以降も引き続き運転されることが発表された。


↓<下り>
↓<上り>

(JR時刻表 2008年2月号より)


 2008年3月15日改正では、運転日が毎週末金・土曜日のみ(休日を除く)に変更され、併せて名称も「ウィークエンドエクスプレス高知」に変更された。


 2009年3月14日改正で廃止された。

<私見>


 公式発表によれば、 2007年5月7日〜8月15日までの間の延べ利用客数は2,077名で、1日平均24.7名だったらしい。
 上記の画像は平日の土佐山田行きだったが、確かにそれぐらいの客が乗っていた。

 高松、松山と登場し、流れからして当然、高知、徳島にも登場するものと思っていたので、それほど驚きはしなかったが、高知→土佐山田間の走行距離15.3キロはさすがに「意味あるんかいなー?」と思ったが、、、、結構利用者いるのね(^^;
 考えてみれば、上り/下りとも高知発の最終列車になるので、それなりの利用があってもおかしくはない。


 列車番号は9708D/9709Dで、百の位に「7」の数字を割り振っているあたり、かつての急行列車並みの扱いとされていたのであろうか?
 しかも一の位が8/9って、、、、増やすつもりだったのかしら?(w

※昔の急行「あしずり」の列車番号が701D〜 だった。




ホームエクスプレス阿南
牟岐線 徳島〜阿南間 1往復
キハ185系
(2008年〜2019年)




ホームエクスプレス阿南4号
牟岐線 阿南駅
2008年5月22日



<概況>


 高松、松山、高知に続いて、予想通り(?)設定された、徳島地区の通勤(専用)特急。

 徳島〜阿南間にキハ185系で運転されていた。

 運転距離はわずか24.5kmで、博多南線を除いたJRの特急としては日本一短かかった。
 博多南線の特急は愛称が付いてないため、JRの愛称付きの特急としては最短であった。

<HISTORY>

 「ホームエクスプレス阿南」の前身にあたる列車は、2006年3月18日改正から約3ヶ月遅れの6月1日に、徳島〜阿南間に2往復が設定された。
 当初の列車名は「むろと」であるが、全て夕刻から夜間帯にかけての運転で、帰宅客を狙った快速列車的な性格を持つ列車となっているため、「51号〜54号」と半人前(?)的な号数を名乗っていた。
 なお、列車番号も臨時扱いの9000番台であったが、実際は毎日運転となっていた。


 2008年3月15日改正で、上記の2往復について「ホームエクスプレス阿南」に名称変更となった。
 このとき、上り1本が朝の時間帯にシフトされている。
 この時点では、列車番号は臨時扱いの9000番台のままであった。


阿南駅に到着する「ホームエクスプレス阿南1号」

2008年5月22日
牟岐線 阿南駅


 2009年3月14日改正で、列車番号が定期列車である5000番台に変更となった。


 2011年3月12日改正で、朝の上り1本が「むろと」に吸収される形で消滅し、夕方のみ下り2本/上り1本の運転となった。


 2012年3月17日改正では、夜の下り1本が廃止されて、夕方時間帯のみの1往復の運転となった。


 2019年3月16日改正での、牟岐線の普通列車等間隔パターンダイヤ化を主軸とした運行体系の根本的な見直し策により、特急「むろと」2往復と共に廃止された。

<私見>


 登場当初は各駅停車に毛が生えた程度の遅い列車であったが、今では一応通常の「むろと」と同等の所要時間で走っている(それでも遅いが)。

 とはいえ同時間帯の各駅停車はさらに輪をかけて遅いので、なによりリクライニングシートという「アドバンテージ」もあり、そのあたりがこの列車の存在意義ということになるかもしれない。


 設定当初から存在意義の薄い列車で、実際平日はほぼ空気輸送であり、廃止もやむなしであった。






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