オエ61形 救援車



オエ61−18
(1984年10月6日)
土讃線 琴平〜塩入間 真野踏切付近





 踏切事故などの際に、救援用の物資や作業員の輸送に使用されるのが救援車と呼ばれれる車両である。
 中でもこのオエ61形は最大勢力で、0番台車100両、300番台車19両、600番台車3両の、合わせて122両が1966年から1981年までの間に改造された。

 改造種車はマニ60形が大多数を占めるが、オハフ61・オハユ61・オハユニ61・オハニ61など種々に渡り、要は木造客車を鋼体化改造した61系客車の再改造車がほとんどである。
 種車の違いのほか、改造を担当した工場によって改造内容が異なり、その外観デザインは非常にバラエティに富んでいた。

 上写真は、土讃線真野踏切での急行列車と大型トレーラーの衝突事故の際に高松から駆けつけてきた、当時高松運転所在籍の18号車である。



 国鉄時代は中規模以上の車両基地であれば何処にでもいたのだが、国鉄末期頃からは合理化のため、一般の車両の中で予備車として遊んでいるモノが救援車の代用として使用されるようになり、急速に姿を消していった。
 恐らく鉄道荷物輸送が廃止された時点(1985年)で、職を失った50系荷物車を救援車代用として転用し、旧型客車改造の救援車は全廃してしまったモノと見られる。

 四国に於いても、マニ50−2225が救援車代用車として存在していたが、これも1991年12月31日付で廃車となっている。



 オエ61形は、四国でもかつては最大で6両が在籍していたが、これらは全てJR移行前に廃車となっており、JR会社に引き継がれたオエ61形は、わずかにJR北海道の2両のみで、それも1990年をもって廃車処分とされて、JR線上から姿を消した。


<四国にいたオエ61形の改造略歴>
オエ61−1(徳島気動車区配置)
 1922.**(川崎重工)ナハ25111
 1952.11(宇都宮工場)オハユニ61 91 化
 1966.10(多度津工場)オエ61 1 化
 1987.01(廃 車)
オエ61−5(小松島客車区配置)
 1920.**(汽車製造)オユフ27474
 1950.**(改造工場不明)オニ16671 化
 1952.11(宇都宮工場)オハユニ61 92 化
 1968.02(多度津工場)オエ61 5 化
 1984.06(廃 車)
オエ61−6(高知客貨車区配置)
 1923.**(川崎重工)オユフ27511
 19**.**(改造工場不明)オニ26790 化
 1952.11(宇都宮工場)オハユニ61 93 化
 1968.02(多度津工場)オエ61 6 化
 1986.03(廃 車)
オエ61−18(高松運転所配置)
 1925.**(製造元不明)ナハ35158
 1951.09(高砂工場)スハニ61 186 化
 1954.02(改造工場不明)オハニ61 186 化
 1969.09(多度津工場)オエ61 18 化
 1987.02(廃 車)
オエ61−23(松山気動車区配置)
 1925.**(製造元不明)オハニ27237
 1952.07(東急車両)オハユニ61 59 化
 1971.01(多度津工場)オエ61 23 化
 1987.02(廃 車)
オエ61−66(高知客貨車区配置)
 1923.**(汽車製造)オニ27904
 1954.10(宇都宮工場)オハユニ64 8 化
 1962.11(土崎工場)マニ60 2096 化
 1976.09(多度津工場)オエ61 66 化
 1987.01(廃 車)




 なお、徳島運転所敷地内には、オエ61−1が元の倉庫代わり(多分)としてひっそりと生き長らえていたが、屋根が木造のために傷みが激しかったせいか、ついに2005年8月末になって姿を消した、、、、どうやらとうとう解体されてしまったらしい。


↓ 徳島運転所内でひっそりと佇んでいたオエ61−1
(2003年9月18日撮影)

 形式や所属表記、検査標記も残っていたが、何故か「四カマ」表記のままで「徳島気動車区救援車」表記となっていた。
 しかも「四カマ」の「カ」の部分だけ修正した形跡があり(以前は「四コマ」?)、さらに謎は深まる。

 屋根は木造のため痛みが激しく、内部も相応に荒廃しているように見受けられたが、個人的にはせっかくのトップナンバーだから保存して欲しかった気はする。

 元を正せば、この撮影時点でも既にもう80年以上前に作られた車両だった、ということに驚きを隠せない。
 もっとも、鋼体化改造車なので車体は50年程度"しか"経過していかったのだが・・・





形式オエ61形
寸法20,000 mm
2,900 mm
4,025 mm
重量 29.9 t
車体普通鋼
ブレーキ方式AV
ブレーキ装置踏面両抱
台車形式 TR11
(例外的に TR23 もあり)
許容最高速度95km/h
車体構造・客室


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