スハ44系特急形客車

スハフ43
車体端部に車掌室のある、オリジナルのスハフ43形
土讃本線 琴平駅
(1983年6月)


 戦後の復興期、特急列車の本格的な復活の気運に乗り、戦前製の旧型客車に代わる特急用客車として1951年に登場したのが44系客車である。

 車掌室のあるスハフ43形とそれの無いスハ44形、それに荷物室付きのスハニ35形の3形式が製作され、東海道本線の特急「つばめ」をはじめ、東北本線特急「はつかり」に使用された由緒正しき特急用客車である。

 製造両数は49両にとどまり、中でもオリジナルのスハフ43形はわずか3両のみが製作された希少車であった。

 特急列車の電車化・気動車化が進むと「銀河」などの急行列車に格下げ運用され、併せてスハ44形に車掌室を取り付けてスハフ43形化する改造が行われて、14両が登場した(車番は11〜24が付与された)。
 この車両は客室の一部を車掌室に改造しただけなので、オリジナルの0番台車とは一目で区別がついた。


 44系は当時としては乗り心地の良かったウィングバネ式のTR47形台車を履いているために重量が重く、加えて冷房装置も備えていなかったことから、特急列車の電車化・気動車化が進むに伴い次第に敬遠されていった。
 オリジナルの客室は一方向固定式のクロスシートで、シートピッチは875mmであるが、後年は回転式に改造され、それも晩年は回転機構が固定されて常時向かい合わせ状態で運用されていたが、ごく希に回転機構が生きているものもあった。


 東海道新幹線の延伸に伴う在来線特急・急行列車の削減や、新型客車への置き換えなどにより、1976年までには優等列車運用を離脱した。

 四国へは1975〜76年頃に、少なくとも6両(2/3/15/16/18/19号車)のスハフ43形がやってきて普通列車用として余生を送り、44系客車として最後の活躍をしていたが、1985年3月のダイヤ改正で四国内の旧型客車による定期旅客列車は、全て50系客車や気動車に置き換えられ、この44系客車も現役を退いた。

 最後まで残っていた原型のスハフ43形2両(2/3号車)は日本ナショナルトラストに売却され、現在も静岡県の大井川鉄道で運用されている。



↓1984年12月撮影
(土讃本線・琴平駅にて:留置線で留置中の車両を、職員立ち会いのもと許可を得て撮影)

晩年の客室内

 向かい合わせ向きに固定されていたが、希に回転機構が生きている物もあった。


 撮影時は12月であったため、天井の扇風機にはカバーが取り付けられている。

1番A−B席

 座席1列に1つづつの小窓が特徴であった。

客室内の形式プレート


 「ハイケンスのセレナーデ」を奏でる、車掌室内の放送機器。

側面表記とサボ

妻面の検査表記

TR47形台車

 当時としては非常に乗り心地に優れる台車であった。



形式
スハフ43形
スハ44形
寸法

20,000 mm

2,900 mm

4,020 mm
重量
33.7〜34.5 t
32.7〜33.4 t
車体
普通鋼
ブレーキ方式
AV
ブレーキ装置
踏面両抱
台車形式
tr47
許容最高速度
95km/h
車体構造・客室
1扉固定クロスシート
乗車定員
72
80


検索サイトから直接来られた方は、ここをクリックしてTopに移動できます