ワム80000形 有蓋車


DE10形の牽引で予讃線を行く、
ワム80000形×20両編成の伊予三島行車扱貨物列車

1988年8月8日
予讃線 讃岐塩屋〜多度津間


 ワム80000形は、1960年から1981年までの間に総数26,605両もが量産された、国鉄を代表する二軸貨車の一つ。

 1959年にコンテナ輸送が開始される一方で、それ以外の通常の車扱い貨物輸送を効率化させるため、パレットを使用した輸送が検討され、それに適した貨車として製作され、試作車ワム89000形の製作を経て、量産車が登場した。
 走り装置は二段リンク式で、最高速度は75km/h。

 積載荷重はパレットを含めて15tで、同荷重の他形式と比べて若干車体長が長く、全長は9.65m、ホイールベースは5.3m(28万番台以降)となる。
 荷役性改善のため側面は総開き式4枚引戸とされ、任意の場所を開いて荷役ができる。


 ほぼ同時期に平行して17,000両以上が量産されたワラ1形二軸貨車と比べて、全長が長くて積載荷重も小さいが、原因不明のいわゆる「競合脱線」事故を繰り返して事故廃車も発生(鶴見事故もワラ1形貨車の脱線がきっかけであった)し、JR会社には1両も引き継がれることなく姿を消したワラ1形と異なり、適切な長さのホイールベースによって安定した走行性能を発揮したワム80000形は、国鉄時代の事故廃車もなく、1984年2月のダイヤ改正でヤード輸送が廃止された後も、主に紙類輸送用として生き残り、JR貨物のほかにJR九州を除くJR旅客鉄道各社にも事業用として引き継がれた。

 現在も貨物輸送に供されている車両については、軸受けをコロ軸受けにする改造や、屋根の一部を切り取るなどして製紙用木材チップのバラ積み輸送に適した改造が行われている車両などが存在する。




 1975年から81年にかけて8500両が製作された、28万番台と呼ばれるグループ。

 ホイールベースを延長し、側扉をアルミにして軽量化を図った改良型で、屋根の形状も変更されている。


2008年1月14日
東海道本線 富士駅にて(2枚とも)


 28万番台をベースに、走行抵抗軽減と保守性向上のため、車軸受けをコロ軸受に変更したグループで、38万番台を名乗る。

 車体が青に塗り替えられたほか、向かって右下のブレーキレバー付近に「転動防止注意」の表記が追記れている。


2008年1月14日
東海道本線 富士駅にて




 JR四国でもかつて第1次量産車のワム80705形を保有し、1987年に貨物輸送としての用途が廃止された後、ソ95形とともに事故復旧時の救援用途として使用されたが、コスト削減などの観点から1991年12月末にソ95形とともに廃車された。



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