コキ100系 コンテナ車


着実に勢力を広げつつある、コキ100系
四国でも、コキ100/101/102/103/104/106/107/110の各形式を見ることが出来る
(全て四国内で撮影)



 「コンテナ車」が登場したのは1959年で、最高時速85km/h対応のコキ5500形が、汐留〜大阪間のコンテナ特急(今で言うところの「高速貨物列車」)「たから」としてデビューしたのが最初である。
 その後、100km/h対応の高速貨物用としてコキ10000形、その改良型であるコキ50000形が登場し、コンテナ輸送は鉄道貨物輸送の中心的存在となっていった。

 民営化後、さらなるコンテナ輸送の改善を図るため、110km/h対応のFT1形台車を履いたコキ100系が1987年に登場。
 同車は貨車としては初めて「ユニット方式」を採用、登場当初はコキ101形2両の間にコキ100形2両を組み込んだ4両で1つのユニットを組み、これを4〜6ユニット連結して高速貨物列車として使用された。

 コキ100+コキ101形は1987〜89年にかけて66ユニット264両が、その改良型であるコキ102+コキ103形が1989〜90年に460両が製造された。
 これらのユニット車は、中間2両の車端デッキが省略され、両端の車両と中間の車両で車体全長が異なっている。
 なお、両端の車両は車端デッキと手すりを備えるが、留置用の手ブレーキハンドルは漁腹部車体側面に設置されている。そのため車端デッキからの手ブレーキ操作ができないことから、”突放禁止”とされて車体にもその表記がある。


 しかし4両ユニットでは運用上不便であるため、従来の貨車と同様に1両単位で組成可能な車輌としてコキ104形が1989年に登場し、1996年までに2,947両が量産された。
 コキ104形には、20t積海上コンテナや30t積40フィートコンテナの積載を可能とするべく締結装置が追加された車輌も登場したが、こちらは1997年以降のコキ106形式に移行している。
 さいたま新都心建設に伴う残土輸送用として、1996年に5000番台車が36両製造され、当初は埼玉県資源活性化財団所有の私有貨車だったが、その後の残土輸送終了に伴ってJR貨物に譲渡された。

 このほか、ユニット編成車の効率化のため、1990年に2両でユニットを組むコキ105形が登場し、91年度までの間に合わせて40ユニット80両が製造された。


 1997年にはコキ104形のモデルチェンジ車としてコキ106形が登場。
 コレは上述の海上コンテナ対応のほか、総重量20.32tのISO規格コンテナ2個積載に対応するため、積載荷重が従来型の40.5tから40.7tに増え、それに伴って魚腹形状が変更されている。

 このほか、総重量24tのコンテナも中央なら1個のみ積載が可能となっている。
 台車についても、新開発のFT2形に変更となった。

 なお、ここまでに新製されたコキ100系は全てスカイブルー塗装で落成しているが、1999年製造のコキ106形405号車以降は、グレー塗装に変更されている。
 これ以降、スカイブルー塗装で落成したコキ106形も全般検査時等にグレーに順次塗り替えられているが、コキ106形以外のこれ以前の各形式については、全てスカイブルーのまま存置されている。


 2001年には、コキ106形に新規格の15フィートコンテナ用緊締金具を追加したコキ110形が試作された、非常に目立つからし色で落成したが、その後の増備はなく、わずか5両のみの希少グループとなっている。


 2008年度からは、老朽化したコキ50000形の置き換えを目的として、新たにコキ107形式が登場。
 コキ106形を基本としながら、当初からグレー塗装とたうえで魚腹の形状をコキ104形に準じたもの(側梁補強の位置は異なる)とした。
 さらに、従来のコキ100系では漁腹部側面に設置されていた留置用の手ブレーキハンドルが、コキ100系以前のコンテナ車と同様に車端デッキ部分に移設されている。

 台車はコキ200形のFT3形をベースにしたFT3U形で、ユニットブレーキ方式となったことから、ホイールベースが200mm長くなっているほか、車輪直径も小さくなっている。

 2006年に既に1両が試作されていたが、2008年度から量産開始となった。



 各形式とも、従来型の貨車との併結も可能であるが、その場合は当然ながら最高速度が低く抑えられる。コキ100系のみで編成されている場合は、最高110km/hでの走行が可能である。

 落成時の車体色は基本的に青だが、コキ106形の405号車以降はグレーになっているほか、コキ110形はからし色になっている。
 また、コキ106形の初期車についても、順次グレーへの塗り替えが進んでいる。


 コキ100系は当初から低床式として、あらゆる種類のコンテナを積載可能な、コンテナ貨車の集大成とも言える車輌として急速に勢力を拡大し、JR貨物保有貨車の約半数を占める最大勢力までに成長している。
 2006年4月時点での在籍数は、コキ100/101形:各132両、コキ102/103形:各230両、コキ104形:2,937両、コキ105形:80両、コキ106形:912両、コキ110形:5両、コキ200形:153両で、総勢4,811両となっている。

 その後も老朽コンテナ車置き換えのためにさらに増備が続き、2006年末の試作を経て2008年からは新形式コキ107形も登場し、2018年現在も増備が続いている。

 コキ107形は2016年末時点で1,585両に達しており、コキ100系全体でも既に総勢6,000両を突破し、JRグループの車両の中では文句なしの最大製造数となっている。



〜四国内の運用等〜

 コキ100系の四国乗り入れ運用は意外と早く、遅くとも1990年には東京〜高松〜新居浜・松山間の高速貨物列車B/Cに、コキ100〜104形が組み込まれて乗り入れ開始しているのが確認されている。

 現在四国内を走行する定期貨物列車は全てコンテナ列車で、その全てがコキ100系で編成された、最高速度95km/hの「高速貨物列車B」である。
 ただし、予讃線・多度津〜松山間については線路規格の関係か、種別は「高速貨B」のままで、最高速度が85km/hに抑えられている。

 2022年現在、四国島内のみ運転の貨物列車は最短6両から9両編成、本州から直通で乗り入れる列車では20両(EF65牽引)または22両編成(EF210牽引)となっている。
 なお22両編成列車は、JR貨物時刻表の2018年3月改正号までは24両1200トン牽引列車として記載されており、繁忙期には24両に増結される可能性があったが、実際に24両で運転されたことがあったかは不明である。

 深夜の松山・新居浜行列車は、かつては12両で運転されていたが近年は9両に減車されている。また、高松〜新居浜間の3070〜3071レも以前の8両編成から現在は6両に短縮されている。


 東京〜高松間の70/71列車には、ユニット式のコキ100/101、またはコキ102/103形が恒常的に組み込まれており、2011年秋からは珍車・コキ110形も連結されるようになったことから、同列車はコキ100系のほぼ全形式を一度に見ることの出来るレアな(?)列車となっている。

 これ以外では、新居浜駅が20フィート/30フィートの大型コンテナを扱うことから、新居浜発着の列車はかなり早い時期からコキ100系列を中心にした編成となっていた。


 松山および伊予三島発着列車は、かつてはコキ50000形が充当されることが多くコキ100系は限定的な運用であったが、コキ50000形置き換え用のコキ107形の増備が進むにつれて、他の列車でコキ107形に置き換えられたコキ104形やコキ106形等に置き換えが進み、2017年度をもって四国内運転の貨物列車は全てコキ100系化された。

 なお、(移転前の)松山駅は公式上は12フィートのみの扱いとなっていたが、その当時から松山発着列車は時折20フィートを積載していることがあった。
 2020年3月の松山貨物駅としての移転開業を機に、正式に20フィートの取扱いを開始している。




予讃線 国分駅
1990年12月31日

 DE10形の牽引で予讃線を行く、コキ100系で組成された松山行1553レ。

 6両編成で先頭2両はコキ104形、後部4両が100/101または102/103ユニット。

予讃線 鴨川〜八十場間
1991年9月

 四国関係では恐らく最初に全車コキ100系化された列車である、東京(タ)発高松行1071レ。
 20両全車コキ100系。

予讃線 多度津駅
1991年7月24日

 DE10に牽引される松山行高速貨C・1553レ。

予讃線 浅海〜大浦間
1992年11月

 松山発新居浜行のコキ100系×2連のミニ貨物列車。

 2001年3月改正まで存在し、1993年3月改正以降はEF65形が牽引していた。

2000年6月
予讃線 讃岐塩屋〜多度津間

 多度津〜讃岐塩屋間をゆく、コキ100系×20両編成の東京行高速貨物70レ。

 高松からの7両、伊予三島からの6両、新居浜からの7両が、多度津でドッキングする「三階建て併結列車」であったが、2001年3月改正で高松発着に改められて姿を消してしまった。

 夕刻時間帯のため、撮影の難しい列車だった・・・・

予讃線 讃岐塩屋〜多度津間
2004年9月18日

 コキ100系で組成された、伊予三島発高松行3062レ。

高松貨物ターミナル
2008年8月29日

 恐らく作業員の習熟訓練等のために回送されてきたと思われる、新製後間もないピカピカのコキ107形。

予讃線 高松貨物(タ)〜鬼無間
2016年4月13日

 高松(タ)発伊予三島行3079レ。
 2014年頃までは全てコキ50000形が使用されていたが、2015年末頃からコキ104&106に順次置き換えられていった。

予讃線 みの〜高瀬間
2017年6月11日

 機関車次位にコキ110形を4両連ねた新居浜発高松(タ)行3070レ。

高松貨物ターミナル
2017年11月19日

 旅立ちを前に準備に余念がない東京(タ)行70列車。

高松貨物ターミナル
2018年8月9日

 四国〜東京間の花形列車といえる70列車。
 大型コンテナを満載して、相方である新居浜からの3070列車を待つ。

予讃線 本山〜観音寺間
2019年10月3日

 10時間の遅延により、白昼の予讃線を9両編成で走行する新居浜行3077列車。

高松貨物ターミナル
2019年10月31日

 コキ110形の全5両が勢揃いした、東京(タ)行の70列車。

高松貨物ターミナル
2019年10月31日

 手前から5両目までが、全てコキ110形
 しかも1号車から順番に連結されている・・・どう考えても狙っているとしか思えないw

予讃線 八十場〜坂出間
2022年6月22日

 大型コンテナを満載して東京を目指す70列車。

予讃線 鬼無駅
2023年1月5日

 四国では珍しい綺麗な「フレームライナー」(あるいは「フレートナイナー」)。

正月の運休明け初日の伊予三島行3079列車で、通常は既にコンテナを積んだコキを単機で迎えに行くか、またはコキを満載して荷物を積みに行くのが恒例であったが、今年は何故かご覧の通りに・・・







コキ102/103形の連結部

 ユニット式のコキ100/101、及びコキ102/103、それにコキ105形のユニット部分は、3本のジャンパ栓(エアホース2本とCLE)が繋がれ、連結器の開放ピンを操作する開放てこが省略されている。

コキ104形とコキ50000形の連結部

 ちなみに、コキ50000形等の他の一般の貨車と連結する場合は、ジャンパ栓は空気ブレーキ用のエアホース1本のみを使用する。



 なおコキ100系のみで編成された列車であっても、最高速度95km/h以下の運用の場合はブレーキホース1本のみ繋げば事足りるため、それ以外のホースは繋いでいない場合が多い(ユニット間を除く)。


 2008年度から量産開始となったコキ107形以降は、手ブレーキのブレーキハンドルが、これまでの側梁部分から、コキ50000形と同様にデッキ部に移動している。


 高松で編成分割した上で進行方向が変わる、東京〜新居浜間列車の下り方にかけられた、反射式後部標識板の裏側。


 ずらりと緊結具が並んだ、特徴的なコキ110形の台枠部。


 12ftコンテナ用の緊締具。
 使用しないときは側梁部に収納できる。


 コキ107形の魚腹部内側に取り付けられたブレーキ制御などの機器類。



 連結器。
 刻印から、左が日本製鋼所製、右が住友金属製と判別できる。


 「突放禁止」の文字が傾いている珍しい例。全般検査での塗装時にミスがあったのであろうか?
 なお2017年度以降の全般検査では、従来はこの突放禁止の文字の右側にあった「JRF」のロゴが省略されている。

 もっとも、手ブレーキハンドルがデッキ上にあるコキ107形の場合は「突放禁止」も解除で良さそうな気もするが・・・

978号車

1032号車


 実際のところ、2014年7月落成の1002号車からは、「JRF」ロゴのみならず、「突放禁止」の表記も最初から省略されている。
 在来のコキ107形も、全般検査等の再塗装時に「突放禁止」表記が消されている。

 ←のように、コキ107形で「突放禁止」有り&「JRF」無しは、今だけ見られる過渡的な姿かもしれない。

コキ104-9
2019年6月6日

コキ106-698
2019年5月16日


 コキ107形以外の各形式も、2017年度以降の全般検査時に「JRF」のロゴが省略されているが、「突放禁止」表記は健在。



形式
コキ100形
(18号車)

 コキ101形とペアを組む。車端のデッキが無いのが特徴。
(高松(タ)〜鬼無間)
コキ101形
(18号車)

 コキ100形とユニットを組む。
(高松(タ)〜鬼無間)
コキ104形
(797号車)

↑通常番台車
(高松(タ))

5000番台車
(5025号車)

(高松(タ))
コキ105形
(画像準備中)
コキ106形
(111号車)

↑初期のスカイブルーのコキ106形。
(高松(タ))

(777号車)

↑405号車以降は当初からグレーで登場。
(高松(タ))

(1号車)

↑当初のスカイブルーからグレーに塗り替えられたトップナンバー車(1号車)。
(高松(タ))
コキ110形
(3号車)

 15ftコンテナ積載に対応した、5両のみの激レア車。
(高松(タ))

 四国へは、70/71列車に連結されて姿を見せることがある。
コキ107形
(8号車)

 2008年度から量産開始。
(高松(タ))
コキ102形
(111号車)

 コキ103形に挟まれる形でユニットを組む。これも車端デッキが無い。
(新居浜)

(527号車)

 500番台車は車体長が若干長く、縦の補強梁が魚腹の変曲点からずれているのが外観上の識別点。

(516号車)

 また500番台車は12ft積載時に間隔が不均等になるのも特徴。
コキ103形
(112号車)

 コキ102形と4両でユニットを組んでいる。
(新居浜)

 編成写真で各形式を判別する場合、比較的目立つ魚腹部の形状によりコキ106形とコキ107形とそれ以前の形式が容易に判別可能。
 また、デッキ部の有無とそこへ昇降するためのステップの有無によりコキ100/102形とそれ以外の形式が判別できる。
 さらに、手すりの形状や台枠車端部の形状の違いにより、100/102と101/103以外は形式毎の判別が可能である。
寸法

19,910 mm
20,400 mm
19,910 mm
20,400 mm

2,640 mm

1,162 mm
1,867 mm
1,889 mm
1,867 mm
2,017 mm
台車中心間距離14,200 mm
重量
18.5 t
18.7 t
18.9 t
18.6 t
車体
普通鋼
ブレーキ方式CLE(応荷重装置付電磁自動空気ブレーキ)
ブレーキ装置踏面片押
台車形式
FT1

ホイールベース
1,900mm
FT2

ホイールベース
1,900mm
FT3U

ホイールベース
2,100mm
許容最高速度
110 km/h
荷重
40.5 t
40.7 t
積載可能コンテナ12ft/20ft/30-31ft 12ft/20ft/30-31ft
ISO20ft/ISO40ft
12ft/15ft
20ft/30-31ft
ISO20ft/ISO40ft
12ft/20ft/30-31ft
ISO20ft/ISO40ft


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