EF65形 直流電気機関車


2022年3月改正以降、四国では唯一往復のみの運用となった、深夜の大阪〜高松間の75レ
高松(タ)到着後は約4時間のインターバルで74レとして大阪へとんぼ返りしていく

予讃線 坂出駅
2022年4月4日



 それまでEF60形により牽引されていた東海道・山陽本線貨物列車の高速化と長編成化を図り、線路容量逼迫を改善する目的で1965年に登場。

 国鉄直流電気機関車として、完成された標準型とも言える形式で、一般型の0番台が1965年から70年までに135両製造されたほか、特急客車(ブルートレイン)牽引用の装備が施された「P形(旅客用)」が25両、そしてP形をベースに高速貨物列車牽引用に重連総括制御などを搭載した「F形(貨物用)」が17両の合わせて42両の500番台車も同65年から66年にかけて並行して製造された。


 そして、「P形」と「F形」両方の機能を併せ持つ「PF形」と呼ばれる、EF65形の集大成とも言える1000番台車が1969年に登場、1979年までの間に139両が製造された。


 よほどの急勾配でも無い限りは、殆どの直流電化区間を走行できる万能機で、主に日本の物流の動脈とも言える東北・東海道・山陽本線筋と、東北・高崎線で活躍。
 経年劣化と新型後継機関車の登場により、現在は檜舞台からは殆ど退いたが、2006年4月当時でも148両が残存し、JRグループ所属の電気機関車の中ではいまだ最多勢力を誇っていた。

 同じ1000番台PF形でも、製造時期の違いによってパンタグラフや正面貫通扉の窓の大小、つらら切りや正面のスリットの有無などに差異がある。


 JR移行後、貨物会社保有のPF形のうちの一部の車両については、貨物列車の制動時の空走距離短縮のため、常用減圧促進改造が施され、ナンバープレートが赤いものに変更されている。
 2012年2月1日時点で、JR貨物に残存するPF形52両のうち、35両が「赤プレ」となっていた。

 2012年5月から、いわゆるドライブレコーダーを搭載していない車両については、原番号に1000番をプラスして2000番台への改番が進んでいる。
 これは、100km/h超の営業運転を行う際に搭載することを義務づけられた、同装置を搭載していない車両を区別するための措置で、貨物会社所有の本機についてはほぼ全機該当することから、今後さらに増えるものと思われる。


 2016年4月時点では、JR東日本に6両、JR西日本に10両、JR貨物に37両の、合計53両まで減っている。



〜四国運用〜

 四国へは、500番台を除いた各タイプが入線実績がある。
 旅客・貨物列車共に、四国への定期乗り入れ開始は、瀬戸大橋開通の1988年4月10日改正からであった。


 以後、旅客列車については、寝台特急「瀬戸」を牽引して、当時JR東日本・田端運転所所属のPF形が高松へ顔を見せていたほか、快速「ムーンライト松山/高知」運転時の牽引で、JR西日本・下関運転所(当時)所属のPF形が多度津まで乗り入れてくることがあったが、定期列車については1998年7月の「瀬戸」の285系電車化で終了、臨時運用も2009年の「ムーンライト」以降は突発的な団臨のみに限定されている。

 なお、各種臨時・団体列車の牽引では、予讃線の松山まで、土讃線の琴平までの乗り入れ実績がある。


 貨物列車については、1992年までは高松および多度津までの乗り入れにとどまっていたが、予讃線・伊予市までの完全電化が完成した1993年3月改正からは、松山までの定期乗り入れが開始されている。
 当初は、全て新鶴見機関区所属の1000番台PF形であったが、2002年12月1日のダイヤ改正での運用変更に伴って担当機関区が岡山機関区に変わり、PF形の他に0番台一般型も乗り入れをはじめた。

 なお、2002年3月改正までは四国内の貨物列車全てを担当していたが、同改正では東京〜高松〜新居浜間の3070〜70レと71〜3071レが岡山機関区のEF210形に置き換わっている。

 2008年春の配置換えにより、高崎機関区から名物の「茶ガマ」こと57号機が岡山に転属となり、時折四国にも姿を見せている。
 これにより岡山機関区には、当時現存していたEF65形のほとんどのタイプが配置され、四国でもそのバラエティを楽しむことが出来るようになっていた。 → 岡山機関区EF65形のバラエティ

 2010年3月末までに、高崎・新鶴見のPF形の岡山への異動があり、その関係で茶ガマの57号機と、最期の国鉄色2桁ナンバーの87号機が廃車になった。

 2011年3月12日改正では、受け持ち機関区が新鶴見機関区に変更となり、四国乗り入れの6仕業を含めた9仕業が、「岡山運用」として区分されていた。
 車種は全て1000番台(または2000番台)PF形に統一されており、岡山機関区のEF65形は仕業が消滅。0番台車についてはこのときに全廃され、同番台の四国での活躍は10年にも満たなかった。

 2013年3月16日改正では、四国関係の定期運用が大阪〜高松間/高松〜松山間/高松〜伊予三島間各1往復の合わせて3往復となり、四国内で日中に撮影可能な列車は、高松〜伊予三島間の1往復のみとなっている。
 なお、米原〜高松間に設定されている臨時高速貨物列車も、所定では新鶴見機関区のEF65形が牽引している。

 2018年3月17日改正では運用本数に変化はないものの、大阪〜高松間の貨物列車1往復が臨時化されたことに伴ってEF210形との運用替えがあり、本四間の担当列車が変わっているが、四国内で日中撮影可能な列車が高松〜伊予三島間の1往復のみなのは変わらない。
 なお、臨時貨物列車については全てEF210形に置き換えられた模様。

 2019年3月改正では運用本数自体に変更はないが、本四間貨物列車の1往復定期化と同じく1往復臨時化があり、EF210形と運用の立て替えが行われた。
 また、伊予三島発着列車2往復の内の1往復が廃止されたが、残った1往復がEF65形の牽引となっており、これで昼間に四国内で撮影可能なEF65形牽引の列車は昼間の下り伊予三島行1本のみとなった。

 2022年3月12日改正では、従来JR四国に運転を委託していた予讃線の伊予西条〜松山間がJR貨物直轄となり、これに合わせてEF65形で残存していた四国関係の3往復の内の2往復がEF210形に置き換えられた。
 これにより、四国内でのEF65形の運用は、夜間の大阪〜高松間の1往復(75〜74レ:74レは吹田まで)のみとなり、29年ぶりに多度津以西の定期運用が消滅した。

 
 2023年3月18日改正、および2024年3月16日改正では四国における運用に変更はない。



四国内でのEF65形の活躍
1070号機

予讃線 国分〜讃岐府中間
1988年8月8日

 単機で高松へ向かう1070号機の単回3867レ。
1101号機

予讃線 国分〜讃岐府中間
1991年9月

 「瀬戸」を牽引して予讃線を走る、当時JR東日本・田端運転所所属の1101号機。
 このカマはその後、JR貨物に譲渡され、現在は2101号機に改番されながら、2020年現在も時折四国へ姿を見せている。
1012号機

予讃線 八十場駅
1991年9月

 当時はまだ原形を保っていた、前照灯のつらら切りが無い初期ロットの1012号機(当時新鶴見機関区所属)。
 1071レを牽引して高松を目指す。
1114号機

予讃線 鬼無〜端岡間
1992年8月26日

 四国内のEF65形の運用では一番の花形だったといっても良い「瀬戸」運用。
 JR東日本・田端所所属の1114号機が国分寺の逆S字カーブを行く。
1071号機

予讃線 伊予亀岡駅
1993年4月

 1993年3月改正から予讃線の松山まで顔を出すようになったEF65形。
 わずか2両編成の松山発新居浜行貨物を牽引する、新鶴見区所属の赤プレ機。
1049号機

予讃線 鬼無駅
1996年9月15日

 鬼無を通過する、当時新鶴見区所属の1049号機が牽引するコンテナ列車。
1051号機ほか

高松運転所
1996年12月30日

 四国内貨物列車の年末年始運休措置に伴い、高松運転所の片隅でまとまって留置中のEF65形。
 当時はまだ高松貨物ターミナルができていなかったため、運転所のスペースを借りていたものと思われる。
1001号機

予讃線 高松駅
1999年2月20日

 移転前の高松駅構内で留置中の1000番台PFトップナンバー。
1097号機

予讃線 多度津駅
1999年3月14日

 新居浜行3071レを牽引して多度津を発車する、当時新鶴見機関区所属の原色赤プレート機。
1062号機

予讃線 海岸寺〜詫間間
1999年8月23日

 伊予三島行貨物を牽引する、当時はまだ珍しかった原色青プレ機。
1006号機

予讃線 多度津駅
2000年6月

 この当時の東京(タ)行70列車は、高松・伊予三島・新居浜からの貨物列車が多度津でドッキングして、20両編成となってそのまま本州へ向かっていた。

 操車係の手旗信号に従って、多度津駅構内で入れ替え作業(併結作業)を行う1006号機。
1005号機

予讃線 鬼無〜端岡間
2003年7月26日

 ヘッドマークを掲げて、新型「マリンライナー」用の2階建てグリーン車・5100形の甲種輸送の先頭に立つ1005号機。
121号機

予讃線 鬼無〜端岡間
2003年9月14日

 伊予三島行貨物を牽引する121号機。

 2002年12月改正での運用変更により、岡山機関区の0番台機が四国に姿を見せるようになった。
1131号機

予讃線 讃岐塩屋〜多度津間
2004年1月2日

 片パン走行で「きのくにシーサイド」を牽引する、JR西・下関運転所所属(当時)の1131号機。
87号機

予讃線 鴨川〜八十場間
2004年9月19日

 「瀬戸」のHMを模した広島機関区一般公開記念のHMを掲げて、伊予三島行コンテナ列車を牽引する87号機。

予讃線 高松貨物ターミナル駅
2005年5月3日

 GWの貨物列車運休に伴って、機留線でまとめて留置されるJR貨・岡山機関区のEF65形。

予讃線 松山駅
2005年6月20日

 松山発高松(タ)行3072レを牽引する0番台一般型。
 次位は故障による無動力回送の1032号機
1128号機

予讃線 多度津駅
2005年8月15日

 快速「ムーンライト高知/松山」を牽引して多度津に到着した、JR西・下関所所属(当時)の1128号機。
1012号機

予讃線 鬼無〜端岡間
2006年1月28日

 この当時四国内では唯一、白昼にEF65形が20両のコキを牽引する姿の見れる列車であった、金沢発高松行73レ。

予讃線 松山駅
2007年12月16日

 松山駅で貨物扱いをしていた頃の、同駅での機回・連結シーン。
87号機

予讃線 国分〜讃岐府中間
2008年1月13日

 73レを牽引して国分のカーブを行く87号機。
57号機

予讃線 八十場〜坂出間
2008年9月24日

 金沢発高松(タ)行 高速貨73列車を牽引する「茶釜」こと57号機。

 なお、EF65形は全機が当初から青色塗装で落成しており、このカラーリングは国鉄復活色には該当しない。

57号機

予讃線 多度津駅
2009年7月15日

 伊予三島行貨物を牽引する57号機。

 小生が四国内で0番台一般型の姿をカメラに納めたのは、これが最後となった。
 結局0番台機の四国定期乗り入れ運用は8年ほどで終了した。
1065号機

予讃線 高松駅
2012年1月11日

 1500形気動車の第6次車を甲種輸送してきた、JR貨・新鶴見区の1065号機。
2101号機

予讃線 多度津駅
2012年7月11日

 かつて「1101号機」の時代に「瀬戸」を牽引して四国へ乗り入れていた2101号機。
 松山行高速貨物列車(3073レ=12両編成)を牽引して多度津駅で停車中。
2074号機(左)/2101号機(右)

予讃線 多度津駅
2012年7月11日

 深夜の多度津駅で、2101号機牽引の松山行貨物(右)を追い越す、2074号機牽引の新居浜行貨物(左)。
 当時は両列車とも12両編成であった。

 1000番台PFは2012年から、順次2000番台機への改造が進捗していった。
2083号機

予讃線 高松貨物ターミナル駅
2019年3月14日

 高松〜米原間の臨時貨物列車を牽引してきたと思われる2083号機。
 同列車は早朝高松着/深夜高松発の運転となるため、到着後の入れ換えを終えた牽引機がいつもこの場所で昼寝している姿を見ることが出来る。
2091号機

予讃線 多度津駅
2019年3月16日

 伊予三島行貨物を牽引する復活国鉄色の2091号機。
 色だけを見ると、あたかもJR化間もない頃に戻ったようだ。
2138号機

予讃線 鬼無駅
2019年10月31日

 伊予三島行3079レを牽引する、貨物色赤プレートの2138号機。



岡山機関区EF65形のバラエティ

 2002年12月1日のダイヤ改正から2011年3月12日改正までの間、四国定期乗り入れのJR貨物・EF65形は岡山機関区が担当。
 同区は当時現役だったEF65形のほとんどのタイプが在籍し、そのバラエティを四国でも楽しむことが出来た。

 以下に、その期間中に四国内で撮影したロクゴーを列挙する。


予讃線 八十場駅
2008年8月21日

 0番台国鉄色の87号機。

予讃線 鬼無〜端岡間
2005年11月20日

 0番台後期タイプの103号機。

予讃線 八十場駅
2008年10月1日

 当時唯一のPS22パンタ搭載の0番台機であった100号機。

予讃線 鬼無〜端岡間
2009年1月20日

 ”茶釜”57号機。

予讃線 鴨川〜八十場間
2006年7月15日

 0番台貨物色の104号機。

予讃線 讃岐塩屋〜多度津間
2005年10月10日

 0番台最終形の128号機貨物色。
 ←104号機とのスカートの形状の違いに注目。

予讃線 国分〜讃岐府中間
2006年2月25日

 広島更新色でクリーム色プレートの1031号機。

予讃線 鬼無〜端岡間
2005年11月19日

 広島更新色で青プレートの1033号機。

予讃線 新居浜駅
2006年11月12日

 広島更新色で真っ黄色プレートの1008号機。

予讃線 鬼無〜端岡間
2010年8月1日

 JR貨物色白プレートの1036号機。

予讃線 高松貨物ターミナル〜鬼無間
2008年7月12日

 当時でも大変貴重だった、原色白Hゴム機の1038号機。

予讃線 松山駅
2007年12月16日

 前面スリットが消えてつらら切り等の付いた、後期タイプの広島更新色青プレート機だった1093号機。

予讃線 讃岐塩屋駅
2008年9月2日

 JR西日本から購入まもなくで、ほぼ原形を保っていた1136号機。

予讃線 高松貨物ターミナル駅
2010年5月8日

 国鉄色で青プレートの1122号機。




形式EF65形
〜0番台一般型ぶどう色〜(消滅)

(当時岡山機関区所属)
 2008年春に高崎機関区から岡山機関区へ転属した57号機。
 EF65形で希少な茶色塗装機であったが、2010年3月を持って廃車された。
〜0番台一般型 国鉄色〜(消滅)
87号機

(当時岡山機関区所属)
 最後の国鉄色2桁ナンバー機として残存していたが、2010年3月末に廃車された。
100号機

(当時岡山機関区所属)
 0番台国鉄色でPS22パンタ搭載という唯一無二の希少機だった。
〜0番台一般型 JR貨物色〜(消滅)
104号機

(当時岡山機関区所属)
 0番台の一般的なスタイル。
128号機

(当時岡山機関区所属)
 0番台の最終形で、スカートの下端部がストレート形状となる。
 このタイプは2008年度までに全て廃車となった。
〜1000番台PF型 国鉄色〜
JR貨物所属機は全て2000番台化されており、
現存機は全て旅客会社の所属機となる
1038号機

(岡山機関区所属)
 前照灯につらら切りが装備され、前面に通風スリットの残る、菱形パンタ搭載の中期のタイプ。
 窓の支持ゴムが白のままで残る「原型度」の高い機体だったが、既に廃車済み。
1132号機

(JR西・下関車両管理部所属)
 最終型。前面の通風スリットが無くなり、PS22下枠交差パンタを搭載してスマートになっている。
1079号機

(新鶴見機関区所属)
 国鉄色赤プレ機。
1122号機

(新鶴見機関区所属)
 青プレ機・・・架線柱邪魔(w
〜1000番台PF型 JR貨物色〜(消滅)
JR貨物残存機は全て2000番台に改番された
1032号機

(当時岡山機関区所属)
 中期タイプのJR貨物・関西支社色。
1033号機

(当時岡山機関区所属)
1065号機

(新鶴見機関区所属)
 貨物色の赤プレ機。
1093号機

(当時岡山機関区所属)
 貨物色の青プレ広島更新機。
〜2000番台PF型 JR貨物車〜
2012年5月から登場した2000番台車
復活国鉄色とJR貨物色が存在する
2075号機

 貨物色赤プレ機。
2091号機

 赤プレ復活国鉄色機。
2101号機

 コレは貨物色青プレ機。
〜屋根上〜

 JR貨・岡山機関区所属(当時)の1129号機の屋根上。
 機器類を覆うカバーが搭載されている。
 GPSアンテナは避雷器のすぐ横に、列車無線アンテナは運転助手席側にそれぞれ鎮座。
寸法16,500 mm
2,800 mm
3,819 mm
重量96.0 t
車体普通鋼
電動機形式
出力
MT52A(B)
425kw × 6
歯数比3.83
ブレーキ方式 EL14AS空気ブレーキ
500/1000番台は応速度増圧付
ブレーキ装置踏面両抱
台車形式DT115/DT116
ホイールベース2,800 mm
パンタグラフ形式 PS17
(1056〜 は PS22)
最高速度 110 km/h
(許容 115 km/h)


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