EF210形 直流電気機関車
EcoPower 桃太郎


東京〜四国間の看板列車とも言える、東京(タ)〜高松(タ)間の71レを牽引する164号機
この日は輸送障害により、約7時間遅れでの四国上陸であった

予讃線 八十場〜坂出間
2021年7月8日


2018年に登場した簡略塗装機も時折姿を見せている

予讃線 高松貨物ターミナル駅
2019年10月31日



 国鉄直流電気機関車の標準型として、東海道・山陽・東北本線で活躍しているEF65形の老朽化が進んでいるため、その置き換えを目的に製作された新世代の標準型直流電気機関車。

 1996年2月に試作車1両が900番台として試用開始され、1997年12月から量産車が登場した。
 量産車は当初岡山機関区のみに集中的に配置されたため、「ECO POWER 桃太郎」の愛称が付けられ、車体にもそのロゴが描かれているが、これが大きく目立つのは100番台車のみで、0番台車は運転台右側面にかなり小さくて控えめに表示されているほか、試作900番台車にはこのロゴは無い。


 制御方式はVVVFインバータ制御で、1台の主変換器(インバータ)で2台のモーターを駆動する1コントローラ2モーター制御方式とされた。定格出力には、初めて30分定格出力という概念が取り入れられ(従来は1時間定格出力のみ)、30分定格3,540kw/1時間定格3,390kwとなっている。

 これは、EF65形の置き換えと共に貨物輸送力の向上をにらみ、関ヶ原の勾配を1,300t列車(コンテナ車26両編成)を牽引して走行することが出来る出力である3,500kwをという出力を、より低コストでクリアするための方策である。

 ブレーキは発電ブレーキ併用の電気指令式となり、許容最高速度は110km/h。台車はもちろんボルスタレス式。


 1999年には改良型の100番台車も登場。
 このマイナーチェンジ車からは、1インバータ1モーター駆動に改められ、併せてインバータがGTO素子からIPM素子に変更された。


 パンタグラフは当初、EF66形の後期形およびマイナーチェンジ車と共通の下枠交差式PS22形とされたが、2002年度の新製車(109号機以降)からは、シングルアームタイプに変更されている

 2004年までは全て岡山機関区の配置であったが、2005年からは新鶴見機関区に、2007年度からはEF66形い置き換え用として吹田機関区にも配置が始まった。
 新鶴見に配置となった理由は、事故などで貨物列車が西から上京できなくなったときに、首都圏内運用に使用する機関車が不足する場合に備えた予備機の確保であったが、その後さらに首都圏での運用拡大に合わせて、EF65形を置き換える形で数を増やしつつある。

 2012年には、山陽本線・瀬野〜八本松間の補機専用機として300番台車が登場。EF67形からの置き換えが始まろうとしている。

 2016年2月までに総勢99両に達し、新鶴見に33両、吹田に34両(内7両300番台車)、岡山に32両配置され、JR貨物保有の機関車としては既に最大勢力となっており、主力として活躍中である。

 2018年6月から、100番台車の一部で塗色の簡略化が進められている。
 側面のブルーとグレーの塗り分けが変わって、「JRF」ロゴが無くなって「桃太郎」のマークも小さくなり、さらに2本の白線が入る。また前面窓周りの黒塗装の面積も小さくなっているので、一目で通常タイプとの判別が出来る。



〜四国運用〜

 定期列車としての四国乗り入れ運用は2002年3月のダイヤ改正から始まった。

 当初はEF65形を置き換える形で東京〜高松〜新居浜間の1往復に充当され、編成もそれまでの20両1000トン牽引から22両1100トン牽引となり、これが四国では初の1100トン列車となった。
 なお、担当は岡山機関区であった。

 その後2005年3月改正までの間に、梅田〜高松〜新居浜間の1往復も最大22両に編成増強の上で置き換えられ、長らく2往復という体制が続いていた。


 2011年3月12日改正では、四国乗り入れの運用列車には変更はないものの、受け持ち機関区が従来の岡山機関区から吹田機関区に変更となった。
 従来、吹田機関区には100番台のシングルアームパンタ仕様車のみが配置されていたが、元岡山区配置の下枠交差パンタ仕様車が「吹」の札を掲げて運用に入っているのを確認しており、四国運用だけでなく機関車自体も一部が岡山から吹田へ移管された模様であるが、これらの車両は2015年頃までには新たに新製された100番台車に置き換えられる形で岡山に戻ったため、以降は四国への定期乗り入れは無くなった。


 2013年3月16日改正では、さらに一部の運用がEF65形から置き換えられ、新たに3往復がEF210形の牽引となった。
 結果、本四直通列車は定期4往復中3往復を、また予讃線の四国島内列車も5往復のうちの3往復(高松〜伊予三島間1往復、高松〜新居浜間2往復)を担当している。
 またこの改正で、EF210形が牽引する本四直通系統3往復の内の2往復(東京〜高松間、梅田〜高松間各1往復)が(営業案内上は)24両編成1200トン牽引に輸送力が増強された(但し通常は22両1100トン牽引)。


 2015年8月5日には、津島ノ宮参拝ミステリートレイントレイン運転に伴う、高松貨物ターミナル検修庫公開に合わせて、セノハチ用の300番台車(304号機)が四国に入線したのが確認された。
 


 2016年3月26日改正では微妙に運用に変更があり、300番台車の定期運用は高松発着の72〜73列車と夜間の高松〜新居浜間の3077〜3076列車となって、昼間に撮影可能なのは下りの73列車のみとなった。
 それ以外は全て、通常の100番台車の運用となっている。


 2018年3月改正以降は、伊予三島行の3079〜3078列車も300番台が所定となった。
 また、73列車(と74列車)が臨時化(列車番号は+8000番)されて、所定15両編成(従来は20両編成)となった。


 2019年3月改正では運行体系の変更があり、伊予三島行2往復の内の1往復が廃止された。
 また、8073/8076列車が再び定期化された代わりに、夜の72/77列車が臨時化されている。
 EF210形が牽引する本四直通の定期列車2往復は、いずれも22両1100トン牽引が所定となっている。

 それに伴って運用変更があり、300番台「押し太郎」の四国定期運用が消滅し、吹田区の通常の100番台に変わっている。
 さらに、71〜3071/70〜3070列車が吹田機関区から岡山機関区に移管し、0番台車の四国定期乗り入れ運用が復活した。
 残り1往復となった伊予三島発着の「大王製紙専用列車」はEF65形に変更となった。

 なお、押し太郎は定期運用は無くなったものの、同じ吹田区配置の100番台車の代走に入ることもあり、その際に四国へ姿を見せることもあるようだ。


 2022年3月12日改正では、JR四国に運転を委託していた予讃線・伊予西条〜松山間がJR貨物直轄に切り替えられた。
 この関係で、従来EF65形で残存していた四国関係の3往復の内の2往復がEF210形に置き換えられ、これにより予讃線の松山貨物駅まで顔を見せるようになったほか、四国島内運転の貨物列車は全て同機牽引となった(”四国乗り入れ貨物列車”については1往復がEF65形で残存)。



2002年4月20日
予讃線 八十場〜坂出間

 四国定期乗り入れ運用開始から1ヶ月ほど経った頃の、東京(タ)発高松(タ)行71列車を牽引するEF210形。

2006年2月25日
予讃線 本山駅

 3071列車を牽引して本山を発車する101号機。

予讃線 八十場〜坂出間
2007年11月11日

 東京発新居浜行高速貨71列車を牽引して一旦高松を目指すEF210形。
 現車22両編成は、四国内を走行する列車としては最長。

予讃線 多度津駅
2013年4月10日

 深夜の多度津駅にて、新居浜行3077列車(左:12両編成)を牽引してEF65形牽引の松山行3073列車(右:12両編成)を追い越すEF210形。

予讃線 高松貨物(タ)〜鬼無間
2014年3月12日

 伊予三島行3079レを牽引するトップナンバー。

予讃線 高松貨物(タ)〜鬼無間
2015年11月4日

 伊予三島行3079レを牽引する新製直後で☆ピカピカ☆の306号機。

予讃線 八十場〜坂出間
2016年4月20日

 2016年3月改正当時、300番台車が定期運用に入っていた、金沢発高松行73レ(2018年3月改正以降は8073レ)。

予讃線 八十場〜坂出間
2016年5月15日

 2013年3月改正から2019年3月改正までの間、(営業案内上は)24両1200トン牽引だった、東京(タ)発新居浜行71レを牽引する104号機。
 ただし、通常は22両編成となっており、輸送力に余裕を持たせてある模様。この日も(残念ながら?)22両1100トン牽引であった。

予讃線 本山〜観音寺間
2017年8月11日

 お盆期間中の四国内貨物列車運休措置に伴い、3070レのスジで新居浜から高松まで重連単機回送される149号機と156号機。
 両機はこの後さらに、夜の便で岡山まで回送される。

予讃線 讃岐府中〜鴨川間
2018年5月17日

 2018年3月改正で臨時化されて所定編成が15両に短縮された8073レを牽引。

予讃線 川之江駅
2019年1月17日

 川之江でEF65形牽引の上り貨物と交換する「押し太郎」。

予讃線 八十場〜坂出間
2019年6月6日

 新鶴見区の159号機が牽引する73レ。
 2019年3月改正で定期列車に返り咲いた同列車は、22両1100トン牽引に増強された。

予讃線 端岡〜国分間
2019年6月20日

 四国初の22両1100トン牽引列車である70レを牽く、岡山区の128号機。
 同列車は2019年3月改正で8年ぶりに岡山機関区の運用担当となった。

予讃線 鬼無〜端岡間
2019年10月31日

 73レを牽引する簡略塗装の106号機。

予讃線 鴨川〜八十場間
2019年8月19日

 お盆明けの四国内貨物列車運行再開に備えて、73レのスジで岡山から高松へ向けてコキを迎えに行く、159号機の単行機関車回送列車。

予讃線 讃岐府中駅
2019年11月7日

 106号機と同じく簡易塗装となった109号機牽引の73レ。

予讃線 八十場〜坂出間
2019年12月9日

 何故か、所定では吹田区所属機が牽引する73レを牽く、岡山区所属のトップナンバー。
 突発の運用変更は、比較的頻繁に発生している。

予讃線 鴨川〜八十場間
2020年7月20日

 夏の遅い夕日を浴びて、長駆東京を目指す138号機牽引の70レ。

予讃線 八十場〜坂出間
2021年1月22日

 深い霧を黄色い前照灯で切り裂いて姿を現した、160号機牽引の73レ。

予讃線 鴨川〜八十場間
2022年7月20日

 東海道・山陽本線内での輸送障害により、約5時間遅れで高松を目指す、901号機牽引の71レ。
 機関車次位に連なるフクツーの31ftコンテナが、近年の同列車のトレードマークともなっている。

予讃線 多度津駅
2022年4月5日

 2022年3月改正で、それまでのEF65牽引からEF210牽引に替わった、松山貨物行の3073レを牽引する102号機。
 同改正をもって、四国島内のみ運転の貨物列車は全てEF210形の牽引となった。




予讃線・新居浜駅
2006年7月13日

 ヘッドライトは、やっぱりKOITOだったw

予讃線 本山駅
2018年20月5日

 ちなみにライトケースのガラス窓はネジ2本を外して手前に開くことが出来るようになっている。
 また、前照灯はネジ4本を外してライトユニットごと交換、また後部標識灯は上のネジ2本を外して蓋を開ける構造となっている。

※画像は305号機の例


形式EF210形
0番台100番台300番台900番台

2号機
(本山〜観音寺間にて)


16号機
(詫間にて)

シングルアームパンタ
グラフ搭載の115号機
(高松貨物(タ)にて)


パンタを上げた状態の
117号機
(新居浜にて)


146号機の側面
向かって右が1エンド側
(高松貨物(タ)にて)


160号機の側面
向かって左が1エンド側
(高松貨物(タ)にて)

157号機以降はGPS
アンテナの搭載が省略
されている(上の146
号機と比較すると判る)

160号機
(関ヶ原にて)

2018年登場の
簡略塗装機

(高松貨物(タ)にて)

珍しく高松に姿を
見せた304号機


新製直後でピカピカの
306号機の側面
左が1エンド


310号機以降は
側面のJRFマークが
省略されている

901号機
(多度津にて)

シングルアームパンタ搭載
の109号機の屋根上

信号煙管の位置や
運転台屋根の形状が
量産車と異なる
(多度津にて)
製造両数1873
最大寸法18,200 mm18,600 mm18,200 mm
2,970 mm
3,980 mm
重量100.8 t
車体普通鋼
制御方式 GTO素子
VVVFインバータ
1C2M
IPM素子
VVVFインバータ
1C1M
GTO素子
VVVFインバータ
1C2M
電動機形式
出力
FMT4
565kw × 6
FMT3 (*1)
565kw × 6
歯数比5.134.44 (*2)
ブレーキ方式 発電ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
ブレーキ装置踏面片押
台車形式 FD7E(両端)

FD8(中間)
FD7S(両端)

FD8B(中間)
FD5(両端)
FD6(中間)
ホイールベース2,500 mm
車輪直径1,120 mm
パンタグラフ形式PS22D PS22D (101〜108)
FPS4 (109〜)
FPS4PS22D
最高速度110 km/h

(*1)量産化改造により、現在は FMT4型を搭載
(*2) 量産化改造により、現在は 5.13

検索サイトから直接来られた方は、ここをクリックしてTopに移動できます