7000系 一般形直流電車



7100+7000 2連の快速「サンポート」
予讃線 鴨川〜八十場間
2008年9月25日


 国鉄民営化の一環として、予讃本線 高松〜観音寺間/土讃本線 多度津〜琴平間の電化が完成し、それに合わせて国鉄本社で設計された121系電車が投入されたが、JR四国では予讃線の伊予市まで電化を進めることとした。

 そこで、性能・機能とも四国用としては中途半端な121系に替わる四国の標準型電車として1990年11月21日の予讃線 伊予北条〜伊予市間の電化完成時のダイヤ改正で登場した。
 1000形気動車とよく似た背景のもとで登場した、地域密着タイプの電車であり、客室構造やドア・窓配置などは1000形を踏襲しており、デザインも似ている。

 個別制御GTOサイリスタVVVFインバータ制御方式や電気指令式空気ブレーキが採用されており、最高速度は110km/hである。

 車体の両方に運転台を持つ動力車(7000形)と、片方だけに運転台を持つトレーラー(7100形)の2種類があり、適宜組み合わせて編成される。
 ワンマンによる単行(1両編成)運転にも対応しているが、単行のワンマン電車が単線区間を110km/hで突っ走る様はなかなか見応えがあって凄い(^_^;)
 また、歯数比が高いことから、オール電動車編成で回復運転の時などは、猛烈な加速力を披露してくれることがある。

 客室はセミクロスシートだが、クロスシートとロングシートが千鳥状に配置された独特のモノである。
 出入口扉は中央は両開き、両端の2つが片引戸というこれも独特のモノで、ワンマン運転時は中央の扉を閉め切り扱いに出来るだけでなく、前後の扉を個別に開閉できるほか、半自動扱いも可能で、柔軟な運用に対応している。
 また、出入口ドアは半自動扱いが可能で、当初は付いていなかった押しボタン式の開閉スイッチが後年取付改造されている。



 1990年11月21日改正に合わせて、第1次車として7000形8両と7100形4両が松山運転所に新製配置された。

 さらに1992年7月23日改正で予讃線の高松側の電化区間が新居浜まで伸びたのに合わせ、24両が第2次車として増備されて高松運転所にも配置された。
 第2次車は仕様・外観等は基本的に第1次車と同一であるが、落成当初から列車無線アンテナが搭載されていたのが、登場時の第1次車との識別点であった。

 ちなみに、第1次車もアンテナの設置基台は当初から設置されており、1994年ぐらいに全車アンテナが搭載されている。


 なお、当時高松地区の111系及び121系には「サンシャトル」のヘッドマークが掲げられていたが、7000系には当該ヘッドマークは掲出されなかった。


 余談であるが、予讃線の愛媛県内区間を電化する際にトンネル断面の小ささが問題となったが、JR四国では種々の工夫を凝らして最低架線高さ4,250mmを確保した。
 普通鉄道構造規則では、架線の最大高さを5m以上5.4m以下とする旨定めされているが、同規則では同時に、状況により架線の高さはパンタグラフ折り畳み時の高さに250mmをプラスした高さまで下げることが出来ると規定されており、予讃線電化の際にはこの例外規定を適用して折り畳み高さ4mの車両が通過できるように架線高さが設定された。

 7000系では将来(予讃線よりもさらに条件の厳しい)土讃線や高徳線を電化した際にはさらに架線高さを下げることが出来るように、そこからさらに110mmの余裕を見込んで、3,890mmというパンタグラフ折り畳み高さを実現している。
 この考え方は8000系にも踏襲されており、同系もパンタグラフ折り畳み高さは3,890mmとなっている。



 なお、2020年現在で7000系が登場してから既に30年が経過するが、本系列のように両運転台電動車と片運転台付随車のみで車種構成され、しかもそれぞれが独立して運用されている電車はJRグループではいまだ他に類例が出現しておらず、希有な存在といえよう。
 特に、両運車と片運車をそれぞれ独立して運用が組まれているあたりは、電車というよりもむしろ気動車的で、いかにも気動車王国・四国らしい電車と言えるかもしれない。





 7000形の前位側運転台。

 メインスイッチ等は前位側のみにあるため、後位側よりも左壁面のスイッチ類が多い。
 これは他の両運転台形式でも同様である。



 7000形の後位側運転台。
 前位側よりも左壁面のスイッチ類が少ないのが判る。


 2018年頃から、7200系に搭載されているものと同じタイプの案内用LCDが搭載されている。

 列車種別や行先が設定されていない状態だと、「この列車は リセット リセット行」などと表示される。



 7000形の客室。
 後位側から前位側を見たところ。

 一見1000形のトイレ無し車と同じ座席配置に見えるが、中央出入口横がボックスシートでなくロングシートになっている点が異なる。


 7100形の客室を、運転台側から車両後位側を見たところ。

 妻面側エンドは二人がけのロングシートとなっている。車椅子スペースは無い。


 車内側のドア開閉ボタン。

 2005年2月から取付改造が開始され、同年8月までに36両全車に取付が完了している。


 車外側の開閉ボタンと、ワンマン出入口表示。


 その出入口表示は、LED部分がよく見えるので非点灯状態だと「出入口」と表示しているようにも見える。




形式表記の書体には3種類あるのが確認されている
オリジナルの書体


ゴシック体風で横幅が広く、「7」は直線構成となり、「1」の「出っ張り」がある。
松山車に多い書体


 よりスリムで「7」が曲線構成になり、「1」が単なる縦棒となるタイプ。

 2010年代後半からは高松在籍車にもこのタイプが増えつつある。
折衷型とも言うべきタイプ


 オリジナルに近い書体だが、全体に文字が太く、「1」が単なる縦棒になるタイプ。
 2006年当時の7001形や、7004形などが該当。
 なお、7001形は2018年時点では「7」が曲線構成になるタイプに変わっている。

オリジナルは「7」が全て直線で構成され、「1」には「出っ張り」が
あるタイプで、高松運転所在籍車に多い

松山運転所在籍車はほとんどがスリムタイプの書体となっており、松山車で
オリジナルの書体となっているのは7013形のみが確認されている

オリジナルタイプ以外の場合は、元のを剥がして貼り直した痕跡が残って
いるものばかりなので、すぐにそれと判る(^^;




 スカートの形状にも2種類があり、車体側の取り付け部にRが付いているものと、無いものが存在する。
 ただしR付きの方は溶接痕が残るなど後付け感があり、Rの無い方が多数派で、R付きは7001形や7013形など、少数派である。


 ライトは、安定の(?)KOITO。


 後部標識灯はLEDとなっている。


 7000形の下り方連結器。7100形への電源供給用の三相連結器を装備する。


 7100形の連結器。
 7000形の下り方と同じ構造で、7100形の場合は前後ともこのタイプとなる。


 7000形の上り方には三相連結器が無い。


 7100形+7000形の連結部。
 密着連結器+電気連結器+三相連結器の三段構え。


 7000形同士の場合は、下り方の三相連結器を使用しない。


 7000形下り方と7200系の連結部。

 同様に、7000形の下り方三相連結器は不使用。


 7100形と6000系6100形の連結部。

 7100+7000と同じパターン。


 7002形床下のVVVF制御装置を海側(1−3位側)。

 落成当初からの物で日立製。


 2024年2月に検査出場した7010形のVVVF制御装置を海側(1−3位側)から見る。

 当方で確認できる範囲では2018年度頃から更新が始まっており、2024年3月末時点では7000形24両の内7両がこのタイプに更新済みの模様である。


 更新車は山側(2−4位側)からも比較的容易に識別が可能である。


 在来タイプの海側(2−4位側)。


 新しいタイプの海側(2−4位側)。





予讃線 市坪〜北伊予間
1992年8月16日

 重信川橋梁を渡る7000系ワンマンローカル。

 松山への新製配置当初は列車無線アンテナ未搭載であった(取付基台はあった)。

予讃線 大浦〜伊予北条間
1992年8月16日

 7100形を真ん中に連結した、松山地区の3両編成ローカル。

 屋根上に列車無線アンテナがあり、第2次車であると識別できる。

予讃線 鬼無〜端岡間
1992年8月26日

 高松地区への投入は1992年7月改正から。

 高松新製配置車は全車第2次車で、当初から列車無線アンテナを搭載していた。

予讃線 粟井駅
1992年11月

 粟井駅で交換する7000系ローカル列車。

 アンテナの有無から、左が1次車、右が2次車と識別できる。

予讃線 讃岐塩屋〜多度津間
1993年1月2日

 高松地区への投入当初から、現在の快速「サンポート」のルーツである、快速「リレー号」運用があった。
 なお、7000系には「サンシャトル」のヘッドマークの掲出実績は無い。

予讃線 多度津駅
1999年4月29日

 「快速 リレー号」は1998年3月改正以降は「南風リレー号」となった。

予讃線 伊予西条駅
1999年4月29日

 気動車王国・四国ではローカル電車も気動車感覚で運用される。

 片運転台付随車が1両だけで留置線で佇む姿も日常。

予讃線 伊予桜井駅
2008年3月29日

 正面貫通路の表示器はワンマン運転時のみ表示される。

予讃線 八十場駅
2008年9月26日

 この当時定期運用で存在した、7100形+6000系の4連ローカル。


予讃線 高松駅
2012年2月18日

 同系列4両編成運転は原則通勤時間帯のみだが、データイムでも臨時増結で4両となる場合がある。

予讃線 本山〜観音寺間
2018年3月26日

予讃線 八十場〜坂出間駅
2018年4月12日


 7200系との併結運用も日常的に見られる。
 7200系下り方に7100形を連結するパターンの他、7200系上り方に7000形を連結するパターンなどもある。

予讃線 石鎚山駅
2017年4月12日

 2016年頃から、正面貫通路のワンマン表示器がLED化された車両が出現している。

 松山配置車両から順次進捗していった模様で、2022年時点では7001形と7003形を除く全車が既にLEDに換装済みの模様である。

予讃線 讃岐塩屋駅
2019年6月6日

 上り方に7200系を連結した4両編成の快速「サンポート」。

予讃線 鴨川駅
2019年6月24日

 逆に下り方に7200系を連結した4両編成も定期運用で存在する。

 なお、この編成だと上り方から順に 7000形+7100形+7200形+7300形と形式名が順目になっているのがちょっと面白い。

予讃線 讃岐府中駅
2019年6月24日

 6000系の代走運用に入った7000系3連の快速「サンポート」。

予讃線 本山駅
2020年3月19日

予讃線 伊予市駅
2020年5月14日

 2020年3月改正からしばらくの間、同改正で開業した南伊予駅の開業記念ラッピングが、松山運転所所属の7000形の一部に施された(上画像は左が7002形、右が7010形)。

(2枚とも)
予讃線 松山駅
2022年3月17日

 2021年頃から特に松山地区で目撃例が増えている、7000系の「普通」幕表示。

予讃線 讃岐塩屋駅
2023年4月8日

 2023年3月改正から、快速「サンポートjはHMの掲出を止めて、正面の幕に行先と共に表示するようになった。

 この関連で、同改正前に一斉に全車両の方向幕の交換を行っている。




 7000形が25両、7100形が11両の計36両が在籍(高松運転所:14両/松山運転所:22両)。

 7200系や6000系との併結の他、7000系同士高松在籍車と松山在籍車の併結運用も多い。
 定期列車としては最大で4連となり、瀬戸大橋を渡ることは無いが、予讃線と土讃線の電化区間全線でその姿を見ることが出来る。



<7000系充当列車>
(2021年3月13日改正)

 特記するべき物のみ抜粋。

〜快速「サンポート」運用〜

<下り>
 123M (高松発 1213) 1M1T
 127M (高松発 1313) 1M1T
 131M (高松発 1413) 2M
 139M (高松発 1613) 7200系と併結2M2T 4連
 143M (高松発 1713) 1M1T
 149M (高松発 1814) 6000系と併結1M3T 4連
 159M (高松発 2145) 7200系と併結2M1T 3連
<上り>
 114M (高松着 0804) 6000系と併結1M3T 4連
 116M (高松着 0835) 7200系と併結1M2T 3連
 122M (高松着 1023) 2M
 126M (高松着 1133) 7200系と併結1M2T 3連
 138M (高松着 1433) 7200系と併結2M2T 4連
 142M (高松着 1533) 7200系と併結2M1T 3連
 154M (高松着 1838) 7200系と併結1M2T 3連

〜6000系との併結〜

 ↑参照

〜7200系との併結〜

 快速「サンポート」は↑参照
 以下、各駅停車のみ掲載

(4連)
 1213M/139M
 1214M/162M

(3連)
 105M/1219M/109M/137M/153M/159M
 104M/108M/112M/

〜7000系のみの4両編成〜

 515M(3M1T)/523M(3M1T)
 510M(3M1T)/546M(4M)


形式7000形7100形
製造数2511
製造者近畿車輛
画像車体

 両運転台付きの電動制御車。
 単行での運転が考慮されているため、電動機の他インバータ式発電装置など運転に必要な全ての機器を搭載する。
 下り方にのみ、7100形へのサービス電源供給のための三相連結器を装備する。
 片運転台付きの付随制御車。床下に走行関係機器を全く搭載していない。
 常に下り向きで運用され、7000形からサービス電源の供給を受けるための三相連結器を備える。
屋根上
 下り方にパンタグラフと避雷器を搭載。
 無線アンテナと信号煙管は前後両方に装備する。
 ベンチレータは無し。
 列車無線アンテナと信号煙管以外には冷房装置しか搭載されていない、シンプルな屋根上。
最大外寸21,300 mm
2,870 mm
3,570 mm
台車中心間距離14,400 mm
パンタグラフ
折り畳み高さ
3,890 mm
重量38.0 t26.0 t
車体ステンレス
電動機形式
出力
駆動装置
S-MT58
120kw×4
可とう継手式平行カルダン
歯数比7.07
ブレーキ方式 回生ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
ブレーキ装置踏面片押車軸ディスク
台車形式 S-DT58
S-TR58
軸距
車輪直径
2,100 mm
860 mm
パンタグラフ形式S-PS58
補助電源 86kVA 静止型
S-SIV86
三相440V = 80kVA
単相100V = 6kW
空気圧縮機 誘導電動機式
S-MH58-C1000L
冷房装置 S-AU58
33,000 kcal/h
客室暖房装置13.5 kW14.4 kW
許容最高速度110km/h
車体構造・客室3扉セミクロスシート
ドア幅 1,000 mm × 2
1,300 mm × 1
シートピッチ1,500 mm
床面高さ1,150 mm
乗車定員149(座席:64)154(座席:69)

※さらに詳細はスペック一覧表参照

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