213系 近郊形直流電車


マリンライナー32号
予讃線 鴨川〜八十場間
1998年5月1日


 瀬戸大橋開通を1年後に控えた1987年3月28日、国鉄民営化の「はなむけ」として、宇野線 岡山〜宇野間快速「備讃ライナー」に投入されたのが213系である。

 ステンレス車体にボルスタレス台車、2扉転換クロスシートと、それまでの115系快速から格段にグレードアップ。
 最高速度は時速110キロである。

 普通車のクロスシートは基本的にデッキ部も含めて全て転換式だが、運転台後部のデッキ部分と、トイレの隣の部分のみが固定式となっている。
 普通車の座席モケットは登場当初はえんじ色だったが、後年青系統のモノに張り替えられている。



 1M2T(クモハ+サハ+クハ)の3両編成を基本編成とし、当初は8編成24両が落成。
 宇野線快速「備讃ライナー」には、通常9両、多客時12両編成で運用された。

 瀬戸大橋開業に伴う1988年4月改正に合わせて、パノラマグリーン車のクロ212形3両と、クモハ2両とサハ1両が増備されて総勢30両となり、一部編成組み替えの上で、瀬戸大橋線快速「マリンライナー」に充当された。
 このほかに、クロ212と211系ユニットのクモロ+モロを組み合わせた「スーパーサルーンゆめじ」が1編成、この時に増備されている。

 さらに瀬戸大橋線の利用好調により、1988年度に(クモハ+サハ+クハ)の3両編成が2編成増備され、1989年3月改正から日中30分ヘッドの運転に増強された「マリンライナー」で使用された。


 2001年3月のダイヤ改正を機に、快速「マリンライナー」の円形ヘッドマークは全て外され、貫通型先頭車の正面貫通路上の方向幕に「快速 マリンライナー」と小さく表示されていた。


快速「マリンライナー」の晩年はヘッドマークを掲出しなくなった

マリンライナー29号(左)/マリンライナー32号(右)
予讃線 国分〜讃岐府中間
2003年9月19日


 長年瀬戸大橋線の主力として活躍してきたが、ついに2003年10月のダイヤ改正で「マリンライナー」仕業から引退した。
 その後しばらくの間、従来115系や113系で運転されていた岡山〜琴平間の普通列車がこの213系に置き換えられ、元気な姿で四国へ顔を見せていた。

 現在は定期運用としての四国乗り入れは無く、宇野線や本四備讃線(児島まで)、山陽本線などで運用されている。

 なお、213系としてはその後JR東海向けの5000番台車なども増備されたが、本項では「マリンライナー」用に新製されたJR西日本所属車についてのみ記載する。


<スーパーマサルーンゆめじ>

 このほか、団体・臨時用として「スーパーサルーンゆめじ」と呼ばれるオールハイデッカーグリーン車の3両編成があるが、この電動車2両は211系、付随車1両が213系と、異系列で編成を組んでいるといういうちょっと変わった電車であった。
 この「ゆめじ」も時折快速「マリンライナー」に使用されることがあったが、こちらは帯の色と太さが若干異なる(下写真)のですぐに識別可能であった。


<パノラマグリーン車>

 1988年、瀬戸大橋開通時にハイデッカー式の展望グリーン車が増備された。当初3両が製造されたが、その後の瀬戸大橋線好況による快速「マリンライナー」増発によって更に2両増備されて5両が現存し、これら5両は全て帯の色が異なっていた。
 形式はクロ212形を名乗り、2+2+配列のリクライニングシートを装備。当初は座席を窓側に向けてセットする前提であったため、1.3mという広大なシートピッチが確保されていたほか、座席部分は床面が25cm嵩上げされていた。




クロ212−1
ピンク
予讃線 坂出〜宇多津間

クロ212−2
イエロー
予讃線 坂出〜宇多津間

クロ212−3
ライトブルー
予讃線 坂出〜宇多津間

クロ212−4
オレンジ
予讃線 坂出駅

クロ212−5
イエローグリーン
宇野線 備中早島駅

クロ212−1001
「ゆめじ」
予讃線 鴨川〜八十場間


クロ212−5は、1997〜98年頃に
クロ212−3と同じ帯色に変更されている

予讃線 高松駅
1999年8月25日



クロ212形
クロ212の運転台

予讃線 高松駅
1999年4月29日
側面方向幕
「グッドデザイン賞」受賞プレート

1999年4月29日

 クロ212形に取り付けられていた、通商産業省(当時)選定のグッドデザイン賞のプレート。
クロ212の室内
座席部分は25cm嵩上げされている

(2枚とも)
予讃線 高松駅
2000年2月2日
1.3mという圧倒的な広さのシートピッチ

予讃線 高松駅
2000年2月2日
JR時刻表1992年3月号より


 時刻表の座席表でも、窓側に向けてセットされている旨が案内・明記されていた。
こんな画像しかないが・・・


 少々判りにくいが、座席を窓側に向けてセットしている様子がなんとか判る。



普通車
クハ212の運転台

(クモハ213も同じ)
予讃線 高松駅
1999年4月29日
登場時の普通車の室内

宇野線 宇野駅
1987年4月
モケットは遅くとも1998年頃まで
には青系統の物に貼り替えられた

予讃線 高松駅
1999年2月20日

予讃線 宇多津駅
2003年10月4日

 2003年10月改正での「マリンライナー」運用撤退後も、しばらくは岡山〜琴平間のローカル運用で四国へ乗り入れていた。
営業開始前の試運転時の様子

宇野線 宇野駅
1987年3月


かつて運転されていた、213/211系(「スーパーサルーンゆめじ」)使用の初詣臨時列車

1991年1月1日
予讃線 多度津駅

 1991年運転の213系モノクラス編成による「こんぴら初詣と初日の出号」。
 その名の通り、復路の列車は瀬戸大橋上で初日の出が見られる時間帯に運転された。

1993年1月2日
予讃線 讃岐塩屋〜多度津間

 ゆめじ編成に213系モノクラス車を増結した「こんぴら初詣ゆめじ号」

2005年1月1日
予讃線 讃岐塩屋〜多度津間

 「こんぴら初詣ゆめじ号」は、末期には利用客の減少からゆめじ編成のみで運転された。



2003年までの編成
編成番号
← 岡山
宇野・高松 →
摘要
C01
クモハ213-1
サハ213-1
クハ212-1
基本編成
6編成
C02
クモハ213-2
サハ213-2
クハ212-2
C03
クモハ213-3
サハ213-3
クハ212-3
C04
クモハ213-4
サハ213-4
クハ212-4
C05
クモハ213-5
サハ213-5
クハ212-5
C06
クモハ213-6
サハ213-6
クハ212-6
C07
クモハ213-7
サハ213-7
クロ212-1
(ピンク)
グリーン車付
5編成
C08
クモハ213-8
サハ213-8
クロ212-2
(イエロー)
C09
クモハ213-9
サハ213-9
クロ212-3
(ライトブルー)
C10
クモハ213-1
サハ213-10
クロ212-4
(オレンジ)
C11
クモハ213-1
サハ213-11
クロ212-5
(イエローグリーン)
C12
クモハ213-10
クハ212-7
クハ212-8

C13
クモロ211-1
モロ210-
クロ212-1001
ゆめじ編成
※ C13編成のクモロ211形・モロ210形は211系


2004年以降の編成
編成番号
← 大阪
広島 →
摘要
C01
クモハ213-1
クハ212-1
-
ワンマン
対応
C02
クモハ213-2
クハ212-2
-
C03
クモハ213-3
クハ212-3
-
C04
クモハ213-4
サハ213-4
クハ212-4
C05
クモハ213-5
サハ213-5
クハ212-5
C06
クモハ213-6
サハ213-6
クハ212-6
C07
クモハ213-7
クハ212-101
-
ワンマン
対応
C08
クモハ213-8
クハ212-102
-
C09
クモハ213-9
クハ212-103
-
C10
クモハ213-11
クハ212-104
-
C11
クモハ213-12
クハ212-105
-
C12
クモハ213-10
クハ212-7
クハ212-8
C13
クモロ211-1
モロ210-1
クロ212-1001
ゆめじ
※ ワンマン対応改造は2004年実施。
※ C01編成のサハ213-1はサヤ213-1に改造。
※ C02・C03編成のサハ213-2、サハ213-3は廃車。
※ C07 - C11編成のクハ212-100番台はサハ213からの改造。
※ C12編成はクモハ213-10とクハ212-8のみワンマン対応改造。
※ C13編成(ゆめじ)は2010年6月に廃車。
※ この他、クロ212-2が保留車(2008年11月17日付で廃車)。



 なお、車番は「ゆめじ」のみ1000番台で他は0番台の番号区分となっていた。
 99年8月に確認したところ、クロ212−5の帯の色が、当初のイエローグリーンから クロ212−3と同じライトブルーに変更されていたのだが、2000年2月に再度確認すると、今度は元のイエローグリーンに戻されていた。

 最終期は、3号車と5号車の2両が「桃太郎マリン」として、車体全面に桃太郎の絵柄が描かれていた。
絵柄は同じでピンクとグリーンの2種があり、3号車がグリーン、5号車がピンクであった。


形式クロ212形クハ212形サハ213形クモハ213形
形式写真
快速「マリンライナー」の1号車(高松向き先頭車)に連結されるパノラマタイプのグリーン車で、車体は213系の中では唯一の普通鋼製。2−2配置のリクライニングシートが10列並び、座席は窓側に向けることもできた。
その関係でシートピッチは1.3mとゆったりサイズで、実に楽ちんであった。

既に全車廃車された。
片運転台の付随制御車。通常は「マリンライナー」の4/7号車に連結されるが、時折サハ213の点検代車として2号車に組み込まれることがある。
トイレ設備を有し、それに隣接する2名分の席が固定式になっている。
「マリンライナー」の2/5/8号車に連結される中間付随車。機器類を殆ど搭載していないので車重がかなり軽い。
この車両のみ、全ての座席が転換式クロスシートとなっている。
「マリンライナー」3/6/9号車に連結される電動制御車で、岡山向きの先頭車。
走行関係機器は殆ど全てこの車輌に集中して搭載され、インバータ式の発電機も搭載する。
寸法20,000 mm
2,950 mm2,966 mm
3,670 mm4,090 mm
パンタグラフ
折り畳み高さ
4,140 mm
重量33.0 t 26.5
24.1 t37.3 t
車体普通鋼ステンレス
電動機形式
出力
MT64
120kw×4
歯数比5.19
ブレーキ方式 回生ブレーキ併用
抑速ブレーキ付 電気指令式空気ブレーキ
ブレーキ装置車軸ディスク踏面片押
台車形式WTR235BTR235BDT50B
パンタグラフ形式PS24
許容最高速度110km/h
車体構造・客室 1扉
リクライニングシート
シートピッチ:1,300mm
2扉
転換式クロスシート
シートピッチ:910mm
乗車定員4066(座席:58)72(座席:64)68(座席:60)


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