DE10形 液体式ディーゼル機関車
国鉄中型DLの決定版・全国で活躍した万能機関車


全般検査を終えてピカピカの綺麗な姿で試運転される1139号機

予讃線 鬼無駅
2019年3月19日


チキ工臨を牽引する1138号機

予讃線 多度津駅
2008年6月3日



 構内での入換や支線区で活躍していた中型蒸気機関車(SL)を淘汰する目的で、1966年に登場した中型の汎用ディーゼル機関車。

 先に1962年に初の純国産技術で誕生した本線用の大型機DD51形に搭載されていたDML61Z形(V形12気筒61リッター ターボチャージャー:1,100ps)をベースに、インタークーラーを装着して1,250psにパワーアップしたDML61ZA形機関を搭載。
 液体変速機は、入換用の低速段と本線走行用の高速段を持つ、低・高速切替式。低速段の威力は絶大で、貨物ターミナルでは20両を超える重いコンテナ列車をいとも簡単に引き出すことができる。

 1969年には、1,350psにパワーアップしたDML61ZB形を搭載する1000番台車が登場。
 このほか、SGを搭載しない貨物用の500番台車(1,250PS)/15000番台車(1,350PS)も製作された。


 簡易線を除いた全ての線区に入線可能で、構内での入換作業から本線上での列車牽引までこなす万能機として、その使い勝手の良さから総勢708両が量産された。
 入換用に特化したDE11形や、除雪用ラッセルヘッドを装備したDE15形、さらに同一仕様の民間機も数多く登場して、一族合わせて約900両が全国各地で活躍した。

 国鉄分割民営化に際しても、多くの国鉄形式の中でもJR7社全てに継承された唯一の動力車形式となっている。

 老朽化が進んでいるため0/500番台車は民営化後まもなく姿を消し、JR旅客会社の中でもJR東海からは既に消滅した。
 JR貨物保有機の中には、「車両」ではなく「機械」登録として構内の入れ換え用に特化したものもある。
 このほか、ラッセル仕様であるDE15形を改造してDE10形に編入したグループも存在する。


<四国のDE10形>

 1966年に登場した最初期の4両の内、500番台2両を除いた暖地向けの1号機と2号機が、いずれも松山気動車区(当時)に配置されて試用を開始した。

 翌1967年から量産車の投入が始まり、軸重等の関係でDF50形が入線できなかった予讃線松山以南や高徳線・徳島線などで活躍していた中小型のSLを順次置き換え、1970年には四国内の完全無煙化が達成された。
 なお、牟岐線の阿南から先と内子線は、DE10形すら入線できないほどの線路規格であったため、これらの区間のSL牽引の客車列車は気動車化された(貨物は廃止)。
 当初は客車暖房用のSGを搭載しない500番台車もごく少数配置されたが、遅くとも1982年までには運用共通化の観点からSG搭載の0/1000番台車に置き換えられている。

 1975年頃までの間に36両が投入された後、SGのボイラー不調が多発するなどの老朽化が進みつつあったDF50形を置き換えるために1980年頃から他地区からの転入があり、1983年にはついに四国はDE10形の独擅場となり、四国内のほぼ全線で定期運用を持っていた。
 この時期転入した車両には旋回窓等を装備した寒地仕様車もあったが、ほどなく通常の暖地仕様に改造されている。

 四国内での定期列車としての優等列車牽引の実績は無いが、1980年代まで運転されていた多客時の臨時客車急行列車や、急行列車として運転された各種イベント列車などを牽引したことがある。


 1985年の時点では配置数68両となって最盛期を迎えたが、その後は客車&貨物列車の削減等によって数を減らした。
 また、各種の四国独自の改造が施されたDF50形と異なり、ほぼ全ての車両が外見上は特に手を加えられることなく使用され、塗色変更についてもアイランドエクスプレス専用機の3両のみであった。
 スノープラウについては当初は未装備が基本であったが、1970年代後半あたりから踏切事故対策も兼ねて、ステップと一体化したタイプを通年取り付けたままにするスタイルが定着したものの、ごく少数未装備の車両もあった。


 1988年の瀬戸大橋開業後も、高松を起点とする予讃線の四国島内貨物列車については、JR四国がJR貨物から受託する形でJR四国の保有するDE10形が牽引していた。

 四国内の旅客列車牽引については、高徳線の普通列車運用が1992年4月に消滅したことで定期運用が途絶えた。
 JR貨物から受託していた貨物列車運用についても、1992年9月末をもって斗賀野貨物線の石灰石輸送が廃止され、さらに1993年3月18日改正での予讃線電化完成に伴って予讃線貨物列車の牽引もEF65形に置き換えられ、四国内でのDE10形の定期列車運用は無くなった。
 なお、四国内での貨物列車の構内入替作業については、牽引してきた電気機関車自身が行っており、入替作業専用の機関車は存在しない。

 2008年度以降は「ムーンライト高知/松山」も事実上廃止されたことから、レールやバラストの輸送、たまに運転される客車臨ぐらいしか出番がない。

 老朽化も進んでいるため、2010年3月末をもって高知運転所配置の2両(1094/1138号機)が廃車となり、これで四国に残るDE10形は、高松運転所配置の2両(1095/1139号機)のみとなった。


 2019年3月末をもって1095号機が廃車となった。
 これにより、残るは1139号機1両のみとなり、いよいよ風前の灯火となった。


 2023年3月31日をもって、ついに最後の1139号機が廃車となり、四国のDE10形は消滅した。



土讃本線224レ
土讃本線 讃岐財田駅
1981年9月

 1013号機の牽引で讃岐財田に到着する土讃本線224列車。

土讃本線222レ+予讃本線122レ
予讃本線 高松駅
1982年8月4日

 朝の通勤快速を牽引して高松に到着した1013号機。

土讃本線223レ
土讃本線 琴平〜塩入間
1983年3月

 旧客5両を牽引して勾配を登る1024号機。
 この時期に四国でスノープラウを取り外しているDE10は珍しい。

高徳本線322レ
予讃線 高松駅
1983年6月

 高徳本線322レを牽引して高松に到着した1006号機。

予讃本線 多度津駅
1983年9月

 DE10形重連牽引の予讃本線貨物列車(先頭は107号機)。

多度津駅
1985年3月

 廃車処分となり、多度津駅構内で留置注の大量のDE10形。

多度津駅
1985年3月

 その中には、トップナンバー車もいた。

予讃本線125レ+土讃本線225レ
予讃本線 多度津駅
1986年3月24日

 50系8連の客レを牽引する63号機。
 正面の手すりがストレート形状なのに注目。

土讃本線781レ
土讃本線 黒川〜讃岐財田間
1986年9月

 運転終了を目前に控えた土讃本線車扱貨物列車を牽引する139号機ほかの重連。

予讃本線1124レ
予讃本線 松山駅
1987年4月10日

 予讃本線ローカル列車を牽引する、塗り替えからまだ間もない「アイランドエクスプレス四国」専用塗装機の1014号機。

予讃線 讃岐塩屋〜多度津間
1988年8月8日

 20両のパワムを牽引して伊予三島を目指すDE10形。

予讃線 多度津駅
1991年7月24日

 当時既にコキ100系化されていた、松山行高速貨C 1553レを牽引する1037号機。
 1993年までは四国島内運転の貨物列車はDE10が牽引。

 なお、この1037号機は1978年高知植樹祭の時にお召し列車を牽引しており、廃車時点までお召し用の装備がいくつか残っていた。

予讃線 坂出〜宇多津間
1991年9月

 パワムからコキ5500形に置き換えられた伊予三島からのコンテナ列車8552レを牽引する1040号機。

予讃線 多度津駅
1992年1月3日

 「アイランドExp 四国」専用塗装機。
 1014/1036/1148の3両が存在したが、1036号機が1993年に、あとの2両も1999年に客車と共に廃車された。

予讃線 浅海〜大浦間
1992年11月

 わずか2両編成の松山発新居浜行のコキを牽引。
 予讃線の貨物列車運用は1993年3月改正でEF65形に置き換えられ、四国のDE10形の定期運用は消滅した。

予讃線 伊予大洲駅
2004年5月30日

 マヤ臨を牽引する1095号機。

予讃線 多度津駅
2005年8月15日

 快速「ムーンライト高知」を牽引して発車を待つ1095号機(左)と、この後「ムーンライト松山」に連結される1138号機(右)。

多度津工場にて
2007年10月13日

 現在も静態保存されている「四国生え抜き」のトップナンバー。

予讃線 国分〜讃岐府中間
2009年5月23日

 1095号機と1139号機のプッシュプル運転(讃岐鉄道開業120周年記念号)。

土讃線 讃岐財田〜坪尻間
2017年5月13日

 客車による団臨牽引で活躍を続ける1095+1139号機。

土讃線 塩入〜黒川間
2018年3月22日

 時折土讃線で運転されている、乗務員訓練列車。




 土讃線で訓練運転中の1095号機。

 国鉄時代〜JR初期と比較すると、屋根上に無線アンテナが搭載され、ホイッスルにカバーが付いているのが目立つ変更点。
 このほか、既に客車暖房用のSGを使用する運用が皆無となったためか、後位側(上り方=短いボンネット側)のSG用の煙突が蓋で塞がれている。

 ホイッスルカバーは、手持ち過去画像から僚機の1139号機とともに、2006年8月〜2009年5月の間に取り付けられていることが判明している。

 なお、この1095号機はこの撮影翌月末をもって廃車となってしまっており、現存しない。


※土讃線 塩入駅/2019年2月4日撮影



季節で変わる機関車の表情

 かつての旧型客車、および50系客車は冬期の暖房に蒸気熱を利用しており、そのための蒸気発生装置(SG)を機関車に搭載して、ホース(暖房管)を使用して客車に供給していた。
 SGの取り扱いにはボイラーの資格が必要で、暖房使用時はそのための要員も機関車に添乗していた。
 その後はボイラー要員の添乗が不要でメンテナンス上も有利な電気暖房が開発されて電気機関車に採用され、客車側もそれに対応した物が出現して車両番号は2000番台で区別された。

 しかし当然ながら四国においては、電気機関車の配置が無いことから客車列車最終期まで蒸気暖房が使用され、冬期になると機関車側に暖房用蒸気を客車に供給するためのホースが追加されていた。

 なお、「アイランドエクスプレス四国」は自車に搭載した発電機で電気暖房を使用したことから、同専用機については冬期でも暖房管は装備していなかった。


 ちなみに、機関車の正面に向かって左側の手すりに取り付けられている金具が、本来であればこの暖房管をかけておくためのものだが、四国のDE10形においては実際に使用していた実績はほぼ皆無の模様(小生も見たことがない)。


 夏期のフロントジャンパ栓回り。


 冬期のフロント回り。
 矢印部分が暖房管。

予讃本線 多度津駅
1982年11月

 27号機の暖房管を装備した1024号機。


 「アイランド」専用機は通年未装備であった。

東海道本線 塚本〜尼崎間
1991年7月

 急行「だいせん」を牽引する当時米子機関区所属のDD51形。
 暖房管は本来、夏期はこのように前面手すりの金具にかけておける仕様となっていたが、DE10形ではほぼ使われなかった模様である。



四国のDE10形・小ネタ

 DE10形は製造数の割に外観上の形態変化が非常に少なく、ある意味最初からほぼ完成されていた車両といえる。

 そんな中で、アイランドEXP四国専用塗装となった3両は別格として、比較的判りやすいのは手すりとスノープラウ、それにヘッドマーク取付ステーである。また、お召し装備の残骸の残っている物もあった。


(1)ボンネット横手すりとステップ

 1966年製造の最初期の4両はボンネット横の手すりが直線形状となっており、量産車との際だつ違いの一つとなっている。
 これについて、上画像の1号機とそれ以外の車両を見比べてもらえば一目瞭然である。

 なお、最初期の4両はステップの形状も量産車と異なっているほか、正面ナンバー表記の上に手すりが無い。

1号機非公式側

多度津工場
2007年10月13日

 正面の手すりは本来直線形状であるが、コレは後年の改造によるもの(下記参照)。
 また、歩み板が一部段違いになっている。
1号機公式側

多度津工場
2007年10月13日

 出入口ドアの窓の形状が量産車と異なっている。
量産車(1095号機)

土讃線 塩入駅
2019年2月4日
量産車(143号機)

予讃本線 多度津駅
1986年3月24日



(2)正面手すり

 1969年以降製造の1006号機〜 および1501号機〜 は、正面の手すりが最初から湾曲形状に変更されており、それ以前の車両もほとんどが後年湾曲形状に改造されている。

 これは、作業性改善のために連結器の解放てこの棒を手すりの前に出すことにし、そのために手すりの方を湾曲させて取付位置を下げたものである。

現在標準的な形状
(1138号機)
手すりより解放てこが「前」

予讃線 多度津駅
2008年6月3日
直線形状となっていた初期車
(77号機)
手すりの方が「前」

土讃本線 讃岐財田駅
1986年3月24日
湾曲状に改造された初期車
(108号機)

予讃本線 多度津駅
1982年11月


 これは四国独自の改造というわけではないが、特に四国地区では改造車比率が高く、当方所蔵の写真で確認できる範囲では、比較的末期まで未改造(直線形状の手すり)であったことが確認できるのは、27,63,77,143,1005号機程度でかなり少なく、このような地域は他には見当たらない。

 なお、新製車と改造車では手すりの湾曲具合が異なっており、改造車は手すりの曲がり始めの位置が低く、角度が急になっている。

手前側2両が改造車
曲がり具合が異なるのがよく判る

多度津駅構内
1985年3月



(3)スノープラウ

 いわゆる排雪装置で、本来は寒地向けの装備であり四国在籍のDE10形も当初は未装着が基本であったが、1970年代末期から1980年頃までにはほぼ全機がステップと一体になったタイプの大型のスノープラウを装備している。

 これは踏切事故対策としてスカートの機能を持たせるためらしく、1980年代にDF50置き換え用として他地区から転入してきた車両についても、そのほとんどがスノープラウの取付を行っている。

現在の1095号機
大型のスノープラウ装備

土讃線 善通寺〜琴平間
2009年5月23日
稲沢機関区(当時)から転入直後の
1095号機
スノープラウ未装備である

土讃本線 讃岐財田駅
1981年5月
スノープラウ未装備の車両は、
ステップの取付位置自体が異なる


 但し、どういう事情かごく一部に未装備のまま継続して運用された車両も存在し、当方所蔵の写真では、1,2,108,112,1024、1134号機が晩年まで未装備のままとなっていた。

 なお、この中で1号機については「四鉄史」にスノープラウを装着した状態で予讃本線の客車列車を牽引する画像が掲載されており大変貴重な記録といえるが、当該のスノープラウは現在一般的なものとは形状が異なるようにも見え、過去にはいくつかの種類があった可能性がある。


(4)変形開放てこハンドル

 解放てこのハンドル部分の形状が直線状でなくL字状に湾曲している車両が一部に存在する。

 四国の場合は国鉄時代から存在し、0番台車では皆無で1000番台車はほとんどが湾曲タイプであるが、ストレート形状のままの車両もある(あった)。

 現在四国に残存しているのは全て湾曲タイプとなっている。

本来の仕様は直線タイプ

左から 1014/1037/1184号機
最終期まで四国に残っていたのは
全て湾曲タイプ

1095号機/1094号機
1000番台若番車にも
湾曲タイプがあった

1006号機/1024号機


 恐らくは作業性改善の目的であると思われるが、西日本および四国エリアに在籍したことのある車両以外ではほとんど見たことがないので、これらのエリア独自の改造なのかもしれないが、詳細不明。


(5)ヘッドマーク取付ステー

 四国のDE10形は優等列車の牽引実績は臨時運用のみであり、定期列車仕業は無かったことから、ヘッドマークを取り付ける機会もほぼ皆無で、ごく希に特製ヘッドマークを臨時に取り付ける程度であった(「バンガロー列車」等)。
 その中でごく少数ではあるが、ヘッドマーク取付ステーを装着した車両が存在していた。


 〜アイランドEXP四国専用機〜

 JR四国発足とほぼ同時にデビューした、四国初の本格的なジョイフルトレインである「アイランドEXP四国」は、1014号機と1148号の2両が専用機関車として指定され、客車と揃いのカラーリングに変更された。

 この2両は当初は前後両方に1本フックのヘッドマーク取付ステーが設置されていたが、1990〜91年頃に新しく作り直された上、一部のエンド側にのみ設置されていた。

 なお、1014号機は1993年11月30日をもって廃車となり、後継として1036号機が専用機に指定されて、1014号機と同じ取付ステーが設置された(1014号機の物の流用なのかは不明)。

塗色変更直後の1014号機
前後にステーが設置されている

1987年4月7日
予讃線 松山駅
異なる形状のステーが取り付け
られた1014号機

1992年1月3日
予讃線 多度津駅
1148号機はかなり早い時期に
ステーが撤去されている

1991年1月1日
予讃線 多度津駅



 〜ムーンライト牽引機〜

 1989年から臨時列車として運転を開始した快速「ムーンライト高知」は当初は専用ヘッドマークを掲げており、高知運転所在籍の1094号機と1138号機にはそのための取付ステーが設置された。

 しかし「ムーンライト」のヘッドマークが掲出されていた時期はごく限定的で、長らく使われないままの状態を経て、2007年までには撤去されている。

ステー付きの1138号機
しかし、ヘッドマークについては
早い時期に掲出されなくなった

1996年1月1日
予讃線 多度津駅
ステー自体は比較的長期間
取り付けられていたのだが・・・

2005年8月15日
予讃線 多度津駅
結局、遅くとも2007年夏までに
は撤去されてしまった

2007年8月18日
予讃線 松山駅

12系客車とともに高知運転所
で昼寝中の1094号機

2003年9月16日
高知運転所
ステーの拡大画像
アイランド用の改良型とほぼ同形状
で、フックが2つある点が異なる

2003年9月16日
高知運転所



 〜臨時取付と思われるケース〜

 上記以外でも、臨時列車の牽引やイベント等でヘッドマークを掲げるために臨時に取り付けられたと思われるケースもある。

 近年では、2011年の高松運転所まつりでの1139号機や、2017年の「サロンカー土佐路」運転時に1095&1139号機にステーが取り付けられている。

2011年の高松運転所まつりでの
1139号機

2011年10月12日
高松運転所
2017年運転のサロンカー土佐路

土讃線 讃岐財田〜坪尻間
2017年5月13日


 画像を見ても比較的簡単に脱着可能な構造になっている模様で、現在は必要時のみ適宜取り付けているものと思われる。


(6)お召し装備

 上にも少し書いたが、1978年高知植樹祭の時にお召し列車が運転され、563号機(当時高知機関区所属)と1037号機(同高松運転所所属)の2両が重連で充当された。
 運用に当たっては、まず供奉車との連絡用のソケットが後部標識灯下に取付改造されたほか、第1エンド側デッキ端に国旗掲揚台座が増設された(第2エンド側同士を向けた背行重連で運用されたため)。

 このソケットと台座はその後も廃車時まで残存していた模様で、四国のDE10形の中では数少ない特徴的な識別点となっていた。


50系を牽く1037号機

土讃本線 讃岐財田駅
1985年3月
コンテナ列車を牽く1037号機

予讃線 多度津駅
1991年7月24日
第1エンド側フロント部分の拡大

予讃線 多度津駅
1991年7月24日


 563号機は1982年に佐倉機関区へ、さらに1984年に品川機関区に転属した後、1987年には廃車となってJRには引き継がれなかったが、1037号機は1993年の廃車までの一生涯を四国で過ごした。


(7)「架線注意」

 四国の国鉄線で初の電化は、民営化直前の1987年3月23日に駆け込みで完成した。

 当然、架線下で運用されることのある四国のDE10形にも「架線注意」のシールが貼られるべきであるが、当方所蔵画像で確認できる範囲では、1996年元日に快速「ムーンライト」を牽引していた1095号機で初めて確認される。

 比較的架線下を走行する機会が多かったと思われるアイランド専用機でも、1992年末の時点で未貼付となっており、時期的にはかなり遅かったのではないかと言え、他の車両に比べて優先順序が低かったのであろうと思われる。


1095号機

予讃線 多度津駅
1996年1月1日
1148号機

予讃線 高松駅
1992年12月31日


 四国の場合、貼付箇所はキャビン前後の煙突上部部分のみで、これ以外の場所への貼付は確認されていない。

 なお、何故か1138号機は2007年8月および2008年6月時点で第2エンド側(SG搭載側)に貼付されていないが、2002年9月時点では貼付されているのが確認されており、2003〜06年頃に剥がれたか又は剥がされた後そのままにされていた模様である。


2008年6月3日
予讃線 多度津駅

 1138号機はこの時点で第2エンド側に見当たらないのだが・・・

2002年9月22日
高知運転所

 2002年9月時点では、確かに貼られている、、、剥がれたのか剥がしたのか・・・?



(8)三分割ラジエーターカバー

 エンジンの搭載されている第1エンド側前端部にはエンジン冷却のためのラジエーターが搭載されており、量産車の場合は脱着可能なカバーが取り付けられているが、四国在籍車の場合はこのラジエーターカバーが作業性改善のために三分割タイプに改造されている。


通常のDE10形は一体式の大きなカバーが付く
カバー上部の手すりも、長い1本タイプが装備される
1164号機
(JR貨物・岡山機関区所属)

山陽本線 庭瀬駅
2019年5月16日
1581号機
(JR貨物・愛知機関区所属:当時)

東海道本線 富士駅
2008年1月14日


四国では初期型も含めて全て三分割タイプに交換されている
カバー上部の手すりもそれに合わせて短いタイプが3本ある
108号機

予讃本線 多度津駅
1982年11月
1134号機

土讃本線 讃岐財田駅
1982年3月
1037号機

予讃線 多度津駅
1991年7月24日
1139号機

予讃線 多度津駅
2019年4月18日

 ちなみにカバー上部の穴は冷却補助用の散水のためのもので、穴の奥にノズルが見える。



 国鉄時代のかなり早い時期には既に改造されていた模様で、当方所蔵画像(概ね1980年代以降)では三分割タイプ以外の物はほぼ皆無である。


(9)雨樋

 DE10形の基本的な乗務員室横の(上部の)雨樋の形状は、1968年度第5次債務車(127〜/551〜)以降のタイプと、それ以前のタイプの2つに大別される。
 さらに1970年第2次債務車(1093〜/1533〜)は雨水の侵入を防ぐために前後に縦樋が最初から装備されている。

 縦樋については後年の改造が多く、いくつかのバリエーションが存在する。


上部の雨樋の形状は、横一本棒タイプと三角形形に大別される
9号機

予讃本線 丸亀駅
1985年10月
1095号機

土讃線 塩入駅
2019年2月4日

 縦樋の逆三角形の部分は後年の改造。



縦樋の形状には多数のバリエーションがある
77号機

土讃本線 讃岐財田駅
1986年3月24日

 後年追加改造された縦樋は、四国ではこの逆三角形タイプが最も多かった。
42号機

土讃本線 讃岐財田駅
1985年3月

 後期形の標準タイプの縦樋に似た形状の物で、上端部がやや大きく丸い形状の物(個人的には「丸樋タイプ」と呼んでいる)。
63号機

予讃本線 多度津駅
1986年4月

 ←よりもやや長い変形タイプ。
108号機

予讃線 多度津駅
1982年11月

 108号機は縦樋が非常に珍しい丸管タイプとなっているように見受けられる。
1086号機

土讃本線 讃岐財田駅
1985年3月

 中期形タイプに、後期形に標準で装備されたものとよく似た形状の縦樋が追加されたもの。
143号機

予讃本線 多度津駅
1986年3月24日

 0番台機でも同様な改造が見られる。
1134号機

土讃本線 讃岐財田駅
1982年3月

 後期形ながら1095号機と同様に逆三角形タイプに改造されていた1134号機。
1139号機

予讃線 多度津駅
2019年4月18日

 標準で縦樋が装備されていたグループでも、丸樋タイプに改造された物がある。
 四国においては逆三角形タイプと並ぶ二大勢力であった。


 108号機の丸管を採用したタイプは非常に珍しく、少なくとも当方手持ち画像では四国では同機以外には確認できない。

 四国においては、0番台車は逆三角形タイプが、1000番台車は丸樋タイプが多く、この2つが二大勢力であった模様で、縦樋が標準装備であった後期形でも標準状態のままで運用されていた車両は当方手持ち画像では確認できない。




形式DE10形
0番台
(現存せず)

(119号機)
1000番台

(1139号機)
寸法14,150 mm
2,950 mm
3,965 mm
重量72.0 t
車体普通鋼
機関形式
出力
DML61ZB
1,250PS/1,550rpm1,350PS/1,550rpm
変速機 DW6
高低切替式
最終減速比4.482
ブレーキ方式 手ブレーキ付
DL14B空気ブレーキ
ブレーキ装置踏面両抱
台車形式 DT132A
DT131E
DT141A

1581号機(富士駅にて)
許容最高速度85km/h

※さらに詳細はスペック一覧表参照

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