キハ28形 5000番台
急行形気動車


急行「土佐」のキハ28−5005

予讃本線 高松駅
1983年6月


 全国的な「減量ダイヤ」となった1980年10月のダイヤ改正(55−10改正)時に、当時の四国内の急行グリーン車を廃止し、普通車指定席車に格下げ使用することとなり、それに伴って登場したのがキハ28形5000番台車である。
 従って当然種車はキロ28形であるが、グリーンマークとそれを示す車体の帯が無くなった程度で、室内はリクライニングシートのまま(シートカバーがクロスからビニールに変わった程度)とされ、指定席料金だけでリクライニングシートに乗れる、お得な車両であった。

 本項では、そのバリエーションである5200番台車、ならびに5300番台車についても触れる。


 当初登場した5000番台車は、自車のみ供給可能な4DQ冷房用発電機を搭載した、キロ28形0番台車から改造(改番)されたグループで、全部で18両が登場した。
 乗車定員は52名。

 その後、自車を含めて3両分に供給可能な4VQ電源を搭載した、キロ28形100番台/300番台/500番台からの直接格下げ車が5200番台車として登場。
 5000番台車の一部の車両も、4VQ電源に換装されて5200番台に改番されたグループが存在し、両グループ合わせて5201〜5220までの20両が登場した。

 この他に高徳線用としてキロ28形改造のキロハ28形を再改造した5300番台車が1両のみ存在していた。
 後位側(トイレのある側)の半室が普通車自由席車で、通常の固定クロスシートが通常より若干広いシートピッチで配置されていた。
 指定席のリクライニングシートが定員24名、クロスシートの自由席側が定員40名。


 5000番台車については、廃車または5200番台車への改造によって、1985年頃までには姿を消した。
 また、5300番台車は改造から4年後の1984年度には早くを廃車となってしまった。

 5200番台車は種車の違いにより、一段下降窓がユニットサッシに改造された車両も含めて、側面窓や雨樋等の種類と配置の違いで、全6種類のバリエーションがあり、絶対数の割には多くのバラエティがあった。

番号種車通風器側面窓雨樋便・洗面所位置 トイレ窓
サイズ
備考
5001〜5018 キロ28
0番台
一段下降高位置デッキ内側5011は通風器無し
5204〜5209 キハ28
5000番台
5013〜5018 の再改造(冷房用電源の更新等)
通風機は晩年撤去した車両あり
5209は最晩年ユニットサッシ化
5201〜5203
5210/5211
5214/5215
5301
キロ28
2100番台
一段下降5210は晩年ユニットサッシ化
5212/5213
5219
ユニットサッシ
5216 キロ28
2300番台
一段下降側面中央にサボ受け残存
5217
5218
低位置デッキ外側5217は最晩年ユニットサッシ化
5220 キロ28
2500番台
ユニットサッシ
5301キロハ28−1一段下降高位置デッキ内側キロハ28−1はキロ28−156の改造


車番対応表
車番種車再改造
キハ28-5001キロ28-4
キハ28-5002キロ28-15
キハ28-5003キロ28-16
キハ28-5004キロ28-17
キハ28-5005キロ28-22
キハ28-5006キロ28-25
キハ28-5007キロ28-68
キハ28-5008キロ28-69
キハ28-5009キロ28-71
キハ28-5010キロ28-110
キハ28-5011キロ28-143
キハ28-5012キロ28-144
キハ28-5013キロ28-155→キハ28-5206
キハ28-5014キロ28-157→キハ28-5209
キハ28-5015キロ28-178→キハ28-5208
キハ28-5016キロ28-179→キハ28-5205
キハ28-5017キロ28-180→キハ28-5204
キハ28-5018キロ28-202→キハ28-5207
車番種車備考
キハ28-5201キロ28-2177
キハ28-5202キロ28-2194
キハ28-5203キロ28-2195
キハ28-5204キハ28-5017
キハ28-5205キハ28-5016
キハ28-5206キハ28-5013
キハ28-5207キハ28-5018
キハ28-5208キハ28-5015
キハ28-5209キハ28-5014晩年はユニットサッシ
キハ28-5210キロ28-2159晩年はユニットサッシ
キハ28-5211キロ28-2171
キハ28-5212キロ28-2183晩年はユニットサッシ
キハ28-5213キロ28-2189晩年はユニットサッシ
キハ28-5214キロ28-2203
キハ28-5215キロ28-2204
キハ28-5216キロ28-2306トイレ小窓
キハ28-5217キロ28-2310 車体構造変更車
晩年はユニットサッシ
キハ28-5218キロ28-2311車体構造変更車
キハ28-5219キロ28-2201晩年はユニットサッシ
キハ28-5220キロ28-2516 車体構造変更車
晩年はユニットサッシ
車番種車備考
キハ28-5301キロハ28-1←キロ28-156からの改造



CGイメージで再現した、キハ28−5000&5200のバラエティ
↓(クリックで拡大表示:87KB)

100%完璧な再現ではないので悪しからず・・・


 キロ28−100番台改造のグループの中には、種車の一段下降窓をユニットサッシに改造した車両も存在(5212等)し、このあたりは非常に複雑であり、それだけに多くのバラエティがあって、見ていて結構面白かった。

 特に、列車通学だった中学・高校時代は、平日の学校帰りの途中で上下合わせて6本もの気動車急行列車を見ることが出来たため、時折現れるスカート付きキハ58やキハ57とも合わせて、それはそれは楽しい列車通学だった(笑)



 ・・・・それはともかく(^^;

 急行間合い運用によって普通列車にも使用されることがあったため、普通運賃でリクライニングシートに乗れるという超お得な列車も存在し、ごく一部の人たちには人気があった車両である(^^;
 かくいう私も、高校2・3年の時は、毎週土曜日は急行間合い運用の快速列車に乗って帰れるため、毎週週末が待ち遠しくてたまらなかったものであるw
 定期券だけで冷房付きリクライニングシート車に座って帰れる(しかも快速列車である)なんて、恐らくあの当時の四国内では最高のサービス列車であったろうww


 92年11月改正の予讃・土讃線急行全廃をもって運用から離脱、姿を消した。


 四国の後を追うようにして1985年には九州でも同様の車両が登場して、製造番号は四国車の続番(5221〜5223)となったが、これも四国の後を追うように特急化の波に呑まれて消えていった。


 なお5300番台車については5200番台車よりもかなり早く1984年に廃車となっている。



予讃本線 高松駅
1983年6月

 2両目にキハ28−5301を組み込んだ急行「阿波」。

予讃本線 多度津駅
1985年3月

 廃車留置中の5011号車。

土讃本線 讃岐財田駅
1985年3月17日

 デッキ移設前のタイプの四国の5000番台車の中で唯一、トイレ窓が小窓タイプであった5216号車。

予讃線 丸亀〜讃岐塩屋間
1988年8月8日

 四国配置の5000番台車の中で唯一、寒地仕様のキロ28形2500番台をベースにした5220号車。

予讃本線 高松駅
1985年3月23日

 キハ28−5215の室内。
 1位側から2位側(車掌室のある側からトイレのある側)を見る。

土讃本線 阿波池田駅
1985年10月16日

 キハ28−5204の室内。
 2位側から1位側(トイレのある側から車掌室のある側)を見る。




形式 キハ28形 5000番台
キハ28形 5200番台
キハ28形 5300番台
寸法21,300 mm
2,944 mm
4,085 mm
重量40.2 t
車体普通鋼
機関形式
出力
DMH17H
180PS/1,500rpm × 1
変速機 TC2A 又は DF115A
(変速1段・直結1段手動変速)
最終減速比2.976
ブレーキ方式DAE1
ブレーキ装置踏面片押
台車形式DT22/TR51
許容最高速度95km/h
車体構造・客室2扉リクライニングシート
乗車定員52 64
(指定席24+自由席40)


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